北海道の後志(しりべし)エリアが今、すごいらしい<その2>

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後志(しりべし)で「ワインと肴の新しい組み合わせ&楽しみ方」を提案しているのが「NPO法人ワインクラスター北海道」シニアソムリエである阿部眞久(まさひさ)氏だ。

阿部代表
<写真提供:阿部眞久>

1974年生まれ。故郷の仙台でホテルマンをしていた阿部氏は、1999年たまたま入った酒屋で1本の白ワインと出会う。それまで彼が持っていた国産ワインのイメージと言えば、飲むのが恥ずかしいもの、輸入ワインとブレンドして造った偽物というイメージだった。しかしその「北海道の詩」というワインは、ラベルにヴィンテージ、ヨーロッパ系品種名が書かれてあり、ぶどうの収穫地が深川市と記載されていた。日本のワインでもきちんと3点表示したものがあるんだなと思うのと同時に原料収穫地を明記していることに大変驚いた。裏ラベルの下にこのワインの作り手である北海道ワイン株式会社の社長名が書かれ、判が押してあり、そこからもワインに対する責任感が伝わってきた。コルクを抜くとそこには北海道のマークが焼印されていた。そのワインの味わいには慈しむような甘さとフレッシュな酸が広がる生きた風味があり、原料であるぶどうに対して素直にワインを作っている印象を受けた。ワインは輸入品が本物で、国産ワインは偽物、ずっとそんな思い込みがあり、自分の中に舶来主義があったことに気づいた。

阿部氏は、自分が惚れ込んだワインを広く一般に認知させていきたいという思いと、ワインのある楽しく新しい食文化を伝えていきたいと思う気持ちを自分自身で抑えきれず、家族の反対を押し切って仙台のホテルを退職し北海道に移住、北海道ワイン会社に入社したのは、あのワインと知りあって半年後、2000年のことだった。

北海道ワイン 施設
<北海道ワイン株式会社/写真提供:後志総合振興局>

小樽ワイン
<写真提供:後志総合振興局>

そして、さらにワインの知識を経験を積み重ね、13年後の2013年、北海道にワイン文化の創出、経済発展と地域振興に貢献したいという思いを実践するために「NPO法人ワインクラスター北海道」を独立起業した。現在はソムリエより遥かに難しいシニアソムリエの資格を取得、さらに北海道フードマイスター、北海道らしい食づくり名人等の顔を持つ。

阿部代表
<写真提供:後志総合振興局>

阿部氏は語る。「世界中の食文化を取り入れた日本の食卓に、ワインの楽しさと魅力が加われば、新しく楽しい日本の食文化が誕生するだろうと確信しています。ソムリエという仕事を通して多くの人々にさまざまな食材や料理、ワインの楽しみ方を伝えていくことを一生かけてやっていこうと思っています。」

北海道は国内最大の醸造用ぶどうの産地だ。ワイナリーが続々と増えているワインの産地でもある。冷涼な気候に向くぶどう品種が多いため、白ワインが多いことが特徴だ。北海道産ワインの魅力はふくよかな香り。北海道の気候はぶどうの香りを品種ごとにしっかりと残し、ひとことで白ワインとくくれないほど多彩な味や色を醸す。例えば「空知」のワインは土地のミネラルを感じる硬めでキレのよい味わい。

空知ワイン
<空知ワイン/写真提供:阿部眞久>

対して「後志」のワインは、西からの温かい風や冬の積雪の影響からぶどうの甘みが増し、やわらかでフルーティな味に仕上がる。アロマティックな香りや甘さが際立つ、海外のワインにはない味わいも魅力だ。

甘口のワインは料理と合わせにくいと言われるが、ワインの甘さは料理の脂肪分となめらかに調和する。生食用品種のポートランドやナイヤガラは、カマンベールチーズやクリームソースなどの乳脂肪とよく調和し、それら特有のマスカット香はマリネなどの調味に熱せずに使うと果実の風味が加わり、味わい豊かになる。スペアリブなどの甘みのある味つけや豚バラ肉の焼き肉など脂肪の多い肉料理にはキャンベルのロゼワインがよく合う。

キャンベルスアーリー
<キャンベル ロゼワイン/写真提供:ベリーベリーファーム仁木>

北海道はアウトドアでワインを楽しむのがどこよりも似合う場所だ。絵になる。

アウトドア 食事
<写真提供:黒松内町>

バーベキューと露天風呂を同時に楽しむ
<写真提供:後志総合振興局>

ワイン
<写真提供:後志総合振興局>

阿部氏はさらに語る。

「北海道のワインは海外に輸出して「ワインを旅させる」のではなく、気候や食と一緒に味わうことで「ワインを目指して旅してもらう」ことに価値があると思うんです。」

「北海道のワインを試飲し、土地の物語を知り、北海道の気候風土の特徴や北海道の食材との組み合わせ、そして農家や醸造家たちの物語が、ワインの味わいをさらに深めてくれるんです。」

「大型機械が行き来できる垣根式のぶどう畑は北海道の特徴のひとつです。

ぶどうを斜めに植えることで、雪の重みで幹が折れないようにしたり、冷気に当てずに雪の下で保温するといった北海道ならではの栽培方法を知れば、北国のワインの味はさらに特別なものになることでしょう。」(上記文章は、阿部氏公式ブログ/日本ソムリエ協会機関紙「ホテルマンから葡萄畑へ」/札幌市(観光)ホームページより引用)

葡萄畑
<写真提供:後志総合振興局>

葡萄畑
<写真提供:後志総合振興局>

葡萄畑
<写真提供:後志総合振興局>

さて、阿部氏が出会い、惚れ込んだ後志のことを話そう。

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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