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【北海道】市民の生活を支える乗り物がいっぱい!「札幌市交通資料館」

札幌市交通資料館は、市電の愛称で親しまれる路面電車や、全国でも珍しいゴムタイヤの地下鉄、かつて存在していた市営バスなど、市営交通の歴史を発信していく拠点として昭和50年に開館しました。
地下鉄高架部の補修工事に伴い一時休館していましたが、2024年(令和6)5月に展示内容をリニューアルし、新しい札幌市交通資料館としてオープンしました。
目次
- 地上にある地下鉄の駅「自衛隊前」から徒歩5分
- ラインをたどると過去へのタイムリープが始まる
- 大人も子供も楽しめる工夫がいっぱい
- ブザーが鳴ってゲートが閉まる!恐怖の自動改札
- 屋外には市民に愛された往年の車両を展示
- 地下鉄の基本構造を完成させた「すずかけ」
- 人口増加とともに市電車両も変化
- ササラ電車は冬の風物詩
- お得なきっぷで札幌市交通を堪能しよう
地上にある地下鉄の駅「自衛隊前」から徒歩5分
札幌市交通資料館は、地下鉄南北線自衛隊前駅から徒歩5分の場所にあります。自衛隊前駅は地下鉄の駅でありながら地上に作られた高架駅です。地下鉄・南北線は少し手前の平岸駅を過ぎたあたりで地上に出て、そのまま終点の真駒内駅まで高架橋を走り続けます。
地上区間はシェルターで覆われているので積雪の影響を受けません。地上を走行するのは「土地買収が冬季オリンピック開催に間に合わなかった」「地下よりも地上を走らせた方がコストが安い」などの理由によるそうです。
ラインをたどると過去へのタイムリープが始まる
リニューアルした札幌市交通資料館は、市営交通への「誇り」「憧れ」「信頼」「希望」を感じられる「~夢をつなぐ(絆)'時空絵巻'の旅!~」がコンセプト。地下鉄の路線のイメージカラーに彩られたラインに導かれてタイムリープがはじまります。
札幌市交通の歴史は、路面電車(市電)から始まります。1909(明治42)年に建築用石材として需要が急増した「札幌軟石」の輸送線として山鼻〜石切山間に市電の前身となる札幌石材馬車鉄道が敷設されました。
1912(明治45)年には路線網を市街地まで拡張し、1918(大正7)年に札幌電気軌道として開業。1927(昭和2)年に市営化されました。
館内中央には、初めて市内を走った車両(木製22号)が展示されています。名古屋電気鉄道から24両を購入し、1936(昭和11)年まで18年間走り続けました。
2013(平成25)年に博物館明治村(愛知県・犬山市)の開村50周年記念行事として特別展示されていましたが、札幌市交通資料館のリニューアルに合わせて戻ってきました。
車窓に当時の札幌の風景が映し出され、哀愁を誘います。車内は木のぬくもりに包まれ、初めてなのに何処か懐かしい。座席数20、立席6の合計26人が定員です。昭和11年の札幌市の人口は約20万人なので、このくらいのキャパシティでも対応できたのでしょう。
大人も子供も楽しめる工夫がいっぱい
札幌市交通資料館は、大人も子供も楽しませてくれる工夫がいっぱい。路面電車の運転士気分を味わえる「顔出し看板」は、フラッシュを使って写真を撮ると、絵が変わります。
館内5カ所に設置されたスタンプを重ねて押すと、シルクスクリーンのようなカラフルなデザインが出現します。何が出現するかは完成してからのお楽しみ。思わず「なるほど!」と唸ってしまいました。
ブザーが鳴ってゲートが閉まる!恐怖の自動改札
札幌の地下鉄は、開業当初から自動改札が導入されました。最初は"ハイカラ"な機械に慣れない人が続出。ブザーが鳴ってゲートが閉まるので、子供の頃は罪人になったような恐怖を感じました。
そのほか、クイズや地下鉄の運転体験など、楽しいコーナーが盛りだくさん。思わず時を忘れて夢中になってしまいます。
屋外には市民に愛された往年の車両を展示
屋外展示は、第1展示場にバス4台、地下鉄2両、第2展示場に市電車両 10両、第3展示場に地下鉄車両3両を展示。日によって車内を開放している車両もあります。気になる車両をピックアップしました。
地下鉄の基本構造を完成させた「すずかけ」
札幌市交通資料館のすぐ隣に、地下鉄・第4次試験車「すずかけ」が展示されています。札幌市では1972(昭和47)年の冬季オリンピックを目前にし、交通網の整備が進められていました。
「すずかけ」は、1967(昭和42)年から約2年間iにわたって札苗試験場676mを約5千㎞を往復し、本営業に向けたデータが集積されました。
札幌市交通の地下鉄車両は、開業当時からゴムタイヤを使用しています。フランスの地下鉄にもゴムタイヤが採用されていますが、それと異なるため「札幌式」と呼ばれています。最初に開通したのは「南北線(北24条駅 - 真駒内駅)」です。すずかけの基本構造は、そのまま南北線の車両に採用されました。
人口増加とともに市電車両も変化
第二展示場には、札幌市交通の中で最も歴史がある「市電」の車両が数多く展示されています。昭和30年代に入ると札幌の人口は急激に増加しました。札幌市は積み残しを防ぐために、モーター車に客車を連結させる方式(連結車)を取り入れました。
A800形(日本車輌製)は、札幌市電初の連結車です。1963(昭和38)年に3編成6両が製造されました。乗車人数に応じて座席数を調整できる簡易シートが設けられているなど、これから発展していく当時の札幌の様子が感じ取れます。
M100形(日本車輌製)は、朝夕の乗客が増える時間帯にTc1と呼ばれる小型車両を連結することから「親子電車」と呼ばれていました。1961年に製造され、多くの市民に親しまれていましたが、2021年(令和3年)10月31日を最後に営業運転を終了しました。
ササラ電車は冬の風物詩
雪が降る札幌では線路上の除雪は欠かせません。排雪車は「ササラ」と呼ばれる竹製のブラシを連ねたブルーム(箒)を回転させて排雪することから「ササラ電車」と呼ばれています。
展示されている雪1形は1949(昭和24)年に電動客車40形を改造して局工場で8両が製造されました。なんと車体は木製です。朽ち果てながら風雪を耐え忍んだ車両に触れてみてください。
お得なきっぷで札幌市交通を堪能しよう
札幌市交通資料館は、春から秋までの開館。入館料は無料なので、いつでも気軽に楽しめます。週末や祝日は、市内観光に便利な地下鉄一日乗り放題「ドニチカキップ(大人520円)」や、市電に大人1名、こども2名が一日乗り放題の「どサンこパス」を使うとお得です。札幌市交通の魅力を存分に感じてください。
札幌市交通資料館
- 住所:北海道札幌市南区真駒内東町1丁目1番20号
- 電話:011-522-5380
- 開館期間:4月15日から10月31日まで
- 開館時間:9:30~16:30
- 休館日:毎週水曜日(市内小学校の夏休み期間を除く)
- 入館料:無料
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吉田匡和
- 札幌市在住のよろずライターです。美味しい食べ物から温泉、穴場スポットや定番スポットの知られざる楽しみ方など、地元ライターらしい視点でワクワクを紹介します。