アイルランドの海賊女王-Grace O'Malley(グレイス・オマリー)

先日ダブリンを離れ、ウェストミース県(Co.Westmeath)にあるキネガド(Kinnegad)という、人口2,200人ほどの小さな町へ遊びに行きました。

ダブリンからは車で45分くらいで着きます。ダブリンは住宅の値段が大変高いので、キネガドに家を買い、ここからダブリンに働きに出るものも少なくありません。

お腹が空いたので、キネガドの街中を走るメインストリート(高速道路が走る前はこの道路がゴールウェーに向かう道路で、交通量が大変多かった)沿いにあったAn Granuaile Restaurantへ入り、腹ごしらえをすることにしました。

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店内は思っていたより広く、ウェイトレスと地元出身であろうお客さんが楽しそうに話しており、のんびり感が漂っていました。

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ここで私はツナのオープンサンドイッチとサラダのセットをオーダーしました。

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9ユーロ50セントほどでしたか。値段はダブリン並ですが、量は断然ダブリンより多いし、何より新鮮!ツナの下に引いてあるブラウンブレッドはどうも隣にあるベーカリーで焼いたものを使っているようで、味がスーパーで買うものとはかなり違い、こちらも新鮮で大変美味しかったです。

デザートのアップルパイも、クリームとアイスクリームを乗せてもらいこのボリューム!

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こちらもなかなかの味でした。こちらも隣にあるベーカリーで焼いたものではないかと思われます。

ふと目の前の壁に目をやると、壁に絵と説明書きがされているのが目に入りました。

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Granuaile???

グラニュエール、つまりグレイス・オマリー(Grace O'Malley)のことです。このお店の名前でもあります。

グレイス・オマリーは16世紀のアイルランドの歴史の中で大変有名な伝説の海賊女王です。

1530年、裕福な家の生まれたグレース。父(オマリー一族の長)はアイルランドでは力のある一族の一つで、船を使い航海し商売をしていました。メイヨー県の海岸をコントロールし、フィッシングをしたい人には税金を課していました。父の死後は船と土地を相続。スペイン、ポルトガル、スコットランドとも取引をしていました。

15歳でDonal O'Flaherty(ドーナル・オフラハティー)と結婚。2男一女をもうけます。しかし夫は戦死。それを聞いた敵方のジョイス一族が彼が持っていたCock's Castle(雄鶏の城)を攻め奪おうとしました。しかしそこでグレースが軍を率いて戦い、見事に城を守りました。そのためこのお城はHen's Castle(雌鶏の城)と後に呼ばれることとなりました。その後イギリス軍が攻めましたが、その時も見事に城を守ったのです。彼女には軍を率いる才能があったのです。

のちに彼女は船に乗りビジネスをするようになりました。しかしグレイスはルールを無視し、独自のルールにしか従いませんでした。

彼女と彼女の船の乗組員はウェストコースト近くに来る商業船を威嚇。商業船に乗り込んで、お金を取っていましたが、そのスタイルが海賊スタイル。それに伴い死人が出たり、商業船が恐れて近づかないようになったのです。まさに海賊でした。ゴールウェー市のリーダーたちが当時アイルランドをコントロールしていたイギリスのカウンシルに不満を言うということもありました。

1566年、土地や城を持っていたRichard Burkeと結婚も一年で離婚。(離婚後子供を一人設けています)彼の死後、法律では相続できないところを無視。メイヨー県、Newport近くにあった彼の城Rockfleet Castle とタイトルを取ってしまいました。彼女は11もの城を所有していたと言われています。

1577年には逮捕され、18か月の刑務所生活を送りました。

16世紀、イギリスの支配下にあったアイルランドはイギリスの取り締まりが厳しくなり、グレイスもだんだん力を失っていきます。そんな中、二人の息子が捉えられてしまいます。

釈放を求め、エリザベス女王(一世)に嘆願書を送るも、1953年に自ら船でイギリスへ向かい、エリザベス女王と会見。意気投合し、グレイスの要求はのまれました。この会見はラテン語で行われました。グレイスは英語を話さず、エリザベス女王はアイルランド語を話さないからです。しかしその後もグレイスは海賊業を辞めることはなく、イギリスの船舶を襲いました。

1603年没。女性ながら自ら軍を率いて戦い、海賊女王となり統率したグレイス。まさかこんな小さい町、キネガドのレストランで彼女の話に出くわすとは夢にも思いませんでした。小さい町に滞在するのも面白いものです。

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ティファニー・カイリー

1999年よりダブリン在住の独身・アラフォー・会社員。

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