ドイツっ子たちの王道おでかけスポットは、果てしなく広がる岩の海!?

ドイツ全土...は言い過ぎだけれど、ヘッセン州の子なら一度は訪れているであろうスポットがこちら。フランクフルト南部のOdenwald(オーデンヴァルト)に位置する標高514mの山、Felsberg(フェルスベルク)にあるFelsenmeer(フェルゼンメア)。"岩の海"という直訳のごとく、山の斜面に、大小さまざまな岩石が波を描くかのように連なっているのです。

筆者が初めて訪れたのは約6年前。ドイツ人ママに、お店も開いていない日曜日、何をしているの?と聞いたところ、フェルゼンメアを紹介してくれたのがきっかけ。

見上げる限り、岩、岩、岩の圧巻の景色が目に焼きついており、それを周囲の人々に話すと、必ずや「私も行ったことある!すごいよね!」というような返しがあり、ただの岩山なのにどれだけ浸透しているんだ!と驚かされたものです。また、あのときの感動が蘇ってくるのか、この度、家族で再訪してきました。

目次

フェルゼンメアは2人の巨人が岩を投げ合ってできた?!

フェルゼンメア

巨岩の上を歩くという、最高にスリリングなハイキングを楽しむ前に、ふもとにあるインフォメーションセンターで、トイレブレイク。チップを払うべく、スタッフのおじさんに、お札を細かくしてほしいと言うと、真顔でハサミを出してきた。

お札を切って細かくするというジョークだったのだが、そんなおふざけをするタイプに見えず、本気かと思い一瞬固まってしまいました(笑)。

若干出鼻をくじかれながらも、いざ岩山へ!間近で見ると、ゴツゴツした巨岩が連なるさまに圧倒されます。しかし、なぜこんな岩が密集しているのでしょう?

<少し小さめの岩が集まったポイント。岩は岩でも大きさが違い、登りやすさが全然違う>
<少し小さめの岩が集まったポイント>

岩は岩でも大きさが違い、登りやすさが全然違います。

フェルゼンメアができたのはーー。かつてここに住んでいたフェルスホッカーという巨人が、ライバルである反対側の山に住む巨人と岩石を投げ合ったのが所以。

疲れ果てその場に倒れ込んだフェルスホッカーが、そのまま岩に埋もれてしまった。...というのは、この地方に伝わる伝説で、こういった伝説を元にした絵本も出版されています。

実際のところは、およそ3億年前、地下深くにあった深成岩がゆっくり冷却され、そこから数千万年かけて侵食されたことによって地表にあらわれたのがはじまり。氷河期に凍結と溶解を繰り返した大きい岩が山から谷へと滑り落ち、現在のフェルゼンメアができたのです。

なぜ岩を登るのか?そこに岩があるからだ

フェルゼンメアの歴史に想いを馳せている間に、子供らはすでにガシガシと岩を登り始めています。序盤はわりと大きな岩が多く、どの岩からどの岩へ移り渡っていくか考えてしまいますが、そんな筆者をよそに、子供たちの身のこなしの軽いこと軽いこと。

<自分の身長よりも高い岩がごろごろあり、みな一人一人自分の岩に向かい合っているかのよう>

自分の身長よりも高い岩がごろごろあり、みな一人一人自分の岩に向かい合っているかのよう。

<かと思えば、ちょっとした飛び石の上を歩くくらいの簡単なところも。葉っぱに覆われてる感じもいい>

かと思えば、ちょっとした飛び石の上を歩くくらいの簡単なところも。葉っぱに覆われてる感じもいい。

岩の海 たまに後ろを振り返ると、ここを歩いたのかーと感慨深くなる>

たまに後ろを振り返ると、ここを歩いたのかーと感慨深くなる。

<まだまだ下にいる人を見ると、もう私こんな上にいる!と少し優越感に浸れてしまう>

まだまだ下にいる人を見ると、もう私こんな上にいる!と少し優越感に浸れてしまう。

<あまりにも大岩すぎて、登ってくる人たちの姿が見えない!>

あまりにも大岩すぎて、登ってくる人たちの姿が見えない!。

いろんな感情は湧き上がっているのだけれど、おしゃべりせず、脇目も振らず、ただひたすらに上を目指していきます。ほかの人たちもわりと同じで、淡々と、黙々と登るスタイル。

「なぜ山に登るのか?そこに山があるからだ」とは、イギリスの登山家、ジョージ・マロリーの有名な言葉ですが、私の頭には「なぜ岩を登るのか?そこに岩があるからだ」という言葉がぐるぐる回っていました。

ただ岩を登るだけなのに、どのコースをとれば早く上に登れるのか、大きな岩をどう登るか、こういったらもっとスリルがあるのでは?などなど自分なりに岩を攻略していく感覚がとんでもなく楽しいのです。

しかも、靴は最低限スニーカーを履いていたけれど、とくに何の装備もしなくていいのが気楽。途中、木のベンチでおやつタイムをはさみつつも、1時間程度で、頂上に到着しました。

クライミングやサイクリングなど楽しみ方いろいろ

筆者は、岩を登るだけで大満足でしたが、じつは、もっと見どころ、別の楽しみ方もあるのです。岩山の中腹には、古代ローマ時代、石を切り出し運び出そうとしたけれど、途中で放棄したという石切場の跡があったり、インフォメーションセンターでは、フェルゼンメアの歴史を学べる展示があったり、岩山の途中途中には、案内板があったりと、岩山登りに深みを与えるエッセンスがたくさん。

また、岩山と並行するようなハイキングコースが複数あり、普通に歩きで、もしくは自転車で、フェルゼンメアの自然を満喫することができます。頂上付近には、さらに大きな岩があり、ロープを使ってクライミングの練習をしている人も!

<岩場からちょっと外れただけで、こんなお散歩コースが整備されています>

岩場からちょっと外れただけで、こんなお散歩コースが整備されています。

<岩山の至るところに救助ポイントの立て看板があるのが心強い>

岩山の至るところに救助ポイントの立て看板があるのが心強い。

<頂上付近には山小屋みたいな素朴な売店があり、憩いの場となっています>

頂上付近には山小屋みたいな素朴な売店があり、憩いの場となっています。

<この地域が源泉のミネラルウォーターや、ドイツならではのケーキも販売>

この地域が源泉のミネラルウォーターや、ドイツならではのケーキも販売しています。

<コース名や行き先>
<コース名や行き先>

まとめ

ヘッセンの子供たちに人気のおでかけスポットは、2回目でも楽しいのか?を検証した筆者ですが、答えは一つ。またもや感動した!の一言です!!じつはフェルゼンメアはここだけではありません。ドイツ各地に散らばっていますので、ぜひ色々なフェルゼンメアを体験してみてくださいね。

<なぜ森の一画にだけ岩が集まっているのか、ロマンを感じます>
<なぜ森の一画にだけ岩が集まっているのか、ロマンを感じます>

Felsenmeer Informationszentrum

  • 所在地:ドイツ 〒64686 ラウタータール
  • 公式サイト:Felsenmeer  

※この情報は2025年7月の取材に基づくものです

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大越理恵

ドイツ生まれの日本人夫にくっついてドイツへ移住!したものの、何年住んでもドイツ語初級なフリーライター。おさんぽ旅が得意。街の匂いや雰囲気、ちょっと傾いた建物、へんてこな模様、かわいいマンホールのフタなどなど。果てしない寄り道をしながら見つけた、ドイツの風景や日常、あれこれをお届けします。

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