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北海道の後志(しりべし)エリアが今、すごいらしい<その1>

あなたは後志(しりべし)という場所をご存じだろうか?
今、この後志がかなり熱いらしい。
北海道の西部に位置し、20の市町村で構成されたエリアを指すのだが、後志の話をする前に、あなたはこういう新しい潮流が起こっていることを聞いたことがあるだろうか。
NPO法人「ワインクラスター北海道」代表である阿部眞久(まさひさ)氏は「これまでの常識に囚われない食材とワインの組み合わせ」を提案している。
例えば、アンコウと言えば、茨城県が有名だとか、冬の魚というイメージを抱くかもしれない。しかし北海道の日本海沿岸は一年を通してアンコウの漁獲量が多く、夏は価格も安くておいしい。
アンコウの調理方法といえば、鍋もうまいが後志産のトマトと蒸し煮にするのもいい。さっと湯通ししたアンコウの切り身を鍋に入れ、白ワインをふりかけ、濃厚なトマトジュースを注ぐ。
するとアンコウから出た水分とトマトのうまみ十分のスープの中で、アンコウの七つ道具と呼ばれる部位が煮えてくる。味付けはシンプルに塩のみ。あとバターを入れてひと煮たちさせるとトマト、バター、魚のスープの豊かな香りに満ちた洋風のアンコウ料理があっという間に完成。この料理にはほんのり甘みと果実の香りのする後志産の白ワインがぴったりだと阿部氏は語る。
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<写真提供:阿部眞久>
またこういう話もある。赤井川村の米を用いたどぶろく(日本酒を発酵させただけの白く濁った酒)はサイダーで割るととてもおいしい。
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<写真提供:後志総合振興局>
黒松内町には「車庫焼き」という文化がある。文字通り、車庫の中で焼くバーベキューなのだが、これには「親どり」が欠かせず、タレにも2つの流派がある。
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<写真提供:黒松内町>
北海道の魚と言えばニシンが思い浮かぶが、これをレモンとマヨネーズと合わせてマリネにする。これにぴったり合うワインは北海道ケルナーの白だ。(阿部氏)
<写真提供:八丸 堀内水産食品>
濃厚な旨みが凝縮したドライトマトとアンチョビにクリームチーズの滑らかさを加えてみる。
口の中で変化していく味わいのフィニッシュには、余市のナイヤガラというスパークリングワインの風味と膨らみと炭酸の泡が心地よくマリアージュする。(阿部氏)
デザートチーズとデザートワインの組み合わせでこういうのはどうだろう。
ニセコチーズ工房のチーズ「雪花」には余市のケルナーアウスレーゼとのペアリングが甘く華やかだ。(阿部氏)
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<写真提供:ニセコチーズ工房>
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<写真提供:オチガビワイナリー>
どうだろうか。北海道の中でこういう動きがあることをご存じだったろうか。
北海道と言えば、カニ?鮭?ホッケ?もちろんそれらも旨いが、北海道の奥深さはそれだけではない。ヨーロッパに近い緯度(北緯43度でフランスのマルセイユと同じ)にある後志で「酒と肴の新しい出会いを楽しむ大人の企画」が生まれている。
この企画の中心人物がNPO法人「ワインクラスター北海道」代表でシニアソムリエである阿部真久氏である。
阿部氏とはどんな人物なのだろうか
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シンジーノ
- ローマと北京に駐在歴あり。海外渡航歴は36か国。日本は47都道府県踏破。「お客さんが”笑顔”で買いに来る商品」を扱う仕事がしたいと旅行会社に入って三十余年。今はその経験を基により多くの人に「旅の魅力」を伝えるべく“たびこふれ”にいます。モットーは「その土地の温度が伝わるような血の通った記事を書く。」旅はカタチには残りませんが生涯忘れられぬ宝物を心に残してくれます。たびこふれを通じて、人生を豊かに生きる力を秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきます。




























