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アメリカのレストラン、チップはいくら払うべき?どんどん上がる相場の実情

アメリカのレストランで食事をした場合、基本的にチップを支払う必要があります。日本にはない習慣のため、初めての人は戸惑うことも多いでしょう。
チップとは、受けたサービスに対する「お礼」のようなものですが、料理が出てくるのが遅かった、愛想があまり良くなかった、といった理由だけでチップを払わないという選択は一般的ではありません。
目次
なぜチップが必要?アメリカ独特の賃金制度
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ウエイターやウエイトレスなど、いわゆる「チップ制」で働くスタッフの収入の大部分はチップによって成り立っています。
連邦法では、チップを受け取ることを前提とした職種については、通常の最低賃金より低い時給を設定してもよいとされており、その連邦最低額は時給2.13ドルです。
ただし、チップを含めた総収入が連邦最低賃金に達しない場合は、雇用主が差額を補填しなければならない決まりになっています。
もっとも、アメリカは「合衆国」という名の通り、州ごとに法律が異なります。ニューヨーク州、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ネバダ州などでは、チップ制の職種であっても通常の最低賃金が保証されています。
そのため、これらの州の繁盛店で働くウエイトスタッフは、かなりの収入を得ているケースも珍しくありません。
変わり続けるチップの相場
かつて、レストランでのチップ相場は15%が一般的でした。当時のニューヨーク州・市の売上税(Sales Tax)の合計が約8%だったため、計算が面倒な場合は「ダブルタックス(W Tax)」といって、レシートに記載された税額を2倍(約16%)にしてチップ欄に書く人も多くいました。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックを境に、チップの相場は急激に上昇しました。
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会計時に渡されるレシートには、あらかじめ計算されたチップ額がパーセンテージ別に印刷されていることが多いのですが、以前は「15%・18%」だったものが、いつの間にか18%スタートの「18%・20%・22%」になり、現在では20%が事実上の最低ラインのような扱いになっています。
「22%・25%・28%」なんて書かれた店も観光地ではめずらしくありません。
押し付けがましいタブレットの登場
キャッシュレス化が進み、レストランで現金払いをする客は減ってきました。その代わりに、タブレット端末を使った支払いが増えています。お勘定を頼むと、ウエイトスタッフはタブレットを持ってテーブルまでやってきます。
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このタブレットには、数種類のチップ率を選択できるボタンが表示されるのですが、最初から20%が選択された状態になっていることも多く、登場当初は「まるで恐喝されているようだ」という不満の声もよく聞かれました。
最近ではさらに図々しく、25%がデフォルトになっている店もあります。
一応「カスタマイズ」として、好きな金額やパーセンテージを入力できる選択肢もあるのですが、面倒なこともあり、多くの人は表示された選択肢の中から選んでしまいます。特に、ウエイトレスがじっとこちらを見ていると、金額を下げるのは気まずいものです。
中には、テーブル決済の際に、わざと周囲から見えるようにタブレットを差し出すウエイターもいて、「ケチだと思われたくない」という心理が働き、必要以上にチップを払ってしまうこともあります。
タブレットに「No Tip」という選択肢が用意されていることもありますが、これはチップを現金で支払う場合や、すでにチップが含まれているケースを想定したものです。
一般的なレストランでサービスを受けたにもかかわらず、チップを一切支払わない人は、実際にはほとんどいません。
こんなところでもチップ?
これまで、ファーストフード店ではチップは不要というのが常識でしたが、最近ではチップを求める店も増えてきました。
また、レストランでテイクアウトを注文し、受け取りに行った際に、遠回しにチップを求められることもあります。これは、テーブルに料理を運べばチップがもらえるのに、持ち帰り用に袋詰めする作業には何も対価がない、という不満から来ているのでしょう。
そのため私は、テイクアウトの袋を渡してくれたウエイトスタッフには、数ドル渡すようにしています。ただし、チップを払わなかったからといってマナー違反になるわけではなく、ほとんどのお店ではチップを渡さなくても笑顔で接してくれます。
最近マイアミを旅行した際に驚いたのは、アイスクリーム店の会計時に設置されたタッチパネルに「20%」「25%」といったチップ表示があり、店員から「お願いします」と言われたことでした。
1スクープ11ドルという価格にも驚きましたが、その上チップを求められ、正直気分は良くありませんでした。翌日別の店に行っても同様だったため、
チップ込みのレストラン
一時期、あらかじめチップを料金に含め、精算時に別途チップを支払う必要のないレストランが増えたこともありました。
しかし、経験豊富なウエイターやウエイトレスは、質の高いサービスによって高額のチップを得ていたため、新人ややる気のないスタッフと同じ収入になることに強い不満を抱き、店を去るケースが相次ぎました。
その結果、再び従来のチップ制に戻す店も増えています。確かに、どのような態度であっても同じ収入が保証されるとなれば、サービスの質が低下するのも無理はないのかもしれません。
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ちなみに、マイアミのサウスビーチなどの観光地では、あらかじめ20%前後のチップが自動的に加算されるお店がほとんどです。
支払う前に必ず確認しましょう。チップが含まれている場合でも、さらにチップを記入できる欄が設けられていることが多く、何も気づかずに記入してしまうと、結果的にチップを二重に支払うことになってしまいます。
観光地でなくても、6人以上などの大人数で利用した場合に、チップが自動的に加算される制度はアメリカでは一般的です。これを「自動チップ(Automatic gratuity)」と呼びます。メニューやレシートには、
「6人以上のグループには、18%のチップが加算されます(18% gratuity added for parties of 6 or more)」
といった表記があるはずです。
とにかく、支払う前には必ずレシートを確認することが大切です。注文していないものが含まれていたり、他のテーブルのレシートと取り違えられていたりすることも、残念ながら珍しくありません。
チップが含まれているかどうかを確認するには、"Gratuity" や "Service charge" という表記を探しましょう。また、18%や20%といったパーセンテージが明記されている場合も、それはチップを意味しています。
不安な場合は、「Is the tip included?」と一言聞いて確認するのが確実です。
結局のところ
私は、基本的にどのようなサービスであっても20%以上は支払うようにしています。よく行く店や、特にサービスが良かったと感じた場合には、それ以上渡すこともあります。
観光でアメリカを訪れ、レストランで食事をした場合は、サービスに応じて15~20%程度のチップを支払えば問題ないでしょう。ただし、現在の感覚では15%では「少ない」「ケチだ」と受け取られることがあるため、気になる場合は18~20%程度を目安にしておくと安心です。
多少サービスに不満があったとしても、15%を下回ることはおすすめできません。なお、上にいろいろ書きましたが、カフェやテイクアウト専門店、ファーストフード店では、基本的にチップは不要です。チップ入れが置いてあったり、タブレットで表示されても、必ずしも支払う必要はありません。
アメリカ合衆国
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ナツコ・H
- 世界で活躍するジャズ奏者の夫のマネージメント、CD収録曲の作曲を手がける。NYの日系新聞でニュース記事執筆中。法律翻訳家。93年よりNY在住。



























