フィレンツェの街が美しいのは条例だから!?観光客も守るべき条例も紹介

フィレンツェの街並みは色合いが統一されていますが、これは条例によるもの。厳しい条例によってフィレンツェの街並みは維持され、世界遺産となりました。そんなフィレンツェの街並みは、いつ訪れても調和の取れた美しさを楽しめます。

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フィレンツェの街は建築条例が厳しい

フィレンツェへ行った旅行者なら誰もが感じとることができるのが、トスカーナの「色合い」が街全体で統一されているということ。電車で移動してきても「トスカーナ地方に入った」と視覚で分かります。なぜなら、この街は屋根の色から窓の枠の色まで細かく指定されているから。

イタリアの中でもトスカーナ地方の建築条例は厳しいことで有名です。フィレンツェ市街地は1982年に世界遺産として登録されましたが、世界遺産に登録されたから建築法が突然厳しくなったというワケではありません。

元から景観に厳しい基準を設けていたから、その町並みは美しく、時代を越えても世界中からやってくる旅行者を魅了しているのです。

世界遺産に登録された、ということも「そうなの?なんで急に登録されたんだろうね?」と言うイタリア人もいるぐらいなので、観光客を誘致するためにみんなで努力して世界遺産登録してもらおう、という流れではなかったのですね。

ミケランジェロ広場からの街並みは正に「フィレンツェ」

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ミケランジェロ広場から眺めることができるフィレンツェの町並みはまさに私たち日本人が想像する「フィレンツェ」の姿なのではないでしょうか。

ところで、このミケランジェロ広場は1873年に建築が始まり、1875年に完成した広場ですが、当時はその名前を冠しているだけあって、ミケランジェロに関する作品や品物の展示をしようという構想があったものの、結果的にはレプリカのダヴィデ像が配置されただけで終わってしまいました。

今となっては観光スポットなのでダヴィデ像のマグネットやポストカードなどが販売され、あながち当初の構想が無になったというわけではないですが、特にミケランジェロに縁がある場所だからその名前がつけられたというわけではないのです。

いずれにせよ、ミケランジェロがフィレンツェが誇る超有名人の一人であることは間違いありません。

ミケランジェロのフルネームについて

ちなみに、レオナルド・ダ・ヴィンチに比べると意外とミケランジェロのフルネームは知られていないのですが「ミケランジェロ・ブオナローティ」というのが彼の姓名です(※)。

レオナルド・ダ・ヴィンチはテストに出たことがあるかもしれませんが、美大や建築学科でない限りは「ミケランジェロ・ブオナローティ」を答案用紙に書いたことがある人は少ないのではないでしょうか。ファーストネームだけで特定されるミケランジェロも凄いですけどね。

※ライター註:さらに詳しくフルネームを書くとミケランジェロ・ディ・ロドヴィーゴ・ブオナローティ・シモーニ。長い!

「花の大聖堂」フィレンツェのドゥオーモは必見

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「花の大聖堂(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)」フィレンツェのドゥオーモは、華やかで優美な姿が印象的です。このドゥオーモの屋根の色も他の一般家庭の屋根の色も同じというところが、景観を守っているひとつのポイントといえます。それは、ランドマーク的な建築物も一般家庭も、ある一定のルールをきちんと守って作られている証。

屋根は赤茶色の煉瓦色で、壁の色も数色の中から選ぶ仕組みになっています。日本やその他の都市で当たり前のように見かける、屋根の上に大きく掲げられた広告や看板はありません。

空調機器やタンクなども、外から見えないように工夫されています。屋根の上に置かなければいけないパラボラアンテナは日本では白やグレーですが、フィレンツェでは屋根の色に塗らなければいけません。

写真で見てみても、アンテナがどこにあるかなかなか見つけられませんよね。また、電線がないことも美しい町並みを作るポイントのひとつでしょう。

フィレンツェの街が守る「色のルール」

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絵画のような統一性のある色合いの町並みを作るにはやはりルールが必要です。フィレンツェでは建物の補修をする際には窓枠は緑色か茶色、ドアや壁の色も決められていて、ルールを守らなくてはそもそも補修することもできず、基準からはずれていると指導が入るというのですから徹底されています。

窓枠の色については多くの旅行者が「素敵!」と感じるポイントであるようで、色々な方が写真に残して旅の思い出に持って帰っていることが分かります。フィレンツェに行って街歩きをすると自然に目につくのが緑色の窓枠なのです。主張しすぎているわけでもなく、全体と調和しているのに、とても印象的。

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決して新しいわけでもなく、ピカピカの美しさがあるわけではありませんが、壁の色、周りとの調和、街全体の統一感はフィレンツェ観光の醍醐味ともいえるでしょう。

どこを歩いていても「フィレンツェにいる」と感じることができる空気感は他の観光都市ではなかなか味わうことができないので、今も昔も世界中の観光客を惹き付ける観光都市なのでしょう。

日本で建築条例がある都市というと、フィレンツェの姉妹都市である京都が有名ですが、京都のさらに上をいく厳しさでフィレンツェの町並みは作られていると言えます。

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黄色の壁に緑の窓枠を見ると「イタリアに来た」と感じます。素朴で温かみを感じる色合いがイタリア人気質を表しているようで、私はとても好きです。

フィレンツェに住む人にとっては当たり前のことなのですが、旅行者にとっては壁の色、窓枠の色、ドアの色すべてが新鮮で美しく見えるのもおもしろいですね。

フィレンツェはアンテナ設置にも条例がある

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こちらが屋根の瓦をホテルの部屋からアップで撮影した写真です。ひとつひとつの瓦に風合いがあって、この集合体があのミケランジェロ広場から見た時の圧倒的な風景を作り出しているというのはとても興味深いことです。

先ほど少し書きましたアンテナの設置場所に関しても、公共の通りからは見えない位置に設置するように条例で定められていて、サイズは1m以内のものと決まっています。罰金も定められていて、悪質なものには500ユーロの罰金が課せられるとか。500ユーロというと日本円で約7万円近くなのでなかなかの高額罰金ですね。

ちなみに、このアンテナは最初から赤茶色に塗られたものが販売されているわけではなく、最初は白かったりグレーだったりするそうです。それを屋根の色に合わせて塗っているというのですからさらに驚きです。

自分で色を塗っている人もいれば、業者さんに頼むという人もいて、美しい町並みを保つにも市民の苦労はなかなかのものだなと感じました。

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窓枠の風合いは塗られたタイミングによって違いますが、こうして通り沿いから眺めてみてもやはり統一されています。フィレンツェ観光をする際には、小さな通り沿いに並ぶ緑と茶色の窓枠やテラコッタの瓦屋根をじっくり観察するのも、楽しくてオススメです。

観光客は要注意!フィレンツェ町歩きの新ルール

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最後に、観光客の方にもぜひ知っておきたい条例をご紹介します。町並み条例に追加して、2018年9月からフィレンツェで新しいルールが定められました。

「Via de'Neri」「Piazzale degli Uffizi」「Piazza del Grano」「Via della Ninna」という4つの通りで、「食べたり飲んだりしながら立ち止まってはいけない」というルールです。平たくいうと、食べ歩くこと自体はルール違反ではないのですが、座りこんだり立ち止まったりしてジェラートやパニーニを頬張ってはいけない、ということです。

さらに、このルールが適用される時間帯は12時〜15時、18時〜22時と細かく決められています。一日中ずっと、というワケでもないのがややこしいのですが、マナーを守って現地の人から疎まれない観光客でありたいものですね。

もし、この条例に違反した場合の罰金は150〜500ユーロで、こちらもなかなかの高額です。ウッカリしてお土産代が飛んでしまった......なんていうことがないよう、美しい景観を守るためにも観光客としてのルールを守りましょう!

<撮影:yukaco>

【イタリアひとくちメモ】

イタリアには「すべての道はローマに通ず」と言われる悠久の歴史都市ローマだけでなく、ルネサンス文化が開花し、京都の姉妹都市でもある花の都フィレンツェ、ヨーロッパの流行の発信地、芸術の都ミラノ、こんな街は世界にここだけしかないオンリーワンの水上都市ヴェネツィアなど、とても一度では味わいつくせないほど魅力的な都市が目白押しです。イタリアへのツアーもたくさん用意されていますので、あなた好みの旅を探してみてくださいね。

<時間と費用>(目安)

  • 旅行日数:5~12日間
  • 飛行時間:約12時間(羽田/成田~ローマ)
  • ツアー費用:約69,800円~約490,000円

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yukaco

17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。

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