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春の到来を告げる♪ 見た目にもおいしい「カーニバルのお菓子」
イタリアではクリスマスの後に「カーニバル」と呼ばれる期間があります。街中にお菓子が陳列され、イタリア全体が賑わうイベントです。ここではそんなイベントの楽しみ方、当日目にするお菓子のラインナップについて紹介します!
目次
「カーニバル」の本来の意味とは
ナターレ(クリスマス)シーズンが終わると、街中のお菓子屋さんのショーウインドウはカーニバルのお菓子の陳列へと衣替えします。毎年恒例「待ってました!」とばかりに色とりどりのお菓子が並びます。このお菓子達は、カトリック教徒が多いイタリア人の生活習慣に密接に結びついていると言われています。
カトリックの暦上には、春先のお祭りとしてカーニバル(謝肉祭)という期間があります。それは、復活祭から46日前の水曜日であるクアレージマ(四旬節)のはじまる前までとされており、毎年復活祭の日付が変わるため、カーニバルの期間も変動的です。
カーニバル前のクアレージマ期間は断食の期間にあたります。そのため、この期間に入る前に大いに食べて飲んで皆で楽しもうという意味から、カーニバルという行事が生まれたと伝えられています。
カーニバルの楽しみ方
私の住むヴェネト州では、有名なお祭りであるヴェネチアのカーニバルがあります。ヴェネチアのカーニバルは、仮装した人々が街のシンボルであるサン・マルコ広場を中心に道々を練り歩くことで有名です。
その期間は街中がさながら仮面舞踏会のよう。世界中から集まるプロの仮装師をはじめ、キャラクターなどの着ぐるみをつけた人、もしくは目の周辺のみを隠す小さな仮面などをつけた人などがあふれ、ヴェネチアの島にいる全ての人が役者となれるのです。
ヴェネチアらしい小さな路地を中世の格好をした人々が歩き回り、ときにはウインドウショッピングを、ときにはカフェでコーヒーを飲む姿を見ることが日常となる、とても特別感のあるシーズンです。
そして、子供たちにとってもこの時期は仮装するのが楽しみな時期です。男の子はキャラクターなどの着ぐるみを、女の子はお姫様のドレスなどを身にまとい街中に出かけます。
街の中心の広場に行くと細かな紙吹雪を子供たちは手にし、それを投げ合って遊ぶのが恒例。この紙吹雪はコリアンドリと呼ばれていて、街角の新聞屋さんやタバコ屋さん、スーパーや文房具店などで売られており、この時期では街の道路で色とりどりの小さな紙吹雪が舞ってとてもきれいです。
伝統的な揚げ菓子「ガラーニ」は呼び名がいろいろ
このように、皆が時節の物としてお菓子を待ちわびているのもカーニバル本来の意味を知れば、納得。イベントでよく目にするのは、とにかくカロリーの高そうな揚げ菓子なのです。
そんな伝統菓子のひとつが、のばした薄い生地を長方形に切って油で揚げ、粉糖をかけた「ガラーニ」というお菓子です。シンプルなものですが、サックサクな仕上がりのこの菓子は、一度食べたらやめられない代物。
そしてこの「ガラーニ」の面白いポイントが、地域によって呼び名が変わるところです。私の住むパドヴァでは、前述の通りガラーニというのが一般的なのですが、そのほかクロストリ、キアッキエレ、ブジーエ、フラッペ......などさまざまな呼び名があります。南北に長く、また地域性があるイタリアの風習をこのお菓子の名前で表しているかのようですね。
最近の健康志向の高まりにのり、油で揚げることにより高カロリーとなるガラーニに対し、オーブンで焼いて仕上げたものなども出回るようにもなりました。
不動な人気の定番菓子「フリッテッレ」
もうひとつ、カーニバルで忘れていけないお菓子。それが、「フリッテッレ」です。
これは、いわゆる揚げドーナツのようなものですが、しっかりと発酵させた生地を油で揚げるので、モチモチとした食感です。中にカスタードクリームやザバイオーネ(卵をマルサラ酒を加えながらかきたてるクリーム)などを入れたものなどがあります。
大きさは一口サイズのコロコロっとしたものやら、こぶし状くらいの大きさのものなどさまざま。お菓子屋さんのショーケースの中には、小さなボール状のフリッテッレがぎっしりと並べられていて、見た目にも楽しいものです。
人気店ともなると朝食代わりに、食後や食間のおやつ代わりにとさまざまなニーズに応えて、どんどん揚げたてのフリッテッレが店内に運ばれてきます。
地元の人たちによく知られるフリッテッレの評判店は、この時期になると店内からはみ出すほどの人で賑わいます。
たくさんのお菓子が並ぶカーニバルの時期を終えると、心なしか空気も春の訪れを感じるようになります。そして、続くは復活祭のお菓子へ......。とにかく、年末から新年、そして春に向けてはイベント続きでそれに伴う菓子がそれぞれに出回り忙しい時期が続きます。
ぜひイベントの季節に合わせて、イタリアへ旅行してみてはいかがでしょうか?
(執筆・撮影:Italyii ライター Aki Shirahama)
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