【京都】醍醐寺で平安時代の栄華や豊臣秀吉の美学を体感!40年ぶりに公開された茶室も見応えあり

京都市伏見区にある醍醐寺は、真言宗醍醐派の総本山の寺院。平安時代建立の建築物や、豊臣秀吉が自ら基本設計した三宝院の庭園など、壮大な歴史を今に伝えるお寺です。「京の冬の旅」キャンペーンの期間限定公開中に、秀吉好みと伝えられる茶室「枕流亭」など、貴重な歴史の宝物をじっくり見てきました。

目次

アクセスは地下鉄東西線が便利

京都 世界文化遺産 醍醐寺 総門
<のぼり旗が彩る醍醐寺の総門>

京都市中から醍醐寺へのアクセスは、市営地下鉄東西線や、京都醍醐寺ラインのバスが便利です。筆者は地下鉄を利用しました。烏丸御池駅から醍醐寺駅までは22分。駅に着くと2階通路への案内板があり、表示に従い10分ほど歩くと、醍醐寺の総門に到着します。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 西大門
<豊臣秀頼が再建した西大門>

醍醐寺は「醍醐山」を境内とし、山上の「上醍醐」と、裾野の「下醍醐」に分かれる広大な寺院。世界遺産に登録されています。まず総門をくぐると、入場券を販売する受付があります。今回は下醍醐の「伽藍エリア」と「三宝院」をめぐることにし、「2カ所共通券」を購入しました。

参道をさらに進むと、豊臣秀頼が再建した西大門があり、筋肉隆々とした仁王像が迫力。門の先には、厳かな建築物が建ち並ぶ伽藍が広がります。

国宝の金堂で薬師如来を拝む

京都 世界文化遺産 醍醐寺 金堂
<本尊の薬師如来坐像が安置されている金堂>

醍醐寺の本堂である金堂は国宝。入母屋造本瓦葺きの堂々たる建物です。もともとは醍醐天皇により926年に創建されましたが、鎌倉時代と室町時代の二回にわたって焼失。

現在の金堂は、平安時代後期に建立された建物を、豊臣秀吉の命により紀州(和歌山県)から移築したものです。本尊は薬師如来坐像。堂内は撮影禁止ですが、両脇の日光・月光菩薩立像とともに、厳かな姿を外から見ることができます。

平安時代からこの地にそびえる壮麗な五重塔

京都 世界文化遺産 醍醐寺  五重塔
<京都府で最古の木造建築物である五重塔>

金堂の南東側には五重塔が壮麗な姿を見せています。こちらも国宝。高さ約38mもあるこの塔は、醍醐天皇の菩提を弔うために朱雀天皇が起工し、第二皇子である村上天皇の時代の951年に完成しました。約13mもある屋根の上の相輪が、端正な塔に彩りを添えています。

京都 世界文化遺産 醍醐寺  五重塔
<初層の周囲から塔の上を眺める>

応仁の乱にも耐えてこの地にそびえるこの五重塔は、京都府で最古の木造建築物。下から屋根を眺めながらぐるぐると周囲をまわると、平安時代から今に至るまでの歴史の長さに圧倒されてしまいます。醍醐寺の変遷を見続けてきた、風格のある塔です。

観音堂にお参りし、弁天堂の池を見ながら風情ある昼食を満喫

醍醐寺 世界文化遺産 京都 観音寺
<観音堂>

五重塔から歩道を東へ進むと、観音堂が現れます。こちらは現在西国第十一版札所となっており、お堂の奥から内部へ入ることができます。本尊は准胝観世音菩薩。写真撮影は禁止されていますが、慈愛を湛えた観音様の表情が目に焼き付きます。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 弁天堂 池
<池に姿を映す弁天堂>

観音堂の東には池が広がっており、ほとりには朱塗りの弁天堂が建っています。池に架かった朱塗りの橋と、弁天堂が水面に姿を映す様子は、美しく穏やか。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 お休み処 寿杏庵
<池のほとりに立つお休み処「寿庵」>

さらに池の東には、かつて高僧が宿舎にしていた「寿庵」があり、風情あるお茶やお食事を楽しめるお休み処になっています。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 寿庵 ゆば丼
<しみじみ美味しいゆば丼のセット>

こちらで昼食を食べることにした筆者は、ゆば丼を注文しました。京風あんかけ出汁に、生ゆばがたっぷり入ったどんぶりは、いかにも京都らしい上品な美味しさ。格子窓の向こうに観音堂と池を見ながら、優雅なお昼の時間を楽しみましたよ。

太閤秀吉が設計した三宝院の庭園が絶景

京都 世界文化遺産 醍醐寺 三宝院 庭園
<三宝院の庭園を表書院の回廊からのぞむ>

伽藍エリアを見た後は、西側に広がる三宝院エリアへ向かいます。実は今回の旅のお目当てはこちら。歴代座主が居住する「本坊」として1115年に創建された三宝院は、後に豊臣秀吉が「醍醐の花見」を契機に整備しました。国宝の表書院から望む池泉式庭園は、1598年に秀吉が自ら基本設計をしたもの。天下人たる太閤秀吉の美意識を、随所に見ることができます。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 三宝院 庭園
<豊臣秀吉の美意識が現れる三宝院の庭園>

風情ある石組と木々の刈り込みが美しい庭園の中で、まず目を奪うのは池の中央の二つの島。左側が亀島、右側が鶴島と呼ばれています。亀島の右側には亀の頭の形の丸くなだらかな石が配置され、鶴島の右側に架かる石橋は鶴の首を表しているそうです。

池の手前の枯山水には、賀茂川の流れを表す三つの石が置かれています。池の左奥には三段の滝が設置されており、水音が涼しげ。変化する水の動きと音を取り入れた、桃山時代を代表する庭園は、いつまで見ていても飽きません。

覇者の象徴!「藤戸石」にご注目

京都 世界文化遺産 醍醐寺 三宝院 庭園 藤戸石
<天下人が引き継いできた藤戸石>

池の奥の水辺の中心には、大きな四角い石が据えられています。これは「藤戸石」と呼ばれ、室町時代から歴代の権力者によって引き継がれてきた名石。足利義満が金閣に置き、細川氏の庭に移り、織田信長が足利義昭のために築城した二条御所に設置し、後に豊臣秀吉が聚楽第へ据え、さらに江戸後期にここ三宝院の庭園へ移されました。なんとも凄い経歴を誇るこの石は、見るからに迫力。左右には低い石が置かれており、阿弥陀三尊を表しているそうです。この庭を眺める際に、絶対に見逃せないポイントです。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 三宝院 庭園 
<藤戸石が池の水面に映る>

雅やかな襖絵が彩る表書院

京都 世界文化遺産 醍醐寺 表書院 襖絵
<表書院の下段の間から上段・中段の間をのぞむ>

三宝院の風格のある建物の中でも、とりわけ見事に庭園全体を見渡せるのは表書院。国宝に指定されています。上段・中段・下段で構成されており、下段の間は畳をあげると能舞台になります。

ここで目を引くのは室内を彩る見事な襖絵。上段・中段の間に広がる柳や山野の風景は長谷川等伯一派が、下段の間を彩る孔雀や蘇鉄は、狩野探幽の流れを引く鶴沢派の絵師、石田幽汀が描いています。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 表書院 庭園 
<表書院から眺める庭園>

外を眺めれば桃山時代の華やかな庭園、室内には技巧を凝らした襖絵。いずれも見事で、風流な空気に包まれます。

秀吉が贈った金天目茶碗と天目台

京都 世界文化遺産 醍醐寺 純浄観 非公開 
<通常は非公開の純浄観>

表書院の先の建物は、普段は非公開。しかし毎年1~3月に開催される「京の冬の旅」のキャンペーン中は、普段は見られない建築物や文化財が見られます。

2026年の冬は、表書院の東の純浄観、北の奥宸殿、快慶作の弥勒菩薩座像を祀る弥勒堂、茶室の枕流亭を公開しています。表書院の奥にある料金所で特別拝観料金(大人・中高生800円)を払う必要がありますが、見応えは抜群。今回のキャンペーン期間は、2026年1月9日~3月18日です。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 金天目茶碗 天目台
<金天目茶碗と天目台>

太閤秀吉が有名な「醍醐の花見」を行った場所は、醍醐山の中腹にある平坦な地、槍山。純浄観は、その時に使った建物を移築したものと言われています。襖絵に描かれた桜と紅葉は、平成に入って浜田泰介画伯によって描かれました。

この部屋で展示されていたのが「金天目茶碗と天目台」。醍醐寺第80代座主の義演が、秀吉の病気平癒を願って加持祈祷をした際に、その褒美として贈られたものです。黄金に輝く茶碗は、実は木製。薄く延ばした金板が貼られています。茶碗の外側には、まるで陶器の茶碗のように、釉薬が垂れる様子が施されています。粋な遊び心が垣間見える金の茶碗に、見入ってしまいます。

奥寝殿の違い棚は影も必見

京都 世界文化遺産 醍醐寺 奥寝殿
<奥宸殿>

奥宸殿が建てられたのは江戸時代初期。田の字型の間取りをしており、主室の上座の間には武者隠しがあります。

京都 世界文化遺産 醍醐寺 奥寝殿
<影も繊細で美しい醍醐棚>

床の間の脇にある意匠を凝らした違い棚は、「醍醐棚」と呼ばれるもの。修学院離宮の「霞棚」、桂離宮の「桂棚」とともに、「天下の三大名棚」と称されています。花をかたどった透かし彫りは、壁に映る影までも美しく、必見です。

快慶作の弥勒菩薩がおわす本堂

京都 世界文化遺産 醍醐寺 弥勒堂
<別名「弥勒堂」の本堂>

三宝院の東端にある本堂は、快慶が作った弥勒菩薩が本尊。そのため「弥勒堂」と呼ばれています。金泥が施された弥勒菩薩座像は、切れ長の目が美しく、左右対称の均整が取れた姿。右には弘法大師、左に開祖の理源大師が安置されています。堂内は撮影禁止なので、しっかり目に焼き付けましょう。

40年ぶりに公開された茶室「枕流亭」に入る!

京都 世界文化遺産 醍醐寺 枕流亭
<貴人口を備えた枕流亭>

枕流亭は庭園の南東側にひっそりと建つ茶室。2026年の「京の冬の旅」キャンペーンで、なんと40年ぶりに公開されています。「聚楽第から移された秀吉好みの茶室」とも、「江戸時代中期の建築物」とも言われ、独特の構造を持った建物です。入口は通常のにじり口ではなく、立ったまま出入りできる「貴人口」になっており、実際に中に入ることができます!

j京都 世界文化遺産 醍醐寺 枕流亭 庭園 床の間
<上段の間から見た庭園と床の間>

段差の大きい石段を踏みしめて中に入ると、内部は南から上段・中段・水屋の間に分かれています(水屋の間は非公開)。上段の間の開け放たれた障子からは、庭園の池や藤戸石を見渡すことができ、絵のような眺め。床の間の柱には棕櫚の木が使われており、独特の縞模様が目を引きます。

jj京都 世界文化遺産 醍醐寺 枕流亭 床の間
<床の間の左の柱は棕櫚の木>

すがすがしい茶室の畳に座りながら、ここでお茶をふるまわれた人が、珍しい床の間の柱に目を見張ったり、庭の景観に見惚れたりしたのかな...などと想いを馳せました。当時の茶人の研ぎ澄まされた感性を垣間見る、貴重な体験ができる茶室です。

まとめ

平安時代の建築物や、豊臣秀吉が設計した庭園を見られる醍醐寺は、長い歴史を今に伝える寺院です。以下の点をお心に留めながら、訪ねてみてくださいね。

・醍醐寺へのアクセスは市営地下鉄東西線が便利です。醍醐寺駅から醍醐寺の総門へは、徒歩で約10分です。
・総門をくぐると入場券を販売する受付があります。三宝院・伽藍・霊宝館のすべてを訪れる「3カ所共通券」や、3つの中から見たい場所を選べる「2カ所共通券」および「1カ所拝観券」があります。
・本堂である金堂は国宝で、本尊は薬師如来像です
・国宝の五重塔は951年に完成。京都府で最古の木造建築物です
・観音堂は現在札所となっており、本尊は准胝観世音菩薩です
・弁天堂の池のほとりの「寿庵」では、お茶やお食事を楽しめます
・三宝院は歴代座主が居住する本坊で、1115年に創建。後に豊臣秀吉が整備しました
・三宝院の池泉式庭園は、秀吉が自ら基本設計をしたものです
・庭園の中心にある藤戸石は、歴代の権力者に引き継がれてきた名石です
・国宝の表書院は襖絵が見事。室内から庭園全体を見渡せます
・表書院の先の建物は通常非公開ですが、2026年の「京の冬の旅」のキャンペーン中は、純浄観、奥宸殿、弥勒堂、枕流亭を公開。公開期間は2026年1月9日~3月18日です
・純浄観は太閤秀吉が「醍醐の花見」を行った際に使った建物。2026年「京の冬の旅」期間中は、金天目茶碗と天目台を展示しています
・奥宸殿の違い棚は「醍醐棚」と呼ばれ、「天下の三大名棚」の一つです
・三宝院の本堂は、快慶が作った弥勒菩薩が本尊です
・茶室「枕流亭」は40年ぶりの公開。上段・中段・水屋の間に分かれており、上段の間にある床の間の柱には棕櫚の木が使われています

それでは、厳かな建築群と庭園の美学を楽しむ、充実の拝観を!

醍醐寺

  • 所在地:京都市伏見区醍醐東大路町22
  • 拝観時間:9:00~17:00(3月1日~12月第1日曜)/9:00~16:30(12月第1日曜の翌日~2月末日)
  • 休観日:無し
  • 拝観料:2カ所共通券(三宝院・伽藍・霊宝館のいずれか2カ所)大人 1000円/中学・高校生 700円/小学生以下 無料 (1カ所拝観券、3カ所共通券もあり)
  • 公式サイト:醍醐寺 

※三宝院の「京の冬の旅」特別拝観料金(2026年1月9日~3月18日)は大人・中高生800円
※2026年2月現在。最新情報は公式サイトをご確認ください

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ASA24

ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!
※ライター名を「朝茶」→「ASA24」に変更しました。

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