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5000年前の世界へ。世界遺産カラル遺跡
「La Ciudad Sagrada de Caral-Supe (聖地カラル - スーペ)」。
2009年6月にユネスコに登録された、ペルーで11番目となる世界遺産です。
この広さ66ヘクタールの広大な遺跡群は、リマ市内から車でパンアメリカンハイウェイを北上、
184km地点を右折した先のスーペ谷にあります。
およそ5000年前の文化とされる世界遺産・聖地カラル - スーペは、
メソポタミア、エジプト文明に続く世界でも3番目に古い文化。
スーペ谷に点在するカラルを含めた20もの古代遺跡を総称して、
「Norte Chico civilización (ノルテ・チコ文明)」と呼ばれることもあります。
まず最初に、カラル遺跡の全体図を見てみましょう。
上記ルートでアクセスすると、車は地図右上の矢印の位置に到着します。
そこから歩いて遺跡の正面入り口(地図右下のiマークのあたり)まで向かい、チケット購入後、見学開始。
カラル遺跡は自由見学はできず、現地ガイドと一緒に20人ほどのグループで回るシステムになっています。
遺跡のあるスーペ谷は陽射しがきつくて暑いので、帽子や日焼け止め、水などをご用意くださいね。
「Pirámide Mayor (大ピラミッド)」の長辺は170.80m。
たくさんのピラミッドが点在するカラルの中で、最も大きな建造物です。
手前には円形の半地下広場があり、生贄と思われる若い男性の骨や塩の塊などが発見されています。
遺跡内にはもう一か所、同じような円形構造を持つ「Templo del Anfiteatro (円形劇場のある神殿)」があり、
ここからはコンドルやペリカンの骨で作られた32本のフルートや、グアナコの骨でできたコルネット、
巻貝で作られた笛などが多数出土しています。
カラルの人々が奏でた5000年前の音楽は、一体どのようなメロディーだったのでしょう。
写真左から「Pirámide Menor (小ピラミッド)」、「Pirámide de la Galería (回廊のあるピラミッド)」、
「Pirámide de la Huanca (ワンカのピラミッド)」が並んでいます。
このうち小ピラミッドからは、「Shicra (シクラ)」が多数発見されました。
シクラとは植物の縄で編んだ網に複数の石をいれたもの。
ピラミッドなどの基礎部分にこのシクラを使うことによって、耐震性を高めたと言われています。
またワンカとは、日時計もしくは神々を宿す石碑であったとされる石柱です。
ワンカのピラミッドはこの石柱の南側に位置しています。
ワンカの東側に位置する、回廊のあるピラミッド。
内部に地下道のようなものが造られていることから、この名前が付けられました。
ここからはクジラの骨やコットン製の女性用衣料、動物の骨でできた縫い針、
そしてキープが発掘されています。
キープはインカ文明でおなじみの、数を記述するための結縄。
インカの支配層は、このキープを使って各地の人口や農作物の収穫高などを記録・伝達していました。
そのキープが実は5000年前もの昔から存在していたとは驚きですね。
「インフォメーションセンター」と書かれている付設のミニ博物館。
カラル遺跡で発掘された石器やシクラ、当時の食料だった魚介類などが紹介されています。
土産物店では、前述のフルートに似せたお土産用の笛が売られていました。
店員に吹いてもらったところ、「ホーホー」という素朴な音色でした。
その昔何十本というフルートやコルネットで奏でられたこの音は、
荒涼としたスーペの谷間によく響いたことでしょう。
カラル遺跡は、現在も発掘調査が続けられています。
★La Ciudad Sagrada de Caral-Supe/聖地カラル - スーペ★
リマ市から車で約4時間。
※リマから遺跡直行のバスはないので、現地旅行代理店のツアーに参加するのが一般的。
※2013年4月19日にご紹介した「Mirabus」でも、毎週土曜日にカラルツアーを催行している。
ウェブサイト : www.mirabusperu.com
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。