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秋田・横手かまくら(冬の風物詩)
水神様をまつるお祭り 時代を超えて人々に愛されるかまくら
「横手かまくら」は、水神様をまつる秋田県横手市の小正月行事です。『みちのくの五大雪まつり』のひとつとして、全国的に知られており、「かまくら」は秋田の冬の風物詩としても有名です。毎年2月15,16日の夜に行われ、中に子供たちが入って、「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」といいながら、甘酒やおもちをふるまいます。「かまくら」はもともと、中にまつられた水神様(おしずの神さん)にお賽銭を上げて、家内安全・商売繁盛・五穀豊穣などを祈願する行事でしたが、時代の変化ととも現在のような形になりました。まつりの期間中は市内に100基ほどできるかまくらの中で甘酒やおもちがふるまわれます。ぜひ一度、雪国のメルヘン「かまくら」に"きてたんせ"(来てください)。
▲横手城とかまくら
かまくらの歴史
横手のかまくらは、約420年の歴史があるといわれています。藩政の頃、武家の住んでいる内町(うちまち)では、旧暦1月14日の夜、四角い雪の壁を作 り、その中に門松やしめ縄などを入れ、お神酒や餅を供えてから燃やし、災難を除き子供の無事成長を祈った左義長のかまくらが行われました。
▲蛇の崎
一方、商人の住んでいる外町(とまち)では、旧暦1月15日の夜、町内の井戸のそばに雪穴を作り、水神様を祀り、良い水に恵まれるようにと祈りました。また、当時の子供達の間では、積もった雪に穴をあけて、その中に入って遊ぶ雪遊びがありました。これらの風習が長い年月をかけて融合し、現在のような「かまくら」になったといわれています。大正の終わり頃までは、現在のように各家々でかまくらをつくるのではなく、町内ごとに行われていたようです。
かまくらの夜は、満月が煌々とかまくらを照らし、月明かりに浮かぶかまくらや、灯るローソクの火には情緒深いものがあります。昭和11年、ドイツの建築家ブルーノ・タウトがかまくらを見てメルヘンの世界を絶賛し、彼の著書「日本の再発見」にそのときの感動を伝えています。
『すばらしい美しさだ。これほど美しいものを、私はかつて見たこともなければまた予期もしていなかった。これは今度の旅行の冠冕(一番すぐれているもの)だ。 この見事なカマクラ、子供たちのこの雪室は!(略)子供たちは甘酒を一杯すすめてくれるのである。こんな時には、大人たちはこの子たちに一銭を与えることになっている。 ここにも美しい日本がある。』
かまくらの作り方
昭和34年に「モデルかまくら」が作られてから、現在のような形のかまくらになりました。かまくらの作り方については、(社)横手市観光協会が次のような指導を行っています。
1. 雪を積み上げる
直径約3.5mの円を描いてその中に雪を積み上げ、踏み固めながら3mくらいの高さに積み重ねていきます。
2. 穴開け
正面入口部分に縦1.3m、横0.7mの印をつけ、穴を掘り始めます。壁の厚さを50cm残し、内部を大きく掘り上げます。
3. 仕上げ
内側と外側の壁になる部分を滑らかに丸く仕上げます。最後に、内部の正面に神棚を作って完成です。
今年もたくさんのかまくらが見られるといいですね。
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空飛ぶ地球儀 編集部
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