千葉県・佐原観光の日帰りモデルコースを作ってみました!

佐原

小江戸の風情が色濃く残る千葉県・佐原。小野川沿いに広がる歴史ある町並みを歩けば、まるでタイムスリップしたかのような気分になれます。

今回は、そんな佐原とその周辺の観光情報を事前に調べた上で、実際に足を運び、効率よく佐原を巡れる日帰りモデルコースを考えてみました。佐原の街歩き、舟めぐり、カフェのスイーツ、香取神宮の参拝など、この地ならではの観光を満喫できるモデルコースです。ぜひ佐原観光の参考にしてみてください。

目次

<1. 東京都内から佐原に向けて移動(10:00〜12:30)>

<2. 佐原駅から小野川までを散歩(12:30〜12:50)>

<3. 小野川添いを散策(12:50〜13:00)>

<4. VMG CAFE(ブイエムジーカフェ)(13:00〜13:45)>

<5. 伊能忠敬記念館(13:50〜14:30)>

<6. 小江戸さわら舟めぐりを見学(14:30〜14:45)>

<7. 香取神宮に向けて散歩(14:30〜14:45)>

<8. 香取神宮(16:00〜16:30)>

<9. モデルコースを参考に佐原観光を楽しもう!>

1. 東京都内から佐原に向けて移動(10:00〜12:30)

東京駅もしくは品川駅から佐原へは、片道およそ2時間半。品川駅を利用するなら「成田エクスプレス」の利用が席を指定できて確実に座れるので便利です。お弁当などもこの時間に食べてしまえば、到着してすぐに街歩きに集中できます。もちろん、現地にもカフェやレストラン、食べ歩きグルメのお店が点在しているので、そちらで食事をするのもいいでしょう。

千葉方面に向かうにつれて、のどかな田んぼや民家の風景が広がり、小旅行をしている実感が湧いてきます!

成田駅ではJR 成田線に乗り換え、5駅で佐原駅に到着です。

2. 佐原駅から小野川までを散歩(12:30〜12:50)

佐原駅

佐原駅は、2011年に竣工された比較的新しい駅です。多くの町屋が軒を連ねる佐原には、歴史ある街並みを求めて国内外から観光客が訪れます。

この町らしさを感じられるよう、駅舎は日本瓦屋根と地元の杉赤身材を取り入れた町屋風の文化とモダンさが融合した美しく洗練されたデザインになっています。

駅前にはレンタカーやパーキングが整備されていて、電車でも車でもストレスなく佐原観光を楽しめます。

佐原駅周辺の街並み

駅周辺には閑静な街並みが広がっています。学生や地元の人々と観光客が行き交う中、小野川沿いを目指して10分ほど歩きました。

時間や体力を節約したい場合は、タクシーを利用するのもおすすめです。この日は駅前のタクシー乗り場に、数台のタクシーが待機していました。

3. 小野川添いを散策(12:50〜13:00)

小野川

小野川沿いに到着すると、目の前に広々とした景色が。木造の茶色い建物ばかりが立ち並び、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような風情に癒されます。高層ビル群が広がる都心とはまるで別世界で、時間をかけて訪れた甲斐があったと、心から感じました。

この小野川の歴史は古代まで遡ります。かつて内海が広がり、古代から中世にかけて重要な交通・物流の要所として機能していました。当初、佐原は香取神宮を中心とする農村集落でしたが、次第に商工業が発展し、町組みが形成され、都市機能を備えた地域へと発展していったそうです。

江戸時代には、利根川水運の中継基地として栄えた、川沿いを中心に江戸情緒あふれる古い町並みが残っていることから「北総の小江戸」と呼ばれています。また、「水郷の町」とも呼ばれて親しまれています。

伊能忠敬の地図のふるさと 水の都などと書かれた小野川沿いの案内板

舟運と商業で大きく発展した佐原の町は、明治時代以降も隆盛が続き、物流が自動車輸送に変わる昭和40年頃まで栄えました。その後、輸送手段や物品販売の形態が変わるにつれ、商業の中心地としては衰退していきました。

明治31年に鉄道が開通して以降、昭和30年頃まで、地域の物資は舟や車で佐原駅に集められ、出荷されていました。佐原駅の貨物取扱量は、大正時代にピークを迎え、近隣地域を上回る規模でした。この時期の商圏は、今日の成田市から鹿嶋市にかけて広がり、半径30km・30万人規模を誇っていました。

佐原のまちの中心は、昭和30年頃まで香取街道と小野川沿いにありましたが、その後は駅周辺へと移り、現在では国道沿いの新市街地へと移っています。

小野川沿いの風景

この日は天候にも恵まれ、空気がとても澄んでいて、川の流れも穏やか。そんな心地よい環境で、時代によって変わっていった佐原の役割に思いを馳せると、この町の歴史をより深く感じたくなりました。

周辺には歴史ある建築を生かしたホテルやカフェが点在しています。一見静かな街並みですが、想像以上に多くのお店が並んでいて、食べ歩きやお土産選びも十分に楽しめることに、実際に訪れて初めて気づきました。川沿いは車もほとんど通らないため、ゆっくりと街歩きを楽しめるところも佐原観光の魅力です。

4. VMG CAFE(ブイエムジーカフェ)(13:00〜13:45)

中村屋商店の文字がある建物

そんな小野川沿いにたたずみ、一際存在感を放つお店。「中村屋商店」の文字が目標ですが、入り口横には"カフェ"と書かれた立て看板があり、気になって入ってみることにしました。

こちらの「VMG CAFE(ブイエムジーカフェ)」は、小野川沿いの重要伝統的建造物群保存地区の中心に位置し、1855年(安政2年)に建てられた県指定文化財の建物を修復して再生して営業を行う古民家カフェです。

木枠の扉は少し重たくて、150年以上の歴史を感じさせます。

VMG CAFEの店内

店内は、和モダンなインテリアが印象的な落ち着いた空間。年季の入った木の壁や金庫が醸し出すレトロさは温かみたっぷり。アンティーク風のチェアやソファが配置されていて、ほっと一息つくにはぴったりの居心地のよさも魅力です。

2面の窓からはたっぷりと光が差し込むので、ぼんやり過ごしたり、本を読んだりと旅先での自分時間を満喫するのもよさそう。

こちらのお店では、ドリンクメニューと看板商品のモンブランを楽しめます。

千葉県香取市産のさつまいも「べにはるか」を使用したモンブランを、ティーとセットで注文しました。

ティーは、いくつかの茶葉の香りを試しながら選べるところがすてき。今の自分の感覚や気分と向き合ういい時間になりました。

茶葉が選べるようになっている箱

目の前でモンブランを絞ってくださるライブ感に、旅の高揚感も重なり、特別な思い出に。優しい黄色の手絞りモンブランは、なんとも愛おしいビジュアルです。

モンブランクリームを絞り出すところ

細めに絞られたモンブランクリームが生み出す繊細な美味しさのモンブラン。底はサクサクのパイ生地で、中にはサイコロ状にカットされたさつまいもが入っています。

バニラビーンズが効いたバニラアイスと一緒に味わうと、さらに美味しさが引き立ちます。

モンブランと紅茶

歴史ある街並みを行き交う車や人々の心地よい流れを感じながら、至福のティータイムを過ごしました。

カフェ奥の蔵では、建物名にもなっている「中村屋商店」が営業しており、佐原土産を購入できます。また、建物内の階段を上がると和室が広がっています。カフェを利用する際は、こちらものぞいてみてはいかがでしょうか。

VMG CAFE(ブイエムジーカフェ)

  • 住所:〒287-0003 千葉県香取市佐原イ1720
  • 電話番号:0120-210-189(VMGレストラン総合窓口)
  • 営業時間:[月・水~金]11:00~16:00/[土・日・祝]11:00~16:30
  • 休業日:毎週火曜
  • アクセス:「JR佐原駅」から徒歩で約10分
  • 公式サイト:VMG CAFE

5. 伊能忠敬記念館(13:50〜14:30)

伊能忠敬記念館の入り口

VMG CAFEから徒歩で2分ほど、すぐそばにあるのは、伊能忠敬記念館です。実測による方法で日本地図を作ったことで知られる人物のルーツはこの地にあります。

伊能忠敬記念館の外観

伊能忠敬は、江戸時代に日本各地を測量し、初めて実測による日本地図を完成させた人物です。1745年(延享2年)、現在の千葉県九十九里町に生まれ、青年時代を横芝光町で過ごしたのち、17歳で伊能家の当主となりました。佐原で家業を営むとともに、名主や村方後見として村の発展にも尽力しました。

当時の佐原は江戸と関東農村を結ぶ利根川水系の河岸であり、商業都市として栄えていました。江戸時代には、利根川や小野川を行き交う船で賑わい、自由な雰囲気を求めて学者や知識人が集まる場所でもありました。

55歳(寛政12年・1800年)から71歳(文化13年・1816年)までの間に10回の測量を実施した伊能忠敬。その成果として完成した地図は極めて精度が高く、ヨーロッパでも高く評価されました。明治以降は国内の地図としても広く利用されたことで知られています。

伊能忠敬翁モザイクアート

記念館では、彼が佐原とどのように関わったのか、全国測量の足跡、誤差を最小限に抑えるための工夫などについて、詳しく解説された資料が充実しており、見応えのある展示となっています。
また、彼の人柄や彼を取り巻く人々、全国測量を行った経緯なども映像で紹介されており、その時代の雰囲気を感じることができます。

国宝に指定されている「伊能忠敬関係資料」は地図・絵図類、文書・記録類、書状類、典籍類、器具類の5つの部門に分類され、合計2345点が所蔵されています。その中から2ヶ月ごとに展示替えを行っているため、以前に訪れたことがある人も、再び足を運ぶと新たな発見や学びがあるかもしれません。

展示を見て回る際には、展示室へ続く廊下に設置されたワークシートを活用すると、展示への理解がさらに深まります。

館内は 一部の展示を除き、ほとんどが撮影禁止ですが、展示室2のみ撮影可能でした。これらは彼が精密な測量を行うために用いた貴重な道具です。

他にも、当時使用されていたさまざまな計測器が展示されており、正確な測量を行うための工夫がよくわかります。使い方の解説があるものもあり、興味深く見学することができました。

伊能忠敬記念館

  • 住所:〒287-0003  千葉県香取市佐原イ1722-1
  • 電話番号:0478-54-1118
  • 営業時間:9:00~16:30
  • 休業日:毎週月曜(祝日の場合は翌平日)・年末年始
  • アクセス:「JR佐原駅」から徒歩で約10分
  • 料金:大人 500円
  • 公式サイト:伊能忠敬記念館

6. 小江戸さわら舟めぐりを見学(14:30〜14:45)

小野川沿岸の建物

伊能忠敬記念館のすぐ前には、船乗り場があります。ここでは頻繁に運行しており、予約なしで乗船できます(ただし、団体利用や撮影を伴う場合は事前予約が必要です)。

佐原を縦断する小野川沿岸は、関東で初めて「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されました。江戸風情が色濃く残る小野川沿岸の風景は、観光遊覧船から眺めることで、徒歩では味わえない新たな楽しみを発見できるでしょう。

小野川を船が走る風景

私が訪れた日はまだ肌寒さが残っていましたが、それでも多くの観光客が乗船し、船からは賑やかな談笑が聞こえてきました。街並みを巡るコースは30分ほどで、船上から特別な景色を楽しむことができます。

船は頻繁に運行しており、ひとつの船が戻ってくると、すぐに次の船が観光客を乗せて出発します。かつて商業で栄えた小野川を、今では観光客が盛り上げている様子が感じられました。

小江戸さわら舟めぐり

  • 住所:〒287-0003 千葉県香取市佐原イ1730−3
  • 電話番号:0478-55-9380
  • 営業時間:4月〜9月 10:00~16:00 / 10月・11月・3月 10:00~15:30 / 12月〜2月 10:00~15:00
  • アクセス:「JR佐原駅」から徒歩で約10分
  • 料金:大人 1,300円 / 小学生 700円
  • 公式サイト:ぶれきめら「舟運事業」

7. 香取神宮に向けて散歩(14:30〜14:45)

香取神宮まで500mの看板

散歩やカフェ、博物館での展示、船の見学を楽しんだ後、少し小野川沿いから離れて「香取神宮」を目指してみることにしました。

香取神宮は、神武天皇の御代18年(紀元前643年)に創建されたと伝えられる、日本屈指の古社です。下総国一宮で、日本全国に約400社ある香取神社の総本社でもあり、訪れたら小野川と合わせて立ち寄りたい、佐原を代表する観光名所です。

小野川沿いからは歩いて40分~45分ほどと少し距離がありますが、天気が良かったので歩いて向かうことにしました。香取神宮に近づくと「残り500m」の看板が現れ、ほっと一息つけました。基本的にまっすぐな道をひたすら進むだけなので、体力に自信がある方や、佐原の街中以外の風景も楽しみたい方には、歩いて向かうのもおすすめです。

8. 香取神宮(16:00〜16:30)

香取神宮の参道商店会

香取神宮の参道商店会には、コーヒーやおだんごを販売するカフェやお土産屋さんがいくつかあります。着物で訪れている観光客もいて、小江戸を感じさせるいい雰囲気。イートイン可能な飲食店もいくつか営業しているので、参拝前の腹ごしらえや参拝後の休憩所として利用できます。

赤い鳥居

赤い鳥居をくぐると、たくさんの灯篭が並ぶ表参道が続いています。このエリアには桜や楓が植えられていて、春には桜花、秋には見事な紅葉が見られるスポットでもあります。
足元は砂利道なので、スニーカーなどの歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。

香取神宮内の道

香取神宮の祭神・経津主大神は、家内安全や産業の守護、勝運、交通安全、災難除けの神として広く信仰されています。

毎年4月15日に行われる神幸祭は、約800年の歴史を誇るこの地域の一大イベントです。祭りでは、氏子たちが平安時代さながらの装束を身にまとい、神宮周辺を行列で練り歩きます。行列には、甲冑をまとった武者や盾・矛を持つ人々、御神輿を担ぐ人々などが参加し、総勢200人ほどにも及びます。また、祭りの前には、千葉県無形文化財に指定されている香取神道流の奉納演武や、おらんだ楽隊による演奏も披露されます。

さらに、12年に1度の午年に行われる「式年神幸祭」では、約3,000人の氏子が甲冑や歴史的な装束を身にまとい、約4キロにわたる大行列を組んで巡行します。色鮮やかな御座船(ござぶね)が利根川を進む様子は圧巻で、陸と水上で繰り広げられる壮大な絵巻のような光景が広がります。

式年神幸祭の看板

神幸祭の看板を横目に進むと、狛犬に守られた立派な総門が姿を現します。その先にある楼門は、本殿と同じく元禄13年に造営され、昭和58年に重要文化財に指定されました。

総門

拝殿は2025年3月から改修工事が始まっています。普段とは異なる、工事中ならではの拝殿の姿を見られたことも、貴重な思い出になりました。

拝殿の奥にある本殿は、元禄13年(1700年)に徳川幕府の手によって造営され、昭和52年に国の重要文化財に指定されました。 屋根は檜皮葺(ひわだぶき)で、黒漆を基調とした色合いに極彩色が施され、その威厳と神聖さを感じさせます。

工事中の拝殿

香取神宮

  • 住所:〒287-0017 千葉県香取市香取1697-1
  • 電話番号: 0478-57-3211
  • 営業時間:授与所、御朱印受付の時間(通常)8:30~17:00(祈祷受付~16:30迄)(宝物受付~16:00迄)
  • アクセス:「JR香取駅」から徒歩で約30分
  • 公式サイト:香取神宮

香取神宮の最寄り駅は、無人駅の「JR香取駅」。旅の初めに下車した「JR佐原駅」の一駅隣(下り)にあります。

香取神宮からは「JR佐原駅」行きのバスが運行しているほか、タクシー乗り場もあります。ただし、タクシーは常に待機しているわけではないため、必要に応じて事前に手配しておくのが安心です。

香取駅

9. モデルコースを参考に佐原観光を楽しもう!

これほどまでに江戸時代の建物や雰囲気が残されているのは素晴らしく、実際に訪れるからこそ感じられる魅力や趣があります。

通りにはカフェや食べ歩きグルメの専門店が並び、ネットで調べる以上に活気を感じました。関東圏からなら少し足を伸ばすだけで、非日常の体験ができる佐原。雪が降ることも少なく、全国的に見ても天候が安定しているため、冬でも船旅を楽しめるのが魅力です。

街歩きやカフェ巡り、参拝を楽しみながら、日本の歴史に触れる癒しの旅へ。 今回はひとり旅でしたが、駅やお店で出会う人たちが優しく、終始穏やかな時間を過ごせました。友人や夫婦でのまったり日帰り旅にもぴったりの佐原観光、今回のモデルコースも参考に、ぜひ訪れてみてくださいね。

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岩井なな

北陸在住の取材ライターです。美術館や図書館などのインテリジェンスなスポットを中心に、北陸の魅力をお伝えします!アパレル業界出身で、プライベートではファッションとコーヒーが好き。オシャレホテルに泊まるのが最高の癒しです。

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