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街中で芸術鑑賞!?ウフィツィ美術館手前の回廊「ロッジア・ディ・ランツィ」
※編集部註:2018年12月、加筆修正をいたしました。
フィレンツェ観光の拠点とも言えるシニョリーア広場。ここからウフィツィ美術館へ向かうルートは、フィレンツェ観光の定番と言えるでしょう。
その道中に見える回廊が、「ロッジア・ディ・ランツィ(ランツィの回廊)」と呼ばれています。ここにはルネサンス期の彫刻が並び、建築自体も14世紀頃から存在するとされる歴史の長い建物。ウフィツィ美術館の入場前から、芸術鑑賞を楽しめるスポットです。
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ウフィツィ美術館手前のロッジア・ディ・ランツィとは
<ヴィンテージ写真に映るロッジア・ディ・ランツィ。Photo by Pixabay(CC0)>
ロッジア・ディ・ランツィは、非常に高さがあり間口の広いアーチが特徴的な回廊です。建築された年は14世紀頃とされ、諸説あるもののフランチェスコ・タレンティ(Francesco Talenti)と言う建築家が建てた、とされるのが有力です(※)。
この回廊は雨天でも集会やセレモニーなどを行えるように作られたと言われるほか、屋根がテラスになっています。これはフィレンツェの名門一族メディチ家のために作られたとされ、一族が広場の式典を観覧する特等席のようなものだったそう。
現在でも、ロッジア・ディ・ランツィは観光スポットや地元の人々の待ち合わせ場所として賑わいを見せています。
※参考:encyclopedia.com-Talenti, Francesco(外部サイトに移動します)
野外彫刻展示場となっているロッジア・ディ・ランツィ
ロッジア・ディ・ランツィには複数の彫刻が展示されており、ここだけでも芸術鑑賞を楽しめます。
主な彫刻は以下の通り。このほかにも、さまざまな彫刻があります。
- マルゾッコ(大理石の獅子像):古代ローマ時代のもの
- マルゾッコ:1598年制作のコピー
- 「パトロクロスを抱きかかえるメネラウス」像
- ジャンボローニャ作「サビニの女たちの略奪」
- ベンヴェヌート・チェッリーニ作「ペルセウス」
- ピオ・フェンディ作:「ポリュクセネーの陵辱」
特に注目して欲しい像について、解説を交えながらご紹介しましょう。
フィレンツェの象徴マルゾッコ(Il Marzocco、大理石の獅子像)
<フィレンツェでは各地にマルゾッコが見かけられます。写真:Italyii(イタリィ)編集部>
マルゾッコは、フィレンツェ共和国時代において百合の花と共にフィレンツェの象徴とされています。イタリアは、地域によってシンボルとなる動物が存在するのですが、こうしたシンボル付けは中世に広まったものだそう。
フィレンツェ以外の動物シンボルとしては、シエナの狼なども有名です。たびこふれの別記事にて、シエナの狼を紹介しているものがありますので、ぜひご覧ください。
関連記事:「シエナのシンボル」とオオカミの伝説。シエナが誕生した由来とは?
ジャンボローニャ作「サビニの女たちの略奪」
<「サビニの女たちの略奪」はさまざまな角度で鑑賞したい作品です。写真:Italyii(イタリィ)編集部>
「サビニの女たちの略奪」は、単一の大理石の塊から彫りだし作品。ジャンボローニャの最高傑作と言われています。こちらは何とオリジナルの作品なのだそう。制作年は1583年とのことですので、400年以上も存在することに驚きますね。
題材となっている「サビニの女たちの略奪」とは、古代ローマから伝わるお話の一つ。ジャンボローニャだけではなくさまざまな芸術家が、その様子を彫刻や絵画で表しています。
参考:Wikipedia-サビニの女たちの略奪(外部サイトに移動します)
ベンヴェヌート・チェッリーニ作「ペルセウス」
<ベンヴェヌート・チェッリーニ作「ペルセウス」Photo by Pixabay(CC0)>
「ペルセウス」は1554年に作られた青銅の像で、こちらも複製ではなくオリジナル。やはり400年以上にわたって存在しています。ただし、台座は複製版とのことでオリジナルはフィレンツェのバルジェッロ博物館に展示されています。
ペルセウスは古代ローマではなくギリシア神話に登場する英雄的な存在。有名なエピソードとしては、髪が蛇でできており見たものを石に変える力を持つメデューサ退治があります。
この銅像は、まさにメデューサを退治し終えた直後をイメージしたものですが、戦いを終えた後の顔はどこか物憂げな表情。
同じエピソードを表したペルセウス像は、アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館にも存在しますが、そちらは自信に溢れた青年を思わせるのに対し、フィレンツェのペルセウスは冷徹な印象を与えます。
一説には、ベンヴェヌート・チェッリーニに像の制作を命じたメディチ家のコジモ一世が、当時の政敵や反抗勢力に対して「(メデューサのように)首をはねてやる」と警告する意図があったのでは、と言うエピソードも存在します。
神話や寓話をベースに、風刺や隠れたメッセージを表現することは古今東西に存在しますが、このペルセウスもそうした意味があるのかもしれないと思うと、一気に見方が変わってくるのではないでしょうか。
参考:Wikipedia-ペルセウス(外部サイトに移動します)
参考:Wikipedia-コジモ一世(外部サイトに移動します)
ロッジア・ディ・ランツィ周辺の治安について
最後に、治安について紹介しましょう。ロッジア・ディ・ランツィは前述の通りシニョリーア広場の一角にあるため、観光客から地元の人々まで混雑しています。比較的治安は良いのですが、特に注意して頂きたいのがスリ。
彫刻や建築の美しさに目を奪われていると、いつの間にかスられてしまった......と言う声もよく聞きます。友人や家族と一緒にいるときも油断しないようにしてください。
注意すべきポイントはありますが、ここからウフィツィ美術館を含めたルートは、芸術に浸り切るのにぴったり。普段あまり芸術鑑賞をしないと言う方も、散策しながら鑑賞してみてはいかがでしょうか?
基本情報
名前: ロッジア・ディ・ランツィ(ランツィの回廊、Loggia dei Lanzi)
住所:Piazza della Signoria, 50121 Firenze FI,
ウフィツィ美術館公式サイト:https://www.florence.net/galleria-degli-uffizi/
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