座ったままでウィーンのリンク大通りを一気に楽しむ!ウィーン・リングトラム

ウィーンの旧市街を取り囲む、リンク大通り(Ringstrasse)。今年はリンク大通りの開通150周年の記念の年ですので、ウィーンの観光名所のほとんどを30分座ったままで楽しめる、便利な市電をご紹介します。

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以前は、このリンク大通りを一周するルートの市電があり、公共の交通機関に乗ったまま主な観光地を大体見ることができるので、とても便利でした。その後2009年の市電の路線変更で、観光客用に「ウィーン・リングトラム」(Vienna Ring Tram)と呼ばれる専用市電が作られました。

というわけで、比較的新しい観光名所である、このウィーン・リングトラムに乗ってみました。観光客御用達の市電なので、住民としては乗るのが多少気恥ずかしいところはありますが、勉強になることもあり、なかなか楽しかったです。

乗車するのはシュヴェーデンプラッツ駅の市電乗り場。ウィーンの街の中心シュテファン広場からでも歩いて5分ほどです。発車は30分毎で、乗車時間は約25分。

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通常の市電の停留所の看板の下にRing Tramと書かれた黄色い看板が上がっています。

このリングトラムに乗車するには、専用のチケット(1周8ユーロ、ウィーンチケットで割引有り)が必要です。また、乗り降りはシュヴェーデンプラッツ駅からのみ可能で、途中の乗降はできませんのでご注意下さい。

停留所に既に黄色い市電が停まっている場合は、乗り込んで座っていると、車掌がチケットを発行しに来てくれます。この時もらえるオーディオガイド用イヤホンは持ち帰っても構いません。

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車内は、通常の旧型の市電と変わりません。座席数は31席。

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運転席からの眺め。運転手も車掌も、通常の市電よりリラックスしているようです。

オーディオガイドは、日本語を含む八か国語が各席に取り付けられています。ウィーンに因んだ音楽が背景に流れ、かなり内容の濃いガイドですので、ぜひ聞きながら外を見ることをお勧めします。もちろん英語やドイツ語の音声もありますが、住民の私が一番面白いと感じたのは、子供向けドイツ語音声とウィーン弁音声です。

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座席についている音声ガイドの操作ボタン。左の案内の国旗で言語が分かれていますが、一番下が子供用、下から二番目のウィーン市の表示がウィーン弁です。

子供向けチャンネルに合わせると、興奮したお兄さんの声で「ほら見てみて!あっちには楽友協会!その向こうの大きな丸屋根がカールス協会で、右を見て!もう国立オペラ座だよ!」という感じで親しみやすく優しいドイツ語で案内があり、子供も興味を持って聞けるようにうまくできています。

個人的には、ウィーン弁の放送が一番面白く感じました。ヴィーナーリートと呼ばれるウィーンをテーマにした古い曲をBGMに、有名な年配の俳優が、酔っ払ってブツブツくだを巻いているような独特のウィーン弁で、観光地を解説します。

皮肉なジョークが効いていて、何度も吹き出してしまいました。「ちらっと右を見たら、おっさんが椅子に座ってるだろう。これがゲーテ。ウィーン出身でもないのにこんなところに座ってる。で、また右を見てみると、今度はモーツァルト像がある。この人もウィーン出身じゃないのに、なぜかこんなところに」って調子で、いかにもなウィーン人らしさがにじみ出ています。ドイツ語が分かる方には、ぜひお勧めです。

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リングトラムからも見えるモーツァルト像

実際のリンク大通り一周のルートと、リンク沿いの観光名所については次回の記事でゆっくりご紹介しますが、両側の窓を眺めていたら、飛ぶように時間が過ぎていった25分でした。在住者でもオーディオガイドを聞きながらとっても楽しめたので、観光で来られる方はもっと内容が濃いと感じられるかもしれません。

ウィーン観光を一番短時間でたくさん見るには、やっぱりリンク大通りの一周が一番です。旅の始めに、街の全体像を把握し、土地勘を付けるにも最適です。歩き疲れて休憩したい時などにでも、一度乗ってみたら思ったより観光が捗るかもしれませんね。

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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