上海市内からアクセス良好!誰でも入れる歴史的建造物が集まった大学キャンパスをご紹介!

こんにちは、上海は秋の観光シーズンに入りました。今回は上海の市内エリアにありながらも、都会の喧騒から離れられ、かつ歴史を存分に感じられる学キャンパスをご紹介します。こちらの大学キャンパス、本当にキャンパス丸ごと歴史的建造物ばかり。あの上海随一の観光スポットである外灘に次ぐ規模で歴史的建造物が集まる場所としても知られています。

目次

上海市内エリアにある華東政法大学

今回ご紹介する大学は「華東政法大学」。その名の通り、政治や法律分野で有名な大学です。上海在住日本人も多く住む「中山公園エリア」にあり、上海市内中心部に位置します。華東政法大学は中山公園の裏門の対面に校門があり、中山公園と組み合わせて散策コースにすることもできます。

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こちらが華東政法大学の校門。えっ、本当にこの中に歴史的建造物があるの?と思ってしまうような無機質ささえ感じる門ですが...ご安心くださいね!門にはガードマンがいますが、平日週末関係なく、大学部外者でも、家族連れでも全く問題なくキャンパスに入ることができます。華東政法大学に限らず、中国の大学キャンパスは広く市民に開放されているオープンな場所です。

華東政法大学の歴史

キャンパス内の建物を詳しく紹介する前に、華東政法大学の歴史をおさらいします。華東政法大学の前身は1879年。アメリカ系のキリスト教団体・米国聖公会が創設した高等教育機関「聖約翰(聖ヨハネ)書院」が始まり。これは中国初の高等教育機関といわれています。

1905年に「聖約翰大学(英名:Saint John's University、以下聖ヨハネ大学と記載)」として大学に昇格。中国初のアメリカの教会が設立したミッション大学となりました。開校時は政治法律のみならず、医学や化学、神学部もある総合大学でした。

聖ヨハネ大学は、これも中国初となる全講義が英語で行われる大学でした。学費も高額で名家の子弟がこぞって通いました。アメリカの正規の大学として登録され、卒業生は直接アメリカの大学院へ進学もできました。しかし政局が変わり、1950年、教会からの脱退を宣言し無宗教の大学に。1952年に行われた大学再編により各学部は他大学に吸収され、聖ヨハネ大学としての歴史は終了します。

政治や法律学部は「華東政法学院」として残り、1979年には聖ヨハネ大学時代のキャンパスを利用しての講義が再開。2007年には「華東政法大学」として大学に昇格しました。華東政法大学は中国では法学部の有名校として知られ、法学系では全国5位のエリート校です。

キャンパス内に現存する歴史的建物の数々は聖ヨハネ大学時代に建てられた建築です。1895~1939年の期間に建てられました。建物の特徴としては中国様式と欧米様式をミックスした中洋折衷様式と言われる建築様式が特徴です。それらの建物が今なお大学の現役の施設として使われています。

それではキャンパス内を散策していきましょう。正門を入り、真っすぐ街路樹が茂るメイン道路を歩いていきます。

同仁楼

すると右手に見えるのがこの青レンガの建物。歴史が感じられるたたずまいですね。「同仁楼」という看板が見えます。こちらは聖ヨハネ大学時代にあった医学部の附属病院でした。1896年築。上海にお住まいの方は「同仁」と「医学部」のキーワードにピンと来るかもしれません。今も上海には「同仁病院」という有名病院がありますが、その起源はこの同仁楼にあります。

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こちらは現在女子学生寮として使われています。中国の大学生は全員キャンパス内の寮で生活します。

交誼楼

同仁楼の向かいにある建物が交誼楼です。

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1919年築。中国の伝統的な宮殿風の建築です。赤い柱とその周りの装飾が印象的で、門のアーチには縁起の良い雲の模様が彫られています。聖ヨハネ大学創設40周年を記念して建てられた建物で、今も昔も講堂として、大きな会議やシンポジウムが開かれる際に使われています。

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内部は洋式の作り。改装が入っていますが、昔の面影も感じるレトロな雰囲気になっています。

牌楼

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続いてあるのは「牌楼(ぱいろう)」と呼ばれる、中国では重要な場所や名勝地に建てられる装飾や屋根がついたアーチ。アメリカのミッション系大学、中洋折衷の建築様式の空間の中で独特な存在感を示しています。

こちらは聖ヨハネ大学創設50周年を記念し、地域の商人たちが建てたものです。1950年代に破壊されるも、1992年に大学同窓会の手によって修復され元の場所に置かれました。牌楼の上部の部分は壊されましたが、4本の脚の部分は建立当時のものだそうです。

格致楼

こちらの建物はかつては「科学館」と呼ばれていました。1899年築。

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主に理系学部である化学、物理、医学の教育施設として使われ、建物内には実験室、医学講義室、博物館等があったそうです。現在の呼称「格致楼」は「格物致知(かくぶつちち):事物の道理をきわめ、理性的な知識として把握する」という言葉から名づけられました。

格致楼は建立以来、改築や修築が繰り返されるなどして建設当初とは異なる部分がありましたが、2017年に上海市の支援を受け修復工事が行われ、建設当時の姿に復元されました。近年新しく制定された文物保護法に基づく修復工事ですが、これは華東政法大学キャンパス内歴史的建築物の適用初ケースとなり、注目を集めました。

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青レンガ造りの壁にところどころ赤レンガが使われ、端正な美しさを感じる建物です。

思孟堂

思孟堂は1909年築。思孟堂は聖ヨハネ大学で哲学を教えていた、アメリカ人の孟嘉徳(Arthur Maanの中国語名)牧師とゆかりがある建物です。1907年、孟嘉徳牧師は溺れた中国人の救助に向かうも、滝に落ち亡くなりました。孟嘉徳牧師の勇気を讃え、追悼の為に思孟堂が建造されました。現在学生寮として使われています。

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思孟堂の一角には建設当時のままの石碑が残されています。このような石碑が上海の歴史的建造物にそのまま残されていることは大変珍しく、一見の価値があります。中央部の円形マークには「SHANGHAI St. JOHNS UNIVERSITY」と校訓の「LIGHT & TRUTH(真実と光)」の文字が読めます。

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韜奮楼

大学のシンボル的存在の建物。1895年築です。かつての名前は「懐施堂」と呼ばれ、聖約翰書院を創設したアメリカ人宣教師・施約瑟(ジョーゼフ・スケレシュースキーの中国語名)を記念して建設されました。1951年、同校卒業生で教育者・ジャーナリストである鄒韜奮(すう とうふん)を記念する建物として呼称が変更されました。これまで紹介した格致楼や思孟堂同様、青レンガにポイントで赤レンガを使用した建物です。今も昔も講義棟として使用されています。

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大きな時計塔は今も授業開始と終了を告げるチャイムが鳴ります。この大時計はアメリカ製。設置当時は学内の学生のみならず、周辺に生活する住民への時報を知らせる役割を担っていたそうです。

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思顔堂

1904年築、聖ヨハネ大学創設時に寄付を募るなど多大な貢献をした中国人・顔永京牧師を記念した建物です。建設当時は建物半分を学生寮、半分を大講義室として使用していました。キャンパス内の建築の多くは外国人を記念した建物が多いのですが、思顔堂は中国人を記念した数少ない建物として知られています。1913年の卒業式の式典の際、この建物の大講義室で、孫文が演説したことでも有名です。

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階段は朱塗りの木造。建物の外観とのギャップを感じますね。こうした中華風と洋風の建築様式のミックスが面白いです。

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東風楼

こちらはこれまで紹介した建築の中で最も新しい1924年築。元の名前は「西門楼」といいました。1881年、この場所に上海初の女子校となる「聖マリア女子高」が開校しました。その後、1923年に「聖マリア女子高」は移転、校舎を建て替えて建てられたのが「西門楼」です。

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聖マリア女子高の移転先はこのキャンパスから遠くありません。最近、聖マリア女子高の旧建築を保存しつつ、大型商業施設として一帯が開発&リノベーションされ、2017年に「長寧区来福士広場」として開業しました(下写真)。おしゃれなカフェがあり、飲食店も充実していますので一緒に足を運んでみてもいいかもしれません。

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紅楼図書館

1916年築。キャンパス内には他に新館の図書館もありますが、歴史が古い旧図書館建物も現役で使われています。

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図書館にはかつてアメリカや教会から寄贈された多くの英文蔵書が納められ、英語のみならず世界各国の法律文献もあり、現在に至るまで中国東エリア最大の法律文献を揃えています。

六三楼

元々の名前は斐爵楼。上海教区司教であり、神学科主任教授でもあった郭斐爵の寄付により建てられ、その名が冠されていました。1925年6月3日、反帝国主義運動への反発が社会的に高まる情勢下、学生運動を禁じる大学に対し、学生と教職員らが集まり抗議活動展開をしました。依然として変わらない大学の態度に失望した学生と教職員らは大学を去り、別の大学を設立。戦後、この出来事を記念し、この建物は六三楼と改名されました。

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行政楼

1898年築。建物全面の朱塗りの中華文様が施された窓枠と大きな車寄せが特徴的です。全面の中華風の装飾以外はイギリス式の建物となっており、こちらも中国建築様式と洋風建築様式のミックスとなっています。建物の屋根の反りは上海エリアの建築様式とは異なり、屋根がトタンであることも中国式とはまた異なっています。校長の住宅であったことから校長楼とも呼ばれました。「行政」とは中国語で総務などの管理部門を指します。

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番外編:広大なイギリス式庭園

行政楼前には広大な芝生と多くの樹木が植えられた庭園が広がっています。こちらも自由に入ることができます。

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普段から学生が芝生に座ったり寝転んだり、週末には家族連れがテントを広げてゆっくり過ごしていたりも。まさに都会のオアシス的な存在。建築を見た後の休憩にもってこいです。ゆったりと静かに流れる時間に身を置きましょう。

大学キャンパスで現役で使われている建築の為、気軽に入れ、体感できる歴史的建築群。建築鑑賞を楽しむだけでなく、通常の観光では身近に感じることがない、中国の学生のキャンパスライフもうかがい知ることができます。ぜひ足をお運びください。

華東政法大学(長寧キャンパス)アクセス

  • 住所:上海市長寧区万航渡路1575号
  • 電話:021-62071888
  • 営業時間:通年開放
  • アクセス:地下鉄11号線 隆徳路駅5番出口より徒歩14分

長寧来福士広場(聖マリア女子校跡)アクセス

  • 住所:上海市長寧区長寧路1139号
  • 電話:021-62639999
  • 営業時間:ショッピングモール開業時間外に旧跡を外観から見学することは可能
  • アクセス:地下鉄3号線 中山公園駅2番出口より徒歩2分
    (他に地下鉄2・4号線も中山公園駅を通っています)

※中山公園の裏手にあることから、地下鉄3号線中山公園駅→長寧来福士広場→中山公園と組み合わせて散策するのもおすすめです。

中山公園アクセス

  • 住所:上海市長寧区長寧路780号
  • 営業時間:24時間

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