ペルー初の日系グルメフェスティバル「ゴチソウ・ペルー」

ペルー発の「Comida Nikkei(ニッケイ料理)」をご存知ですか?今から約120年前、1899年に南米ペルーへと移住した日本人の子孫たち(日系ペルー人)が生み出した、新しい食のジャンルです。ペルーの豊かな食材で自分たちのルーツである日本の味を再現したり、ペルーの伝統料理に日本ならではの素材や調理法を加えアレンジしたニッケイ料理は、ラテンアメリカをはじめ北米やスペインでもいま注目の的。2017年ラテンアメリカトップ50レストランの一位がリマのニッケイ料理レストラン「Maido(マイド)」だった事実からも、日本人が揶揄する「なんちゃって和食」とは一線を画していることがお分かりいただけるでしょう。そのニッケイ料理をもっと知ってもらおう、もっと味わってもらおうというコンセプトで開催されたのが、「Gochiso Perú(ゴチソウ・ペルー)」。ペルー初のニッケイグルメ・文化フェスティバルです。

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これがペルーのニッケイ・ワールド!

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リマ市サン・ミゲル区の海岸沿いにあるイベント会場「Domos Art」で10月末に開催されたゴチソウ・ペルー。コンサートやダンス用のステージを中心に日本食・雑貨を扱う売店が並ぶ大ドームと、日本のお酒やビールが飲める小ドーム、そしてレストランブースに囲まれた野外広場で構成されています。午前11時開始にもかかわらず、昼過ぎにはもうほとんどの座席が埋まるほどの盛況ぶりで、最終日には当日券も完売でした。

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こちらはペルーの日系史を紹介するブース。今年はちょうど、ペルー日系人協会設立100周年と日秘文化会館創立50周年という節目の年にあたります。ペルーは南米で初めて日本人移民を受け入れた国。しかし初期日本人移民の生活環境は悲惨で、過酷な労働や栄養失調、慣れない気候風土のために多くが命を落としました。仲間の死を乗り越えながら異国の地に根を下ろしていった日本人たち。彼らの子孫である日系人たちは、両親や祖父母の国である日本の文化をとても大切にしています。

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いまでは遠く離れた日本の食材も簡単に手に入るようになりました。日本の調味料やお菓子、新鮮な野菜も売られています。しかも「今日はイベントだから、店頭価格よりちょっと安くしてるよ!」と嬉しいサービスも。ゴチソウ・ペルーの主役はニッケイ料理レストランですが、周りを固める店もみな協力しあってイベントを盛り上げるところに、日系人の優れた団結力が現れています。

バラエティ豊かなニッケイ料理をどうぞ

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ニッケイ料理の代表作ともいえる創作マキ(変わり巻きずし)を始め、進化版の現代ニッケイ料理、そしてうどんやラーメン、ヤキトリといった大衆料理まで、多種多様なブースが軒を連ねる野外広場。中にはペルーの代表料理であるセビーチェを出す店もありました。現代ペルー料理は特に鮮魚の扱いに関し、日本の調理技術や保存法、衛生管理などの影響を強く受けています。リマ市内のセビチェリア(セビーチェを始めとするシーフード料理の専門店)では、日系人が刺し身をイメージして創作したといわれるティラディートはもちろん、創作マキもすっかり定番メニューになり、ペルー料理とニッケイ料理の線引きはますます曖昧になっています。ペルー料理自体も、もとはアンデス世界を支配したスペインに加えアラブやアフリカ、イタリア、フランス、中国、そして日本といったさまざまな移民の食文化が融合してできたもの。だからニッケイ料理のイベントにセビーチェが混じっていても、全然不思議ではないんです。

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数ある店の中で最も注目を集めたのが、先ほどご紹介した「Maido(マイド)」のブース。来場者が増えるにつれ他店も盛況になっていきましたが、マイドだけは開始直後から長蛇の列ができていました。マイドは平均客単価S/320(約1万1200円)、コースS/ 415~635(約1万4500~2万2300円)という高級レストラン。その料理をわずかS/17(約600円)で味わえるのですから、並ぶ価値は十分です。とはいえ最長で2時間待ち!泣く泣くあきらめた人もいたようです。

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早く会場に着いた私は、マイドの料理をしっかりゲット!こちらがマイドの「Carrillera Nitsuke con Yakimeshi」、豚の煮つけと焼飯のセットです。パラパラに仕上がった焼飯と、しっかりした味付けの豚肉との相性が抜群。スプーンで食べられるほど柔らかく煮込まれた豚肉に、あちこちから感動の声が上がっていました。

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ニッケイ料理といえば、やはり「Maki(マキ)」。レモンが利いたセビーチェ風味のソースが特徴の「Acevichado(アセビチャード)」は、ペルー人が大好きなマキの1つです。

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リマではすっかりお馴染みの「ラーメン」。こちらも飛ぶように売れていました。

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行列といえば、「たこやき」も負けてはいません。日本のアニメやマンガにも頻繁に出てくるからでしょう、特に若い層に人気がありました。

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アルコール類ももちろん日本産!アサヒ、キリン、サッポロビールと沖縄のオリオンビール、日本メーカーのウィスキーと日本酒。とてもここが地球の裏側だとは思えませんね。小ドームの一角ではカラオケも楽しめるようになっており、ビール片手に熱唱する人たちが大勢いました。

大成功に終わった第1回ゴチソウ・ペルー。来年は、リマで行われる4月恒例の「Festival Cultural Nikkei(ニッケイ文化祭り)」に合わせて開催する予定だとか。「ペルーに来てわざわざ日本料理なんて」という人も、ニッケイ料理ならチャレンジする価値ありです。ペルーのニッケイ・ワールドをぜひ体験してみてください。

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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