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伝統的な朝ごはんを食べて 世界中を旅できるカフェ「ワールド・ブレックファスト・オールデイ(WORLD BREAKFAST ALLDAY)」
<ドイツの朝ごはん。そばには食を中心にドイツの文化を紹介する店オリジナルのリーフレットが置かれている>
メインの食事メニューは朝ごはんのプレートのみというユニークなカフェが外苑前と原宿にあります。2013年5月にキラー通り沿いでオープンして以来、2ヶ月ごとに異なる国の朝ごはんを提供。現在までに35カ国ほどの伝統的なメニューを紹介してきました。なぜ、朝ごはんなのか、理由を伺いつつ、本場の味そのものの、おいしいプレートをいただきました。
目次
人気の原宿にありながら、心安らぐ裏通りに立地
<原宿店の外観。ログマークのデザインと、淡い色使いの外壁は外国の街角にある店のように洗練されている>
「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」は世界各国の朝ごはんを一日中食べることができるカフェ。2018年にオープンした原宿店は賑やかな明治通りとキャットストリートに挟まれた道沿いに立地しています。商業地ですが、瓦屋根の民家も点在し、どことなくのどかさも漂う地域です。その都会的な洗練と穏和な空気が同居する雰囲気は2013年5月に立ち上げた外苑前店のあるキラー通りに通じるように私には感じられました。創業者は建築家でもある木村 顕さん。日本の伝統建築・書院造の古家を改築した宿や、飲食店の設計を手がけてきた方です。店内で木村さんと向き合うなり、温かく美しい内装と什器に魅せられたのですが、瀟洒なロゴマーク、メニュー、リーフレット、ホームページのデザインまで外注せずに自身で行ったと聞き、多才ぶりに心底驚かされたのでした。
<木村さんが設計したテーブルと椅子、布を買って自作したランプシェードが温かみをもたらしている。14席の外苑前店に対して原宿店は42席。各国の料理教室を催す際、この広さが役立つとか。2ヶ月間で一度ほどふだんはお店で出さない料理なども食べ放題となり、メニュー作りに関わった大使館、政府観光局の人などと交流できるパーティを実施>
<通りに面したカウンター席もあるから、ひとりでも気軽に利用できる。自然光がたっぷりで気持ちいい>
<飛行機柄の布をランプシェードに仕立てた。SEIKOのビンテージ鳩時計『BIRDIE』。懐かしい感じが空間にマッチ>
<窓辺のオランダ木靴とヴィヴィットなミニチュア人形。華やかな色彩がインテリアのアクセントになっている>
朝ごはんのみにした理由
<ドイツの朝ごはんのメニュー。伝統的なドリンクやスイーツも楽しめ、未知の食文化を知り、味わえる>
お昼や夜の料理の方が種類豊富で、国ごとのいろいろ特徴的なメニューから選べて楽しそう、おもしろそうと想像した私は木村さんになぜ朝ごはんに限ったのか質問しました。
「朝ごはんは1種類に限られる国も多いし、あっても数種類を毎日のように食べています。家族で口にするものだから、そんなにお金をかけて華美を狙う必要もない。日本でいえばご飯と味噌汁。ずっと飽きない昔から食べているものや、手に入りやすい食材のものが朝の食卓には並ぶので、その国らしい食文化が凝縮されたメニューになると思います」朝ごはんはその国の奥深いところを知ることができるという着眼点に感心したあと、一般的なパックツアーの状況を思い起こしてみました。通常はホテルの宿泊にバイキング形式の朝食がつき、現地の市場や食堂に朝ごはんを食べに出かけるケースは少ないもの。外国を旅しても、その国の日常的な朝ごはんを案外、口にできていないのかもしれません。「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」はパックツアーで体験できないディープな食を楽しめる稀有な空間といえましょう。
<カトラリーは蜂のマークがかわいい、フランス、ジャン・デュボ社の『ライヨール』ヴィンテージシリーズを使用。素朴でベーシックな朝食メニューも、この美しいカトラリーでいただくと、華やかな心地になる>
<どこの国の朝ごはんを提供しているかわかるよう国旗を掲げる>
大使館や政府観光局などが本場の味を伝授
<南ドイツ、バイエルン州の典型的朝ごはん。白いソーセージ「ヴァイスヴルスト」に甘いマスタードをつけて、腕組みをしたようなかたちの「ブレーチェル」と一緒に食べる。生乳を乳酸菌発酵させて作るフレッシュチーズ「クワルク」やレンズ豆のサラダ、半熟卵とともにワンプレートで税別1,500円。2019年2月、3月はイランの朝ごはんを提供>
「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」では朝ごはんのメニューを考えるにあたり、各国の大使館や政府観光局の職員、またはその国の一般人から助言をもらいながら、本場の料理と味を再現しているそうです。メニューが決まったら、試食もしてもらい、ときには食材も変え、味つけを調えていくのだとか。つまり、毎朝の食卓に並ぶ本物の家庭料理をこのカフェで堪能できるというわけです。今回、2019年1月末まで提供するドイツの朝ごはんをいただきましたが、東京の外食にありがちな濃いめの味つけではなく、身体に優しい味わいで外国の家に招かれたような温かな気持ちになれました。また、フルーツのジュースや、フルーティな白ビール「ヴァイツェン」をバナナジュースで割ったもの、独特のクリームを用いたケーキなどドイツでは名物でも日本では知名度が低いものも用意されていますので、朝ごはんをメインに、さまざまな食文化の発見を楽しめると思います。ちなみに、限定の朝ごはんのほか、定番で用意している朝ごはんもあります。原宿店ではイギリス、アメリカ、メキシコ、タイ(10~3月限定)、ポーランド(10~3月限定)、外苑前店ではイギリス、台湾、スコットランド(10~3月限定)の朝ごはんも選べるそうですよ。
<テーブルに置かれるリーフレット。食を主に、異国文化の知識を得られる。2ヶ月間に3度ほど催す料理教室やパーティではメニュー考案に関わった人たちと交流し、直接料理の説明を受けることができる>
<訪問時は食をめぐる日常風景のポスターを店内に飾っていた。これはドイツのパンとソーセージ>
<ドイツのクリスマスに欠かせない「グリューワイン」のワインのかわりにブドウジュースで作った温かいジュース『キンダープンシュ』税抜600円>
<ドイツには日本で知られていないスイーツがたくさんある。これは『黒い森のケーキ』税抜550円。軽い食感の生クリームを多用し、キルシュ(さくらんぼのお酒)のきいたチョコレートケーキ。朝ごはんもスイーツも、ドリンクもドイツ大使館の料理長がメニューづくりに関わった>
<1月末まではドイツのビンテージ雑貨を店内で販売。BRAUNの時計やラジオなどマニアにはたまらない物が並ぶ。食べものだけでなく、各国のクラフト関連イベントが催されることもあるとか>
ワールド・ブレックファスト・オールデイ WORLD BREAKFAST ALLDAY
住所:外苑前店/東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F 原宿店/東京都渋谷区神宮前6-15-14-1F
電話:外苑前店/03-3401-0815 原宿店/03-3406-7008
営業時間:7:30~20:00(ラストオーダー19:30)
HP : https://www.world-breakfast-allday.com/
Facebook: https://www.facebook.com/worldbreakfastallday/
Instagram: https://www.instagram.com/world_breakfast_allday/
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ヤスヒロ・ワールド
- 東京佃島生まれ育ちの江戸っ子。旅行ガイドの編集者。
フェイクは苦手ですが、ケイク(ケーキ)は大好物。