登頂まで1秒!?日本一低い山の日和山に登ってみよう|仙台

宮城県仙台市に日本一低い山があることをご存じでしょうか。もともと日本一低い山だったのですが、一時は大阪にある天保山にその座を明け渡していました。しかし、東日本大震災を経て再び「日本一低い山」へと返り咲いたのです。

その紆余曲折ストーリーとともに、震災復興のシンボルとしても存在し続ける「日和山」をご紹介します。

目次

日本一低い山ってどこにある!?

道路から青空の前方に富士山が見える

日本一高い山といえば、疑いの余地もなく誰もが知っている富士山でしょう。では、日本一低い山ってどの山かと聞かれて、答えられる人がどれほどいるでしょうか。

日本一の低山のに日和山の看板と頂上

ズバリ申し上げると、日本で最も低い山とされているのは、宮城県仙台市にある「日和山」、または「蒲生日和山」と呼ばれる山です。

しかし、この日和山は日本一低い山の座を一時期は他の山に明け渡していた時期があり、近年再び日本一低い山の称号を奪還したという、少し変わった経緯があります。

そもそも、日本一低い山とはどういう定義なのかという点については、国土地理院の地形図に掲載されている山の中で、一番標高の低い山。つまり、国がちゃんと認めた山の中で一番低い山ということです。

日本一低い山と書かれた看板と山の頂上

実は日本一低い山を自称する山は日本各地にいくつかあり、秋田県大潟村の大潟富士や徳島県徳島市にある弁天山などが日本一低い山という触れ込みで有名です。

秋田の大潟富士は村全体が海抜0m以下になっているという珍しい土地にあるため、山頂部分は海抜0mとなり「一番低い山」として扱いたいところです。しかし、地図上では山として扱いがされていないため対象外になっています。徳島の弁天山は自然の山としては日本でもっとも低いものの、海抜6.1mであるため除外となります。

そんな中、仙台市にある日和山が日本一低い山として認知されたのは平成3年のことです。これは、ある登山雑誌に掲載された国土地理院関係者による記事内で「日本一低い山」として紹介されたことによります。

日本一低い山を争った大阪天保山と日和山

仙台の日和山の階段

「日和山」という名前は日本各地に多数存在しています。自然の山もあれば、人工的に築かれた山もありますが、いずれも「日和見」つまりは船乗りが船を出すかどうかを判断する際に天候を予測するために利用していた、見晴らしの良い山を指します。

周辺より見晴らしの良い山に立つと海や空を広く見渡せるため、雲行きや風向きを観察して天気を占ったといわれています。こうした日和山の存在は江戸時代にはすでに確認されており、廻船と呼ばれる大型帆船による物資輸送が盛んになった頃には、全国各地の主要な港に日和山が設けられていたとされています。

仙台の蒲生日和山は日本一低い山へ続く道路

そんな中でも、仙台の蒲生日和山は日本一低い山として知られていました。ちなみに平成3年に雑誌で紹介された際の標高は6.05m、南北40m・東西20mにも及ぶ立派な山体を誇っていたのです。さらに、地元住民の手によって「日本一低い山」として山開きが行われるなど、観光資源として町おこしにも大きく貢献していたようです。

天保山登山道の案内版 ようこそ日本一低い山へと書いてある

天保山の石碑

しかし、その後平成8年に大阪の天保山が標高4.53mとして国土地理院の地形図に記載されてしまったのです。天保山といえばジンベイザメのいる水族館・海遊館で有名な観光スポットですが、さらに日本一低い山があるという称号も得たのです。

日和山の東日本大震災前の立て看板

こうして日和山は日本一低い山の座を陥落、以後は元祖・日本一低い山としてアピールしていくことになったのです。

※日和山の画像は東日本大震災前の貴重な画像です。

東日本大震災と日本一低い山への返り咲き

日和山の日本大震災後の何もなくなった海辺の様子

時は流れ、2011年3月11日、日和山を東日本大震災が襲います。仙台湾に面した日和山は推定7mとされる津波の直撃を受け、山体はその姿を保つことができませんでした。

日和山のあった蒲生地区はかつて3,000人が暮らした地区。しかし東日本大震災の津波により家屋の8割が流されてしまい、150人を超える犠牲者を出してしまいました。蒲生干潟を中心に、豊かな自然とともに暮らしていた人たちの生活は一瞬にして失われてしまったのです。

日和山のあった蒲生地区の海辺を重機で開発している様子

蒲生地区の開発の注意書き、立て看板

津波で甚大な被害を受けた蒲生地区は災害危険区域に指定され、新たな住宅の建築は原則禁止の区域となりました。画像は震災から5年後(2016年)に撮影された蒲生地区の様子です。かつての面影はすっかり失われています。

日和山への遊歩道の確保のための作業場

蒲生地区の整備工事が続く中、あの日和山への遊歩道だけはしっかりと確保されていたのです。いったいなぜなのか?

日和山の跡地に砂利を積み上げて日和山山頂3メートルと記載された看板

実は日和山、一時は消滅したという報道までありました。しかし地元住民は、かつて憩いの場だった日和山の跡地に砂利を積み上げ、当時の姿をしのんでいたのです。

震災の津波で日和山が日本一の低山として称号を得たことを書いた看板

そんな日和山に、思わぬ朗報が届きます。2014年の国土地理院による測量調査で、日和山の存在が改めて確認され、さらには標高が3mであるということも判明したのです。

津波によって山体が削られたことに加え、地盤沈下の影響もあり、震災前より標高が低くなっていました。そしてこの調査により、日和山は大阪の天保山に明け渡していた「日本一低い山」の称号を、実に18年ぶりに奪還しました。

あの日を忘れない、震災を乗り越えた日本一低い山の案内版

震災を乗り越えた「日本一低い山」がある。

その噂を聞きつけ、再び日本中から訪れる人が増えていく日和山。それは震災復興のシンボルとしても、さらに輝きを増すことになります。

日本一低い山へ元気に登ろう!

仙台の日和山の登山口

仙台市蒲生地区の案内版

日本一の低山、日和山の説明看板

仙台の蒲生の干潟の看板

2026年現在、日和山周辺の工事はすっかり完了しており、再び蒲生干潟を中心とした園地が整備されています。目の前には津波対策の防潮堤がそそり立っていて、日和山へと向かう道もしっかりと案内されています。

日和山日本一低い山の枯草と海の景色

防潮堤を乗り越えて眺めてみれば、小さくとも存在感を示す日和山

防潮堤を乗り越えて眺めてみれば、小さくとも存在感を示す日和山が待っていました。

日和山の看板

日和山は日本一低い山として毎年7月ごろに山開き

日和山は日本一低い山として毎年7月ごろに山開きが行われます。見たままですが、ほんの5、6歩あれば登頂できる山なのに山開きという点がちょっとしたネタ的なイベントではありますが、毎年大盛況となるようです。

日本一低い山で登山道も短い割にはたくさんの案内板が立っている

ネタといえば、日本一低い山で登山道も短い割にはたくさんの案内板が立っていて、見ているだけでも楽しいのです。それでは山頂目指して登山を開始していきましょう。

日和山の低山に「落石注意」「滑落注意」の注意書き

「落石注意」「滑落注意」

そんな危険は見当たりません!

低山の日和山に「遭難注意」「熊出没注意」の注意書き

「遭難注意」「熊出没注意」

どれだけ険しく山深いところなのでしょうか。

低山に「高山植物採取禁止」の注意書き

「高山植物採取禁止」

むしろ低山植物では・・・。

「熊が出たらあわてず登山してください」の注意書き

「熊が出たらあわてず登山してください」

いや、登山は続けるんかい!

標高3mの日和山山頂。看板が立つ

そんな幾多の危険を乗り越え、無事に標高3mの日和山山頂へ到達しました。実質登山口から駆け上がればものの1秒程度ではありますが、不思議とここまで来たという達成感を味わえるのではないでしょうか。しばしの間、日本一低い山の頂を堪能していきましょう。

日和山の下山口の階段

ちゃんと下山口も設けられているのが芸の細かいところ。「日本一元気の出る登山、また来てね」というメッセージが添えられています。

日和山はこの5m四方程度の枠に収まるようなコンパクトな山

実質、日和山はこの5m四方ほどの枠に収まるようなコンパクトな山です。登山も一瞬で終わってしまいますが、地元の方々にとっては特別な場所であり続けています。津波被害の大きかった蒲生地区では住民は集団移転を余儀なくされ、日和山はその人々の心のよりどころにもなっています。

日本一低い山である日和山は、防災・減災のメッセージを発信する拠点としても機能しており、大きな役割を担っています。

日和山の登頂証明書

日和山は日本一低い山ですが、登頂証明書を受け取ることができます。登った証明として、山頂で撮影した画像をスマートフォンなどで撮っておきましょう。

宮城野区の高砂市民センターや地下鉄東西線荒井駅にある「せんだい3.11メモリアル交流館】で登頂証明書を受け取ることができます。

なぜ山に登るか日和山があるからと書かれた看板

なぜ、人は山に登るのでしょう。

なぜ、人は日和山に魅せられてしまうのでしょう。

それはきっとそこに日和山があるからではないでしょうか。

まとめ

2026年現在、東日本大震災からは15年が経過しました。しかし現地を訪ねると、いまも震災の爪痕が残っていることに気づくでしょう。完全な復興にはまだ時間を要するという現実、そして震災の記憶を風化させないためにも、語り継がれる日和山を訪ねることには意義があります。ぜひ一度、日和山を訪れてみてください。

蒲生日和山の基本情報

  • 所在地:宮城県仙台市宮城野区蒲生町87
  • 駐車場:有り(無料)
  • アクセス:車で仙台東部道路「仙台港IC」下車約10分

※記載の情報は2026年6月現在のものです。最新情報は公式サイトをご覧ください

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