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スペインのバルには欠かせないおつまみ!絶品タパスを5個紹介します
旅行の醍醐味の一つとして重要視されるのが、旅先の食事。スペインでは気軽に入れるバルで、タパスやピンチョスと呼ばれる小皿料理をお酒のつまみにし、はしご酒をする文化があります。 現在、様々なガイドブックやホームページで、「このバルではこの料理」と紹介されていますが、どれが自分に向いているかなかなか分からないこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は美食の街で知られる、バスク自治州のサン・セバスティアンでワインの勉強をし、スペイン各地のワインショップや食料品店での働いた経験のある筆者が、定番のタパスとピンチョス、オススメのバル、そしてそれらに合うお酒やオススメの食べ方を紹介します!
目次
「タパス」って?ピンチョスとの違いは?
まず、冒頭に出てきたタパスとピンチョスという単語の意味と、その違いについて説明しましょう。 タパスはスペイン語で「蓋」を意味するTapaという単語の複数形であり、かつてグラスの中に虫やほこりが入らないように小皿で蓋をしたことが由来だと言われていますが、これには諸説あります。
一方のピンチョスは、串を意味するPincho(バスク語ではPintxo)という単語の複数形です。 この二つの単語は、どちらもバルで提供される小皿料理を指しますが、その大きな違いは、使われる地域。ピンチョスはバスク自治州、タパスはそれ以外の地域で使われます。そのため、以降の解説では主に「タパス」という言葉を使って、スペインの小皿料理を解説いたします。
タパスをスペイン語で注文するには?
バルでタパスを注文するときは、「Una tapa de <料理名>,por favor.(ウナ タパ デ <料理名>、ポル ファボール)」、「Un pincho de <料理名>,por favor.(ウン ピンチョ デ <料理名>、ポル ファボール)」となります。「タパス(またはピンチョス)の<料理名>を一つください。」という意味です。
料理名がわからない場合は、ショーケースなどに置いてある料理や写真を指さして、料理名のところをÉsta(エスタ=これ)に変えることで注文できます。この注文ですと、一皿もしくは一個しか出てこないため、Un、UnaをDos(ドス=2つ)、Tres(トレス=3つ)に変えれば複数個注文が可能です。
大人数の場合は大皿を意味するRación(ラシオン)、またはその半分のサイズに当たるMedia Ración(メディア ラシオン)で注文することをおすすめします。
スペインのおすすめタパス1:トルティージャ
<撮影:MASASHI>
最初に紹介するのは、スペイン料理の定番の一つでもあるスペインオムレツ、トルティージャ(Tortilla)です。トルティーリャ、トルティーヤと表記することもありますが、ここではトルティージャと書きます。
トルティージャはどんなタパス?
トルティージャは、主にじゃがいもと卵、お店によっては玉ねぎを入れたオムレツで、シンプルな料理ゆえにバルごとで味や焼き加減が変わり、その差を感じるのも楽しみのひとつ。
特にガリシア州へ行くと、ベタンソス風と呼ばれる中が半熟のトルティージャを食べることができます。一切れでもボリュームがあるため、最初のお店で腹ごなしに食べることをおすすめします。 またアンダルシアに行くと、Tortillitas de camarones(トルティージャ デ カマロネス)という似た名前の料理がありますが、こちらはオムレツではなく小エビのかき揚げのような料理が出てきますので、ご注意を。
トルティージャのオススメバルは、サラゴサにある様々なトルティージャが食べられるMuseo de la Tortilla(ムセオ デ ラ トルティージャ)。その名も「トルティージャ博物館」という意味のバルです。 ジャガイモと玉ねぎの入った定番のもの以外に、ほうれん草、マッシュルームなどの野菜類、さらには豚の耳や仔羊の脳みそといった変わり種を含め15種類ほどのトルティージャを楽しむことができます。
ムセオ・デ・ラ・トルティージャの基本情報
- 名前:Museo de la Tortilla(ムセオ・デ・ラ・トルティージャ)
- 住所:Calle Cadena, 18, 50002 Zaragoza
- 営業時間:[月~木]19:30~23:30 [金土]19:00~00:30
- 休業日:日曜日
- Facebookページ:公式Facebookページ
- Googleマップ:
ライターがおすすめするトルティージャの食べ方
ご家庭で作られる場合は、できるだけ小さめで深さのあるフライパンで大きく厚めに作れば、美味しくでき上がります。そのまま食べてもおいしいトルティージャですが、バケットに挟んでスペインのサンドイッチ、ボカディージョにして食べることでボリューム感が増しますよ。
このボカディージョはBocadillo de Tortilla(ボカディージョ デ トルティージャ)と呼び、トルティージャの置いてあるバルで頼めば、作ってもらえることがあります。さらに「Para llevar(パラ ジェバール=持ち帰り)」を付け加えることで、テイクアウトが可能ですので、天気の良い日には外でボカディージョを食べれば遠足気分が味わえます。
スペインのおすすめタパス2:エビのアヒージョ
<撮影:MASASHI>
スペイン料理の中では、パエリアと同じかそれ以上に知名度のあるアヒージョ。日本でも、スペイン料理店やバルではもちろん、それ以外のレストランやお店でも見かけることが多くなりました。その中でも、今回はエビのアヒージョ(Gambas al ajillo)をおすすめとして紹介します。
エビのアヒージョはどんなタパス?
アヒージョは多くの方がご存じだと思いますが、改めて解説するとアヒージョカスエラという小さな土鍋のような耐熱容器に、エビやマッシュルームなど様々な具材がぐつぐつ煮立っている、ガーリックオイル煮の料理です。
しかし、実際にスペインのバルに行くとなかなかメニューで見かけることが少なく、値段も観光客向け料理だからなのか、かなり高めの設定をよく見かけます。また、たまにバルやレストランの昼食の定食の選択肢の中にPollo al ajillo(鶏肉のアヒージョ)という料理がありますが、こちらは同じアヒージョでも鶏肉のガーリックオイル焼きのような料理のですので、ご注意ください。
オススメのバルは、ガイドブックでもよく紹介されているマドリッドのLa Casa del Abuelo(ラ・カサ・デル・アブエロ)。中心地であるPuerta del Solからも近い立地に、お店の向かいに同じメニューが食べられる姉妹店もあります。 こちらのエビのアヒージョは、1~2人前のRaciónと3~4人前のDobleがあり、人数に合わせて対応できます。またアヒージョ以外のエビ料理や郷土料理も豊富に取り扱っています。
ラ・カサ・デル・アブエロの基本情報
- 名前:La Casa del Abuelo(ラ・カサ・デル・アブエロ)
- 住所:Calle de la Cruz, 11, 28012 Madrid
- 営業時間:12:00~0:00
- 休業日:無休
- HP:公式HP
※最新情報は公式サイトを参照ください - Googleマップ:
ライターがおすすめするエビのアヒージョの食べ方
エビのアヒージョはワイン、ビール問わず、様々な飲み物に合わせられますので、お好きなお飲み物と一緒に、熱いうちにお召し上がりください。残ったオイルも有効活用!パンで拭って食べれば最後まで楽しめます。
スペインのおすすめタパス3:タコのガリシア風
<撮影:MASASHI>
続いて紹介するのは、もともとガリシア州でのみで食べられていた料理でしたが、今はスペイン料理の定番となっている「タコのガリシア風(Pulpo a la gallega)」です。
タコのガリシア風はどんなタパス?
タコのガリシア風は、元々ガリシア州でPolbo á feira(ポルボ ア フェイラ)とガリシア語で呼ばれるお祭りなどのイベントに出される料理でした。これがスペイン全土に広まり、現在の名前に変わりました。
くたくたに茹でたタコの脚をはさみで切って木の皿に並べ、塩、「ピメントン」と呼ばれるパプリカパウダー、オリーブオイルをかけた料理です。大半のお店ではつまようじが刺さって提供されます。これはフォークで食べるとタコの中の温度が下がってしまうのでそれを防ぐための工夫。出てきたつまようじで食べることをおすすめします。
また、日本でタコのガリシア風を注文するとジャガイモが下に敷かれていることが多いですが、本場ですとジャガイモはオプションであり、別に注文する必要があります。ジャガイモはCachelo(カチェロ、ガリシア語でジャガイモの意味)といえば伝わりますよ。
ライターがおすすめするタコのガリシア風の食べ方
<撮影:MASASHI>
美味しいタコのガリシア風を食べるときは、ガリシア料理専門のバルやPulpería(プルペリア)と書かれている、タコのガリシア風を売りにしているお店を探してみて下さい。その際には、カウンター内などの見えるところに大鍋でタコが茹でられているかなどチェックするのも、良いお店探しのポイントの一つです。
一部のバルではタパスサイズを用意していないことが多く、Media ración、Raciónで注文することになる可能性があります。複数人での注文では大丈夫ですが、一人で注文する場合は1食をその一皿で済ます気持ちで注文してください。 この料理は名前だけ聞くと、海鮮料理ですので白ワインと合わせたくなります。しかし、パプリカパウダーがかかっており、しっかり塩味も効いた味わいですので若い赤ワインと一緒に召し上がることをおすすめします。
できれば、ガリシアでよく栽培されているMencía(メンシア)という名前のブドウを使った赤ワインがフルーティーで飲みやすく、タコのガリシア風との相性も抜群です。 また、お店によっては「クンカ」と呼ばれる円錐形の盃でワインを提供されることがありますが、そうやってワインを飲んでいた歴史がありますので、その際には歴史を感じながら食事を楽しんでみるのもいいですね。
スペインのおすすめタパス4:ガスパチョ
<撮影:MASASHI>
夏にスペインを旅行していると、内陸部や南のアンダルシアに行くと40度近い気温になることも。日本のような湿度がある暑さではないものの、バテて食欲が減退しやすいでしょう。そんな時にオススメしたい料理が、ガスパチョ(Gazpacho)です。
ガスパチョはどんなタパス?
ガスパチョはトマト、ピーマン、キュウリ、にんにく、パン、オリーブオイル、ビネガー、水をミキサーにかけた冷製スープで、飲むサラダとも呼ばれています。パンが入っていなかったり、トマトを入れていなかったりすることもあります。同じような冷製スープでSalmorejo(サルモレホ)という料理がありますが、こちらはトマト、にんにく、パン、オリーブオイルとシンプルでな食材で作られており、ピーマンやキュウリが苦手な方にはこちらが合うかもしれません。
最近は各地域のバルでも見かけることが多くなりました。ジュースサーバーのような機械で提供するお店もあります。ガスパチョは基本的に1人前で提供されるため、「Un gazpacho,por favor. (ウン ガスパチョ ポル ファボール=ガスパチョ一つお願いします)」で頼むことができます。
ライターがおすすめするガスパチョの楽しみ方
夏にスペインの街を散策した後は、ガスパチョのあるバルで、ビールとともに食欲を増進させた後バルのハシゴを始めるのがおすすめです。また、色々なバルでガスパチョを飲み比べると店ごとの味の違いが楽しめますよ。 ただし先述の通り、ガスパチョにはパンが入っていることが多くお腹に溜まりやすいので、飲みすぎにはご注意を!また現地のスーパーマーケットではパックのガスパチョが販売されているため、ホテルで気軽に楽しむこともできます。
スペインのおすすめタパス番外編:バスクチーズケーキ
<撮影:MASASHI>
最後にご紹介するのは、甘いもの。またバスク自治州発のものであるためここだけピンチョスと表記します。筆者自身が2019年まで約2年間滞在し、スペインの中でも日本で強く注目されているといっても過言ではないバスク自治州はサン・セバスティアン。美食の街と呼ばれているエリアです。
有名バルの名物ピンチョスが紹介されている中でも、日本で爆発的ヒットをしたピンチョス(?)、それがチーズケーキ(Tarta de queso)です。チーズケーキをタパス、ピンチョスとして紹介するかどうか迷いましたが、お酒との相性が良いと言われているのでこの記事では紹介することに決めました。
バスク自治州のチーズケーキとは?
ケーキの中でもチーズケーキは日本で広く親しまれていますが、バスク自治州発のチーズケーキは、この数年で特に注目を集めるようになりました。 このチーズケーキは日本のスペインバルだけでなくコンビニでも販売され、今では専門店ができるほどの人気。日本では「バスクチーズケーキ」の名前で販売されていますが、現地では普通にチーズケーキとして売られています。ベイクドチーズケーキの一種ではありますが、キャラメルを焦がした焼き目がついており、外は香ばしく、中は柔らかい食感が特徴です。
サン・セバスティアンの旧市街にあるバルLa Viña(ラ ビーニャ)がバスクチーズケーキの発祥といわれ、日本からも訪れる人が多い定番中の定番。ですが、筆者のおすすめはBar Sport(バル スポーツ)です。La Viñaと同じく旧市街に位置するこちらのバルは、フォアグラやウニのピンチョスが有名なのですが、チーズケーキも美味しいんです。そしてそれに合わせるマリアージュ(=お酒と料理の組み合わせ)があります。
バスクチーズケーキはお酒に合う?
La Viñaのチーズケーキは、赤ワインや甘口のシェリーと相性が良いと言われています。しかし、Bar Sportのチーズケーキに合わせるのは辛口のシェリーマンサニージャ、バルバディージョ社のソレアールです! チーズケーキはバルをハシゴした後に、シメのデザートとして楽しめますが、味わいはあっさりしています。そのため、甘口のシェリーや赤ワインですと、ワインの味わいの方が勝ってしまいます。また、通常の白ワインだとイマイチ合いません。
バルバディージョ社のソレアールは、他社のマンサニージャよりも長い熟成期間を経てリリースされます。そのため、すっきりとした味わいがある一方で心地よい余韻が残るので、チーズケーキの甘さがありながらもあっさりとした味わいと、素晴らしいマリアージュを生み出します。 筆者がこのマリアージュを、現地で知り合った日本人旅行者に紹介したところ大好評でした!ぜひスペインへお越しの際はチーズケーキ×ソレアールのマリアージュを試してみてくださいね。
バル スポーツの基本情報
- 名前:Bar Sport(バル スポーツ)
- 住所:Fermin Calbeton Kalea, 10, 20003 Donostia, Gipuzkoa, スペイン
- 営業時間:[月-金]9:00~00:00 [土]10:00~00:00 [日]11:00~00:00
- 休業日:不定休
- Facebookページ:公式Facebookページ
※最新情報は公式Facebookページをご確認ください - Googleマップ:
ライターがおすすめするバスクチーズケーキの食べ方
先ほどの項目ではバスクチーズケーキとお酒のマリアージュについて説明してきましたが、お酒・ワインが苦手な方はもちろん紅茶やコーヒーと合わせて楽しんでくださいね。筆者はコーヒーと合わせる際に、ミルク入りのCafé con leche(カフェ コン レチェ=カフェオレ)と一緒に楽しむのがお気に入りです。
また、チーズケーキはほとんどのお店でテイクアウト可能。テイクアウトして、翌日の朝食がわりするのもいいでしょう。持ち帰ったら冷蔵庫に入れ、食べる少し前に常温に出しておきます。常温がおいしいので、レンジで温め直す必要はありません。 スペイン各地の様々な料理を、一人分のタパス(ピンチョス)という形で食べられるのは魅力的ですよね。スペインに旅行された際には、是非その土地のバルで色々な郷土料理を食べてみて下さい。
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スペインのタパスはお酒と合わせるのがおすすめ!
最後になりますが、今回紹介したタパス(ピンチョス)と相性の良いお酒やマリアージュは、ほんの一例です。最後のチーズケーキを除き、今回紹介したものと多くの料理に合うお酒。それはズバリ、ビールです。
スペインには多くのビールメーカーが存在し、地元のビールを扱っているバルもあれば、他の地域のビールを扱うバル、また日本でも流行りつつあるクラフトビールを扱うバルもあります。
ビールもワインと同じくその土地に合わせて造られているため、気温の高く湿度の低いアンダルシア州や内陸部はCruzcampo(クルスカンポ)社のようなすっきりとしたビールを、バスク自治州やガリシア州のある北部はEstrella Galicia(エストレージャ ガリシア)社のような日本のビールに近い味わいのビールをよく見かけます。そのため、その土地のビールと郷土料理という組み合わせは相性が良いことが多いです。
料理はもちろんですが、それと同じようにビールやワインといったお酒もその土地をよく表しています。ですので、旅先では是非郷土料理とともに地元のお酒お一緒の楽しんでください! この記事を読んでくださった皆様の旅がより楽しく、よりおいしい思い出の多い旅になることを願っております。
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MASASHI
- 大学時代のスペインへの語学留学でスペインワインの美味しさを知り、2017年にスペイン・サン・セバスティアンにある料理大学バスク・クリナリー・センターの、ソムリエとワインマーケティングのマスターコースに入学。同年、卒業。セビージャ、マドリッド、サン・セバスティアンのワインショップ、食料品店にて勤務。