白壁の町家が並ぶ倉敷美観地区を堪能!風情ある街で楽しみたい7つのこと【岡山県】

岡山県を代表する観光地の「倉敷美観地区」は、江戸から明治時代の建物が数多く残り、海外からのツーリストにも人気の場所です。どこを見渡しても素敵なこの街で、とりわけ思い出に残った7つのポイントについてまとめてみました。風情ある街にどっぷり浸れます!

目次

アクセス: JR倉敷駅から徒歩圏内、交通至便の倉敷美観地区

倉敷美観地区の最寄りの駅はJR倉敷駅。新幹線が停車する岡山駅からは、山陽本線・伯備線で、乗車時間17分です。倉敷駅の南出口から外に出ると、倉敷美観地区へは徒歩13分ほどで到着します。両備バスおよび下電バスを使うと、わずか2、3分で到着。バス停は「大原美術館前」です。

<倉敷川の両岸に白壁の建物が並ぶ倉敷美観地区>
<倉敷川の両岸に白壁の建物が並ぶ倉敷美観地区>

倉敷美観地区

ポイント1: 白壁の蔵がまぶしい昼の街並み散策

<倉敷川沿いの眺め>
<倉敷川沿いの眺め>

倉敷美観地区のメインとなる場所は、「倉敷川沿い」と「本町通り」のふたつの通り。倉敷川の両岸には白壁の蔵がずらりと並び、水辺の柳の緑に映えています。水上にはすげ傘をかぶった船頭さんが漕ぐ「くらしき川船流し」の木船が行き来し、ノスタルジックな眺めが魅力です。

<「中橋」へ進む木船。左岸のなまこ壁が美しい蔵は「倉敷考古館」>
<「中橋」へ進む木船。左岸のなまこ壁が美しい蔵は「倉敷考古館」>

倉敷川沿いで特に印象的な場所は、石造りの「中橋」が架かる地点。橋の北側にはなまこ壁が見事な江戸時代の米蔵が、南側には大正時代に建てられた瀟洒な洋館があり、対照的な美しさです。どっしりした米蔵は現在「倉敷考古館」、洋館は観光案内所の「倉敷館」になっています。倉敷館の二階は休憩所になっており、窓から対岸の見事な眺めを楽しめますよ。

<本町通り>
<本町通り>

倉敷美観地区の北側にのびる本町通りには、土産物屋や食べ処がずらりと並んでいます。この道は、もともとこの地域の中心として栄えた旧街道でした。観光客がそぞろ歩く様子を見ると、「江戸時代もこんな風ににぎわっていたんだろうなあ」と感慨深くなります。

ポイント2: 大原美術館で世界から集められた名画を堪能

大原美術館の堂々たる本館
<大原美術館の堂々たる本館>

「倉敷観光の一番のお目当ては、大原美術館」という方も多いことでしょう。実業家の大原孫三郎が、洋画家の児島虎次郎を援助し、彼が目利きして収集した作品を展示するため、1930年に設立しました。日本初の西洋美術中心の私立美術館です。

広大な美術館は「本館」「工芸・東洋館」「児島虎次郎記念館」の3つで構成されており、一枚の入館券ですべて入場できます。
ギリシャ神殿のような本館には、モネ、ルノワール、ゴーギャン、ロートレック、マティス、モディリアーニ、ピカソ......など巨匠たちの傑作が勢揃い。ここが日本であることを忘れてしまう程の充実した作品群です。できれば2時間以上かけて鑑賞することをおすすめします。なお、館内の写真撮影は禁止されているのでご注意を。

きら星のごとき作品たちの中で、筆者が特に目を奪われたのはエル・グレコの「受胎告知」でした。この絵は専用の小部屋で展示されており、落ち着いた空間で神秘的な光を放っています。聖母マリアと大天使ガブリエルの、鮮やかでドラマチックな瞬間に息を呑みました。

江戸時代に米蔵だった建物を利用した工芸・東洋館
<江戸時代に米蔵だった建物を利用した工芸・東洋館>

本館の西には、白壁に瓦屋根がどっしりとした工芸・東洋館があります。工芸館には河井寛次郎やバーナード・リーチが制作した陶器のコレクションがずらりと並んでおり、実際に食卓で使ってみたいような親しみを覚えました。棟方志功の大作の版画シリーズも、ひとつひとつに見入ってしまいます。

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<2025年4月3日にオープンした児島虎次郎記念館>

児島虎次郎記念館は、本町通りにあります。国の登録有形文化財である旧中国銀行倉敷本町出張所の壮麗な建物を利用し、2025年4月3日にグランドオープンしたばかり。入館すると古代エジプトや中近東の美術品がずらりと並び、さらに大原美術館のコレクションの収集に貢献した、児島虎次郎自身の作品を約50点展示しています。

この別館では、写真撮影が許可されているのも嬉しいポイント。児島虎次郎の「朝顔」の三部作は特に人気があり、多くの人が写真を撮っていました。光あふれる朝顔と、女性のたおやかさが印象的です。

児島虎次郎の大作「朝顔」
<児島虎次郎の大作「朝顔」>

大原美術館

  • 住所:岡山県倉敷市中央1-1-15
  • 開館時間:9:00~17:00(児島虎次郎記念館は10:00~16:00)
  • ※2025年12~2月は9:00~15:00(児島虎次郎記念館は10:00~15:00)
  • 休館日:月曜(祝・祭日および振替休日の場合は開館、7月下旬~8月は休館日なし)
  • 入館料: 一般2000円、高校・中学・小学生500円 本館、工芸・東洋館、児島虎次郎記念館に入館可
  • 公式サイト:大原美術館 

ポイント3: 期間限定で見られる大原家の旧別邸、有隣荘

<優美な旧大原家別邸、有隣荘>
<優美な旧大原家別邸、有隣荘>

大原美術館の北側、倉敷川を挟んで向かい側に、浅緑色の瓦屋根が印象的な日本建築があります。こちらは大原孫三郎が、病弱だった夫人のために建設した別邸。後に迎賓館として、昭和天皇も宿泊されました。

通常は非公開ですが、大原美術館の特別展示等を開催している時のみ、期間限定で一般公開しています。筆者が訪れた時は運よく公開中だったので、見学してきました。

内部は写真撮影禁止、暖炉がある一階の洋間や対岸を見渡せる二階の広い和室など、洗練された部屋のひとつひとつが見応え抜群でした。意匠を凝らした和室の床の間に、大原美術館の特別展示の現代アートが、不思議にマッチしていました。倉敷を訪れる際に公開時期に当たったら、ぜひ訪れてみてくださいね。

有隣荘(旧大原家旧別邸)

  • 住所: 岡山県倉敷市中央1-3-18
  • 入場料: 大原美術館とのセット券 一般2500円、高校・中学・小学生1000円(※2025年春の公開時)
  • 倉敷市観光公式サイト:有隣荘(旧大原家旧別邸)

通常は外観のみ見学可能(公開は公式観光サイトから問合せ)

ポイント4: 昔の町屋の様子がよくわかる井上家住宅

<倉敷美観地区で最古の町屋、井上家住宅>
<倉敷美観地区で最古の町屋、井上家住宅>

白壁の風情ある建物が並ぶ通りを歩くと、町家(町屋)では日常的にどのように暮らしていたのかが気になってきますよね。そこで、美観地区最古の町屋「井上家住宅」を見学してみました。本町通りに面して建つ築三百年の立派な日本家屋で、国指定重要文化財です。10年に及ぶ保存修理工事を経て、2023年3月から一般公開されています。

江戸時代からの暮らしぶりがうかがえる居間
<江戸時代からの暮らしぶりがうかがえる居間>

黒光りする梁が立派な土間の入口で入場料を払うと、なんと井上家の子孫の方が自ら邸内を案内してくださいました。幼少期に過ごした様子など、臨場感たっぷりの解説にワクワクします。

本町通りに面した「店の間」には、水平に吊り上げて窓を開閉する「蔀戸(しとみど)」があります。こちらを実際に開けてもらいましたよ。外からは室内が見えにくく、中からは外の様子がうかがえる「倉敷格子」も、両開きになります。本町通りに向かって開け放たれた、ここで商いが行われていた時代の光景を体感。江戸時代の匠の技術と、機能美に見とれました。

蔀戸を開けた様子。さらに倉敷格子が両開きになる
<蔀戸を開けた様子。さらに倉敷格子が両開きになる>

店の間の奥にある座敷には、床の間に美しい鶴の絵が飾られていました。これは第10代当主の井上端木が描いたものだそうです!
「鶴のおじいさま」と呼ばれた端木は、座敷から見える雪見灯篭のある坪庭で、実際に鶴を飼っていたとか。

庭の鶴を見ながら、鶴の姿を描くご当主を想像すると、なんだか親しみが湧いてきます。後に鶴は岡山後楽園に寄付された、というエピソードにも、井上家と岡山の歴史を感じました。

第10代当主が描いた鶴の絵が掛かる座敷と、そこから見える坪庭
<第10代当主が描いた鶴の絵が掛かる座敷と、そこから見える坪庭>

井上家住宅

  • 住所:岡山県倉敷市本町1-36
  • 開館時間:10:00~17:00
  • 休館日:月曜・年末年始(祝日および振替休日の場合は開館、翌日閉館)
  • 入館料:一般 500円、小中学生 300円
  • 公式サイト:井上家住宅 

ポイント5: 上から見る瓦屋根の街並みが美しい...阿智神社にお詣り

阿知神社の階段から見る倉敷美観地区の瓦屋根
<阿知神社の階段から見る倉敷美観地区の瓦屋根>

美観地区の北側にある鶴形山には、1700年以上の歴史を持つと言われる阿知神社(あちじんじゃ)があります。白壁の街並みをひととおり歩いたら、こちらにお詣りするのがおすすめ。参道の階段を登って振り返ると、瓦屋根が美しい美観地区の街並みが一望できるのです。江戸時代の町が目の前に迫るような眺めに、目が釘付けになります。

太いしめ縄が張られた拝殿
<太いしめ縄が張られた拝殿>

阿知神社に祀られているのは、海上交通の守護神である宗像三女神。かつて倉敷周辺は海域であり、交通の要衝だったことから、海の女神が祀られています。拝殿で旅の安全を祈った後は、女神たちが鎮座する本殿も必見です。檜皮葺きの屋根の曲線が美しく、女神様にふさわしい佇まいです。境内の緑によく映えています。

檜皮葺き屋根が優美な本殿
<檜皮葺き屋根が優美な本殿>

阿智神社

  • 住所:岡山県倉敷市本町12-1
  • 参拝時間:終日可
  • 拝観料:無料
  • 公式サイト:阿智神社 

ポイント6: デニム小物をおみやげに。桃やマスカットのスイーツも美味しい!

風情ある店先にデニムの服や小物が似合う
<風情ある店先にデニムの服や小物が似合う>

美観地区には、歴史ある白壁の建物をリノベーションしたお土産屋さんがずらりと並びます。中でも目立つのは、デニムの商品を揃えたお店。岡山県が世界に誇る多彩なデニムの商品があちこちに並んでいるのです。

ハイセンスなジーンズやジャケットから、帽子、バッグ、ぬいぐるみ、ポーチ、マスコット...など、自分用からバラマキ用まで選び放題。筆者も自分用に、デニムのトートバッグを買いました。丈夫で使いやすく、すっかりお気に入りです。

シャインマスカットを使ったスイーツ。美味しい!
<シャインマスカットを使ったスイーツ。美味しい!>

フルーツ王国としても名高い岡山県。美観地区には、果物を使ったスイーツを提供するお店が多数営業しています。とりわけ多いのは、桃を使ったパフェやドリンク。やっぱり岡山といえば桃太郎を思い浮かべますよね。マスカットを使ったジュースやソフトクリームも豊富です。あちこちで食べたり飲んだりしましたが、どれも爽やかな甘さが最高でした。旅の疲れも吹き飛びます。

ポイント7: 夜闇に浮かぶ白壁の家々の明かり

夜の倉敷川沿い
<夜の倉敷川沿い>

美観地区の旅館や周辺のホテルに宿泊したら、夜の倉敷川沿いを散策するのがおすすめです。観光客でいっぱいの昼間とは、ひと味違う街並みを堪能できます。町家(町屋)の白壁が夜闇に浮かび上がり、倉敷川の水面にも窓の明かりや白壁が映りこんで、なんとも風流な眺め。まるで映画の中に迷い込んだようです。川岸を歩く時は、足元にお気をつけくださいね。

瀟洒な街灯が街並みを照らす
<瀟洒な街灯が街並みを照らす>

まとめ

白壁の建物が並ぶ倉敷美観地区は、見どころがあふれています。以下の点をお心に留めながら散策を楽しんでくださいね。

  • 倉敷美観地区のみどころの中心は「倉敷川沿い」と「本町通り」です
  • 大原美術館は「本館」「工芸・東洋館」「児島虎次郎記念館」で構成されています。月曜日は休館なのでご注意ください
  • 有隣荘の内部は通常非公開ですが、大原美術館の特別展示等を開催している時のみ、期間限定で一般公開されます。
  • 美観地区最古の町屋「井上家住宅」では、江戸時代の邸宅の様子を見ることができます
  • 鶴形山の上にある阿智神社からは、美観地区の瓦屋根が並ぶ景色を見渡せます
  • 美観地区のおみやげはデニム商品が豊富。岡山のフルーツを使ったスイーツも人気です
  • 夜間の倉敷美観地区の眺めも風情があります

それでは、風情ある街並みと芸術に触れる素敵な旅を!

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朝茶

ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!

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