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新生ウィーン・ミュージアムは、ウィーンの歴史の魅力がたっぷり!【オーストリア】

100か所以上の博物館や美術館のある、ミュージアムの町ウィーンですが、そんなウィーンの街自体をテーマにした博物館「ウィーン・ミュージアム」をご存じですか?2023年末に改修が終わり、新装開館しましたので、新しくなったウィーン・ミュージアムをご紹介します!
古代ローマ時代から現代までの2000年以上のウィーンの歴史を、芸術や建築、装飾品や調度品、甲冑やドレス、地図や模型等、さまざまな角度からぎゅっと一つにまとめただけでなく、クリムトやシーレの絵画や、ウィーンの絶景まで楽しめてしまう博物館です。最高の立地な上、常設展はなんと無料!
ウィーンのことをもっと知りたい方、街歩きや観光の合間に気軽にミュージアムに立ち寄りたい方など、ウィーンの街の魅力を感じるのにぴったりのスポットですので、見どころをご紹介しますね。
目次
ウィーン・ミュージアムをざっくりご紹介
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<ウィーン・ミュージアムのファサードは現代的>
先代のミュージアムの隣に新しく建設された「新ウィーン・ミュージアム」。5階建ての館内には、常設展と特別展のほか、カフェや展望テラス、ショップもあり、見ごたえたっぷりです。特別展以外は入場無料ですので、時間があるときに気軽に入って、少しずつ鑑賞していくのもおすすめの楽しみ方です。
1~3階は、ウィーンの歴史を紹介する常設展で、この博物館の核となる部分です。先史時代、古代ローマ時代、中世、ハプスブルク家の時代から戦前・戦後に至るまで、数多くのオリジナルの発掘物や彫像、絵画、模型などの展示物を交えて紹介するこの展示は、ウィーン好き、歴史好き必見です!
1階と4階にはミュージアムカフェがあり、こちらも自由に入ることができます。特に4階にはテラスもあり、ここからの景色は必見!目の前のカールス教会が大迫力ですので、お見逃しなく!
5階は特別展で、ここだけが有料です。ウィーンの歴史にスポットライトを当てた展示のテーマは、都度変わりますので、公式サイトでチェックしてみてください。
それでは、ウィーン・ミュージアムの内部を一緒に歩いてみましょう。
古代ローマ時代と中世のウィーンの姿
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<ラテン語が刻まれたローマ遺跡>
ウィーン・ミュージアムの入り口ホールを通って常設展に入ると、まずはマンモスの骨や先史時代の埋葬品などの発掘物が展示されている、石器時代や青銅器時代の展示室です。
ケルトやゲルマン文化の影響が見られる貴重な発掘物は、ウィーンという土地が古代から住みやすく、魅力的であったことを感じさせます。
次のエリアは、古代ローマ時代。当時ウィーンはローマ帝国の軍事都市「ヴィンドボナ」として、交通と貿易の拠点として栄えていました。市内で発掘されたローマ人の手による遺構や墓石の一部が、解説と共に展示されています。
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<ウィーンが自治都市だったという裏付けとなった金属片>
ここで最も筆者が注目しているのは、ウィーンの歴史を塗り替えた古代ローマ時代の金属片です。長らくウィーンはローマ帝国における「軍事拠点」と考えられていましたが、2020年にこの金属片に書かれた文字が解読された結果、都市としてもっとランクの高い「自治都市」であるということが判明し、大きな話題となりました。
この金属片の本物を目の前で見ると、歴史が塗り替えられた瞬間をリアルタイムで見た感動がよみがえります。
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<シュテファン大聖堂のオリジナルのステンドグラス>
歴史は中世へと進み、展示室にはステンドグラスや聖人像が立ち並んでいます。ここは、ウィーンのシンボル、シュテファン大聖堂内部の「オリジナル」を集めた特別な空間です。
現在の大聖堂内では、14~15世紀に造られたステンドグラスや聖人像は、レプリカに置き換えられていますが、この博物館で展示・保管されているのは、その実物です。
ステンドグラスによく近づいてみると、美しいガラスの濃淡や、細かい職人芸が読み取れ、間近に見ないとわからない中世オリジナルのステンドグラスの美しさに感動します。
更に中世の展示は続き、ハプスブルク君主たちの甲冑や、ウィーン包囲の巨大な絵画、トルコ軍が残した武器等が展示され、キリスト教世界とイスラム世界の境目にあったウィーンの、戦いと勝利の歴史が刻まれています。
謎のクジラと宙に浮く馬車
2階に上がると、大きな吹き抜けがあります。この展示室には、19世紀にウィーン市長が乗っていた豪華馬車や、プラーター公園にあったレストラン「クジラ亭」の装飾など、目をひく展示物が宙に浮いています。
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<吹き抜けの展示室と巨大なシュテファン大聖堂の模型>
中でも、5メートルを超える巨大なシュテファン大聖堂の模型は、模型とは思えない迫力で、あらゆる角度から見ることができます。19世紀以来、シュテファン大聖堂の屋根裏で大切に保管されていたもので、この場所に移設されたときには、ニュースにもなりました。
華やかなハプスブルク時代
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<皇帝フランツ・ヨーゼフと皇妃エリザベートの若かりし頃の肖像画>
この2階部分の吹き抜けの両側には、18~19世紀の庶民の生活に関する展示があります。モーツァルトやベートーヴェン、フランツ・ヨーゼフやエリザベートなどの歴史上の人物が生きた時代のウィーンに関する展示ですので、知っている人物と結び付けてみると知識も広がります。
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<市壁があったころのウィーンの模型>
例えば、モーツァルトやベートーヴェンのころのウィーン旧市街は、市壁で囲まれていて、今のウィーンとはかなり様相が異なったのですが、そんな今では見ることのできない街の姿も、巨大模型で見ることができます。このような街角をモーツァルトやベートーヴェンが歩いていたんだなーと思うと、想像力が働きますね。
絵画が好きな方は、有名なマリア・テレジアやフランツ・ヨーゼフ、エリザベートのオリジナルの絵もありますし、若き日のクリムトが描いた、旧ブルク劇場の内部の絵も必見です。
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<クリムト絵画の展示>
3階は、主に20世紀のウィーン。旧ウィーン・ミュージアムにもあった、クリムトによる絵画『エミーリエ・フレーゲ』と『パラス・アテナ』の他、クリムトの青いガウンや、エゴン・シーレの絵画も多数あります。
2019年にこれらの絵が貸与されていた時に日本から寄贈された、クリムトの恋人エミーリエ・フレーゲをモチーフにしたぬいぐるみも展示してありますので、探してみてくださいね。
さらに展示は、第一次世界大戦、ハプスブルク帝国崩壊、第二次世界大戦を経て、現在につながります。混乱を極める戦間期も、貴重な史料と共に紹介されています。
カフェからの絶景
ウィーンの2000年以上にわたる歴史を一気に駆け抜けてきましたが、ここで息抜きに4階のカフェで一休みして、テラスに出てみましょう。
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<テラスから眺めたカールス教会>
ウィーンは高い建物が少ないので、4階からでも景色はなかなかです。特に目の前のカールス教会を、この距離と高さから見ることができるのは迫力です!
先ほど展示で模型をたくさん見たばかりですので、このテラスから眺めるウィーンも、模型のように見えてくるのが不思議な感じがします。
まとめ
ウィーン・ミュージアムの見どころをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?これだけの内容の濃い常設展を、クリムトやシーレの絵画も含めて無料で見れてしまうんですから、信じられないくらい贅沢な博物館ですよね。
ウィーンの歴史を深く知りたい方だけでなく、絵画好きの方や、ちょっとカフェで一休みしたい方にもおすすめのミュージアムです。ぜひウィーンに来られたら、気軽に立ち寄って、ウィーンの魅力を存分に感じてみてくださいね。
ウィーン・ミュージアム
- 住所:Karlsplatz 8, 1040, Wien
- 開館時間:火~金曜 9:00~18:00、木曜 9:00~21:00、土・日曜 10:00~18:00
- 休館日:月曜
- 公式サイト:ウィーン・ミュージアム
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ひょろ
- オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。




























