【2019年版】ヴェネチア・ビエンナーレを日帰りで楽しんできました!

2年に一度のアートの祭典、ヴェネチア・ビエンナーレ。2017年に初めて体験しとても感動した筆者は「決めた!絶対に次回も来る!」と心に誓ったのでした。そしてあっという間に2年が過ぎ、今年(執筆当時)もヴェネチア・ビエンナーレが開幕しました。

今回は張り切って開幕4日目に行ってきたのですが、5月頃のヴェネチアは通常だと考えられないほどの寒さに見舞われました。秋まで開催されていることを考えると、ちょっと勇み足過ぎたな、と思っているところです。

さて、ヴェネチア・ビエンナーレを数日かけて堪能できる予定の方はもちろん、スケジュールに余裕はないけれども行ってみたい!という方の参考になるよう、実際に日帰りで楽しんできたレポートをお届けしたいと思います。

2017年の様子は、関連記事をご覧ください。

目次

1. ヴェネチアに滞在するのは色々と大変

街全体がコンパクトな規模のフィレンツェ、交通網が発達しているミラノやローマなどと比べヴェネチアは滞在するにあたり大変だな、と感じる特殊な街です。

旅情が掻き立てられるような素晴らしい風景も楽しめますが、移動は基本的には水上バス、水上タクシー。しかし、水上タクシーはとても高価で、目的地にたどり着くまでの移動がやや大変なのです。迷路のように入り組んだ細い路地は、グルグル回っているとどこも同じように見えてくることも......。

水路沿いの目的地なら、地図アプリなどを確認すれば多少は分かりやすいものの、少し内陸へ入ってしまうと迷ってしまう可能性もあります。もちろん、主要な観光地は水上バスで行けるのですが、土地勘を掴みやすい人でないと最初は迷ってしまうかもしれません。

ヴェネチアはホテルが高い!

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絵画の世界に入り込んだような風景を楽しめるヴェネチアは、ハネムーンやメモリアル旅行の行き先としても人気の観光都市。そのため、他の都市と比べてみるとホテルの料金は割高に感じられます。驚くような価格のホテルもありますし、一方でリーズナブルなホテルは水回りが残念ということも。

またビエンナーレの開催期間であり、さらに夏休みの時期と重なれば、ホテルの相場はますます高騰します。そこでオススメなのが、近隣都市を滞在拠点にして日帰りでヴェネチアに行く方法です。

2. ミラノを拠点にしてヴェネチア・ビエンナーレに行こう!

費用を節約するアイデアとして、ミラノを滞在拠点に日帰りでヴェネチア・ビエンナーレに行く方法をご紹介したいと思います。

まず、ミラノ中央駅から朝6時過ぎの電車に乗れるエリアにホテルをとりましょう。だいたいミラノからヴェネチアまでは2時間半ぐらいなので、東京と名古屋を新幹線で移動するイメージでしょうか。8時半〜9時頃にヴェネチアへ到着すれば、丸一日ビエンナーレを楽しむ時間を確保できます。

高速列車はイタロを選んでもフレッチャロッサを選んでもOK。どちらの2等車でも十分座席の幅が広く、快適に移動できます。また、早く予約すれば2等車よりも1等車の方が安く割引されている場合もあるので、1等車に乗ってみたい!という方は早めの予約がオススメ。

ちなみに、電源はほぼ全席に付いています。移動中にスマートフォンやPCを充電したい方は、充電器とコンセントプラグを忘れないようにしましょう。

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3. ヴェネチア到着前後にしておきたいこと

ヴェネチア・ビエンナーレへ行くことを一番の目的にしており、かつ日帰りで楽しむのであれば、ヴェネチアへ来る前に一通り公式サイトで参加アーティストを確認し、お気に入りのアーティストや気になる展示をリストアップしておきましょう。

さて、ヴェネチア・サンタ・ルチア駅に到着したら、まずはビエンナーレの案内看板を探します。期間中であれば、駅を出たところですぐに見つけられるはずです。

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<こちらはビエンナーレのチケットとパンフレットです。>

看板を見たとき、前回もこの情報を元に動き回った記憶が甦りました。前回は8月に訪ね、猛暑を通り越して酷暑に感じられる暑さでしたが(※)今回は5月なのでちょうどいい季節のはず、と思っていました。しかし今年は異常気象だったらしく、ダウンやコートを着ている人がいるほどの寒さでした。

ベストシーズンを狙ったのですが、とんでもない結果にガッカリする私。今年は6月ぐらいならちょうど良かったのかもしれませんね。
※ライター註:ヴェネチアは北部ですが、照り返しがきつくて夏場はとても暑いのです。

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先ほどご紹介した看板には、参加アーティストの名前が書いてあります。私が今回見たいと思っていたアーティストの展示は「アルセナーレ(Arsenale)」というエリアに固まっているということが分かりました。

ヴェネチア・ビエンナーレは本島、ジャルディーニ、そしてこのアルセナーレ、と大きく分けて3つのエリアで展示が行われています。アルセナーレは造船所の跡地があり、工場が点在しているので本島とはまた違った雰囲気を味わえますよ。

このときは水上バスで「アルセナーレ」へ向かったのですが、思っていたよりも遠くてちょっと焦りました。

4. 今年の必見作品がいきなり登場

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こちらの写真は、2年前にも本島の方で運河から白い巨大な手がヌッと出ている作品で、多くの人を驚かせた「ロレンツォ・クイン(Lorenzo Quinn)」氏の新作です。手はそれぞれ違う形で結ばれており、「友情」「知恵」「信仰」「希望」「救い」「愛」を表現しているとのこと。大きなメッセージとしては「世界の団結と平和」がテーマになっています。

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作品はアルセナーレへ向かう水上バスの中からも見ることができますが、実はこちらの室内模型がアルセナーレの駅を降りてすぐの倉庫の中で展示されています。これは本作品よりも知られていないようなので、時間に余裕がある方はぜひ訪れてみてほしいスポットです。

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こちらが倉庫を外から見たところ。倉庫の外側にも作品が置いてあるので、すぐに発見できるはず。ロレンツォ・クイン氏の作品はインパクトが大きく、面白いので彫刻に興味がない方でも気軽な気持ちで楽しんで鑑賞できると思います。

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写真映えするスポットです。ああいった大型作品の模型を作る場合、私はもっと小さい縮尺で作るのかと勝手に想像していましたが、若干小さいぐらいでしょうか。他の作品模型も飾ってあり、とても得した気分になりました。

5. 集合展示は一度にたくさんの作品を観られる!

続いては、赤い看板に沿ってチケットセンターへ向かいます。入場料を払うタイプの展示は、多数のアーティストの作品を一度に鑑賞できるので、なるべくなら入場をオススメします。

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アメリカの彫刻家ジミー・ダーラム(Jimmie Durham)氏の作品。彼は詩人でもあり、エッセイストでもあります。ストーリー性を感じさせる作品の表情が印象的でした。

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ルーマニアのアーティストAndra Ursuta氏の作品。ニューヨークやロンドンでも個展を開催する女性アーティストです。

国別のパビリオンも鑑賞したい

集合展示は、国別のパビリオンもオススメ。ヨーロッパのみならず、アフリカ、アメリカ、アジアの国々の独立したスペースがあり、その中にさまざまなアーティストの作品が展示されています。

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こちらはガーナパビリオンにて。1950年-1960年頃に、ガーナで初のプロ女性写真家とされたフェリシア・アンサ・アバン(Felicia Ansah Abban)氏のセルフポートレートです。

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インドネシアパビリオンの様子。興味深いのは、その国のアーティストが必ずしも「(その国)っぽい」作風ではないということ。それぞれのアートに傾ける情熱を感じることができるはず。

6. 日本人アーティストも参加

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日本でも話題になった片山真里氏の作品が、ヴェネチア・ビエンナーレで観られるとは!来場者もじっくり観ている方が多く、人が集まっていた展示の一つでした。「カタチとは何か」「カラダとは何か」と訴えかけてくる力のある作品でした。

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電子音楽作曲家でアーティストでもある、池田亮司氏の作品も圧巻でした。巨大なスクリーンに音と映像が作る世界を表現。これは写真に撮影しても、良さが伝わりにくいのが残念です。海外にも熱烈なファンが多いという彼の作品に見入ってしまい、随分長い時間を過ごした気がします。

こちらはアルセナーレの企画展示ですが、日本パビリオンは「Cosmo-Eggs: 宇宙の卵」というテーマで展示され、下道基行氏、安野太郎氏、石倉敏明氏、能作文徳氏という異なるジャンルのスペシャリストが共同展示。

館内中央のソファに座ると、圧力によって野鳥の声に似た音が聞こえてくるというサプライズもあるので、日本パビリオンに行く方はぜひ試してみてください。

7. ヴェネチア・ビエンナーレは無料展示も充実

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先ほど紹介したロレンツォ・クインの倉庫や屋外展示は無料で鑑賞可能。この他にも無料鑑賞できるスポットは多数あります。

極端な話、本島を水上バスで巡っているだけでもアート作品を見られるのが、ビエンナーレ開催期間のヴェネチアが持つ魅力。チケットの有無は大体入口のところで確認できるので、気軽に聞いてみましょう。

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無料展示の中で印象的だったのが、「ダンテの神曲」から地獄篇を新たに解釈した、ロシアのアーティストVasily Klyukin氏の展示。こちらはアルセナーレへ入ったすぐのところにあり、とても充実していました。

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現代アーティストらしく、体験型、シェア型のアートスポットも用意されていて、早速写真投稿サイトに投稿している来場者もいるようです。

8. ️ランチはここで!通し営業のトラットリア

今回は日帰りでヴェネチア・ビエンナーレを鑑賞する、という幾分ハードなスケジュールを組んだため、一通り目的の作品を鑑賞し終えたのはお昼の2時過ぎでした。ランチをとるには少し遅めの時間です。

カフェやバルに行けば通し営業のお店もあるし、駅でも美味しいサンドイッチが買えることは知っていたのですが、せっかくヴェネチアまで来たのだから海の幸が食べたい!という気持ちも。とは言え、入り組んだ場所のお店に行って、帰りの電車に間に合わないのもなぁ......と考えながら訪ねたお店が「Taverna Scalinetto」です。

Taverna Scalinettoでオススメ料理をいただく

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いい雰囲気です。船の中にいるような、そんな気分にさせられます。たくさん歩き回ったので急にお腹がすいてきました。スタッフのお兄さんにオススメを聞いてみたら「スパゲティ・ブッサラスタイル」というものを薦めてもらいました。

「それ、何?」と聞いてみたらトマトと海老に白ワインで香りをつけたパスタとのこと。聞いただけですでに美味しそう。それとは別に、私はヴェネチアに来た時、定番のお楽しみにしている「前菜の盛合せ」もオーダー。ヴェネチアで採れる海鮮の美味しさが詰まった一品です。お店や季節によって、色々組み合わせが違うのもまた魅力的。

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見た目で圧倒されるほどのボリュームですが、意外とペロリと食べられるんですよ。もちろん2〜3人でシェアするのもいいですが、独り占めするのもまた楽しい。シンプルな味付けにレモンがいい仕事をします。

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こちらがオススメされたスパゲティ・ブッサラ(ブーザラ)スタイルです。トマトと若干のクリーム、白ワインに海老。海老ミソからも美味しい出汁が出ています。パスタの茹で具合も非常に好みでした。

イタリアのパスタは、日本で食べるものよりもかなり硬めの茹で具合だと感じているのですが、このギリギリを攻めた感じのアルデンテが癖になる美味しさ。パスタの硬さは好みもありますが、いくつか現地の美味しいお店で食べ歩いて、体感していただきたいポイントです。

基本情報

タベルナ スカリネット(Taverna Scalinetto)

【関連記事】

まとめ

ヴェネチア・ビエンナーレは世界最大級とも言われるアートの祭典。ですが、観光客も地元の人も、アートに詳しい人もそうでない人も隔てなく気軽に楽しむことができます。この期間中(2019年は5月11日から11月24日まで)にイタリアへ行く予定がある方は、ヴェネチアに寄るプランを立ててみてはいかがでしょうか。

どこから観ていいか分からない、という方も集合展示や国別パビリオンを周回してみると自分がどんなタイプのアートが好きなのか、だんだん分かってきて面白いですよ。次の開催は2021年となりますので、今すぐには難しいという方も、アートを楽しむヴェネチア旅行を計画されてはいかがでしょうか。

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yukaco

17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。

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