
公開日:
最終更新日:
【トルコ】ワイン好き必見!知られざるトルコ・カッパドキアのワインの世界

キノコ岩と気球で知られるカッパドキアは、実は、知る人ぞ知るワインの聖地であることをご存知ですか?カッパドキアは、古代から続くワイン造りの伝統と、ユニークな自然環境に育まれたブドウ栽培に向いた土地でもあり、トルコ随一のワイン産地です。
どこのご家庭にもぶどうの木があり、夏から秋は庭直送のぶどうを楽しむのは当たり前のことです。イスラム教徒ですから、自家製ワインを作る人は少ないですが、体に良いとされるペクメズ(ぶどうを煮込んだペースト)や、干しブドウを作るのは夏の恒例行事。ぶどうは身近なフルーツです。
今回は、カッパドキアのワインの魅力、有名ワイナリーなど、ワイン好きなら、滞在中に一度は試してほしい「カッパドキアのワインの世界」をご紹介します。
目次
- 紀元前から続くトルコワインの歴史:ヒッタイト文明との関わり
- 火山地形が生んだ"キノコ岩"とワインに最適な土壌の秘密
- 世界でも希少!トルコ固有のぶどう品種とその特徴
- トルコの代表的ワインブランド:トラサン社とコジャバー社の紹介
- 地元民が守る伝統文化:ワインよりペクメズ(ぶどう濃縮果汁)造りの背景
- まとめ
紀元前から続くトルコワインの歴史:ヒッタイト文明との関わり
![]()
カッパドキアでのワイン造りの歴史は非常に古く、なんと紀元前2000年ごろ、ヒッタイト王国の時代にさかのぼります。ヒッタイト帝国は、トルコの大河・赤い河のほとりに栄えた帝国であり、カッパドキアも含めた一体を支配していたとされます。
赤い河のほとりは、ぶどう栽培に適した土地であり、天然の洞窟を利用したワインの保存・熟成技術が発展してきました。これらの洞窟は現在でもワイナリーのセラーとして使われていたり、有名な地下都市の一部にも、ワインを作ったり・保存した跡が残されています。
また、お土産として、現在も作られている独特の形をしたワインのディキャンタは、当時から作られていた形と図柄を施したものです。本来は40〜50cm以上のサイズで作られ、中央の輪に腕を通して肩にかけて、ワインを注いでいたそうですよ。
火山地形が生んだ"キノコ岩"とワインに最適な土壌の秘密
![]()
カッパドキアの大地は、数千年前の3つの火山の噴火により形成された、火山性の土壌が広がっています。火山灰と溶岩の体積が交互に起こり、その後、雨風の侵食によって、現在のキノコ岩を作り出しました。
この地域の土地は水はけが良く、ミネラル分に富み、ぶどうに繊細な香りとしっかりとした酸をもたらすとされます。さらに、昼夜の寒暖差が大きいカッパドキアの気候は、ぶどうにとって理想的な環境でもあります。
日中は太陽をたっぷり浴びて糖度を高め、夜は気温が下がることで酸を保つため、芳醇かつバランスの取れたワインが生まれます。カッパドキアでは、特に赤ワインが美味しいとされるのは、この日差しをたっぷり浴びたぶどうのおかげです。
また、夏の時期には、数ヶ月雨がほとんど降りません。ぶどうの実が成長する際、雨は天敵。地面に落ちた雨が跳ね返り、ぶどうの実を痛めてしまうこともありません。ですから、日本とは異なり、ぶどう棚を作る必要はなく、自然のまま、地面近くにぶどうの実がありますから収穫も楽です。
世界でも希少!トルコ固有のぶどう品種とその特徴
![]()
ぶどうの種類は多種ありますが、特にワイン向けに良いとされるぶどうの品種があります。世界でも有名な赤ワイン用のカベルネ・ソーヴィニヨンや、白ワイン向けのリースリングなども、カッパドキアでも栽培していますが、トルコ独自の固有品種も多く栽培されています。
白ワインのEmir(エミル)は、爽やかな風味のワインですし、Kalecik Karası(カレジック・カラス)渋さもありながら、軽めの赤ワインです。Öküzgözü(オクズギョズ)は、大きめのぶどうの粒から作られるフルーティーな赤ワインです。
カッパドキアの風土に根差した個性を持ち、他では味わえない特別な風味を提供してくれます。
トルコの代表的ワインブランド:トラサン社とコジャバー社の紹介
![]()
せっかくのカッパドキア旅行、地元の有名メーカーを訪れてみましょう。どちらも個人でも行きやすい場所にあります。
Turasan Winery(トラサン・ワイナリー)
1943年創業のトラサンは、カッパドキアで最も歴史のあるワイナリーです。ユルギュップの町の中心から徒歩で20分くらいの場所にあるワインショップでは、試飲はもちろん、予約制のワインセラーを見学できるツアーも企画しています。
トラサン・・・寅さん?日本人ならば、親しみを覚える名前ですね。
![]()
トラサン・ワイナリー
- 住所:Yunak Mahallesi Tevfik Fikret Caddesi No: 6A-B 50400 Ürgüp
- 電話:+90 384 341 4961
- 公式サイト:TURASAN
※現在、ホームページ更新中
Kocabağ Winery(コジャバー・ワイナリー)
1986年創業のコジャバーは、ギョレメ近郊のウチヒサールにある家族経営のワイナリー。伝統的な製法と現代技術の融合により、地元品種から国際品種まで幅広いワインを生産しています。
ウチヒサールの町には、コジャバーのショップがあります。試飲ももちろんできますよ。カッパドキアワインは、赤が美味しいとされますが、私のおすすめは「ロゼ」です。国際ワインコンクールでも受賞したものをぜひお試しあれ。
![]()
コジャバー・ワイナリー
- 住所:Aşağı Adnan (Uçhisar), Kapadokya, Nevşehir, Turkey
- 電話:+90 384 219 2979
- 公式サイト:Kocabağ
地元民が守る伝統文化:ワインよりペクメズ(ぶどう濃縮果汁)造りの背景
![]()
ぶどう作りに適した土地であり、どこのご家庭でも庭にぶどうの木があるのが普通なカッパドキアですが、さすがにイスラム教徒のお国ということもあり、自家製ワインを作られる方は少ないです。
秋には大量のぶどうを収穫し、そのままいただくのはもちろん、干しブドウを作ったり、さらにはペクメズを作るご家庭が多いです。
ペクメズとは、ぶどうの果汁を煮詰めて作るぶどうのペーストです。トルコ人にとってもの健康食品。ペクメズを食べれば、風邪もひかないと、みなさんよくいいます。保存食品でもあります。パンにごまのペースト(ターヒン)とともにつけて食べるのが一般的です。
私は、ちょっと香りが苦手なので、もっぱらワイン作り派。毎年夏の終わりには、庭の大量のぶどうを収穫し、ワインを作り、さらに自家製のワインビネガーを作りますよ。
まとめ
![]()
カッパドキアのワインは、世界ではまだまだ知名度は低いですが、このワインを求めて訪れる人も増えてきました。キノコ岩をかたどったボトル入りのワインは、良いお土産ですし、紹介した2つのワインメーカーは、観光中にも訪れやすい場所にあります。
イスラムの国ながら、カッパドキアはレストランでもワイン他、アルコールが楽しめます。アヴァノスの町中には、カッパドキアのみならず世界のワインを味わえるエノテカもたくさんあります。
アルコールを販売しているお店も多いですから、ワイン好きならば、ぜひ滞在中にお試しください。
関連記事
Rankingトルコ記事ランキング
-

CAPPADOCIA TRIP
- 世界を渡り、辿り着いたトルコ・カッパドキアで12年を超えました。現在は二足のわらじ。伝統技で作るオヤレースのデザイナー「AYTURK」そして「CAPPADOCIA TRIP」として旅のお手伝いをしています。カッパドキアは田舎ですけど、自然は素晴らしい!人生で一度は見ておくべき場所ですよ。




























