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日本人はきっと好きになる!シエナのレストランで極太モチモチパスタ「ピチ」を食べる
イタリアにあるパスタの種類はショートタイプ、ロングタイプなど全て合わせると500種類以上あると言われています。麺文化が根付いている日本人でも想像ができないほどの麺大国なのですね。
しかし、500種類もあればイタリア人の中でもそれらの違いはあまり知られておらず、なんと料理に関係する仕事をしていても全種類完璧に把握している人は少ないそうです。それもそのはず、同じパスタでも地方によって呼び方が違ったり、別の種類のパスタなのに同じ名前がついていたりと、イタリアのパスタ事情はなんともややこしく複雑なのです。
この記事では、イタリアのパスタ事情に触れつつ、その中でも私が強くおすすめしたい極太パスタ「ピチ」についてご紹介します。
目次:クリックで各項目に移動します
- 複雑すぎるイタリアのパスタ事情
- シエナ〜ローマ名物の極太麺「ピチ」をパワープッシュ
- 茹でる前のピチはこんな感じ
- シエナの名店で念願のピチを食べる!
- いざ、シエナ発祥のパスタ「ピチ」を実食!
- おまけ:シエナの美味しいもの色々
複雑すぎるイタリアのパスタ事情
私がイタリア人に質問しても割としどろもどろに返されたり、「うーん、地方によっていろいろだから......このあたりではコレをこう呼ぶって感じだね」という返答をもらうので、余計に分からなくなってしまいます。
とはいえ、ご当地パスタなるものがあることは日本のラーメンや蕎麦、うどん事情と似ています。札幌と福岡で麺の種類がまるっきり違うのと一緒ですね。好みに合うパスタを探し求めてイタリア各地を巡礼してみたいものです。イタリア縦断、パスタの旅......というのも楽しいかもしれません。
例えば、パスタの茹で具合にも地域により好みがあるという説があります。ヴェネチアではアルデンテがあまり好まれないとか。これは私も知らなかった......イタリアは全国的にアルデンテ文化なのかと思い込んでいました。
確かにヴェネチアで食べたパスタは、しっかりめに茹でられていたように感じます。北イタリアは本来米文化で、パスタも食べるけど茹で加減にはうるさくない、あるいは観光客が多いために観光客向けにしっかりめに茹でられたものが定着している、などいくつか説があるようです。
呼び方の違いだけでなく茹で加減までバリエーションが多いというのは奥が深いですね。
シエナ〜ローマ名物の極太麺「ピチ」をパワープッシュ
さて、今回はそんな深いパスタの世界から、「ピーチ」または「ピチ(Pici)」と呼ばれるパスタをご紹介したいと思います。シエナ発祥のパスタだと言われていて、その最大の特徴は太さ。まるでうどん?と思えるほどのしっかりしたモチモチ感を味わうことができます。
さまざまなソースと組み合わせて食べられており、トスカーナ地方のレストランでも見つけることができますが、王道は肉系ソースのラグー。イノシシやウサギ、豚など濃い目のソースとの相性が抜群です。
上の画像はヴァニョレッジョというフィレンツェとローマの間ぐらいに位置する小さな町のレストランで出会ったピチです。
※註:ヴァニョレッジョの正式名は「チヴィタ・ディ・ヴァニョレッジョ(ヴァニョレージョ)」。天空の町(または村)とも称される幻想的で物悲しい雰囲気が、世界中の観光客から注目を集めています。
茹でる前のピチはこんな感じ
茹でる前の乾燥ピチはこんな感じです。お土産としてはけっこうかさばるのですが、持って帰らずにはいられないほど美味しくて気に入りました。表面がザラザラしているのがお分かりいただけるでしょうか。このザラザラが美味しいパスタになるポイントです。ソースがしっかり絡んで味わいがぐんとアップします。
乾燥ピチは街のスーパーや空港のお土産コーナーでも売っているのですが、手でこねて作る生パスタとしても愛されているそうです。強力粉と水、塩をこねて(地方や家庭によってはタマゴを加える場合もあるとか)手で伸ばして作るので、太さが均一ではないのもポイントです。食感に変化が出てそれもまた良しなのかもしれませんね。
シエナの名店で念願のピチを食べる!
食いしん坊な人にとっては、シエナ発祥のパスタをシエナの名店で食べる、というだけで十分に行く価値があるというものです。 今回ご紹介するお店は「リストランテ グイド(Ristorante Guido)」という店です。シエナの中でも人気の高いお店のうちのひとつ
バスの停留所から歩いてカンポ広場に向かう途中の路地にあるので、初めてシエナを訪問した方にでも簡単に見つけることができるロケーションも嬉しいポイントです。
矢印がついた看板が出ているので分かりやすいです。入り口には「NO PIZZA」と書かれた紙が貼られているところにリストランテのプライドを感じますね。観光客がPIZZAを食べたい、と言うことに辟易してしまっただけということかもしれませんが(笑)
ビステッカ用の肉塊がショーケースに入っているので、その日の肉を確認してオーダーすることも可能。自信の現れですね。
リストランテ グイドを訪ねるときのポイント
一人でも、グループでも楽しめるお店です。予約をしなくても入ることはできましたが、予約がベターかもしれません。ホームページから簡単に予約ができるので(便利な世の中になったものですね!)事前にシエナへ行くことが決まっている方は予約して出かけましょう。
ただ、当時私がちょっと失敗してしまったな、と思ったのが何の計画も立てずにフラっと出掛けていって、シエナの観光名所であるマンジャの塔やシエナ大聖堂の見学ツアーに申し込むと、時間指定で集合時間が発生するため、なかなかランチの時間やディナーの時間が読めないということになります。シエナは美味しいお店が多いので一回一回の食事を大事にしたいものです。
そういう場合はとりあえず、マンジャの塔の予約時間や大聖堂の見学ツアーを予約した後に、だいたいの時間を読んで店に予約をしに戻ってくるという方法がいいのではないでしょうか。
昼休みが発生するのと、夜の営業が意外と遅い時間からということにご注意してくださいね。(こちらのお店は夜の営業は19時半からです。日本の感覚で言うと18時ぐらいから開いてるでしょう!と思ってしまいがちなので注意です)
いざ、シエナ発祥のパスタ「ピチ」を実食!
店内の様子です。ちょっぴり隠れ家的な雰囲気もいいですね。壁中に所狭しと貼られた写真が雰囲気アップに一役かっています。中には世界の名だたるセレブリティの姿も多々あるのでぜひ探してみてくださいね。かのパヴァロッティの姿もありましたよ。
こちらはお店がサービスで出してくれる前菜で、「パッパアルポモドーロ」というパンをトマトソースで煮込んだもの。私はコレが大好きなので思わぬラッキーに遭遇した気分です。
イタリアでは赤ちゃんの離乳食や病気で食欲がない時にも食べられていて、幅広い年齢層に愛されるベーシックなメニューのひとつです。優しい食感とトマトのいい具合の酸味が前菜にピッタリ! 食欲が湧いてきます。
フィレンツェのパンが美味しくない、というのは有名な話ですが(塩気が一切入っていないのです)シエナのパンは美味しかったです。特に右側のものは、オリーブオイルが効いていて香ばしい風味がしました。
そしてピチが登場しました! 見るからに美味しそうです。イタリア料理を色々食べましたが、見た目だけでこんなに訴えかけてくるものがあるのは久しぶり。
ズームに次ぐズーム。
モチモチした食感が写真からも伝わるのではないでしょうか。トマトのちょうどいい酸味がラグーソースのアクセントになっています。口に入れると予測不可能な食感が楽しめます。散りばめられたチーズが多くかかっている部分に差し掛かると、また違った香りと味が広がり、どんどん勢いよく食べ進めることができます。
女性の一人旅でも普通の胃袋の持ち主ならコレをオーダーして、先ほどの前菜と合わせてちょうどいいぐらいの量ではないでしょうか。私はあと一皿ぐらい食べられる余裕と気分ではあったのですが、帰りのバスの時間が気になったので急いでお会計を済ませてお店を後にしました。
「絶対にもう一度、ここでゆっくり他のメニューも食べる」という誓いを立てつつ、です。
お会計は一人でコペルト(席料)とパスタ一皿、お水一本で18ユーロです。こんなに美味しくて20ユーロ以下というのはかなり満足度が高い。
きっとあの店頭に飾られていたビステッカも美味しいんでしょうね......デザートもきっと美味しいんでしょうね......他のパスタもね......などと、後ろ髪を引かれる気分でお店の人に「また絶対に来るわ!」と宣言してから帰りました。
Ristorante Guido基本情報
住所:Vicolo Beato Pier Pettinaio 7, 53100, Siena, Italy
公式サイト:http://www.ristoranteguido.com/
おまけ:シエナの美味しいもの色々
ここからは、シエナの町で他に食べたものをご紹介。
マンジャの塔の400段オーバーの階段に備えて、体力補給のブランチにチキンカツパニーニ。スーパーに併設されているバールで食べました。地元の人も観光客も混じって楽しめる気軽なバールです。
チキンカツは衣がカリッと、というよりはガリッ!というぐらい食べごたえがあるので女性だと途中でお腹いっぱいになってしまうかもしれません。男子高校生ならおやつ感覚で食べられる、そんなイメージです。
他にもフルーツやケーキ、パン、サラダなどショーケースにたくさん並んでいるのでちょうど良さそうなものを選んでくださいね。
シエナ大聖堂のチケットセンターに併設されているカフェで一休み中に頼んだ、フレッシュオレンジジュース(スプレムータ・アランチャ)。
イタリアではだいたいのバール、カフェに置いてある定番メニューです。「スプレムータ」というのがフレッシュジュースという意味で「スッコ」と言うと普通のジュースです。イタリアのオレンジジュースはスプレムータでもスッコでもどちらでも美味しいです。
暑かったのでジェラートも忘れません。イチゴとピスタチオを選択。
シエナの老舗スイーツショップのバールで、カフェクレームグラニータ。バールのカウンターの前にフローズン的なものがあったのを見逃さなかったのです。
スタッフの男の子に「アレは何?美味しそう!」と言ってよく確認せずにオーダーしたのですが、私はアルコールが苦手。ノンアルコールの品物で良かったです(笑)
帰り道のバスではこんなに素晴らしいトスカーナの夕焼けを見られたことが思わぬお土産です。シエナの観光は日帰りでしたが、もう少しゆっくり色々見たかったな......もしくはもう少し色々食べたかったな、と思える町だったので近いうちに再訪したいと思います。
フィレンツェからもかんたんに行けるので、皆さんも美味しくて楽しいプチトリップを体験してみてはいかがでしょうか。
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yukaco
- 17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。