【歴史散歩】大阪・天王寺七坂で往時を偲ぶ

大阪市には近代建築の建造物が多いと思いきや、当然のこと、大阪の陣に代表される江戸時代の歴史的建造物や景観も数多く残っています。『天王寺七坂』もそのひとつ。散策コースとしてスタンプラリーが設置されていますので、台紙(100円)を購入して、散策してみましょう。

目次

天王寺七坂

天王寺界隈の上町台地(うえまちだいち)の西側にある七つの坂を『天王寺七坂』といいます。それぞれに深い歴史を刻んだ坂道、たくさんの寺院や石碑をみながら散策して下さい。夕方は日想観の夕陽。おみのがしなく!【スタンプラリー台紙より引用】

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北側より、①生玉真言坂(いくたましんごんざか)、②源聖寺坂(げんしょうじざか)、③口縄坂(くちなわざか)、④愛染坂(あいぜんざか)、⑤清水坂(きよみずざか)、⑥天神坂(てんじんざか)、⑦逢坂(おうさか)と7つの坂があります。いずれも長さは100〜200m程度の短い坂です。一部、階段もありますが、石畳(⑦逢坂はアスファルトの道路)の緩やかな坂となります。①生玉真言坂、⑥天神坂、⑦逢坂は車両が通行できますが、それ以外は歩行者専用の坂です。

天王寺七坂ご利益いっぱい歴史も満載スタンプラリー

天王寺七坂には、てんのうじ観光ボランティアガイド協議会が『天王寺七坂ご利益いっぱい歴史も満載スタンプラリー』を発行して散策を推奨しています。発行日は平成24年(2012年)4月となっていますので、8年前から始まった企画です。スタンプラリー参加には専用の台紙を購入しましょう。台紙台は1枚100円です。

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各社寺(④愛染堂は除く)と天王寺区民センターで台紙を販売しています。

スタンプは、①生玉真言坂は生國魂神社の本殿右側に、②源聖寺坂は齢延寺の庫裏入口、銀山寺の庫裏入口、金台寺の観音堂前に、③口縄坂は太平寺の納経所、さんご寺の山門、称名寺の本堂玄関に、④愛染坂は愛染堂の多宝塔前に、⑤清水坂は清水寺の納経所に、⑥天神坂は安居神社の社務所に、⑦逢坂は一心寺の山門下茶所に設置されています。

設置時間は9時から16時までです。

源聖寺坂の4ヶ寺、口縄坂の3ヶ寺のスタンプは同じ図柄になります。スタンプはどこから回っても構わないそうです。

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①生玉真言坂(いくたましんごんざか)

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『生國魂神社の神宮寺であった法案寺をはじめとする生玉十坊が、明治の廃仏毀釈まで神社周辺で栄えていた。うち、神社の北側には医王院・観音院・桜本院・新蔵院・遍照院・曼陀羅院の六坊があった。すべて真言宗であったので、この坂は真言坂とよばれた。』

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生玉真言坂の上部から見下ろしました。この坂は、周囲はアスファルトの道路ですが、ここは石畳に整備されています。車も通行できます。

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生玉真言坂の下部から見上げました。

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生國魂神社(いくたまじんじゃ

生國魂神社では1月に60年に一度しかいただけない限定の御朱印をいただけます。

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★生國魂神社に関する記事はコチラ:

①生國魂神社の干支朱印は60年に一度の貴重な御朱印

②生國魂神社の平成31年度の御朱印

②源聖寺坂(げんしょうじざか)

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『この坂は登り口に源聖寺があるので、その名をとっている。付近一帯は、寺町として長い歴史を持つ。齢延寺には、幕末に泊園書院を興して活躍した藤沢東畡、同南岳父子の墓があり、銀山寺には、近松門左衛門の「心中宵庚申」に出てくるお千代、半兵衛の比翼塚が建てられている。』

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源聖寺坂を上部から見下ろしました。途中右にカーブしています。石畳に整備されていて、車は通行できません。

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源聖寺坂は途中から右にカーブしていて、一部階段になっています。

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源聖寺坂を下部から見上げました。

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浄國寺(じょうこくじ)

浄國寺には、坂田藤十郎の「夕霧名残の正月」や近松の「夕霧阿波鳴渡(ゆうぎりあわのなると)」などで有名な遊女・夕霧の墓があります。

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銀山寺(ぎんざんじ)

銀山寺には、近松の名作「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」にも描かれたお千代・半兵衛の比翼塚があります。

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③口縄坂(くちなわざか)

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『坂の下から眺めると、道の起伏がくちなわ(蛇)に似ているところから、この名が付けられたという。付近の浄春寺には暦学者・麻田剛立、画家・田能村竹田、春陽軒には国学者・尾崎雅嘉、大平寺には医家・北山寿安ら、江戸時代に活躍した先人の墓がある。また、梅旧院には芭蕉の供養碑もみられる。』

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口縄坂を上部から見下ろしました。石畳に整備されていて、下り始めるとすぐに階段になっています。車は通行できません。

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口縄坂を下部から見上げました。

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太平寺(たいへいじ)

太平寺は、十三歳になった少年・少女が福徳・知恵を授かる「十三まいり」が有名です。

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青蓮寺(せいれんじ)

青蓮寺は、江戸時代の浄瑠璃作者で興行師の竹田出雲の墓があります。

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光傳寺(こうでんじ)

光傳寺には、江戸時代中期に活躍した狂歌作者・鯛屋貞柳(たいやていりゅう)の墓があります。

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④愛染坂(あいぜんざか)

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『その名のとおり、坂の下り口にある愛染堂勝鬘院から名付けられた。愛染さんの夏祭り(6月30日)は大阪夏祭りの先駆けとして知られ、境内の多宝塔は市内最古(文禄3年)の建造物で、重要文化財と指定されている。大江神社には「夕陽岡」の碑があり、このあたりからの夕焼けは今も美しい。』

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愛染坂を上部から見下ろしました。なだらかな石畳の坂で、車は通行できません。坂の上部の北側(右側)には大江神社があります。

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愛染坂の上部から。

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愛染坂の下部から見上げました。

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愛染堂勝鬘院(あいぜんどうしょうまんいん)

「愛染さん」と親しみを込めて呼ばれる愛染堂勝鬘院は、大阪で一番早い夏祭りの「愛染まつり」が有名です。

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大江神社(おおえじんじゃ)

大江神社は、熊野九十九王子のうち、上野王子が合祀されています。

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境内には芭蕉歌碑があります。

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百歳(ももとせ)の階段は101段あります。

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円成院(えんじょういん)

円成院には、人形浄瑠璃の文楽座座元で文楽中興の祖・植村文楽軒の墓があります。

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⑤清水坂(きよみずざか)

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『新清水清光院に登る坂道をいう。高台にある新清水寺境内からの眺望は格別で、さらに境内南側のがけから流れ出る玉出の滝は、大阪唯一の滝として知られている。また、この付近一帯は昔から名泉どころとして知られ、増井、逢坂、玉出、安居、土佐、金滝、亀井の清水は七名泉と呼ばれている。』

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清水坂の上部から見下ろしました。石畳のなだらかな坂で、車は通行できません。坂の上部の南側(左側)には清水寺があります。

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清水坂を下部から見上げました。

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増井の清水(ますいのしみず)

清水坂の周囲には天王寺七名水「増井の清水」の碑があります。上町台地の井戸は深くて良質な水がこんこんと湧き出ているそうです。

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⑥天神坂(てんじんざか)

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『安居天神へ通ずる坂道なので、このように呼ばれている。この神社境内は大坂夏の陣に真田幸村が戦死したところで、本殿わきに「真田幸村戦死跡之碑」がある。また、同境内すぐ下には七名泉の一つ、安居の清水があり、「かんしづめの井」(癇静め)とも呼ばれよく知られている。』

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天神坂を上部から見下ろしました。石畳に整備されていて、車も通行できます。

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天神坂の中間地点あたりです。

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天神坂を下部から見上げました。

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安居神社(やすいじんじゃ)

安居神社は、真田幸村戦士の地です。

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境内には、菅原道真が飲んだと伝わる「かんしずめの井」があります。

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★安居神社に関する記事はコチラ:https://tabicoffret.com/article/74278/

⑦逢坂(おうさか)

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『天王寺区松屋町筋終点、いわゆる合法ヶ辻から東へ上って四天王寺西門に至る坂である。逢坂は逢坂の関になぞらえてよんだものとも、他説では聖徳太子と物部守屋の二人が信じる方法を比べ合せたといわれた「合法四会」に近いことにより合坂と名づけられたなどの諸説がある。』

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逢坂の上部から見下ろしました。逢坂は国道25号線。アスファルトの道路でもちろん車も通行できます。

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逢坂の中間地点あたりです。大阪のシンボル・通天閣が見えます。

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逢坂の説明看板と石碑です。

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逢坂の中間地点。右手は一心寺(いっしんじ)です。

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逢坂の下部から見上げました。

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一心寺(いっしんじ)

一心寺は浄土宗の寺院で、納骨された遺骨で造立される「お骨佛の寺」として有名です。また、山門の仁王像には特徴があります。

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堀越神社(ほりこしじんじゃ)

堀越神社には、熊野九十九王子のうち熊野第一王子之宮の祠があります。DSC04556.jpeg

天王寺七坂を散策してみての感想

7つの坂と周辺の寺社をめぐっても3時間程度で周遊することができますので、散策にはもってこいの場所です。ただもっと寺社や人物の勉強をしておくべきだったと後悔しています。散策の際は、動きやすい服装、歩きやすい靴にて。特に夏場は熱中症対策をお忘れなく。

★七坂を巡ると「完歩証」をいただけます。

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※当記事は、2018年から2020年にかけて散策したものです。

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中尾勝

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