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【後編】スペイン南部の人気観光地アンダルシア地方ってどんなところ?
青い空にまぶしい太陽、フラメンコ、闘牛、白い小さな町、ひまわり、バルに集う陽気な人々、そして黒髪黒目のスペイン美人。私たち日本人がイメージするスペインがあるのがアンダルシア地方です。そのスペインらしさは世界中の人を魅了しています。
前回に続き、今回はアンダルシア地方のお話です。全8県のうち、残りの4県をご紹介いたします。
>>「【前編】スペイン南部の人気観光地アンダルシア地方ってどんなところ?」はこちらから
目次
イスラムとキリスト教の芸術が融合したメスキータ
ローマ時代は属州の首都として、イスラム時代の10世紀には世界きっての学問の都として栄えたコルドバ。旧ユダヤ人街を歩くと、異文化の香りが漂ってきます。
必見すべきは通称メスキータ(スペイン語でイスラム寺院の意味)と呼ばれる大聖堂。13世紀にキリスト教徒軍がコルドバを奪回しましたが、大きなイスラム寺院を破壊することなく、そこに改修を加えてキリスト教寺院として使い始めたのです。
そのお陰で、2つの異なる文化が融合した唯一無二の空間が残り、私たちの目を楽しませてくれています。幻想的な堂内には大理石と赤レンガを交互に使い縞模様のようになったアーチが無数に広がり、また奥にはメッカの方向を示すすばらしいミフラーブが。時間をかけてゆっくり見学したいスポットです。
<グアダルキビール川の向こうから見たメスキータ>
メスキータのまわりは旧ユダヤ人街。低層で白壁の家々が立ち並び、細い迷路のような道が入り組んでいます。狭い地区ゆえ迷子にはならないので、気の赴くままに散策してみましょう。
外壁に鉢植えの花を飾ったり花であふれるパティオ(中庭)を有する家も多く、毎年5月にはパティオ祭りが開かれます。手入れの行き届きたパティオが美しさを競い、この期間だけ公開する個人宅のパティオも多々。花咲く春はコルドバを訪れるベストシーズンです。
なお、コルドバ歴史地区はスペインで最初に登録された世界遺産です。昨年には新たにコルドバ市内から9kmほど離れたイスラム遺跡のメディア・アサアラも世界遺産の仲間入りを果たしました。
<春は町角の鮮やかな花が目を楽しませてくれる>
イスラム王朝の残り香がする魅惑のグラナダ
イベリア半島最後のイスラム王朝・ナスル朝グラナダ王国があったグラナダは、約780年に渡りイスラムの支配下にありました。そのためかスペインでもっとも異国情緒が漂うエキゾチックな都市です。
見どころは、スペインではサグラダファミリアと並ぶ人気スポットのアルハンブラ宮殿。13世紀に建てられたイスラム芸術の贅を尽くした宮殿です。ナスル宮に足を踏み入れると、もう流れる空気が変わり、まるで別世界に迷い込んだような錯覚にとらわれます。
アルハンブラの広大な敷地内にはナスル宮のほか、夏の離宮だったヘネラリフェ、9世紀に建てられた要塞アルカサバ、16世紀のカルロス5世宮殿、パルタル庭園が点在するので、すべて見学するには最低4時間はみておきましょう。当日券の入手はかなり困難。前売り券の購入を強くおすすめします。
<アルハンブラから見る向かいの丘のアルバイシン地区>
アルハンブラ宮殿の向かいの丘にあるアルバイシン地区はグラナダでもっとも古い町です。ここにあるサン・ニコラス展望台から眺めるアルハンブラ宮殿の全景は必見! アルハンブラとヘネラリフェ、アルバイシンは世界遺産に登録されています。また、グラナダはバルのはしごが楽しいので、ぜひ何軒かまわってみてください。たいていどこでも飲み物1杯につき無料のタパが提供されますよ。
<サン・ニコラス展望台から望むアルハンブラ。その後ろはシエラ・ネバダ山脈>
ハエンは世界一のオリーブ産地
アンダルシアの中では比較的目立たない地味な印象のハエン県ですが、ウベダとバエサの町のルネッサンス様式の記念碑的建造物群はユネスコの世界遺産。どちらもこじんまりした小さな町ながら歴史を感じます。2つの町は8~9kmしか離れておらず、バスも出ているので、どちらかの町に泊まってゆっくり観光することをおすすめします。パラドールや昔のお屋敷を改装したホテルもあり、宿選びから楽しい。
<歴史を感じさせるウベダの一角>
また、ハエンは世界きってのオリーブの産地として知られており、世界のオリーブオイル生産量の20%を占めると言われています。町を出るとどこまでもオリーブ、オリーブ、オリーブ。この景観は"オリーブの海"と呼ばれていますが、起伏のある土地なので、田舎を車で走ると本当にオリーブの海を泳いでいる感覚がするんですよ。
アンダルシアのオリーブの海は、現在文化的景観として世界遺産登録を目指しています。ハエンには世界の名だたるコンクールで受賞するオリーブオイルがいくつもあるので、ぜひともお土産に買いたいですね。
<ウベダの町のすぐ外はもうオリーブ畑>
西部劇の一大ロケ地だったアルメリア
最後は東端のアルメリア県。西端にあるウエルバ県同様に存在感に欠ける地味な県です(苦笑)。有名な観光スポットはありませんが、地中海に面した美しいビーチが多く気候もきわめて穏やかなためスペインだけではなく北ヨーロッパからも多くの人々が訪れます。
また内陸にはヨーロッパで唯一の砂漠があるのですが、このタベルナス砂漠の景観は西部劇の舞台にそっくり。実は、マカロニウエスタンと呼ばれるイタリア制作の西部劇のロケ地に使われていたんです。「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」といった西部劇の名作のほか、「アラビアのロレンス」もここで撮影されたそうです。撮影に使用されていた映画村は現在テーマパークになっていますので、西部劇ファンの方はぜひ足を伸ばしてみてください。
>>オアシス ミニハリウッド テーマ パーク公式サイトはこちら
いかがでしたでしょうか? 前編と後編でアンダルシア8県を簡単にご紹介しましたが、行きたいところはありましたか? 個人的に、スペインで一番好きなのがアンダルシアです。皆さまにもぜひその魅力に触れていただきたいと思います。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。