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ペルーで一番のアンティクーチョ!グリマネサ・バルガス・アンティクーチョス
南米大陸ではポピュラーな肉の串焼き料理「Anticucho/アンティクーチョ」。
そのルーツは、スペイン人が新大陸に牛やニンニクを持ち込んだ16世紀前半にまで遡ります。この時代のスペイン人たちは、牛の枝肉部分は自分たちで消費し、内臓部分は破棄するか、アフリカから連れてきた黒人奴隷たちに食料として分け与えていたと言います。
貴重なタンパク源、特に大きな心臓(ハツ)をどうやったら美味しく食べられるか。
奴隷たちは考え、さまざまな工夫を凝らしたのでしょう。
ニンニクやトウガラシ(アヒ・パンカ)、クミン、塩コショウを混ぜた酢に肉を漬け込んで焼く、現在のアンティクーチョは、この奴隷たちによって生み出されました。そして、その基本的な味付けは今もほとんど変わっていません。
アンティクーチョには、牛肉や鶏肉、魚介類を串に刺して焼いたものなど、いくつかの種類があります。
ただし、ペルーでアンティクーチョと言うと、単に「Anticucho de Corazón de Res(牛ハツのアンティクーチョ)」を指す場合がほとんど。
前述の枝肉や魚介を刺した串は、「Brocheta/ブロチェタ」といって区別する店もあるようです。
牛ハツを使ったアンティクーチョでペルー一美味しいと評判なのが、「Tia Grima(グリマおばさん)」の愛称で親しまれるグリマネサさんの店、「Grimanesa Vargas Anticuchos/グリマネサ・バルガス・アンティクーチョス」。
この道一筋約40年というグリマネサさんのアンティクーチョは、リマで知らぬ者はいないと言われるほどの人気です。
この穏やかな表情の女性が、グリマネサ・バルガスさん。もうすぐ齢80というお歳ですが、今も現役で店に立つ元気なおばあちゃんです。
長い間、ミラフローレス区の路上でアンティクーチョの屋台を営んできたグリマネサさんですが、そのあまりの人気に周囲はいつも大混雑。
とうとう区から立ち退き命令が下される羽目になってしまいました。しかし彼女を支持する人が多く、2011年末にGrimanesa Vargas Anticuchosをオープンしたという訳です。
こちらが現在のお店。カウンター席が3列のみのシンプルな造りになっています。
メニューはアンティクーチョ2串S/.14と3串S/.21、チョクロ(トウモロコシ)S/.3.5、炭酸飲料S/.2.5だけ。(※2013年当時の価格)
「店ができたら値上げされるのでは」と心配する声もありましたが、値段は屋台時代のままで良心的ですね。
オーダーはとても簡単。入り口すぐのレジで注文して、先に清算を済ませます。
この時に渡される領収書番号の下2桁が自分の待ち番号になり、焼きあがったらその番号が電光掲示板に表示されます。
強火の炭火で焼かれるアンティクーチョ。材料もシンプルで家庭で簡単に作れる料理ですが、この豪快な火加減だけはさすがに真似できません。
1串につき3切れ、合計約100gのハツがついてボリューム満点。女性なら2串で十分という大振りのアンティクーチョです。
この店では、アメリカから取り寄せた新鮮なハツを秘伝のタレに3時間漬け込んでから焼いているのだとか。
秘伝といってもその材料は先にご紹介したものとほとんど変わりありません。材料の配合に秘密があるのか、それともハツ自体が特別なのでしょうか...?
屋台から店舗に変わっても、いつも混雑しているグリマおばさんのお店。
店内でゆっくり食事を楽しむのには不向きですが、そこは屋台の延長と思って諦めましょう。
少々時間が経っても柔らかくてジューシーなので、宿泊先が近ければ部屋に持ち帰って食べてもいいですね。
2013年のMistura(ミストゥーラ/南米一のグルメフェスティバル)でも、2万皿を売り上げたというその実力は伊達ではありません。
リマに来られたら、ぜひこのアンティクーチョを味わってみてください。
Grimanesa Vargas Anticuchos(グリマネサ・バルガス・アンティクーチョス)
- 住所:Av. Ignacio Merino 466, Miraflores
- 営業:月~土 15:30~22:30(予約不可)※日曜日は休み
- TEL:+51 941 869 568
- Instagram:Grimanesa Vargas Anticuchos
※記事中の価格は2013年当時のものです。最新情報はSNSなどでご確認ください
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。