ペルーの誇り!国民的伝統舞踊「マリネラ」

ペルーは世界有数のフォルクローレの国。
コスタ(海岸部)、シエラ(山岳部)、セルバ(アマゾン)という多様な自然環境の中で生み出された
個性豊かな音楽や踊りは、世界中の人々を魅了してやみません。
中でも「国民的舞踊」として人々に愛されているのが「Marinera/マリネラ」です。
マリネラには「マリネラ・ノルテーニャ(北部風マリネラ)」、「マリネラ・リメーニャ(リマ風マリネラ)」の他、
プーノやアレキパなど山岳部で踊られるものがあります。

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マリネラ・ノルテーニャのコンクール会場にて。
細かなレースがたっぷりと施されたマリネラ・ノルテーニャの衣装は
うっとりするほど美しく、気品に溢れています。


数千年前の遺跡から動物の骨で作った笛やラッパが発見されるなど、
いにしえのころより音楽に満ち溢れていたアンデス文明発祥の地、ペルー。
そこに、ギターやハープといった旧大陸の楽器が新しいリズムと共に伝わりました。
またスペイン副王領でもあり、南米支配の中心であったペルーには、当時多くの黒人奴隷が暮らしていました。
アフリカの大地が生んだ躍動感溢れる力強いリズムは、その子孫たちにも受け継がれていったのです。
長い歴史の中でそれぞれが融合しあい、様々な音楽や踊りが生まれていきました。

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世界遺産・リマ旧市街の一角で披露されていたマリネラ・ノルテーニャ。
洗練されたその舞には、誰もが魅了されてしまいます。


そうした中、18世紀後半にリマの下町で「Zamacueca/サマクエカ」が誕生しました。
これは雄鶏と雌鶏の求愛の様子を表したものと言われています。
赤と白のハンカチを手にした男女が踊るこのダンスは、陽気でコミカル。
日頃の憂さを忘れさせ、人々の心を解放してくれるこのサマクエカは、庶民の間で大人気となりました。
そしてペルーのみならず、ボリビアやチリ、アルゼンチンにまで広がっていったのです。
ペルーのサマクエカはチリで「クエカ」と名を変え、その後「クエカ・チレーナ(チリのクエカ)」もしくは
「チレーナ」としてペルーに再度伝わり、大流行しました。
これがマリネラの前身となりました。

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エレガントで洗練されたマリネラ・リメーニャ。
優雅で小粋、そしてちょっと小悪魔的とでもいいましょうか。
マリネラ・ノルテーニャより黒人舞踊の要素が強い踊りです。


しかしなぜ「マリネラ(水兵)」と呼ばれるのでしょう?それにはこんなエピソードがあります。
19世紀後半に、ペルー・ボリビアとチリの間で太平洋戦争が起こりました。
激しい戦闘の中、1879年にはペルーの英雄ミゲル・グラウ提督がアンガモス海戦で戦死してしまいます。
それを受け、当時のジャーナリストで作曲家でもあったアベラルド・ガマラは
「チレーナ」という敵国の屈辱的な名を廃し、グラウ提督と勇敢に戦った兵士たちを称え
「マリネラ」にすべきだと国会に訴えました。
それ以降ペルーでは、自国の誇りとともにこの踊りを「マリネラ」と呼ぶようになったのです。

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リマで行われたフォルクローレの祭りにて。
ペルー北部各地の民族衣装が勢ぞろい。


マリネラは「愛の踊り」。
男女の恋の駆け引きを、華麗な振付と巧みなステップ、豊かな表情の変化で体現していきます。
喜びだけでなく、時にはすねたり自分から仕掛けていったり。
情熱的でドキドキするようなラブ・ストーリーが、優雅な旋律に乗って紡ぎ出されます。
アルゼンチン・タンゴやサルサなど、ペアで踊るダンスの多くは男性がその流れをリードしますが、
マリネラの主導権を握るのは女性です。
軽やかにスカートを翻しながら男性をリードしていくその様は、
気まぐれな蝶のようでありながら、女王然たる気品にも溢れています。

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マリネラ・リメーニャのコンクール、幼児の部。
こんな小さなカップルでさえ、恋の駆け引きは真剣そのもの!
ペルーでは幼い頃からマリネラを習う人も多く、例え小学生であっても自分のパートナー相手に
大人顔負けのコケティッシュな魅力を遺憾なく発揮します。


マリネラは子供から大人、そして壮年のカップルまで幅広い年齢で踊られます。
その年齢、そのカップルに応じたそれぞれの恋の形を演出する。
それこそが国民に広く親しまれ、支持される理由の一つかもしれません。


★日本でも学べるマリネラ教室★
サンライズスタジオ
東京都練馬区旭丘1-26-4 B1F
ウェブサイト:sunrisestudio.jimdo.com



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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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