【宮城県】「住みよさNo.1」の東松島市ってどんな街? ブルーインパルス、海苔、牡蠣、SDGs未来都市.etc.

松島

こんにちは! たびこふれ編集部のシンジーノです。

宮城県の東松島市ってご存知ですか?

「あぁ、あの日本三景 "松島" があるところでしょ?」・・・いえいえ、それは松島町です。東松島市は松島町の隣に位置し、奥松島と呼ばれているエリアです。今回機会があって初めて東松島市を訪れました。特に全国的に有名な観光地があるわけでもありません。地元の人が東松島をこう表現されました。

「東松島には、なにもありません。あるのは、海と空と風の音だけです」

それほど、静かな街です。しかし、東松島には、あの東日本大震災を乗り越えて、明るく前を向いて生きている素敵な人たちがたくさんいました。東松島市は「住みよさランキング」3年連続第一位(2017年~2019年)に選ばれていますが、その理由がわかったような気がします。今回は、そんな東松島市の魅力をご紹介したいと思います。

※住みよさランキングとは?

東洋経済新報社が、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」の4つの視点から選んだ22の統計指標を用いて選出。

目次

東松島市とは?

宮城県の中部、太平洋沿岸に位置する人口約4万人の都市。2005年の平成の大合併の時に旧矢本(やもと)町と旧鳴瀬(なるせ)町が合併して東松島市となりました。住みよさランキング全国第一位(2017~2019年 東洋経済新報社)に選ばれ、2018年には「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」に全国28の自治体とともに日本で初めて選定されました。

東松島市は、外海に面しており、震源地からも近かったことで、東日本大震災の時には市の36%が浸水し、津波による死者が四番目に多かった街です(平成25年時点での数字)。第一次産業が中心で、特に有名なのは、牡蠣と海苔。牡蠣の生産量は広島県が一位ですが、種牡蠣は日本の80%が東松島で育てられています。種牡蠣が育つのに普通は2年かかるところを東松島の海は1年で育つほど、牡蠣の育成に向いた栄養豊かな海なのです。気候は、夏涼しく(仙台市と気温が5度違うことも)、冬暖かく雪も少ないという、過ごしやすい環境にある街です。

>>>東松島市の公式サイトはこちら

それでは東松島の魅力にひとつずつ迫ってまいりましょう!

東松島の魅力1 絶景ポイント 大高森(おおたかもり)

東松島市一番の観光名所といえば「大高森」です。景勝地「宮戸(みやと)島」にある、標高105.8メートルの小高い山で、山頂展望台からの360度眺望は必見です。

大高森登り口
<大高森登山口>

大高盛道

登山口から歩いて15分程度で山頂に着くのですが、後半は勾配がキツくなり、少々ハードです。ただこの日はかなり暑かったのですが、木が茂っているので直射日光は当たらず、木漏れ陽が気持ちよかったです。

大高盛山頂前

大高森山頂の展望台が見えてきました。展望台からの眺めをご覧ください。

大高盛山頂

絵画のように美しい松島湾が、箱庭のように眼下に見渡せます。

大高盛パノラマ

松島湾に浮かぶ260余島の島々を一望できる名所は四大観(しだいかん)と呼ばれており、ここ大高森はその中のひとつ「壮観」と呼ばれています。※その他の四大観とは偉観(多門山)・幽観(扇谷)・麗観(富山)です。

>>>松島四大観の詳細はこちら

石巻市

松島湾の逆(外海)側には広大な太平洋を望むことができます。緑豊かな大高森から見える青い海。東松島には青がよく似合います。

それでは、大高森からのぐるり眺望を動画でご覧ください。

また大高森は夕暮れ時が特に美しいと言われています。

大高森からの夕景
<大高森からの夕景>

大高森は公益財団法人日本離島センターが制定した「しま山百選」にも選ばれています。また、フランスのモンサンミッシェルやアメリカのサンフランシスコも加盟している「世界でもっとも美しい湾クラブ」に2013年日本で初めて加盟しました。

地元の方に伺うと、宮戸島には大高森の他にも、小さな浜がいくつもあって、実はここも人が少なくて落ち着ける、穴場の癒しスポットなのだそうです。中でも「鮫ヶ浦」がおすすめなのだとか。 

東松島の魅力2 日本三大渓のひとつ 嵯峨渓遊覧船

宮戸島突端の約2kmにわたる海岸線が嵯峨渓(さがけい)です。日本三大渓のひとつ(その他のふたつは大分県の耶馬渓(やばけい)と岩手県の猊鼻渓(げいびけい))。

嵯峨渓の名前の由来は、鎌倉時代後期に京の都から降りてこられた護良(もりよし)親王が、この優美な景色を見て、京の嵯峨野を偲び、嵯峨と名づけたといわれているそうです(諸説あり)。

嵯峨渓を観光するには遊覧船が出ています。(所要時間約1時間。料金は2,000円)

嵯峨渓遊覧船
<嵯峨渓遊覧船>

遊覧船内部
<嵯峨渓遊覧船の内部>

遊覧船はかなり小さな船です(定員10名)。遊覧船というよりはほとんど漁船です。それもそのはず、この嵯峨渓遊覧船はもともと漁師さんたちが始めたのだそうです。

嵯峨渓谷景色

白と緑のコントラストが美しい嵯峨渓。大自然が生み出した芸術です。内海の松島は波が穏やかで女性的なのに対し、外海で太平洋の荒波と雨風によって削られた嵯峨渓は男性的で荒々しいのが特徴です。

出航地から嵯峨渓まで20分くらいかけて航行しますが、けっこうなスピードを出しますので、波しぶきが迫力満点です。さすが元漁師さん(当日の波の状況にもよります)

嵯峨渓遊覧船の特徴は、他の遊覧船では入れないような狭い入り江にもどんどん近づいていくという点です。こんな迫力満点の遊覧船に初めて乗りました。嵯峨渓には「青の洞窟」と呼ばれる場所があり、小さな船でかなり近くまで近づいてくれます。

差し込んでくる太陽光の屈折で水面が鮮やかな青色に輝くのですが、この日は午前中の乗船で、残念ながら青さはあまり見られませんでした。午後~夕方の方が光の角度により、青さがより際立つそうです。

遊覧船というのでのんびり穏やかなイメージを持っていましたが、テーマパークのアトラクションのようなスリリングな体験でした。

>>>嵯峨渓遊覧船を運行する奥松島公社の公式サイトはこちら

東松島の魅力3 震災復興伝承館(旧野蒜駅)

特に津波の被害が大きかったJR仙石線の旧野蒜(のびる)駅は、震災復興伝承館として震災の爪痕を後世に語り続けています。

伝承館
<東松島市震災復興伝承館>

伝承館水位

津波が来た高さ3.7mの水位ラインが記されています。実際には高さ10mクラスの津波が押し寄せてきたそうですが、駅舎の手前に運河があり、そこを通過したことで、津波が吸収され3.7mになったそうです。

伝承館 線路

旧野蒜駅のホームはそのまま残されています。折れ曲がった線路が津波の破壊力を物語っています。伝承館内では、写真、ビデオなどで震災の被害状況を見ることが出来ます。今は穏やかな東松島市ですが「あの時のことはずっと忘れないでいよう」その気持ちが伝わってきます。

東松島市震災復興伝承館

  • 住所:宮城県東松島市野蒜字北余景56-36
  • 電話:0225-86-2985
  • 閉館日:毎月第3水曜日
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 入場料:無料

>>>東松島市震災復興伝承館の案内はこちら

東松島の魅力4 皇室献上の海苔(アイザワ水産)

今回、東松島市に訪れて強く感じたのは「人が素敵」ということです。あの東日本大震災で甚大な被害を受けながら、懸命に前を向いて生きている人にたくさん出会いました。被害者意識を持ったり、不幸を嘆いたり、人のせいにしたりすることなく、自分にできることを考え、挑戦し続けている人たち。これからの社会を真剣に考え、夢を熱く語る人が多かったです。

中でも、若き海苔漁師 相澤 太さんは、おそらく東松島市の中でも一二を争う熱い人でしょう。

相澤さん
<アイザワ水産の3代目 海苔漁師 相澤 太さん>

【相澤 太さんのプロフィール】

子供の頃、野生のカモを捕まえ、家族に黙って部屋でペットとして部屋で育てようとしたが、想定外の鳴き声に困り果て、一晩で自然に帰す。高校時代、昼は波乗り、夜は浜辺でラップの作詞。18歳で海苔漁師となり、2004年奉献上乾海苔品評会で23歳という最年少で準優賞受賞。2009年には史上最年少28歳で優賞。2度の皇室献上の栄誉に授かる。

相澤さんは言います。「どれだけ他の海苔と味が違うんだって? はっきり言えます。食べ比べたらわかります。

相澤さんが作る海苔は「天真爛漫な海苔」なのだそうです。

「ん? 天真爛漫な海苔? どういうこと?」相澤さんが大切にしていること、それは海苔の想いを大事にする。余計な手を加えず、海苔の好きなように生かしてやる。「海苔を育てるんじゃなく、海苔が育つのを手伝ってやるんですよ。」「毎日海苔を見ていると表情がわかります。泣いている時もあれば、笑っている時もある。海苔が「今日は元気に育ってるよ~」なんて語りかけてくる。海苔は確かに生きているんです。」漁師によって出来る海苔の味も全然違うのだとか。

余計な味付け、旨味調味料(アミノ酸)、添加物などは一切使用せず、自然の塩味、磯の風味を最大限に味わえるように。だから毎年できる海苔の味は均一ではありません。

相澤さんは東日本大震災を経て、こう感じたそうです。

「それまでは僕たちは海苔を作って納めるだけだった。でも食べる人と作る人がつながると、そこに感謝や感動が広がることを知りました。」

「"食べた人の喜びの声"は僕ら"生産者の喜び"になりました。もっともっと美味しい海苔を作ろうとやる気が出ました。」

相澤さんは今の海は危機的状態だと感じています。そこで漁のないシーズンは「自然の魅力と尊さ」を伝える代弁者として、それをひとりでも多くの人たちに伝え、自然との共生について一緒に考えるワークショップを国内外で行っています。熱い!熱すぎる。このようなパッションをもった方が東松島にはいらっしゃるんです。

さて、今回相澤さんの船に乗せていただきました(海苔漁のシーズンではありません)私、海苔漁は魚の漁に比べるとあまり激しい仕事ではないのではないかと、正直甘く見ていました。ところがどっこい、漁以前に海に出ること自体がかなり激しい労働であることを知りました。 

モーターボート

この小さな船で海苔漁をやっている漁場(1.5km沖辺り)に連れて行ってもらいました。5km沖あたりまで出ることもあるそうです。

相澤さん

船を操縦する相澤さん。これぞ海の男!って感じですね。

私は、沖に停泊している時、船酔いしてグロッキーでした。相澤さんは漁の時は、なんと8時間以上も船の上にいることがあるそうです。私には絶対無理。
さて、相澤さんの作る海苔は、JR矢本駅そばにある東松島あんてなしょっぷまちんどなどで買うことができます。

まちんど

まちんど

相澤さんの作る海苔の中でも特におすすめなのが「厳選・寒風一番摘み」の板のりと「厳選・金のばら干し」。

厳選 金のばら干し

こちらが「厳選・金のばら干し」です。

金のばら干し

海苔が入っているパッケージに相澤さんの想いが込められています。

「金のばら干し」はフライパンで乾煎りして食べるのがおすすめと聞いてやってみました。味つけも何もされておらず、海苔本来の味。海の塩味と磯の香りが詰まっている、ゴツゴツと荒々しいワイルドな味です。サラダやみそ汁に入れても美味しい。乾煎りしたものを口に放り込むと、サクサクとした軽い食感に磯の香りが口の中に広がります。口の中で噛んでいるうちに、舌の上でほろほろと溶けて、海苔本来の食感が蘇ってくるのですが、スーパーで売っているペラペラの海苔じゃなくて、しっかりした海藻の食感と食物繊維感があって、噛み応えがあります。

「これが海苔本来の味というものなのか!」と驚きます。

岩のりはもともと天然で岩場に自生する品種です。いわゆる養殖されている一般の海苔に比べて野性味が強く、かなりやんちゃな性格。野生の猿が岩場に行ってわざわざ摘んで食べると言われるほどうまい海苔です。栄養源、うま味が豊富なのが岩のりの特徴です。

みそ汁に入れたらこうなりました。

金ばら干しの味噌汁

ね、どうですか? 集めて固めたそんじょそこらの海苔とはぜんぜん違います。ほとんどわかめです笑。この食感、ぜひ味わっていただきたいものです。

岩のりは自然のものなので製品化できない年もあります。金のばら干しのお値段は10gで432円(税込み)。採算度外視で作っているので、この海苔で利益はほぼ出ないそうです。「食べる人の顔を思いながら一人でも多くの人に喜んでいただけるように一生で一番うまい海苔を作る」という相澤さんの思いの詰まった海苔。この「厳選・金のばら干し」が売られていれば即買い!です。

>>>相澤さんの「厳選 金のばら干し」はこちらから

また相澤さんの海苔の特徴はこのように表現されています。 

  • 海っぽさ
  • 希少性
  • お米受け(手巻き)
  • 旨みが出る早さ
  • 追いかけてくる後味
  • 料理応用度
  • 余韻を楽しむ
  • 何段階?

こんな海苔の表現のしかた、見たことありますか?海苔の奥深さがわかります。

そしてもう一つの逸品。相澤さんの海苔をうどんに練りこんで作った「のりうどん」。考案したのは「ちゃんこ萩乃井」のご主人、大森 宣勝さん。

のりうどん

こののりうどんは、東日本大震災以前に考案され、試行錯誤を繰り返してようやく商品化のめどが立っていたのですが、津波でうどんに練りこむ海苔パウダーがすべて流されてしまい、商品化は頓挫しました。そして再び動き始め2014年にようやく商品化にこぎつけることができたのだそうです。

こののりうどんも買って家で食べてみました。

のりうどん

ん?一瞬、太めのそばかな?と思うような外観ですが、まぎれもなくうどんです。封を開けると海苔の香りが鼻に届きます。うどん一人前に大きな板海苔がなんと2枚分も練りこまれているそうです。こののりうどん、想像以上に美味しいです。今まで食べたことのない味でした。

海苔の香りももちろんですが、のりとうどんのコラボで生まれた一番の特徴は"食感"です。うどんが海苔の繊維でもっちりとしているのです。歯にうどんが、クニュクニュと食い込んでくるような感じで、他のうどんでは味わえないねっとりとした弾力は病みつきになります。みなさんにもぜひこの、のりうどんのクニュクニュ感、味わっていただきたいと思います。

>>>ちゃんこ萩乃井の大森さんと相澤さんのコラボから生まれた「のりうどん」はこちらから

東松島の魅力5 東北コットンプロジェクト(赤坂農園)

赤坂農園を営む赤坂 芳則さんはもともと米農家でした。ところが東日本大震災で田んぼは塩害で全滅しました。津波で海水に浸った田畑はすぐには作物は作れません。この先いったいどうしたらいいものかと途方にくれていたところ、「塩害に強い綿花の栽培をやってみませんか?」と言われました。綿は現在の日本の自給率はほぼゼロです。主に中国、インド、パキスタン、ブラジルなどの乾燥地帯で作られています。正直作ったことのない綿花の栽培なんて、と赤坂さんは何度もお断りしたそうです。

赤坂さん
<赤坂農園の赤坂 芳則さん>

それでも震災復興を願って企業含め多くの人々が応援してくれるので、「そこまで言ってくれるのなら」と綿作りに取り組むことを決心しました。それが「東北コットンプロジェクト」です。

【東北コットンプロジェクト】とは?
津波により、稲作が困難になった農地で綿(コットン)を栽培。さらに紡績、商品化、販売までを一貫して行うプロジェクト。長期視点で被災地の復興を考える農家と企業が集い、農業を基盤とした東北の新たな農産業の確立を目指している。

多くの人々の支援を受けて始まった東北コットンプロジェクト(当初は仙台市若林区荒浜の農園からスタート)ですが、道のりは平坦ではありませんでした。綿花を作り始めた初年度、今度は不運にも台風が襲いました。当初1000kgを作ることを目標にしていましたが、できたのはわずか20kg。段ボール2箱の成果でした。そして2年めも40kgそこそこ。最近ようやく軌道にのって500kg位の綿花を栽培できるようになりました。

赤坂さんは言います。「最初はどうなることか、と思ったけど、やり始めたらみんなに応援してもらえるし、だんだん楽しくなっていったんだよね。」

赤坂農園
<綿花栽培地>

綿花

赤坂農園に伺ったのは7月でした。綿花の収穫は毎年11月ごろです。

綿花
<綿花>

収穫の時には、多くのボランティアの方々の力を借りて収穫します。コットンフェスティバルと銘打ってイベントも行い、旅行客の方々にも綿花収穫体験をしてもらったりもしています。現在では、綿花だけでなく、ラベンダーやハーブ、はちみつ、行者にんにくなども作り始めたそうです。赤坂さんは言います。「コットンから、次の東北を作りたいと思っています」

綿100%マスク
<東北コットン100%で作ったマスク>

東松島の魅力6 日本の80%の種牡蠣を生産(奥松島水産)

宮城県といえば、牡蠣が有名ですが、牡蠣の生産量が一番多いのは広島県です(宮城県は第二位)。しかし種牡蠣に関しては、日本の80%の種牡蠣が[宮城]で育てられています。全国で収穫されている牡蠣ももともとは東松島で生まれ育ったものだったのです。東松島では栄養豊富な漁場があるため普通なら牡蠣を育てるのに2年以上かかるものを1年で出荷できる大きさに育ちます。これは全国的にも珍しいです。

牡蠣

奥松島水産の牡蠣漁師 阿部 晃也さんの育て方にもこだわりがあります。

阿部さん
<牡蠣漁師の阿部 晃也さん>

育て始めは内湾で優しく育て、その後、沖の荒海で鍛えあげます。海の中で殻と殻がぶつかり、そのストレスで殻の成長が止まります。それによって中の身に栄養がいくようにします。ですから阿部さんが育てる牡蠣の特徴は、殻はやや小さめですが、身が大ぶりで甘い。ちなみに東松島でのポピュラーな牡蠣の食べ方は「天ぷら」だそうです。フライではなく生でもなく、天ぷらが牡蠣のおいしさが一番味わえるのだそうです。

阿部さんは言います。「震災を経て、消費者の人たちと近くなったと感じます。そしてもっと美味しい牡蠣を作ろうと思うようになりました。震災が一次産業の原点を思い出させてくれた、と今では感謝しています。」

この阿部さんも相澤さんに負けず劣らず、熱い人です。

東松島の魅力7 ブルーインパルスの町

さて、東松島で全国的に有名なものがあります。それは「ブルーインパルス」です。正式名称は、航空自衛隊 第4航空団飛行群第11飛行隊で、任務は「曲技飛行による航空自衛隊の広報活動」です。そのブルーインパルスの拠点が航空自衛隊松島基地なのです。

ブルーインパルス
<ブルーインパルス>

東松島市には「ブルーインパルス通り」というストリートもあって、町なかでもブルーインパルス関連グッズをあちこちで見ることができます。

ブルーインパルスグッズ
<東松島あんてなしょっぷまちんど>

ブルーインパルスグッズ
<東松島あんてなしょっぷまちんど>

畳
<清水畳店>

なんと! 畳の"へり"がブルーインパルス!!!

ブルーポスト
<ブルーインパルス通りにある青いポスト>

震災でふさぎこんでしまった女性たちに楽しみややりがいをもってもらおうと、刺繍を始めたステッチガールズ。その作品の中にもブルーインパルスが登場します。

ブルーステッチ
<ステッチガールズの作品>

ブルーステッチ
<ステッチガールズの作品>

ブルーインパルスは、日常的に東松島の空を訓練飛行しており、地元の人たちにもとても身近な存在です。ブルーインパルスを見るために訪れるファンもたくさんいるようですよ。

東松島の魅力8 被災した農家で集まって作ったこれからの農業のカタチ(イグナルファーム)

イグナルファームは被災した農家で集まって作った組織で、イグナルとは宮城の方言で「よくなる」という意味だそうです。

イグナルファームは、農業に「複合型環境制御システム」を取り入れています。複合型環境制御システムとは、例えば、ハウス内の二酸化炭素量、温度を自動調整したり、二重カーテンが開閉したり、水が自動で散布されたりします。徹底したデータ管理がなされており、スマートフォンからもデータを受け取ったり、遠隔で操作したりすることもできるそうです。

これまでの農業は、多くは人の勘と熟練でやっていました。そのため人材育成にはとても時間がかかっていました。しかしこのシステムを取り入れたことにより、新入社員にも説明しやすくなり、人手をそれほどかけなくても作物を作ることができるようになりました。未来の農業のカタチと言えるかもしれません。

イグナルファームの代表 佐藤 雄則さんは、オランダ視察の時にこのシステムを知り「これからの日本にこういう進化は必要だ」と感じたそうです。

イグナルファームでは、メインの作物としてイチゴ4種(とちおとめ、もういっこ、ニコニコベリー、よつぼし)を作っていて、へたまで赤くして出荷するようにしているそうです。佐藤さんおすすめの美味しいイチゴの選び方を教えていただきました。●へたまで赤くなっていること●色つやが良いこと●種と種の間隔が広く盛り上がっていること、そんなイチゴが美味しいそうです。今度イチゴを買う時、見てみよう。

イグナルファーム
<イグナルファームの育苗ハウス>

東松島の魅力9 スマート農業(エボルバKDDI野蒜 幸滿つる郷)

東日本大震災が起こり、KDDIは企業として何か復興の役に立てないかと考えたそうです。また社内のハンディキャップを持ったスタッフにもっと活躍の場を提供することはできないかという別の課題をお持ちでした。そんな時、農業とハンディキャップを持った人は親和性が高いという話を聞き、それならこういうことはできないか、と動き始めたそうです。

そしてKDDIの子会社であるエボルバKDDI野蒜(のびる)による「幸満つる郷(さちみつるさと)」が作られました。

エボルバ幸満つる郷
<KDDIエボルバ野蒜 幸満つる郷>

幸満つる郷はもと住宅街で、震災後、人は住むことができなくなった地域にあります。当初は、手作業の農業を進めていましたが、途中から「スマート農業」を目指すようになりました。具体的には、通信とAIを活用した効率化(水やり、土壌に肥料がどれだけ入っているかなどのデータ取り)でAIがやることと、人力でやることを分けました。

幸満つる郷では、できるだけ農薬を使わないで作物を作っていますが、農薬を使わないと雑草が増え、除草に大きな手間と時間がかかるのが課題でした。それに人手や時間がかかるという課題がありました。それを解決するための手段のひとつが「AI灌水施肥システム"ゼロアグリ"」です。水やりや肥料などすべて自動で行うことができます。

農作物の状態を遠隔で確認できる「屋外クラウドパッケージ」では、スマホやPCからデータをチェックすることができます。ビニールハウス内の温度に応じて自動で開閉する遮光カーテン。これら、機械が得意なところは機械に任せ、人でなければできない部分は人が行うという分業により、適正な人数で効率的に農業を行うことができるようになりました。

現在働いているスタッフは約60名。トマト、ベビーリーフ、茄子、ピーマン、ししとう、オクラなどを作っています。

エボルバ農園
<幸満つる郷の農園>

ハンディキャップのあるスタッフさんたちも、自分たちが作った野菜を収穫する時、美味しい野菜をお客さんに届けた時、とてもやりがいを感じるそうです。幸満つる郷は、震災後の事業の土台を作りたい、ハンディキャップの人たちの活躍できる場を創りたいという2つの目的に向かって進行中です。この幸満つる郷も、前出のイグナルファームも、日本のこれからの農業の道を示す革新的な挑戦だと感じました。

>>>KDDIエボルバ野蒜 幸満つる郷の情報はこちら

東松島の魅力10 カゴ漁体験(奥松島体験ネットワーク)

東松島では、海の体験を手軽にすることができます。例えば、カゴ漁。こんな漁師体験を味わうことができます(1時間3,000円。)

この日は台風後で残念ながら大漁とはいかなかったようで。。。笑。カゴ漁では、ウニ、ヒトデ ヤドカリ、つぶ貝、どんこなどが獲れるそうです。

カゴ漁以外にも、刺し網漁、地引網、シーカヤックなどを楽しむことができます。

>>>奥松島体験ネットワークの海の体験メニューはこちら

東松島の魅力11 デンマーク王室献上米(佐藤農園)

東日本大震災後、有機栽培(無農薬、無化学肥料)でお米を作り始めた佐藤農園の佐藤さん。

有機栽培は雑草がどんどん生えるのでそれを除草するのが大変な作業なのだそうです。

市場へ流通している普通のお米(稲刈り後、直ぐに精米まで行っているもの)は賞味1か月くらいが美味しく食べられる期間です。一方、佐藤農園では発送直前まで(精米【※1】せずに)玄米貯蔵をしており、お米専用の冷蔵庫での保管を行うなど品質管理を徹底しています。そのため、翌年の新米が出る時期までの約一年間を通して品質の良いお米をお届けすることが出来るのだそうです。【※1】お米も他の生鮮品と同じで精米をすると酸化が進みます。

佐藤農園
<無農薬、無化学肥料でお米を育てる佐藤さんの田んぼ>

震災後にデンマークが東松島市を支援してくれたので、その御礼をするために立ち上がった委員会【※2】の実行委員長としてお米を献上されました。

【※2】東松島市・デンマーク農産物・文化交流フェア実行委員会(佐藤さんは委員長として携わり、そのプロジェクトの中で佐藤農園のお米が献上されました。)

献上米
<デンマーク王室に献上されたお米>

その他にも佐藤農園では「長葱」や「ちぢみほうれん草(東松島市が発祥)」などを作っています。

ねぎ畑
<佐藤農園のねぎ畑>

ちじみほうれん草

東松島の魅力 まとめ

いかがだったでしょうか。東松島の魅力が伝わったでしょうか?私が今回初めて東松島に訪れて感じたことは、やっぱり「人の魅力」です。

  • 自分の仕事に誇りとやりがいを持っている人が多い
  • 震災に負けず、前を向いて未来を見据えながら歩いている人が多い
  • これまでの慣習や常識に囚われず、柔軟な思考で挑戦し続けている人が多い
  • 周りの人たちとの連携、協力を惜しまず、地域全体にとって良いかどうかを考えることができる人が多い
  • 東松島を大好きな人が多い
  • やたら熱い人が多い(笑)

そこに青い海と青い空、美味しい食べ物があるとしたら、3年連続「住みよさランキングNo.1」の称号を得られたのもわかるような気がしました。

一次産業が主な産業であった東松島の人たちは、震災を契機に自分たちの作った作物を食べる消費者の人たちとつながるようになりました。それによって作物を作る歓びを改めて知ることができたそうです。そしてもっと美味しいものを作って届けたいと思うようになった。そういう東松島の人たちの熱い思いが、東松島をより豊かな街にしてくれたような気がします。

今回訪れたのは7月で、牡蠣漁も海苔漁も綿花もシーズンではありませんでした。次回はぜひ秋から冬にかけて豊かな東松島に訪れてみたいと思います。

震災に遭ったお気の毒な人たちを応援しに、ではなく、震災を乗り越えて希望に向かって熱く活き活きと生きている人たちに、あなたも逢いに行きませんか?

最後に、大曲浜獅子舞保存会のみなさんに、350年以上この土地に伝承されている獅子舞を見せていただきましたので、動画でご紹介します。男らしく勇壮に舞う東松島の獅子舞を見ると、元気で溌剌とした東松島の人たちと重なりました。

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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