公開日:
最終更新日:
絶対に見た方がいいシエナ大聖堂の「ピッコロミニ図書館」とは?
イタリアの中でも人気の観光都市フィレンツェから、ほど近い場所に日帰りでちょっと違う雰囲気を味わえる都市がいくつかあります。
そのうちのひとつが「シエナ」です。中世の雰囲気をそのまま残していてまるでタイムスリップしたかのような不思議な感覚を味わうことができます。
目次:クリックで各項目に移動します
- フィレンツェからシエナへの行き方
- シエナ観光で見ておきたい場所リスト
- シエナ大聖堂の入場について
- 圧巻の美しさ!白黒ボーダーの大理石
- 床面のモザイクはメインの見学ポイントのひとつ
- 奇跡のフレスコ画が美しい「ピッコロミニ図書館」
- 「PORTA DEL CIELO(天空への扉)」ツアーは英語やイタリア語が分からなくても楽しめる
フィレンツェからシエナへの行き方
フィレンツェからシエナへ行くには、2通りあります。
1. バス
サンタマリアノヴェッラの鉄道駅からほど近い場所に、バスの停留所があります。チケットの購入は難しくはありません。観光客に慣れているので英語でも大丈夫。バスには快速と鈍行があり、片道8.5ユーロです(2017年時点)。所要時間は約1時間。到着場所はシエナの中心地に近い場所です。
2. 電車
サンタマリアノヴェッラから鉄道でシエナまでは、乗り換えなしの便の場合はおよそ1時間30分。片道9.1ユーロ。電車の方がなんとなく簡単だしこっちで......と思う方も多いかもしれませんが、シエナに行く場合は完全にバスがオススメです。
その理由はシエナ駅の場所。中心地から徒歩で30分ほどのところにあるので、時間的にもバスの方がお得なのです。
シエナ観光で見ておきたい場所リスト
- マンジャの塔
- カンポ広場
- シエナ大聖堂
- ピッコロミニ図書館
これらの観光スポットはすべてバス停留所から気軽にブラブラ歩いていける距離なので一日で制覇することが可能です。そして、ひとつひとつが見どころも多くて大満足の内容。上記の観光スポット以外にも、サンドミニコ教会、市庁舎などもありますので好きなポイントをうまく組み合わせて楽しむのもいいですね。
シエナ大聖堂の入場について
さて、今回はシエナ大聖堂とその中にあるピッコロミニ図書館にスポットを当ててご紹介したいと思います。ヨーロッパの教会は入場料が無料のところも多いですが、こちらは有料です。まずはチケットを購入する列に並ばなければいけません。
こちらにガイドの方がいて、リストの中から見たい場所を言って最適なチケットを選んでもらう仕組みです。急に言われても焦る人もいるかもしれませんので、時間がある場合はフルセットで見られる「OPA SI PLUS」という20ユーロのチケットを購入することをオススメいたします。
私が訪ねたときは、不定期で公開されるという「PORTA DEL CIELO(天空への扉という意味)」のプライベートツアーが含まれているとのことなので、指定された時間に集合場所へ来るように言われました。「集合場所は大聖堂を入ってすぐ右手側の空間よ」と説明されます。
お土産を買うスポットもあります。トスカーナ地方名産の紙を使った美しいレターセットや文房具をはじめ、宗教的モチーフの美しい写真集などの書籍類、子供用のかわいい塗り絵まで幅広い品ぞろえです。
気軽に買えるポストカードやマグネットなども売っているのでじっくりお土産を探してみるのも楽しいですよ。
さて、シエナ大聖堂へ向かいましょう。ドゥオモ前の広場を横切ってエントランスへ向かいます。
入り口にはこんな看板が立てられています。
世界中から観光客が来るので、一目で何がダメなのか分かりやすくピクトグラムで表現されているのですね。
そうは言っても私が訪問した時は真夏の汗だくデー。特に欧米の女性は露出が高めのファッションの方が多かった印象です。私もノースリーブのシャツを着ていたのですが、たまたまバッグに入っていた大きめのストールを肩からかけて注意回避に成功しました(※)。
さて、「そんなに準備よくストールなんて入れていないわ」という方は一体どうするべきなのでしょうか。様子を観察していたところによると、入り口のチケットチェックのおばちゃんが「ちょっとあなた!」と服装NGの方に直接声をかけている様子。そして不織布のケープのようなもの(美容院などでかけてもらう布の不織布バージョンと思っていただけると分かりやすいかと思います)を手渡しされていました。
※註:イタリアの聖堂は、宗教上の観点から露出の高い衣装で入場することを禁じていることがほとんど。初めてイタリアに行かれる方は、ぜひストールやカーディガンなどを持参しておきましょう。
これです。最初に見た時はビックリしましたが、なんだか聖歌隊のようでちょっとかわいいですね。肌を露出しないというのは、宗教施設の中においては最低限のマナーのうちのひとつだと認識しておいて間違いないでしょう。
日本の寺社仏閣だとあまり厳しく言われることはありませんが、覚えておいて損はない情報です。
圧巻の美しさ!白黒ボーダーの大理石
シエナ大聖堂の建築は「ゴシック様式」、「ロマネスク様式」などがミックスされており、細かくその特徴を見学する楽しさもあります。例えば、「ゴシック様式」は垂直と左右対称、「ロマネスク様式」は小さな窓、厚い壁などが特徴です。
建築マニアならずとも、細かな部分まで壮麗な装飾が施された大聖堂はポカーンと口を開けて見上げてしまうほどの迫力がありますよ。
歴代の教皇の胸像がずらりと並んでいる天井部分は必見です。そして、美しいドーム部分の青色や八角の祈祷台。ひとつひとつのディテールが繊細で素晴らしく、時間があっという間にすぎていきます。
床面のモザイクはメインの見学ポイントのひとつ
上から眺めるとモザイクには見えないほど緻密な構図になっていることがさらによく分かりますね。なお、ここから見るには冒頭でご紹介した「PORTA DEL CIELO(天空の扉)」ツアーへ参加しなければなりませんので、ぜひ参加してみてください。シエナ大聖堂の中でも、床面モザイクは人気のある見学ポイントのうちのひとつです。
一通り大聖堂のメインの部分を見学したらいよいよ「ピッコロミニ図書館」へ行ってみましょう。
奇跡のフレスコ画が美しい「ピッコロミニ図書館」
入り口は小さいのですが看板が出ているので見逃すことはないと思います。ところで、「図書館」があると聞いていたので私は蔵書がずらりと並んでいる荘厳な様子を思い描いていたのですが、入ってみると、ずいぶん思っていたものと違う空間でした。
確かに書物は並んでいるのですが聖歌譜が並んでいます。これは「図書館」というよりは「書庫」ですね。しかし、日本語の観光ガイドやウェブサイトにおいても「ピッコロミニ図書館」と書いてあります。なぜ「図書館」になっているのでしょうか。
イタリア語でこちらの施設の名前は「LIBRERIA PICCOROMINI」で「LIBRERIA」というのは本屋さん、もしくは書庫という2つの意味があります。音の近さから英語の「LIBRARY(図書館)」と同じ意味だと思ってしまわれたのか、その辺りは定かではありませんが、イタリア語で言うところの「図書館」は「BIBLIOTECA」というまったく別の単語があります。
そういう流れで、「図書館」という日本語訳は英語訳の「LIBRARY」に変換したときのニュアンスが採用されて一般に広まってしまったのではないでしょうか。
「図書館」と聞いてここへ来た大概の方が「あれ。なんか思ってたのと違う」と感じるはずです。とはいえ、こちらの装飾は息を吞むほどに素晴らしいので、シエナ観光の際は絶対にはずしたくないポイントです。
天井のフレスコ画の色彩の鮮やかさに誰もが目を奪われます。こちらは長い間一般公開されておらず、教会にはつきもののロウソクやススに触れない火気厳禁の書庫だからこそですね。
ピッコロミニとは、中世から近代にかけて栄えたシエナの名門貴族の家系です。ローマ教皇ピウス2世などを輩出している貴族家系です。
日本だとめったにそのような話とは無縁ですがイタリアに何度か行っているうちに現地に住むお友達も少しずつ増えてきて、中には「うち、貴族なんだよね」「うちが持っているお城」というようなビックリする会話が飛び出てくる場合もあります。
そして、貴族の中でもマウンティング的なことが行われているようで、そのうちのひとつの指標が「ローマ教皇を何人出した家系か」ということが重要だそうです。もう、「へ〜」としか言いようがありませんが、イタリアらしいおもしろエピソードでした。
さて、シエナの中でも名門中の名門であるピッコロミニ家の紋章は月。床面には一面美しい月のタイルが貼られています。
「PORTA DEL CIELO(天空への扉)」ツアーは英語やイタリア語が分からなくても楽しめる
シエナを観光するとき、普段は入ることができない「天空への扉」ツアーを開催している期間に当たった方は、ぜひ参加してみてください。屋根裏までのぼり、通常の観光ルートとは違う面から大聖堂の内部を見ることができるのは貴重な体験になること間違いありません。
ツアーは15人一組のグループで見学します。アジア人は私一人でした。英語とイタリア語の解説がつきますが、専門用語連発なので完全に理解するのはなかなか難易度が高いです。ただ、なんとなく「こうかな」ぐらいの感じでも、もしくはまったく分からなくても普段の入場とは違う角度から聖堂を見学するだけでも満足度は高いです。
ところで、シエナ大聖堂はシエナのもうひとつの観光スポット「マンジャの塔」と同じぐらいの高さかな、と思っていたのですが、実はこの二つは本当に同じ高さ(約102メートル)。これにはいい意味があって、政治の象徴であるマンジャの塔、教会の象徴である大聖堂、どちらかだけが力を持ってはいい町づくりができない、という思いが込められているそうです。
フィレンツェから1時間ほどで違う雰囲気の町を堪能できるので、気軽な気持ちでワンデートリップできるのも魅力的な町、それがシエナです。
住所:Piazza del Duomo, 8, 53100 Siena SI,
公式サイト:https://operaduomo.siena.it/it/
この記事と一緒に読みたい関連記事
フィレンツェからバスで行ける!中世を感じる町シエナの「マンジャの塔とカンポ広場」
Rankingイタリア記事ランキング
-
yukaco
- 17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。