小説「失われた地平線」で出てくる理想郷の名を持つ!標高3,300地点にあるチベット文化圏・シャングリラ(香格里拉)の魅力を紹介

<TOP画像:香格里拉の松賛林寺>

香格里拉(シャングリラ)は、中国・雲南省にある標高約3,300メートルの山奥の町です。小説「失われた地平線」で登場する架空の寺院の名前「シャングリラ」は、桃源郷の代名詞として広く知られるようになりました。

21世紀以降(2002年香格里拉県、2014年香格里拉市)という名前になりました。元の名前は中甸県(ちゅうでんけん)で、チベット文化圏です。簡単にはいけない秘境でしたが、2023年に高速鉄道ができたことで行きやすくなりました。今回は2025年時点での香格里拉の見どころやおすすめのスポットを紹介していきます。

目次

日本から香格里拉までの行き方と注意点

<香格里拉行きの高速鉄道>
<香格里拉行きの高速鉄道>

日本から香格里拉まで行く方法は、直行便がないため、上海や昆明を経由してデチェン・シャングリラ空港まで飛行機を使うか、昆明、麗江まで飛行機で行き、そこから高速鉄道を使う方法があります。2023年11月26日に開通した高速鉄道は本数も多く、町の中心部とも使い勝手が良いです。

<香格里拉駅近くから見える風景>
<香格里拉駅近くから見える風景>

長いトンネルを抜けて香格里拉駅に近づくにつれ、建物の形などが急にチベット風に変わっていきます。車窓から見えたのは格里拉和諧塔中塔(シャングリラハーモニータワー)とよばれている建物です。

<香格里拉駅>
<香格里拉駅>

そして、出来てまだ2年も経っていない香格里拉駅に到着しました。なお、香格里拉は標高3,300メートルに位置しており、空気が薄いため、いきなり上がってしまうと高山病になる恐れがあります。実際、街中を歩いているときに、時折息苦しく感じることがありました。そのため、少し標高の低い麗江などに立ち寄って標高の高さに慣れてから挑んだほうが安心です。

香格里拉の魅力 その1 小ポタラ宮ともよばれるチベット寺院 松賛林寺

<松賛林寺を下から見た様子>
<松賛林寺を下から見た様子>

香格里拉に来たなら絶対に行っておくべきところが、松賛林寺(ソンツェリン寺)とよばれるチベット仏教寺院です。香格里拉の中心部から約5キロ離れた場所にあり、1674年にダライ・ラマ5世が創建しました。

ラサにあるポタラ宮を模して作られているのが特徴で、「小ポタラ宮」とも呼ばれています。

<松賛林寺に上がったところ>
<松賛林寺に上がったところ>

松賛林寺は、地元人向けと観光客向けとでは入口が違います。地元の人は直接寺に行けますが、観光客はビジターセンターを経由しなければなりません。

外国人料金(55元)を支払ったのち、バスに乗って寺院の入り口に行けます。あとは別途料金不要で寺の中を自由に見学できました。

<松賛林寺の内部>
<松賛林寺の内部>

上まで階段でしか上がれませんが、内部は仏像などの一部を除いて撮影できました。中国の寺院とは雰囲気の異なるチベット仏教寺院は非常に興味深かったです。

松賛林寺

  • 所在地:中国 Yunnan, Diqing Tibetan Autonomous Prefecture, Shangri-La City, Gadan
  • 開門時間:7:40~18:30
  • 定休日:無し
  • 拝観料:55元

香格里拉の魅力 その2 観光客が少ない穴場 拉姆央措湖 

<松賛林寺から見える拉姆央措湖>
<松賛林寺から見える拉姆央措湖>

<拉姆央措湖>
<拉姆央措湖>

松賛林寺のすぐ南側にある湖が、拉姆央措湖(ラモ・ヤンツォ湖)です。松賛林寺の上から湖の全景が見渡せます。

チベット語で「聖母の魂の湖」として知られるこの湖は、拉姆央措(ラモ・ヤンツォ)神の魂が宿る湖とされます。周囲には遊歩道が整備されており、一周することも可能です。

あまりにも観光客の姿が入口付近に限られるため、湖の南側では静かに湖の様子がうかがえます。

<湖近くにいた馬と牛>
<湖近くにいた馬と牛>

湖のほとりでは、放し飼いになっている牛や馬の姿を見ることができました。

拉姆央措湖

  • 所在地:中国 Yunnan, Diqing Tibetan Autonomous Prefecture, Shangri-La City, Gadan, 松赞林寺门口
  • 定休日:無し
  • 入場料:40元

香格里拉の魅力 その3 地元のローカル市場

<地元のローカル市場の途中にあった繁華街>
<地元のローカル市場の途中にあった繁華街>

松賛林寺と香格里拉旧市街の間にある新市街を歩くと、地元向けの市場や繁華街があります。漢字表記は中国そのものですが、建物の形はチベット風です。

<地元のローカル市場>
<地元のローカル市場>

市場も見学しました。雲南独自で採れるのキノコなどの陳列が目立っていましたが、大まかには中国の他の都市にあるものとそれほど大きな差はありません。

<標高3300メートル地点でも海産物は元気>
<標高3,300メートル地点でも海産物は元気>

標高3,300メートル地点の高い山の中とは思えない、海の魚介類も生きたまま販売されていて、流通網がしっかりしていることがうかがえます。

香格里拉の魅力 その4 標高3,300メートルの夜の街

<夜の旧市街入り口>
<夜の旧市街入り口>

旧市街の夜はとても明るく観光客が楽しめるようになっていました。旧市街の北門もライトアップしています。

<中国人観光客が音楽に合わせて踊っていた>
<中国人観光客が音楽に合わせて踊っていた>

旧市街の広場には本当に多くの観光客の姿があります。音楽にあわせて観光客が踊る姿が特徴的です。

<旧市街の上にある寺院のライトアップ>
<旧市街の上にある寺院のライトアップ>

旧市街の高台にそびえる大佛寺は、夜になるとライトアップされ、まばゆい輝きを放っています。このあと、中心部にある丘・亀山公園に登ってみることにしました。

香格里拉の魅力 その5 亀山公園の世界最大の巨大マニ車 

<旧市街亀山公園にある巨大マニ車>
<旧市街亀山公園にある巨大マニ車>

亀山公園にある大仏寺の境内には、世界最大級の巨大マニ車「吉祥勝利幢」があります。マニ車とは、チベット仏教で用いられる仏具で、円筒を時計回りに回すことで、中に入っている経典を読んだのと同じ功徳が得られるとされています。

<いっしょに巨大マニ車を回してみた>
<いっしょに巨大マニ車を回してみた>

この巨大なマニ車は、チベット文化の伝統的な八大吉祥シンボルでもあります。それにしても非常に巨大なマニ車のため、観光客が交代で回していました。

せっかくの機会なので巨大マニ車を回しながら一周しました。外から見るとずっと回っていて、一見自動的に回っているように見えるのですが実際は違います。

体験すると、途中で速度が遅くなって重く感じることがありました。つまり、みんなの力で手動で動かしていたのです。無事に一回りしました。こうして世界最大のマニ車の中におさめられている経典の功徳を手に入れられました。

<亀山公園から見る香格里拉の町>
<亀山公園から見る香格里拉の町>

香格里拉旧市街にある亀山公園からの夜景です。香格里拉の新市街方向を見ているのですが、新市街でも仏塔やビルが光り輝いていて標高3,300メートル地点とは思えない光景でした。

亀山公園・吉祥勝利幢

  • 所在地:中国 后面 Shangri-La City, CN 云南省 迪庆藏族自治州独克宗古城

香格里拉の魅力 その6 茶葉古道の大物の生涯を展示 

<茶葉古道博物館の外側>
<茶葉古道博物館の外側>

かつて、雲南省南部の普洱(プーアール)や四川省などで取れた茶葉をチベットまで運ぶルートがありました。そのルートの途中には大理、麗江、そして中甸(ちゅうでん:香格里拉の前の読み方)などを経由して最終的にチベットのラサにつながるルートです。

一説には2000年以上からある道で、シルクロードよりも古くから往来があったとのこと。

<茶葉古道博物館の内部>
<茶葉古道博物館の内部>

中甸とよばれた時代、茶葉古道で財を成した中国茶貿易商の竹才馬(Zhucai Ma)の偉業を展示しているのが、香格里拉茶馬古道博物館です。香格里拉の旧市街地内にあり、知る人ぞ知る穴場スポットです。

<茶葉古道博物館の展示物>
<茶葉古道博物館の展示物>

展示内容は、茶葉古道の大物「竹才馬」の生涯を中心に、かつての茶葉古道の写真パネルと、当時使用していた道具が展示していました。無料で見学できます。

香格里拉茶葉古道博物館

  • 所在地:中国 Yunnan, Diqing Tibetan Autonomous Prefecture, Shangri-La City, 宏学廊独克宗古城内
  • 入館料:無料

香格里拉のチベット料理店 洛槡家宴·百姓的家宴

<チベット料理店のロビー>
<チベット料理店のロビー>

チベット文化圏の香格里拉でチベット料理を食べようと、松賛林寺から旧市街に向かって歩いている途中に見つけたのが、洛槡家宴·百姓的家宴でした。 

<チベット料理>
<チベット料理>

このお店は、チベット料理を提供していました。画像の料理は牦牛肚锅(ヤクの胃袋の鍋)です。黄色っぽいスポンジ状に見えるのがヤクの胃袋つまりハチの巣で、真ん中にあるにある黒いものが雲南でよく採れるキクラゲ、さらにチベット料理でよく使われる香味野菜が入っていました。

<チベット料理>
<チベット料理>

そしてこちらはチベットの主食糌粑饼(ツァンパ餅 / Tsampa Pancake)です。炒った大麦子を釣ってパン状にしたものです。いずれにしてもめったに食べる機会のないチベット料理を味わえました。

なお、香格里拉では多くのお店が中国料理店です。チベット料理を探す際に注意しましょう。

洛槡家宴·百姓的家宴

  • 所在地:Ni Wang Lu, Xiang Ge Li La Shi, Di Qing Zang Zu Zi Zhi Zhou, Yun Nan Sheng, 中華人民共和国
  • 電話:18213205559
  • 入場料:無料

香格里拉は小説とまではいかないが雲南の奥地に間違いない

<町の名前のもととなった小説「失われた地平線」のモニュメント>
<町の名前のもととなった小説「失われた地平線」のモニュメント>

香格里拉(シャングリラ)の町には、名前のもととなった小説「失われた地平線」のモニュメントがありました。実際の香格里拉は、小説に出てくる桃源郷とは全く異なりますが、手前の麗江までと違い、標高の高さも雰囲気もまるで異なる別世界であることは間違いありません。

雲南の奥地に高速鉄道が開通したことで、とても行きやすくなり、多くの中国人観光客の姿がりました。ただ空気が薄いのも事実で、高山病のリスクがあるので訪問の際には注意しましょう。

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万代正平

旅行が好きな旅人。日本国内は、北海道の網走、道東周辺から沖縄の八重山諸島・与那国島まで47都道府県すべて行ったことがあります。2020年2月までは毎年東南アジアに渡航しており、東南アジア10か国すべて訪問しました。海外では他にヨーロッパ(英国、ベルギー、アイルランド)アメリカ、中国、香港、マカオ、台湾、韓国への渡航経験があります。2020年春以降は、主に国内の旅行を中心に活動しています。

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