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【コラム】だまし絵と漁師たちの小さな街。リヴィエラ海岸の穴場「カモーリ」を楽しむ5つの方法
北イタリアはリグーリア州のリゾート地である、リヴィエラ海岸にたたずむ小さな漁師町、カモーリ。一見のどかな町ですが、「建物にだまし絵を描く」という不思議な風習によって話題の観光スポットになっています。
このコラムでは、そんなカモーリの魅力についてご紹介しています。
※写真はイメージです。クリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています。
参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
だまし絵がいっぱい!リグーリア州の不思議な町「カモーリ」とは?
Photo by Pixabay(CC 0)
イタリア半島の長靴の付け根近くにあるリグーリア州。北イタリアのリゾート地としても有名なリヴィエラ海岸沿いに、小さな漁師町カモーリはあります。
この周辺では国際的なリゾート地ポルトフィーノなどが有名ですが、実はこの小さなカモーリの街は知られざる魅力にあふれたリヴィエラの穴場なのです。
はじめに:海洋王国ジェノバについて
カモーリはリグーリア州のジェノバ県に位置し、州都ジェノバからも近い町です。ジェノバはコロンブスが生まれた場所としても有名で、12世紀にはイタリア海洋王国の2強といわれ、アドリア海のヴェネツィアと並んで東洋との海上貿易によって栄えました。
ジェノバを一大海洋王国とならしめたリグーリア海は、いまでもその周辺の街に豊かな海の恵みをもたらしています。
「Camogli」Photo by umberto(CC BY-SA 2.0)
リヴィエラ海岸東部の概要と、カモーリについて
カモーリのある場所はリグーリア海に面したリヴィエラ海岸の東部。西部と比べて砂浜が少なく、いきなり崖が海から出ているためビーチがほとんどありません。
背後には山の斜面が迫り、まさに海と山に囲まれた小さな隠れ家のような形をしています。
そしてカモーリはまぎれもなく漁師たちの町。小さな漁港にはたくさんの漁船が繋がれています。漁港を取り囲むようにして立ち並ぶ家々は、どれもとてもカラフル(※)。
山と海に囲まれた小さな空間に色とりどりの家々と漁船、そして青い海がひしめく様子はなんとも風情があります。漁師たちがせっせと作業をしている様子も、のどかな漁師町らしい光景です。そんなカモーリ散策を楽しむ5つの方法を、これからご紹介していきましょう。
※編集部註:イタリアの漁師町の壁がカラフルな理由は諸説ありますが、早朝に漁から帰ってきた人々が、霧の中でも自分の家を間違うことのないように家の壁をバラバラの色にしている、という説があります。これは世界遺産のチンクエ・テッレや、ヴェネチアのブラーノ島などでも同様の傾向が見られます。イタリアを訪ねたときは、ぜひチェックしてみてください!
1.どれが本物?カモーリ名物「建物にだまし絵」
カモーリはのどかでこぢんまりとした街ですが、実はとても面白いものがあります。それは、だまし絵。
町を散策していると、建物の様子になんだか違和感を覚えてくることでしょう。よく見ると、建物の窓やレンガが「だまし絵」になっているのです。
中には窓のほとんどがだまし絵だったり、窓枠に猫までも描かれた凝ったものがあったりもします。
「Camogli」Photo by ho visto nina volare(CC BY-SA 2.0)
実は、かつてカモーリの街では窓ひとつひとつが課税の対象(※)だったそう。そこで、本物の窓は少なく、けれど外からは窓があるように見せるため、このだまし絵の風習が生まれたのだといいます。
街のあちこちにあるだまし絵を探して、面白いものを見つけるのも楽しみのひとつです。
※編集部註:住民たちが課税から逃れる工夫としては、南イタリアの世界遺産アルベロベッロなども家に対する課税を逃れるため、「すぐ建てられてすぐ壊せる」ような家にしているという説があります。当時の厳しい税制と、それから逃れるための人々の工夫が独自の風習として定着しているのも、イタリアの興味深いところです。
「Camogli 2014」Photo by ho visto nina volare(CC BY-SA 2.0)
2.カモーリに来たら、ビーチで日光浴を!
砂浜のほとんどないリヴィエラ海岸東部に珍しく、カモーリの街には小さなビーチがあります。北イタリアにしては冬でも温暖な気候のカモーリでは、ビーチは人々の憩いの場。
ビーチ沿いには歩行者天国があり、そこにはカフェやレストランが軒を連ね楽しげな雰囲気を醸し出しています。ビーチで日光浴をしつつ、お腹が空いたら海を眺めながらランチ......そんな最高の時間を過ごせますよ。
3.絵画のような美しさ。「サンタ・マリア・アッスンダ教会」と「ドラゴン城」
青く輝くビーチ沿いを辿っていくと、その先にあるのが、サンタ・マリア・アッスンダ教会です。教会は街並みに合わせたようなパステルカラーのネオクラシック様式。ビーチ側から眺める教会の姿は、まるで絵葉書から抜け出してきたような美しい風景です。
そのすぐ隣にあるのがドラゴン城。海に面したカモーリの街は、かつて海賊の襲撃に悩まされていました。そこで、海賊から街を守るために作られたのが海に張り出したこの堅牢な砦。
いまでは青く輝くリグーリア海を一望できる絶好のロケーションが、訪れる人々の心を捉えています。
4.カモーリの隠れ名物、フォカッチャをほおばろう!
Photo by Luca「Store specialized in Focaccia」(CC BY 2.0)
そして、カモーリで食べられるものといえば、当然新鮮な魚介を使った料理の数々。ですが、そのほかにフォカッチャも隠れた名物です。様々なバリエーションのフォカッチャを食べられるRevello Focacceriaは、かつて日本進出の予定もあったという有名店。
ビーチの近くにあるため、ここでフォカッチャをテイクアウトしてビーチでのんびりいただくにはピッタリです。
5.ジェノベーゼ・ペーストをお土産に
ここでのお土産といえば、ジェノヴァに近いこともあって日本でもお馴染みのジェノベーゼ・ペースト(現地ではペストと呼ばれます)。街中にはそれぞれの店こだわりの瓶詰がたくさん売られています。
実は、このペストはコロンブスの大好物だったそう。コロンブスは、スペイン王国から命を受けて新大陸発見に向け出港しましたが、ジェノヴァ出身の彼はその時、船にふるさとの味ペストを大量に積んで出発したのだといいます。そのおかげで彼は病に倒れることなく航海を終えたのだとか。
松の実、すり潰したフレッシュなバジル、パルメザンチーズ、オリーブオイルを合わせたペストは栄養たっぷり。コロンブスに思いを馳せながら、パスタなどに絡めて頂くととっても美味です。
さて、リヴィエラ海岸に佇む小さな宝石のようなカモーリの街。いかがでしたでしょうか。
これからの季節、リグーリア海はますます輝きを増し漁師町は活気付いてくる頃です。大都市ジェノヴァからもほど近いので、少し足を伸ばして北イタリアの隠れ家リゾートでプチバカンスなんて素敵ですね。
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