歴史遺産としての魅力も満載!アムステルダム中央駅

オランダの首都にあるアムステルダム中央駅は、世界中からたくさんの旅行客を迎える陸の玄関口です。19世紀建造の駅舎は、オランダの歴史を物語る文化遺産でもあります。交通の要衝にとどまらないアムステルダム中央駅の魅力をご紹介します。

目次

アムステルダム中央駅はオランダの国家遺産

「オランダのアムステルダム中央駅から電車に乗ってみよう」に続いて、アムステルダム中央駅の文化遺産としての見所をご紹介します。

1809_01_station.jpg

水の街から陸の都市へ

アムステルダム中央駅は1889年に開業しました。19世紀はオランダの運輸が水運から陸運にシフトした転換期です。アムステルダムとオランダ各都市を結ぶ鉄道が次々に開通し、都市の交通手段も水路ではなく、トラムや車が主流となっていました。

新時代の象徴となるアムステルダム中央駅の建築は、国を挙げての一大事業となりました。市街地北側のアイ湾を埋め立てて人工島を造り、その上に駅が建設されたのです。埋め立てには、北海運河の建設で採取された土砂が利用されました。

低地にあるアムステルダムは地盤が軟弱なため、建物の下には数多くの杭が打ち込まれています。アムステルダム中央駅は、8687本の杭基礎の上に建っています。

1809_02_history.jpg
1890~1905年頃のアムステルダム中央駅

オランダの栄華を映し出す文化遺産

アムステルダム中央駅はその重要性から、実績のあるオランダ人建築家ピエール・カイパースに設計が託されました。著名建築家による駅の設計は、当時では異例のことでした。

赤レンガ造りの駅舎はゴシックとルネサンスを融合させた様式で、二つの重厚な塔を持ち、宮殿のようなファサードが目を引きます。細微なレリーフは、かつての宗主国オランダの繁栄を讃えています。

1809_03_facade.jpg

西側の塔には、風の国オランダを象徴する風向計が掲げられています(写真左端)。オランダ人は風車による干拓で自らの国土を造り出し、さらに17世紀から18世紀にかけては、帆船で海上帝国を築きあげました。風なくしてオランダの歴史は語れません。

アムステルダム中央駅は、カイパースのもうひとつの傑作、アムステルダム国立美術館とともに、オランダの国家遺産(Rijksmonument)に登録されています。

1809_04_night.jpg

駅舎は夜毎にライトアップされ、クリスマスにはイルミネーションが灯ります。駅周辺の聖ニコラス教会(写真右)や旧教会の鐘楼、水辺に浮かぶクルーズ船とともに幻想的な風景を織り成します。

国家の威信をかけたトレインシェッド

トレインシェッドは、駅の線路とプラットホームを同時に覆う大きな屋根です。19世紀ヨーロッパでは近代都市を象徴する存在となり、鉄道会社は競うように巨大なトレインシェッドを造りました。

1809_05_trainshed.jpg

アムステルダム中央駅にも、径間45mの巨大なアーチ形のトレインシェッドが建設されました。開業当初に南側(写真左)、1922年に北側のトレイン・シェッドが完成し、1996年に間を繋ぐ小さなトレイン・シェッドが増築されています。

1809_06_platform.jpg

「秘密の扉」の向こう側には

アムステルダム中央駅には、王室が列車を利用する際の貴賓室と車寄せがあります。2番ホームにある、煌びやかな装飾がほどこされた扉は、王室専用の待合室(Koninklijke Wachtkamers)に続いています。

1809_08_waitingroom.png
photographer: Martin Kers

貴賓室は文化団体Artifexgのツアーで見学することができます。月1回の開催(14:00-15:00)で定員制(20名)のためHPからの予約が必要です。英語のガイドを申し込むことも可能です。
HP:https://www.artifex.nu/aanbod/koninklijke-wachtkamer-amsterdam

ファーストクラス気分を味わえるレストラン

1809_09_cafe.jpg
Photo: Grand Cafe-Restaurant 1e Klas

2番ホームに面するグランカフェ・ファーストクラス (Grand Cafe-Restaurant 1e klas) は、かつての一等車の待合室を改装したレストランです。カイパースが19世紀にデザインした高級感あふれるラウンジで、優雅なひと時を過ごせます。

HP:https://m.restaurant1eklas.nl/en/home-2/

1809_10_plate.jpg
Photo: Grand Cafe-Restaurant 1e Klas

扉の上には「待合室(WACHTKAMER)一等車(1e KLASSE)」の案内が残っています。

1809_11_Elvis.jpg
Photo: Grand Cafe-Restaurant 1e Klas

カウンターではオウムのエルヴィスが出迎えてくれます。品格のあるインテリアや調度品を眺めながら、良心的なお値段の美味しい食事を楽しんでみてください。

新旧の建築が共存するアムステルダム

アムステルダム中央駅では近年、メトロの乗り入れやバスターミナル建築のための改修工事が行われています。明るく開放的にリニューアルされた北口のアイホールには、ショッピングエリアも整備され、乗客がより快適な時間をすごせるようになりました。

重厚でノスタルジックな南口と、ポップでモダンな北口は、驚くほど対照的な雰囲気です。新旧のデザインを大胆かつユニークに組み合わせてしまう、アムステルダムならではの心地良いコントラストも、アムステルダム中央駅の魅力です。

1809_12_north.jpg
フェリーターミナルのある北口の景観

Related postこの記事に関連する記事

Rankingオランダ記事ランキング

ランキングをもっと見る

この記事に関連するエリア

プロフィール画像

Kayo Temel

オランダ在住。アムステルダムの美術アカデミーで絵画を学び、イラストレーターとして活動中。20年の在蘭経験を活かして、オランダを満喫するためのローカルな情報をお届けします。

Pick upピックアップ特集

全国の動物園&水族館 徹底取材レポート特集!デートや家族のおでかけなど是非参考にしてみてください♪

特集をもっと見る

たびこふれメールマガジン「たびとどけ」
たびこふれサロン

たびこふれ公式アカウント
旬な情報を更新中!