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オーストリア世界遺産ハルシュタットの神秘の歴史と冬ナイトウォーク

記事投稿日:2018/03/15最終更新日:2018/03/15

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オーストリアの湖水地方ザルツカンマーグートで最も有名な世界遺産の町、ハルシュタット。

その湖畔の美しい景観が世界中で知られていますが、実は景観よりもっと特別な、ここでしかありえない偶然が重なって作られた町なんです。

オーストリアの観光シーズンの中では避けられがちな冬ですが、今回はあえてそんなオフシーズンの夜に、この町の神秘の歴史を思い描きながら、世界遺産の町ハルシュタットを散策してみました。

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<アルプスと湖に囲まれたハルシュタット>

ハルシュタットの歴史

ハルシュタットの特殊さを語るには、恐竜時代にまでさかのぼらなくてはなりません。

1億年前までオーストリアの国土は海に沈んでいて、今のカリブ海のような小さな島に、小型恐竜が細々と住んでいました。ところが白亜紀に、アフリカ大陸がヨーロッパ大陸の下に潜り込み、地面を押し上げ、アルプス山脈が隆起しました。こうして、海底は山となって姿を現し、岩塩を含む地層となりました。

その後氷河時代に、アルプス山脈は巨大な氷河によって削られ、現在の山と湖の絶景が作られました。同じように氷河に削られて作られた、ノルウェーのフィヨルドとどことなく似た景観ですね。

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<氷河に削られたアルプスの険しい山並みと鏡のような湖>

こうやって、自然の力で変貌を遂げたアルプスの湖畔の土地に、5000年ほど前から人が住み着きます。これがハルシュタットを作った石器時代の人たちです。

この時代に塩鉱の採掘が始まっていたかは定かではありませんが、紀元前5世紀前からここで生活を始めた始めたケルト人は既に塩を掘り出して、ローマ人との交易に利用していたことがわかっています。

当時塩は「白い黄金」と呼ばれたほど高価で取引されていました。湖と険しい山に守られた地形に、宝の山とも言える塩鉱山。ハルシュタットは小さな村であるようでいて、その資源と立地の良さはヨーロッパでも群を抜いています。

ハルシュタットの塩の栄光はまだまだ続きます。ここから近いザルツブルクは、カトリックの司教座を持ち、中世にはウィーンよりはるかに大きな都市でした。そのザルツブルクの財政を支えたのが、アルプスの塩でした。

ハルシュタットがこのような特殊な歴史を辿ることができたのは、恐竜時代にこの土地が海の底だったおかげなんですね。宝の山である塩鉱を持ち、さらに山と湖に守られるという絶好の立地が、ハルシュタットの栄光時代を築いたのです。

冬の夜のハルシュタット

それでは、オフシーズンのハルシュタットはどんな感じなのでしょうか?その歴史を想いながら散策してみましょう。

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<冬のハルシュタット>

小さい町なので、1時間もあればゆっくり散策ができます。

ハルシュタットは湖と塩鉱山に挟まれた、とても狭い土地に富が集中して作られた町です。そのため、通路が狭く入り組んでいて、昔の人が土地を無駄なく使おうとした名残が見られます。

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<ハルシュタットを見下ろして。階段と坂道が多く、通路も狭い>

まずは写真で有名な尖塔の教会へと足を運びます。この教会は、19世紀に建てられたプロテスタント教会で、歴史はそれほど古くありません。

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<湖畔の教会>

この教会の側に船着き場があります。ハルシュタットはその立地からアクセスが悪く、対岸にある最寄りの鉄道駅から、この遊覧船かバスに乗るしかありません。このアクセスの悪さが、この土地の宝を守ってきたと言えるでしょう。

先ほどの尖塔の教会から背後の山を見上げ、四角い塔の教会の方に登ってみましょう。

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<古い歴史のあるカトリック教会>

この教会に登る道で特徴的なのは、Bedeckte Stiegeと呼ばれる屋根付きの階段通路です。まるで迷路のような細い曲がりくねった階段を昇って行くのは、冬や夜などの人の少ない時間帯はドキドキします。

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<屋根付き階段Bedeckte Stiege>

この階段を出たところに墓地があり、その奥がカトリック教会になっています。こちらの教会の方がはるかに歴史は古く、中世の頃から町を見守ってきました。ここからの絶景を眺めていると、自然と歴史の織りなす妙を実感できます。

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<カトリック教会からの眺め>

この教会の更に奥にある小さな建物が、有名なバインハウスです。ハルシュタットの土地不足は墓地でも例外ではありません。埋葬された死者を定期的に掘り起こし、納骨堂の役割を果たす「バインハウス」に遺骨を納めて、墓地の土地を再利用しました。こんなところにもハルシュタットの特殊な土地柄が現れていますね。

ハルシュタットの見どころは他にも多く、塩鉱山ツアーや、ケーブルカーで登ることのできる絶景ポイントなどがあります。冬期は営業縮小や休業中のところもありますので、ご注意ください。雪に囲まれた静かなハルシュタットを散策するのも、ハイシーズンには味わえない風情がありますね。

まとめ

有名な世界遺産の町ハルシュタットですが、その真の魅力は街の景観だけでなく、この山や湖を作った自然の力と、塩の富が歴史に与えた大きな影響であることは、お分かりいただけたでしょうか?

美しい景色だけを見て帰るのはもったいないですね。ぜひその大自然の恩恵を受けた歴史を思い出しながら、ハルシュタットの町を散策してみてくださいね。

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記事投稿日:2018/03/15最終更新日:2018/03/15

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