
公開日:
最終更新日:
ロシア正教の復活祭(パースハ)の時は、何を食べるの?

こんにちは。モスクワ在住のチェブラーシカです。
今年もロシア正教の復活祭(パースハ)の時期が近づいてきました。
ソビエト時代にロシア正教の活動がしにくかったので、我が親戚にインタビューをするにも個人差がありましたが、この記事では次の3つのことをお話したいと思います。
- パースハに向けて、どんな料理を食べるのか
- 旅行中にパースハの時期に当たったら、その時期にしか出回らないお土産情報
- 日本でも作れるパースハの料理
目次
ロシア正教の復活祭(パースハ)とは
ロシア正教の復活祭は、イースターとは言わずに、パースハ(Пасха)と言います。毎年日付が移動するので、昨年(2024年)は、5月5日がパースハでした。
カトリックなどの西方教会では、3月31日でした。東方教会と西方教会と1週間くらいの日付の違いもありますが、昨年のように1か月以上も離れる年もあります。日付がずれるのは、ロシア正教では、グレゴリオ暦ではなく、ユリウス暦を使っているからです。
ユリウス暦の春分の日の後の満月の後の日曜日が復活祭の日付になります。4月4日から5月9日までのどこかの日曜日になります。2025年は、カトリックなどの西方教会と同じ日付で、4月20日に復活祭のお祝いをします。
ソビエト時代は、ロシア正教の活動が制限されていたので、我が親戚でもパースハの過ごし方はさまざまでした。まず夫ですが、ソビエト時代に子どもだったので、子どもの頃は、パースハというと、ゆで卵とお菓子を食べる日だと思っていたようです。
当時は地方都市に住んでいて、教会はプールになっていたり、文化センターになっていたり、壊されていたりして、教会の活動はしていなかったそうです。
義母は、毎年ゆで卵を作り、クリーチというパンの一種(というかケーキのようなもの)を買ってきますが、教会へは行きません。
義理の妹は子どもが小さいので、夜には教会へ行きませんが、パースハの昼間に教会へ行き、自分で作ったクリーチとゆで卵に聖水をかけてもらい、その後我が家に来て、クリーチと卵を交換します。
私には、2人の義父と3人の義母がいますが、2人目の義父母は敬虔なロシア正教の信者なので、夜中のお祈りから教会へ行きます。
モスクワ市内は、パースハの飾りになるので、私は、散歩をしながら写真を撮ります。日本からの観光客もこの時期ならではの写真を撮ることができます。卵の飾りがあちこちにあります。
パースハに向けてどんな料理を食べるのか
パースハに向けてどのような準備をするのか、ですがこれも個人差がかなりあります。ソビエト時代の約60年間は教会の活動ができなくなり、その間に生まれて育った義母や夫世代は、正確には分かっていません。そのため、我が親戚の一部の話だと思ってください。
パースハの前の48日間は大斎期と言われ、卵、乳製品、肉、魚を食べてはいけないことになっています。我が親戚で、これをきっちり守っている人は、2人目の義父母だけです。
ロシアは、世界一マヨネーズの消費量が多く、大斎期用の物も売られています。大斎期は、街中のレストランでも大斎期メニューがある所もあります。
スーパーで買えるパースハに関するもの
パースハの当日は、我が家ではゆでたまごとクリーチを毎年欠かさず用意します。
お土産にできそうなものは、クリーチです。
パースハの前は、スーパーでたくさんのクリーチが売られています。
大きいものは買うのに勇気がいりますが、最近は、1人分くらいの小さいクリーチも売られているので、小腹が空いたときにホテルで食べてみて、味が気に入ったら、お土産にしてもいいでしょう。
私の印象では、大きいクリーチは、メーカーによっておいしいクリーチとそうでないクリーチがあるけれども、小さいクリーチはマフィンみたいな感じで日本人の口にも合うのではないかと思います。
ゆで卵につける飾りもスーパーで売られています。軽くてかさばらないものなので、ちょっとしたお土産にも良いでしょう。この時期にしか出回らず、パースハが近づいてくると品切れになることもあります。
ある年、我が家は買い物に出遅れ、何軒もスーパーを歩いて、やっと見つけた、なんてこともありました。
日本でも作れるパースハの料理
パースハ当日に我が家で食べるのはゆで卵とクリーチです。
また、パースハというものを食べたこともあります。カッテージチーズで作ります。
<パースハ>
さて、我が家で毎年作るゆで卵なら、日本でも簡単に作ることができるのでご紹介します。
我が家では、1月くらいから玉ねぎの皮を捨てずにとっておきます。親戚で卵の交換をするので、毎年30個くらい大きい鍋でゆで卵を作ります。
そのため、玉ねぎの皮もたくさん使いますが、日本で家族の分だけゆで卵を作るのなら、ここまでの分量の皮は必要ありません。普段は捨ててしまうものを材料にするので、卵だけ買えば、すぐにできます。
ゆで卵を作るには玉ねぎの皮と一緒に茹でて、卵を赤くします。赤玉の卵を使ったのではなく、白い卵を使っています。この赤色は、キリストの血をあらわします。
ご自宅で作る時の注意点として、卵も赤くなりますが、写真のようにエナメルの鍋だと、鍋も赤くなります。義母はゆで卵を作るとすぐに漂白しているので、鍋の色付きに気をつけてください。
スーパーでは染料が売られていますが、我が家では昔ながらの天然の作り方で卵を染めます。卵を染めるだけなら、日本でも簡単に作れます。
先ほど、お土産に紹介したものを卵につけて、お湯にくぐらせるとシールがつきます。
義理の妹が昨年持ってきたクリーチがものすごくおいしかったので、レシピを教えてもらいました。こちらは日本で作るのは時間がかかって大変ですが、どんなものか食べてみたい方は、作ってみてください。
義母は、毎年スーパーでクリーチを買ってくるだけですが、義理の妹は子どもたちと一緒に金曜日の午後にクリーチを作ります。子どもたちは手伝っているのやら、味見と称して甘いものをなめているのやら分からない状態の時もありましたが、親子で作っている姿は微笑ましいものです。
クリーチの作り方
【材料】(マフィン4個分)
- 卵 2個
- 塩 ひとつまみ
- バニラエッセンス 数滴
- 砂糖 200g
- カッテージチーズ 180g
- 小麦粉 150g
- ベーキングパウダー 小さじ1
- レーズン、砂糖漬けの果物、ナッツなど 適量
- (アイシング用 )
- 卵白 1個
- 水 20ml
- 砂糖 75 g
- トッピング砂糖、トッピングチョコなど 適量
【作り方】
- 1. 卵とひとつまみの塩をハンドミキサーでふわふわになるまで混ぜます。
- 2. 少しずつ、砂糖とバニラを加え、白くなるまでよく混ぜます。
- 3. カッテージチーズを追加します。
- 4. ふるいにかけた小麦粉とベーキングパウダーを少しずつ加え、滑らかになるまでよく混ぜます。
- 5. レーズン(砂糖漬けの果物、ナッツなど)に熱湯をかけ、10分間浸します。水を切り、乾かします。 小麦粉を少し振りかけます。
- 6. 4に5を加えて混ぜます。
- 7. 型に油を軽く塗り、2/3を生地で満たし、180度に予熱したオーブンで40分柔らかくなるまで焼きます。
- 8. アイシングを作ります。卵白とひとつまみの塩を混ぜます。
- 9. 鍋で水と砂糖を混ぜ合わせ、沸騰させ、2分位煮ます。
- 10. 9を8に加え、数分間混ぜます。
- 11. 7で焼いたクリーチの頭に10をかけます。トッピング砂糖やトッピングチョコを振りかけます。
まとめ
いかがでしたか?旅行中にパースハの時期に当たったら、街の飾りを写真に撮ったり、スーパーでクリーチなどを買ったりして、その時ならではの楽しみ方もできます。また、渡航が難しい場合は、ご自宅でパースハの料理の一部を作ってみてください。
関連記事
Rankingロシア記事ランキング
-
チェブラーシカ
- 高校3年生の時に好きになったロシア。音楽、文学、歴史、美術、バレエ、料理、ロシア人気質などに興味をもちました。でも、ロシア語を専門に学んだことはありません。ロシアが好きでいろいろ知るうちに、2016年12月にロシア人男性と結婚し、2017年4月からロシアに住むことになりました。普通のガイドブックには載っていない情報をお届けします。