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リマのサンタ・ロサと、願いが叶う奇跡の井戸
かつてはペルーの国教であり、いまでも国民の大半が信仰し続けるカトリックには、あまたの聖人が存在します。中でも「Santa Rosa de Lima(サンタ・ロサ・デ・リマ/リマの聖女ロサ)」は、特に崇敬を集める聖人の1人。アメリカ大陸で最初に列聖されたサンタ・ロサは、ペルー共和国やリマ市はもとより、インドやフィリピンなどさまざまな国や都市、またお針子や花屋などの職業にも大いなる加護を与えています。ペルーでは8月30日が「サンタ・ロサの祝日」とされ、リマ旧市街のセントロ歴史地区では厳かな聖行列が行われます。
美しいサンタ・ロサ、その名前の由来は?
慈愛に満ちたお顔のサンタ・ロサ・デ・リマ。本名はイサベル・フローレス・デ・オリバですが、なぜ「ロサ(バラ)」と呼ばれるのでしょう?それは生まれたばかりの彼女があまりにも美しく、まさに咲き誇るバラのようであったから。その逸話を知った当時の大司教が、彼女の堅信式の際にロサの名を与えました。
サンタ・ロサの祝日を祝う聖行列は、前日の29日から始まります。行列はこの日、サンタ・ロサの聖体を安置している「Basílica y Convento de Santo Domingo(サント・ドミンゴ教会・修道院)」から出発し、リマのカテドラルへと向かいます。ドミニコ会の印である黒衣に身を包み、シンボルのバラの冠をかぶった麗しの聖女ロサ。司教や修道士たちのほかに大勢の警察官がいるのは、彼女がペルー国家警察の守護聖人でもあるからです。
アルマス広場に面した大統領宮殿の前を通過する聖行列。警察官がこれだけ揃うと、厳かというよりちょっと物々しい雰囲気ですね。
アルマス広場を粛々と進んできた聖行列が、カテドラル(大聖堂)に入っていきます。カテドラルでは翌日(8月30日/サンタ・ロサの祝日)午前中に盛大なミサが執り行われ、その後リマの歴史地区を練り歩いた聖行列は再びサント・ドミンゴ教会へと戻っていきます。
願いが叶う奇跡の井戸
こちらはサント・ドミンゴ教会・修道院から3ブロックの位置にある「Santuario Santa Rosa de Lima(リマのサンタ・ロサ教会)」。パテオには、彼女が祈りを捧げた小さな礼拝堂や「Pozo de Santa Rosa(サンタ・ロサの井戸)」と呼ばれる奇跡の井戸があります。自分自身の体を痛めつけることで少しでも神に近づこうとしたロサは、横になって眠らないようベッドの上にガラス片や石を置いたり、身体中に重い鎖を巻き付けたりしました。ある日ロサは身体を取り巻く鎖に錠をかけ、その鍵を井戸に投げ捨ててしまいます。しかし、痛みと苦しみに耐えかね聖母マリアに祈りを捧げたところ、錠がひとりでに壊れたと伝えられています。
教会の周辺では、彼女の生い立ちと奇跡を紹介するパンフレットや手紙が売られています。サンタ・ロサが起こした数々の奇跡にあやかろうという人々が、この手紙に願い事を書きサンタ・ロサの井戸へと投げ入れるのです。
奇跡がかなうと噂に高いサンタ・ロサの井戸、8月29日と30日はご覧の通りの人だかり。聖女ロサの人気がいかにすごいかが、よくわかりますね。どうしてもここまで来れないという人のため、メールで願い事を受け付ける「バーチャル・ポスト」が数年前に設けられ、今では世界中から1万通を超すメールが届くとか。届いたメールはもれなく印刷され、教会が責任をもって井戸に投げ入れてくれるそうです。
★El Día de Santa Rosa de Lima/リマのサンタ・ロサの祝日★
毎年8月30日
★Basílica y convento de Santo Domingo (サント・ドミンゴ教会・修道院)
住所:Jr. Camaná 170, Centro de Lima
★Santuario Santa Rosa de Lima/リマのサンタ・ロサ教会
住所:Av. Tacna 100, Centro de Lima
バーチャル・ポストのメールアドレス:santarosa.correo@gmail.com
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。