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インカ皇帝終焉の地「カハマルカ」は別名ペルーの北海道!?
ペルー北部、人口約153万人の州「Cajamarca(カハマルカ)」。ラテンアメリカ最大の金鉱ヤナコチャを始め、いくつもの金・銀・銅山を有する鉱山の街として有名です。また気候が温暖で、酪農も盛ん。"ペルーの北海道"なんて呼ぶ人もいるそうですよ。そんなカハマルカの州都カハマルカは、植民地時代に造られた見事な教会や建物が今も多く残る風光明媚な場所。街の規模も小さく人の往来もそう多くないので、そぞろ歩きにぴったりです。
コロニアル建築の建物が多く残る風光明媚な街
街の中心にある「Catedral de Santa Catalina(カテドラル)」。たわわに実ったブドウと蔓(つる)が、ファサード(正面の壁)を埋め尽くすようにぎっしり彫りこまれています。カテドラルが建設された1600年後半のアンデス世界では、旧大陸から持ち込まれたばかりのブドウはまだ未知の植物だったはず。とても美しいファサードなのになんとなく違和感を覚えるのは、作り手の戸惑いまでもが刻み込まれているからかもしれません。
シンプルな内装と、豪華絢爛な黄金の中央祭壇との対比が見事なカテドラルの内部。カハマルカの鉱山で採掘された金も使われているのでしょうか?
カハマルカの名が歴史の表舞台に登場したのは、1532年11月のこと。玉座をかけた争いに勝利し、当時プルタマルカと呼ばれたこの街に逗留していた皇帝アタワルパは、スペイン人侵略者フランシスコ・ピサロの奇襲にあい、あっという間に捕えられてしまいました。そのアタワルパが幽閉されていたのが、この「Cuarto de Rescate(身代金の部屋)」です。
囚われの身となったアタワルパは、命の保証と引き換えにこの部屋いっぱいの金をピサロに贈ることを約束しました。その約束を果たしたにもかかわらず、ピサロはアタワルパを処刑してしまいました。
アルマス広場の南西に、「Cerro Santa Apolonia(サンタ・アポロニアの丘)」へと続く長い階段があります。カハマルカの標高は約2,750m。息を整えながら、ゆっくり登ってみましょう。
サンタ・アポロニアの丘から街を眺めると、周囲を山に囲まれた盆地になっているのがよく分かります。この丘には「Silla del Inca(インカの椅子)」と呼ばれる大きな石がありますが、インカ皇帝が座ったかどうかは定かではありません。でもこの丘の上から村々を見下ろし、国家の行く末に想いを馳せることはあったかもしれませんね。
街にはフレッシュな乳製品がいっぱい!
再び街に戻ってみましょう。先ほどカハマルカは酪農が盛んだとお伝えしましたが、カハマルカの乳製品は全国的に有名で、街にはこうした乳製品を売る店があちこちにあります。チーズ、牛乳、バター、ヨーグルトのほか、マンハールブランコという練乳で作った甘いクリームや、そのクリームを挟んだビスケット、蜂蜜などが人気。種類が多いので、どれを買うか迷ってしまいます。
カハマルカに来たら、フレッシュミルクから作ったアイスクリームをぜひ!チョコレートやバニラのほか、ペルーならではのフルーツを使ったアイスクリームもありますよ。日中のアンデスの陽射しは冬でも強烈なので、特に美味しく感じられます。
夕方になると、ミルク売りの行商人も登場。バケツに入った牛乳をビニール袋に直接注ぐため衛生面がちょっと心配ですが、よほど新鮮なのでしょうか、次々とお客さんが訪れていました。乳製品販売店の軒先を借りてミルクを売るなんて、なかなか大胆ですね。でも互いに顔見知りなのか、店の人が怒る気配はありません。
こんなのんびりした光景が残っているのも、アンデスの街ならでは。次回はカハマルカ名物の温泉をご紹介します。
★Cajamarca/カハマルカ★
交通:リマから飛行機で1時間20分、バスで14~15時間。
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。