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あのCMのロケ地!オーストリアの「クロイツェンシュタイン城」で中世気分♪
オーストリアには数多くの歴史ある古城があり、この連載でも多くを取り上げてきましたが、今回のは珍しい「歴史のない」お城のお話です。
あの国民的RPG(ロール・プレイング・ゲーム)を模した日本の自動車メーカーのCMのロケ地と言えば、見たことのある方もいらっしゃるかもしれません。今回ご紹介するのは、このCMに登場するクロイツェンシュタイン城。
この城は、ウィーンから車で20分ほどの小高い山上にあります。街から比較的近く、規模もなかなか大きいため、家族連れに好まれ、週末の外出の人気スポットです。
見た目はザ・中世のお城!ちょっと不気味でちょっとロマンチックで、まさに映画やゲームに出てきそうな雰囲気です。
しかしこのお城、実は歴史が非常に短く、100年ほどしかないんです。オーストリアの他のお城が12世紀頃からある中世の古城なのと比べても、とても新しいお城ですよね。
昔この地には、本物の中世のお城が建っていました。12世紀からこの交通の要所に建てられていた城は、30年戦争でスウェーデン軍によって破壊され、その後しばらく放置されていました。
18世紀にこの城跡は、炭鉱業で巨万の富を築いたWilczek家の手に渡ります。当主Johann Nepomuk Wilczek伯爵は、中世趣味が高じて、この地に自分好みの城を建設することにしました。1874年に始まった再建工事は32年かかり、1906年に建設が完了します。
この素晴らしい外見が全て、伯爵の中世趣味から出たもので、実際に戦争等で使われたわけではないのですね。しかし、歴史がないとは言っても、ドイツのバイエルンにあるノイシュヴァンシュタイン城も100年の歴史ですから、この時代は王侯貴族が見栄えのいい城を築くことが流行っていたのかもしれませんね。
通常の古城は建造物自体は本物でも、内部は空の部屋という事も多いですが、、このお城は違います。なにせ城主が中世趣味の大金持ち。お城を築くだけでなく、その中に置くべき家具や道具は全て本物の中世のものを揃えています。
こんな歴史の浅いお城ですが、中身は中世歴史博物館といってもいいほど充実しています。ガイドツアーでしか見ることができませんが、中世好き、古城好きな方は、ぜひ内部見学をお勧めします。
案内に従い内部に入ると、まずは城の堀にかかる石の橋があります。CMでもクルマたちが通って行きましたよね。
続いて門を抜けた石畳の通路。ここも車が通って行きました。
更に塔を抜けると、中庭に出ます。
アーチが特徴的な中庭。ここも車が通過してくシーンがありました。
中庭にはチャペルや井戸があるほか、台所や武器庫にも通じています。
ガイドツアーでは、城の内部の台所、武器庫と居住エリアに入ることができますが、これが他の城と全く異なり、中世の本物の調度品が所狭しと展示してあります。(建物内部は撮影不可)
台所では、中世に使われた鍋、ケーキ型、パン焼き器、ビールジョッキなどが並び、他の古城の台所とは全く異なる雰囲気です。中世のキッチンの様子がまざまざと想像できます。
また、この城にはオーストリア最大の武器コレクションがあります。鎧、弓矢、剣、槍、盾、馬具など、複数の展示室が武器でいっぱいで圧倒されます。
また、居住エリアには中世のベッドや食器棚、テーブルなどの家具調度品も備え付けられ、所有者が仕留めた珍しい狩りの獲物も、専用の部屋にて展示されています。
このお城では、何年に一度かクリスマスマーケットを中世騎士祭りのテーマで開催します。まさに中世を再現したこのお城で、中世の衣装を着た人達とともに、中世風屋台を見て回るクリスマスマーケットは格別です。
中世騎士祭りの様子。霧の中の中世風お城も雰囲気があります。
また、この城を出たところにあるレストランも一度覗いてみてください。中世風メニューに中世の衣装を着たウェイター。お皿やコップも中世風で、タイムスリップ気分満点です。「中世風ハーブワイン」は甘口で女性にもお勧め。
電車でのアクセスの場合は、最寄り駅からハイキングコースを通って山を登りますので、歩きやすい靴をご用意ください。また、ガイドツアーは毎時0分にスタートしますが、冬場などツアーの回数が減ることもありますので、ご注意ください。
ウィーンから車があれば手軽に来られるこのクロイツェンシュタイン城。中世ファン、古城めぐりが好きな方は、珍しい中世コレクションとお城の形をした博物館へ、ぜひ足を運んでみてくださいね。
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ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。