【ペルー】世界遺産クスコを一望する絶景ポイント「サン・クリストバル教会」と幻の皇帝パウリュ・インカ

「Iglesia de San Cristóbal(サン・クリストバル教会)」は、インカ皇族のワスカル・トゥパック・パウリュ・インカ(日本語ではパウリュ・トゥパック・ユパンキと紹介されています)によって1546年に建てられたカトリック教会。クスコに数多くある教会の中でも、最も古いもののひとつに数えられています。サクサイワマンの丘の麓に位置するため、インカの都を一望する絶景ポイントとしても有名。

今回はその鐘塔から眺める素晴らしい景色をご紹介しながら、あまり知られていないインカの歴史を紐解いていきましょう。

>>>クスコについて詳しくはこちら(ペルー観光公式ホームページ)

目次

まずはサン・クリストバル展望台でひと休み

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アルマス広場から北へ徒歩で約6~7分坂道を登ったところにあるサン・クリストバル教会。広場と教会の標高差は50mほどですが、高地クスコではそのわずかな違いがきつく感じられることでしょう。なので無理をせず、途中に休憩を挟みながらゆっくり登ってくださいね。もちろんタクシーでアクセスすることも可能ですが、クスコ市内は一方通行が多いため、乗車ポイントによってはずいぶん大回りになってしまいます。

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サン・クリストバル教会は、「Mirador de San Cristóbal(サン・クリストバル展望台)」と呼ばれる広場の西端に建っています。

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坂を登り切ったら、まずは広場のベンチでひと休み。この広場もクスコ市内を一望するオススメポイントで、特にこの日は快晴とあって霊峰アウサンガテを遠くに眺めることができました。家族連れが休憩がてらおしゃべりをしたり、大道芸人が子供たちを相手にちょっとした芸を披露したり。アルマス広場は外国人観光客やツアーの客引きでいっぱいですが、ここは人影もまばらでのんびりとした雰囲気です。

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広場の北側に見える石壁は、「Palacio de Colcampata(コルカンパタ宮殿)」と呼ばれるインカ時代の建物の外壁です。インカ第12代皇帝ワスカルによって建設されたものですが、その古さからインカ初代皇帝マンコ・カパックの手によるものという説もあるそう。そのため、コルカンパタ宮殿は別名「マンコ・カパック宮殿」と呼ばれ、すぐ近くには"マンコ・カパック"の名を拝したホテルもあります。

サン・クリストバル教会の鐘塔からクスコの絶景を堪能!

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早速教会の中へ入ってみましょう。教会の礼拝堂と鐘塔の入り口は別々になっていますが、チケットは共通。Boleto del Circuito Religioso (CTR/宗教施設周遊券)をお持ちの方は、そちらをご利用ください。教会内は撮影禁止。ただし今回は「日本の観光客に紹介する」ということで許可して頂きました。

1985年4月にクスコを襲った地震によって、大きな被害を受けたサン・クリストバル教会は、5年もの改修工事を経て再び信徒を迎え入れることができるようになりました。クスコで最も古い教会のひとつでありながら外観が比較的新しいのは、このためだったんですね。

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こちらが鐘塔の頂上です。鐘を吊るすためのアーチは8か所ありますが、現在鐘は4つしかありません。もしこれらの鐘が一斉に打ち鳴らされたなら、さぞ賑やかなことでしょう。

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鐘塔から眺めたクスコはまさに絶景!どこまでも続く色あせたレンガ色の家並みは、見ていて飽きることがありません。遠すぎもせず、近すぎもせず、アルマス広場もちょうどいい位置に見えます。鐘塔の窓を吹き抜ける風も心地よく、しばらくぼーっとするには最高の場所です。

義兄たちの悲劇を尻目にスペイン人に追随したパウリュ・インカ

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さて、このサン・クリストバル教会の建造を命じたワスカル・トゥパック・パウリュ・インカ(以下:パウリュ・インカ)に話を戻しましょう。

インカ第13代皇帝アタワルパを処刑し、クスコを制圧したスペイン人たちは、このコルカンパタ宮殿を第15代皇帝マンコ・インカ・ユパンキに与えました。しかし自分がスペイン人の傀儡(かいらい:操り人形)に過ぎないことを悟ったマンコ・インカ・ユパンキは、クスコを奪還するためスペイン人に戦いを挑むも敗北、インカ帝国最後の都市、ビルカバンバへと後退します。

スペイン人たちは空き家となったこの宮殿を今度はパウリュ・インカに譲渡し、マンコ・インカ・ユパンキが存命していたにもかかわらず"インカ皇帝"の地位を授けました(そのため、インカ史のなかでは彼を第16代皇帝と認めていません)。

パウリュ・インカは1545年にカトリックの洗礼を受け、クリストバル(聖人クリストファーのスペイン語名)という洗礼名を与えられました。その翌年に建設されたのが、このサン・クリストバル教会です。スペイン人が義兄たちを次々と手にかける中、スペイン側に立つことで生き永らえたパウリュ・インカの評判はあまり芳しくありません。ただそれは彼の家族を子々孫々まで生かすための手段であったかもしれず、時代背景を鑑みれば、単なる裏切者とは言い切れないでしょう。

パウリュ・インカは1549年に亡くなるまでスペインの傀儡(かいらい)であり、"幻の皇帝"であり続けました。サン・クリストバル教会を訪れる際は、このエピソードをぜひ思い出してみてくださいね。

Iglesia de San Cristóbal/サン・クリストバル教会

住所:Resbalosa 525, Cusco
入場料:10ソレス(=約320円)
※Boleto del Circuito Religioso (宗教施設周遊券/30ソレス=約960円)でも入場可。

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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