【オーストリア】ヨハン・シュトラウス2世 生誕200周年!ハウス・オブ・シュトラウスで音楽一家の息吹を感じてみよう

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでおなじみの「ラデツキー行進曲」と「美しき青きドナウ」。

この曲の作曲家は、ヨハン・シュトラウス1世と2世の親子音楽家です。二世代で世界的な名曲を作った作曲家なんて、どんな音楽一家だったんだろう?と気になりますよね。

実は、シュトラウス一家の末裔は、今でもウィーンに住んでいるんです。

ヨハン・シュトラウス2世生誕200周年の今年、このシュトラウス一家の末裔が新しくオープンした、「ハウス・オブ・シュトラウス」を訪れてみました。

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<ハウス・オブ・シュトラウス外観>

目次

シュトラウス一家とは?

「ラデツキー行進曲」を作曲したヨハン・シュトラウス1世には、音楽家になった三人の息子たちがいました。

そのうち最も有名なのが「美しき青きドナウ」で知られる長男ヨハン・シュトラウス2世ですが、次男ヨーゼフと四男エドゥアルトもそれぞれ作曲家として成功し、多くの名曲を残しています。

シュトラウス一家の音楽家たち。左からヨハン1世(父)、ヨハン2世(長男)、ヨーゼフ(次男)、エドゥアルト(四男)
<シュトラウス一家の音楽家たち。左からヨハン1世(父)、ヨハン2世(長男)、ヨーゼフ(次男)、エドゥアルト(四男)>

息子たちのうちで、エドゥアルトの玄孫にあたる人物が、現在もシュトラウス一家の伝統を守り続けています。元々別の場所にあった、一家の歴史を紹介する「シュトラウス王朝博物館」という博物館の資料を、一家のゆかりの地である「カジノ・ツェーゲルニッツ」に移して作られたのが、この「ハウス・オブ・シュトラウス」です。

1837年に実業家で富豪のツェーゲルニッツ氏が建てた豪華な建物で、ヨハン1世、ヨハン2世、ヨーゼフ、エドゥアルトの4人全員が演奏を行った、唯一の場所です。

「カジノ・ツェーゲルニッツ」の「カジノ」は、イタリア語の「カサ(家)」を意味し、当時はギャンブルとは無関係の、レストランとコンサートホールと舞踏会ホールを兼ねる社交場のことを指していました。

シュトラウス一家の活躍の場にぴったりですね。特に一階の大きなホールは息を呑むほど美しく、2025年のウィーン・フィルニューイヤーコンサートのロケ地の一つにもなりました。

シュトラウス一家が演奏を行った当時の姿が残される大広間
<シュトラウス一家が演奏を行った当時の姿が残される大広間>

現在はここで定期的にコンサートが開かれ、上の階の博物館見学も、コンサートチケットに含まれていることも多いようです。

シュトラウス一家が演奏した大広間

それでは、ショップ、カフェレストランと、大広間のある一階部分から見てみましょう。当時の姿を残しているのは、建物中央にある「オクタゴン」と呼ばれる8角形の噴水のある部屋と、その奥にある大広間です。

入口でミュージアムの入場券を買うと、まずは大広間でシュトラウス一家の紹介映像を見ることができますので、ぜひ美しい広間をゆっくり堪能してみてください。

当時の姿が残されるオクタゴン
<当時の姿が残されるオクタゴン>

当時の内装を残した大広間。シャンデリアやいすなどの細部も美しく、広間の奥からは黄金のシュトラウス像の視線も感じます
<当時の内装を残した大広間。シャンデリアやいすなどの細部も美しく、広間の奥からは黄金のシュトラウス像の視線も感じます>

壁の装飾は、華やかなオレンジ色を基調にした明るい色合い。ウィーンの高級シャンデリアメーカー、ロブマイヤーのシャンデリアが頭上に輝き、アンティークとして人気なトーネット社の椅子がずらりと並び、後ろには黄金のヨハン・シュトラウス像が立っています。

シャンデリアが輝き、当時のままの内装を残す大広間。ステージ上にはコンサート用のピアノも設置
<シャンデリアが輝き、当時のままの内装を残す大広間。ステージ上にはコンサート用のピアノも設置されています>

この広間は、現在は主にコンサート会場として使われていますが、当時は、シュトラウス一家がウィンナーワルツを奏で、招待客はここで食事を楽しんだり、舞踏会で朝まで踊り明かしたりしてました。

ウィンナーワルツを踊る19世紀の紳士淑女
<ウィンナーワルツを踊る19世紀の紳士淑女>

目を閉じてみると、ステージ上でバイオリンを奏でながらオーケストラを指揮するヨハン・シュトラウス2世の姿と、フロアでロングドレスを身にまとい、優雅にウィンナーワルツを踊る19世紀のウィーンのブルジョアの姿が目に浮かんできます。

ミュージアム見学

それでは、上の階のミュージアムを見てみましょう。ここは8つの部屋に分かれていて、19世紀ウィーンの生活やシュトラウス一家の4人の音楽家たち、シュトラウス音楽の特徴、オペレッタや劇場文化などがカテゴリごとに展示されています。部屋はテーマごとに色分けされ、とてもカラフル。

シュトラウス家を彩る女性たちの展示。ここもサロンコンサートが始まりそうな雰囲気です
<シュトラウス家を彩る女性たちの展示。ここもサロンコンサートが始まりそうな雰囲気です>

最初の部屋はピンクを基調とした、華やかなウィーンの舞踏会文化の紹介です。ヨハン・シュトラウス2世の「美しき青きドナウ」をBGMに、今にもステップを踏みそうになります。

シュトラウス家の四人の音楽家たちの歴史をたどったメインの展示室
<シュトラウス家の四人の音楽家たちの歴史をたどったメインの展示室>

次の部屋はメインの展示室となる、ヨハン1世、2世、ヨーゼフとエドゥアルトの人生と作品の紹介です。4人の肖像画が大きく紹介され、作風や私生活、世界をまたにかけた演奏旅行や、現在にもつながる末裔たちなど、さまざまな視点から知ることができます。

ウィーンの音楽家たちを紹介した展示室。ピアノも設置され、ミニコンサートを開くこともできそう
<ウィーンの音楽家たちを紹介した展示室。ピアノも設置され、ミニコンサートを開くこともできそう>

奥の緑色の部屋は、ベートーヴェンやシューベルト等ウィーンの音楽家たちを紹介しつつ、シュトラウス一家が主催した豪華で華やかな音楽イベントが絵と共に展示されています。

他にも、サロン風の落ち着いた部屋や、インタラクティブな展示など、クラシックとモダンが融合した、華やかで時代の最先端を行ったシュトラウス一家らしい展示室となっています。部屋の一角にピアノが置かれ、今にもピアニストが入ってきて、サロンコンサートが始まりそうな雰囲気も、わくわくします。

それほど大きな展示ではないので、1時間もかからずに観てしまうことができると思いますが、四男エドゥアルトの末裔で、この博物館の創立者でもあるエドゥアルト・シュトラウス氏と、その息子のミヒャエル・シュトラウス氏が、紹介映像やオーディオガイドなどでも登場し、現在のウィーンに、シュトラウス一家の歴史を守り続ける一族がいることを、心強く、そして身近に感じます。

ミュージアムショップもとてもオシャレで、音楽関係のお土産もあります
<ミュージアムショップもとてもオシャレで、音楽関係のお土産もあります>

一階に戻ると、ショップと、カフェレストランも併設されています。ショップでは、音楽関連グッズだけでなく、ウィーンならではのお土産を買うのにもぴったりです。

シュトラウスの音楽に包まれて、カフェで一息
<シュトラウスの音楽に包まれて、カフェで一息>

カフェでは、ト音記号柄の「シュトラウストルテ」もおすすめです。パステルカラーのモダンな室内と、天気のいい日に気持ちのいいテラス席、どちらも素敵ですよ。

まとめ

シュトラウス一家の末裔によって創設された、ハウス・オブ・シュトラウス。立地は中心地から少し離れてはいますが、近くには、ベートーヴェンが暮らした家やシューベルトの生家もあり、ウィーンの音楽家巡りに欠かせない名所になりそうです。

ぜひウィーンにいらしたら、シュトラウス一家が演奏した大広間で、当時の華やかなウィーンの音楽を肌で感じ、ウィンナーワルツの調べと共に踊る舞踏会を想像してみてくださいね。

ハウス・オブ・シュトラウス

  • 住所:Döblinger Haubtstraße 76, 1190, Wien
  • 営業時間:博物館 火~日曜10:00~18:00、祝日 ~17:00、コンサート 20:30~
  • 定休日:無し
  • 公式サイト:ハウス・オブ・シュトラウス

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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