たびこふれ

トレンチコートは機能性を追求した果ての美

記事投稿日:2020/05/29最終更新日:2020/05/29

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旅行大好き、ヨーロッパ大好きのY.Mです。

今回は旅から離れて、元アパレル企業パタンナーが、服:トレンチコートについて、筆者私物を使ってお話しいたします!

目次

トレンチコートとは

前はダブルの釦で、ウエスト、袖口にはベルト、衿元・肩には釦止めのベルトがあり、ウエストベルトにはD型の飾りが数個ついている、また、背中、前側は、大きめな布で二重になっていて・・・なんてデザインが一般的なトレンチコート。

トレンチコートは、第一世界大戦中にさむーい寒い欧州での戦いに、防水効果のある軍用コートが求められた事により開発されました。

「トレンチ(trench)」という単語は日本語で「塹壕:ざんごう」を意味し、戦場で、歩兵が敵弾を避けるために作る防御用の溝のことを指します。

イギリスの兵隊が、このトレンチ内で着用した事により『トレンチコート』の名がついたと言われています。 

今ではスーツの上はもちろん、カジュアルに羽織ったり、女性用にエレガントなデザイン性の高いものが作られたりと幅広く愛されているデザインですが、もともとは戦い用の防御服。

トレンチコートのデザインには、戦う為の様々な知恵が詰まっています。

戦後、この高機能な軍用コートは機能のみならず、デザインの美しさもが認められ、やがてファッショナブルな不動のアイテムとなっていきました。

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<トレンチコート>

筆者自前のトレンチコートで解説します!

エポーレット:肩章

両肩にあるこのベルトはエポーレット:肩章といい、もともとは、水筒や双眼鏡など、肩にかけた装備などが落ちないようにする留め具のような役割を果たしていました。

仲間が倒れたときには、この部分を引っ張る事もあった様です。 また、将校たちの軍服の階級章も、この部分に付けられました。

現在でも自衛隊や警察官などの制服には、この「エポーレット」が取り付けられています。

そうそう、余談ですが、前クール日曜21:00からのTBSドラマで、警官役の鈴木亮平が、拳銃を警官の制服のコートのエポーレットに掛けるシーンを見たとき、警官は今でもエポーレットを機能として使用しているのだなあ、ドラマはこんなところまで忠実に描くんだなあと、ドラマ造りの緻密さに少し感動しました。

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<エポーレット:肩章>

D型の飾りが付いたウエストベルトと、袖口ベルト

ウエストベルトのD型の飾りリングは、戦時中、手榴弾やナイフを下げていました。

また、袖口ベルトをキュッと結ぶ事により、袖からの雨風の侵入を防ぐ役割をしていました。 今ではこれらも、専らデザインの要素として残っています。

そして、軽さやエレガントさが求められ、D型リングの付いていないものもたくさんデザインされています。

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<ウエストベルト/袖口ベルト>

背中、前側の二重の仕立て:ストームシールドと、衿元のベルト:チンウォーマー

ストームシールドと呼ばれる背中や前側の大き目めな布は、撥水効果を高めるためにつけられたもの。

背中は、雨が当たりやすい背中上部から、前側は、左右の前合わせの隙間から、衣服内に水が入らないようにと考えられました。

前側のストームシールドは、前合わせの下側(男性なら右にボタン、左にボタンホールがあいているので、ボタン側である右側、女性は合わせが逆なので、左側)に付け、前釦をすべて止めたあとにその上にかぶせてる事ではじめて機能が発揮できるのですが、機能からデザインへと変わりゆく中でどうなってしまったのか、街で、なぜか前合わせの上側に付いているデザインを見かける事があります。

これは自由過ぎ! ここはやはり下側にしようよ!と つっこみたくなってしまうのですが・・・苦笑 そして、チン(Chin)ウォーマーと呼ばれる衿元のベルトも、衣服内に風雨が入らない様に付けられた2重装備。

過酷な寒さや雨風も、これでしっかり防ぎます。

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<ストームシールド/チンウォーマー>

最後に

トレンチコートの他にもまだある、軍服の名残り

ジャケットの袖口のボタン、最初は意味があって付けられる様になったのです。

19世紀の戦時中、フランスのナポレオンがロシア遠征中に、あまりの寒さに兵士たちが鼻水を袖口で拭き、袖口がテッカテカに光っているのをみて、鼻水を拭かせない様にするために釦を付けさせた事が始まりだと言われています。

そして、ネクタイも、元々は、袖口のボタンから遡った17世紀、クロアチアの軍装のスカーフを首に巻く伝統的なスタイルがフランスのルイ14世の目にとまった事が始まりで、ヨーロッパ全域に新しいファッションとして伝わりました。

クロアチアツアーに参加される際には、ザグレブ観光中にネクタイ発祥の地として、ネクタイ専門店CROATA(クロアタ)に案内されることもあるでしょう。

現代のサラリーマンの制服とも言えるジャケットにネクタイというスタイルの中にも、まさに軍服の名残りが・・・。「24時間戦えますか」というひと昔前のCMのフレーズが、妙に思い出されます・・・。

クールビズの期間が終わったとある秋の日に、久しぶりのネクタイ着用を窮屈に感じた上司が、なんでネクタイなんかするのか・・・と嘆いておりました。

元は軍服なのですよ、仕事もある意味戦いなのですよ、きっと・・・と心の中で思いながらも、平和を願うこの時代に、ましてや旅を扱う会社にはとても不釣り合いな服装だなあと、しげしげと 見つめてしまいました。

働き方改革で、ましてや24時間なんて戦わない今、ジャケットやネクタイからも解放されてもいいのでは・・・。これも余談ですが。

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記事投稿日:2020/05/29最終更新日:2020/05/29

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