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福島「大内宿」を散策! おすすめルートと「ねぎそば」などのグルメ情報をお届け!
会津若松市の南、人里離れた山間部に江戸時代から残り続ける貴重な宿場町「大内宿」。
江戸時代の面影を残すノスタルジックでどこか懐かしい景観、どこを切り取ってもフォトジェニックな茅葺き屋根の民家と、まるで江戸時代へ飛び込んでしまったかのような錯覚を覚えます。
大内宿はメディアで取り上げられることも多く、県内有数の人気観光スポットです。大内宿の見どころ、グルメなどをご紹介しながら、改めてその魅力に迫ります!
目次
- 1. 伝説とロマンの町・大内宿とは?
- 2. 大内宿散策ルート1:湯野上温泉駅の売店で準備&足湯でリラックス
- 3. 大内宿散策ルート2:大内宿観光協会でパンフレットをゲット
- 4. 大内宿散策ルート3:茅葺き屋根の家屋を巡ろう
- 5. 大内宿散策ルート4:囲炉裏・生活用具・農耕器具が展示される「町並み展示館【問屋本陣】」
- 6. 大内宿グルメ情報その1.「高遠ねぎ」を丸々1本使った・ねぎそば
- 7. 大内宿グルメ情報その2.地産の栃の実を使った・栃餅
- 8. 大内宿グルメ情報その3.昔ながらのあま酒
- 9. 大内宿お土産情報・民芸品や地酒
- 10. 大内宿へのアクセス
1. 伝説とロマンの町・大内宿とは?
平清盛全盛期の治承4年(1180年)、反・平氏を掲げ挙兵した「高倉以仁王(たかくらもちひとおう)」(後白河天皇の第二子)が、戦いに敗れこの村に落ちのび、身を隠していたという言い伝えがあります。それまで「山本村」と呼ばれていたものを「大内村」と改めさせたのが「大内」の由来とされ、世代を越えて今もなお語り継がれています。
江戸時代に入ると、大内宿は会津若松と日光を結ぶ会津西街道の要所として整備され、宿屋や問屋が軒をつらねる宿場町として栄えていきます。
明治以降の近代化の波にのまれなかったこともあり、昔ながらの街並みを今に残しており、昭和56年には国の重要伝統建造物群保存地区に認定。「売らない・貸さない・壊さない」の3原則を守り、景観の維持や茅葺き屋根の技術習得・継承に取り組んでいるそうです。
2018年現在も40軒ほどの茅葺き屋根の宿や食事処、みやげ物屋などの民家が建ち並び、旅人を迎えてくれます。
2. 大内宿散策ルート1:湯野上温泉駅の売店で準備&足湯でリラックス
会津若松より会津鉄道で約35分。大内宿の玄関口とも言える「湯野上温泉駅」から旅を始めましょう。
湯野上温泉駅は東北の駅百選にも選ばれた茅葺き屋根の美しい駅舎で、有人の間は待合室のいろりに火が灯ることも。
大内宿を含め、道中にはコンビニやスーパーなども無いため、駅の売店で必要なものを揃えておくと良いでしょう。
駅を出てすぐ右手には無料の足湯「親子地蔵の湯」も併設されていて、旅人の心と体を癒してくれます。湯温は42〜43℃と少し熱めなので15分も入れば体中がポカポカ。
湯野上温泉駅から大内宿入り口まで片道約6kmあり、徒歩では60分ほどかかります。バスによるアクセスはあまり充実していないため、駅前から発着しているタクシーで向かうことをおすすめします。
3. 大内宿散策ルート2:大内宿観光協会でパンフレットをゲット
宿場町入り口に到着したら、まずは大内宿観光協会(事務所)へ立ち寄っておきましょう。こちらではバリアフリートイレ、コインロッカーなどの設備の他、各お店の電話番号などが載ったパンフレットがもらえます。
奥まった場所にあるお店や少し分かりづらい看板もあり、パンフレットは散策のお供としてとても役に立ちます。なお、散策時に気をつけておきたいのが、定休日があっても臨時で休むお店、そもそも不定休のお店が多いこと。お目当がある場合は事前に電話確認をすると良いでしょう。観光協会が発行しているパンフレット、もしくはホームページ上にも電話番号の記載があります。
車は大内宿の中まで入れないため、観光協会隣接の駐車場に停めることになります。常時開放されていて、第1駐車場~第3駐車場、臨時駐車場は同じ入り口付近のエリアに固まっています。
大内宿観光協会(事務所)の基本情報
◼️住所:福島県南会津郡下郷町大内山本
◼️営業時間:特になし
◼️料金:入館無料
◼️駐車場:第1駐車場~第3駐車場、臨時駐車場あり。普通車400台、マイクロバス4台、大型バス10台駐車可。
宿場町 駐車料金は中型大型バス2,000円、マイクロバス1,000円、軽・普通車400円
◼️定休日:年中無休
◼️車でのアクセス:湯野上温泉駅より車で約15分
◼️HP:http://ouchi-juku.com
4. 大内宿散策ルート3:茅葺き屋根の家屋を巡ろう
一日の支度が始まるほんの少し前。大内宿の早朝は静けさともやに包まれ、日中の賑わいとはまた違う情緒ある姿を見せてくれます。光が射し、徐々に色を帯びていく町の様子を楽しめるのも朝の魅力。肌を刺す冷気も心地よく感じます。
柿を干している家屋も。
氷を落とす住人の方。
重厚でいてどこか温かみのある佇まいの日本家屋。大内宿の建物の特徴である茅葺き屋根は断熱性に優れており、夏は涼しく、冬は暖かく室内を保つことができます。
防水性も高く、冬の雪や凍結もしっかり防止。いろりから昇る煙で燻されることによる防虫効果や、その煤(すす)が建物を覆って長持ちさせる効果など、数多くの知恵が生かされた建物なのです。
日中になり、徐々に人の往来も増え始めていきます。時折、バサッと茅葺き屋根から落ちる雪も町の風景の一部に。
店先も彩り始め、呼び込みの声も飛び交い活気付いていきます。
猫もいます。
全長約1Kmの街道を真っ直ぐ進んだ先に小高い丘があり、急な階段を登るとまさにインスタ映えな光景が。
正午過ぎると特に混みあうので、午前中に足を運んでおきたいところです。どこを切り取っても絵になる大内宿の町並み。みなさんもぜひお気に入りのポイントを探してみてくださいね。
5. 大内宿散策ルート4:囲炉裏・生活用具・農耕器具が展示される「町並み展示館【問屋本陣】」
大内宿のほぼ中央にある一際大きく立派な建物「町並み展示館【問屋本陣】」。
江戸時代、会津若松と日光を結ぶ重要な幹線道路となっていた会津西街道の中枢であり、中継地点となっていたのが「問屋本陣」です。当時の輸送は宿場ごとに荷物を馬に付け替え運んでいたそうで、問屋本陣は馬と人手の手配をしていた施設なのだとか。
参勤交代で訪れる大名の宿舎としても使われ、身分の高い人のみが出入りできる玄関、風呂、雪隠(トイレ)などが置かれていたそうです。ところが、明治2年に起こった戊辰戦争の際、大内宿が戦いの舞台となってしまったことから、詳細な設計図および様々な記録が消失し、それらは現在も発見されていません。それでも歴史的価値と意味を持つ問屋本陣は大内宿保存の観点から非常に重要であると考えられ、同じ会津街道の糸沢宿、「川島宿」の本陣を参考に設計、復元されました。
館内には昔から伝わる生活用具、農耕器具といった資料が展示されていて、当時の暮らしや人々の面影を感じることができます。
1階中央付近のお座敷では囲炉裏が焚かれていました。煤煙の香りが久しぶりに里帰りした時のような懐かしさを呼び起こしてくれます。
中の間、次の間、上段の間と続く江戸時代の客間。一段高くなっているところが身分の違いを表しているのかもしれません。
養蚕用のカゴが展示されている2階部分。今でいうロフトに近い形で、天井がかなり低いので見学の際は頭をぶつけないように気をつけてください。
同じく2階の出窓からはこんなアングルも。当時の人々もこっそりと柱の影から大名行列を眺めていたのかもしれませんね。
大内宿町並み展示館の基本情報
◼️住所:福島県南会津郡下郷町大内字山本8
◼️営業時間:9:00〜16:30
◼️料金:大人250円、子ども150円 団体(30人)大人200円、子ども100円
◼️駐車場:資料館併設ではなく大内宿全体の有料駐車場があります。駐車場から徒歩約10分
◼️定休日:年中無休(1月1日~1月3日は休業)
◼️HP(下郷町観光協会):http://shimogo.jp/sightseeing/oouchijukumachinamitenjikan/
6. 大内宿グルメ情報その1.「高遠ねぎ」を丸々1本使った・ねぎそば
大内宿にはお蕎麦屋さんが軒をつらねています。
大内宿の街道沿いには食事処、宿、おみやげ屋などが所狭しと軒を連ねていますが、その中でも特に有名なものが、箸の代わりに生の「高遠ねぎ」を1本まるごと使って食べる「ねぎそば」。「高遠そば」とも呼ばれていて、その見た目のインパクトから観光客にも人気です。ちょうどお腹も空いてきたところなので、番台のおばあさんの笑顔に誘われるまま、「美濃屋 分家(みのや ぶんけ)」へ入ってみました。
お昼少し前ということもあり、混雑もなくスムーズに入店。しかもラッキーなことにいろりの席が空いていました!指先のかじかむ寒い一日だったので、火のありがたみを感じつつ、贅沢な気分も味わえました。
少し悩んで普通のねぎそばではなく、そば粉100%の「十割ねぎそば」を注文。
後になって知ったのですが、十割そばは大内宿の中でも2軒ほどしか提供していないそうです。美濃屋では、そばアレルギーの方でもねぎそばを体験できるように、ねぎうどんも用意しているそうです。
器からはみ出す勢いの高遠ねぎは箸と薬味を兼ねていて、蕎麦をよそうのと一緒にかじって食べます。
これは、長野の高遠藩で育った殿さまが会津藩主になり、この地に伝わったとされている食べ方と言われています。
つゆには大根おろしとたっぷりのかつお節が入っていて、とてもサッパリとしていながら深い出汁の旨みを感じます。その爽やかでドッシリとした味付けとブレンドされることで、そばの存在感をより立体的にしてくれています。生の高遠ネギを勢いよく食べると、口の中があっという間に匂いと辛さで満たされてしまい、そば本来の風味が感じられなくなってしまいますから、初めて食べられる方は少しずつかじりながらいただくのが良いと思います。もちろん普通の箸もあるのでご安心ください。
頑張って食べ続けてみましたが、ネギがかなり大きいため、半分くらい食べたところでギブアップ......。「残ったネギはいろりで焼いて食べることも出来ますよ」と、お店の方が見かねて声をかけてくださいました。
このように網に並べていきます。少し炙るだけでたっぷりの甘みと香ばしさが出てきて、ヒリヒリした口の中をリセットすることができました。この2度美味しいシステムが観光客に大好評だそうです。
食後には自家製の大根おろし餅もいただきました。
餅はつきたてで、ふわっとしつつも絡みつくような歯ごたえ。そこにピリ辛でみずみずしい大根おろしが加わりさっぱりとした印象も残ります。
餅は少し大きめなものが2つと、満足感もかなりあります。これだけを食べにくるお客さんもいるそうです。
美濃屋 分家(みのや ぶんけ)の基本情報
◼️住所:福島県南会津郡下郷町大内山本45
◼️営業時間:8:00〜17:00
◼️料金:ねぎそば 1,000円ほか
◼️座席:30席
◼️定休日:不定休
◼️駐車場:店舗併設ではなく大内宿全体の有料駐車場があります。駐車場から徒歩約10分
7. 大内宿グルメ情報その2.地産の栃の実を使った・栃餅
大内宿でもう一つ忘れてはならない名物が、「栃餅(とちもち)」という和スイーツです。この郷土料理をいただくべく入店した上の写真の萬屋(よろずや)さんは、ついつい長居してしまうアットホームな空間。
栃餅は、地産の栃の実(トチノキの実)を煮てアクを抜いて、もち米とともに蒸してからつき、餅にしたものです。
栃の実のほんのりと甘い香りと、さくっと噛み切れる歯ざわりは今までにない食感。たっぷりの青きな粉でいただきました。
サービスで揚げまんじゅうもつけてくださり、それも食べ終わると「挑戦してみて!」と、イナゴのつくだ煮もご用意して下さいました。嬉しいような、複雑な気分......。
気さくなご主人が切り盛りする萬屋は、栃餅の他にも山ぶどうソフトクリームやべったら餅などデザート類が豊富です。新商品も定期的に出されているようなので要チェック。
萬屋(よろずや)の基本情報
◼️住所:福島県南会津郡下郷町大内山本32
◼️営業時間:8:30~17:00
◼️料金:栃餅 550円ほか
◼️座席:50席
◼️定休日:不定休
◼️駐車場:店舗併設ではなく大内宿全体の有料駐車場があります。駐車場から徒歩約5分
◼️HP:なし
8. 大内宿グルメ情報その3.昔ながらのあま酒
温かいあま酒をいただけば体の中から温まります。
麹を使用した昔ながらの製法で造られているため、アルコール分はなく、自然で優しいお米の甘さを感じることができます。クセもなくソフトドリンク感覚で飲めてしまうのでお子さまにもおすすめです。
9. 大内宿お土産情報・民芸品や地酒
素朴な大内宿の中で一際目を引いていたのが「叶屋(かのや)の郷土色あふれる民芸品の数々。
約100種類にもなるちりめん製品は一つ一つ手作りで、とてもあたたかみがあり、お子さん連れの方たちに人気があるそうです。
お手玉サイズの干支や小物などがお手頃な値段で販売されていて、ついつい手にとってしまいますね。
大人のみなさんにはこちら。
米どころの福島県ならではの地酒もありました。「雪中百姫」(せっちゅうももひめ)はその名の通り、雪の中で100日間眠らせた純米酒で、1年、2年、3年、4年、5年物が販売されていました。年月を重ねていくごとに、まろやかで、深い味わいになっていくそうです。大内宿入り口近くの「三澤屋(みさわや)」で取り扱っています。
10. 大内宿へのアクセス
大内宿は年間100万人以上が訪れる観光地ですが、その理由の一つにアクセスの良さが挙げられます。電車の場合、いずれも湯野上温泉駅を経由して向かうことになります。駅からタクシーで向かうことをおすすめします。料金は2,000円ほど。
電車を利用する
1.東京、仙台方面から JR会津若松駅で下車、会津鉄道・湯野上温泉駅にて下車、タクシーで10分
2.浅草駅から「リバティ会津」に乗車、東武鬼怒川線・会津田島駅下車し、会津鉄道に乗り換え、湯野上温泉駅で下車、タクシーで10分
※リバティ会津時刻表:http://www.aizutetsudo.jp/trip/liberty/
車で向かう
会津若松ICより、国道118号線を会津高原方面へ約50分 白河ICより、国道289・118号線を会津下郷方面へ約60分
バスを利用する
猿遊号(さるゆうごう)
湯野上温泉駅から大内宿までの循環バス。主に土、日の運行。
1日フリー乗車券1,000円、小学生以下500円
問い合わせは広田タクシー:0242-75-2321(要予約)まで。
猿遊号時刻表:http://www.aizutetsudo.jp/saruyugo_winter/
福島県内でも1、2位を争う人気観光地で、テレビ等でもよく取り上げられている大内宿。秘境でありながらも市街地からのアクセスが良く、年間を通して催し物が多いいため、いつ訪れても価値のある場所です。
お店でのさりげない心づかいやサービス、丁寧な道案内、ちょっとした世間話などにも気さくに応じてくれるといった、地元に暮らす方たちの優しさも大内宿の魅力でしょう。
よい景色とご縁に巡りあえますように。それでは、よい旅を!
【福島一口メモ】
大内宿がある南会津地方には、尾瀬や会津駒ケ岳などの名峰や、秘湯、湯ノ花温泉・木賊温泉など、自然豊かな観光名所があります。少し足を延ばせば、会津若松市の会津城や、猪苗代湖なども観光することができます。下記に福島県のツアー情報をまとめてありますので、参考までにチェックしてみてください。
<日数と費用>(目安)
●旅行日数:2~4日間
●ツアー費用:約12,000円~約86,000円(関東発)
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- 東京在住、一児のパパ。ライター業の傍ら、音楽家として演奏仕事で日本全国を飛び回っています。また楽譜編集や校正のデスクワークにも従事。気ままな一人旅のほか、家族で楽しめるような旅をご提案していきます。