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新幹線で途中下車する方法! 乗車券、特急券それぞれのルールとは

新幹線は、速さと快適さ、正確さを兼ね備えた日本が世界に誇るべき移動手段。しかし、せっかく新幹線を使って旅をするのに、出発地と目的地の往復だけに物足りなさを感じている方も多いのではないでしょうか。短時間で長距離を移動できる新幹線の旅では、途中下車を利用することで新たな発見や思いがけない感動に出会うチャンスがあります。
そこで今回の記事では、新幹線の途中下車を楽しむための方法や、乗車券・特急券に関する基本的なルールを詳しく解説。新幹線で途中下車をする際のルールを理解して、より自由で満足度の高い旅を計画してみてはいかがでしょうか。
目次
1. 途中下車の定義をまずは確認!
「途中下車」とは、旅行中に乗車券が有効な区間内の駅で一度改札の外に出ることを指します。ポイントは「改札の外に出る」ということで、改札内のどこかに立ち寄るために下車することは「途中下車」とはいいません。
途中下車ができるきっぷにはいくつかの条件があるので注意が必要ですが、途中下車が可能なきっぷでは何度でも途中下車できるのが一般的です。うまく活用することによって、目的地に向かう途中にある観光スポットやグルメスポットで下車して寄り道を満喫し、再び乗車して旅を続けるということもできます。
ただし、途中下車は「後戻りしない」が原則です。たとえ改札口を出たとしても、同じ乗車券で区間内を戻ることはできません。例えば、東京駅から京都駅までの乗車券を買って、名古屋で途中下車後に浜松駅へ移動して途中下車することは認められておらず、その場合は別途乗車券を購入する必要があります。
また、新幹線の途中下車についてはより細かな条件が設けられているため、新幹線の旅で途中下車を検討されている方は、途中下車が可能な条件を事前に確認しておきましょう。
2. 新幹線で途中下車できる? 方法は?
旅の移動手段として新幹線を利用する際、途中下車が可能かどうかは旅の計画を立てる上で重要なポイントです。
新幹線の途中下車については、購入した乗車券と特急券の種類や移動距離によっても条件が異なります。ここでは、新幹線における途中下車の可否について、乗車券と特急券に分けて詳しく見ていきましょう。
乗車券はできる! 条件は?
新幹線に乗車する際には、「普通乗車券」と「新幹線特急券」の2種類のきっぷが必要です。
このうち、途中下車に対応しているのは、「普通乗車券」のみです。ただし、普通乗車券でも「片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券」と「大都市近郊区間内」のみで利用する場合の普通乗車券は途中下車に対応していません。
また、特急券と乗車券が一体になった新幹線回数券などのお得な切符や、インターネットで予約・購入した一体型のきっぷでも途中下車ができないため注意が必要です。
特急券はできない
新幹線のきっぷで途中下車ができるのは「普通乗車券」のみで、新幹線特急券や急行券、グリーン券、寝台券、指定席券、乗車整理券などでは途中下車をすることができません。
特定の都区市内発着の乗車券について
特定の都区市内発着となる乗車券は、それぞれ同じゾーンの駅では途中下車できないというルールもあります。詳しくはJR東日本の「途中下車」のページを確認してみてください。
3. 日をまたいだ途中下車は可能?
新幹線は条件を満たした乗車券については途中下車が可能ですが、日付をまたいだ途中下車はできるのでしょうか。実は、新幹線の乗車券には有効期限が設けられており、その期限内であれば途中下車をすることが可能です。これこそが、新幹線の乗車券を利用して途中下車の旅を楽しむ大きな魅力のひとつと言えるでしょう。
例えば、片道の営業キロが101km以上で大都市近郊区間を超える場合、乗車券には2日以上の有効期間が設定されているため、途中で下車して観光や宿泊を楽しむことが可能です。
具体的な有効期限としては、営業キロが101㎞から200㎞の場合は2日間、201㎞から400㎞の場合は3日間、401kmから600kmは4日、601kmから800kmは5日、801kmから1000kmは6日、1001kmを超える場合は200kmごとに1日が加算され、距離が長くなるほど有効期限も増えるため、より自由に旅を楽しむことができます。
なお、途中下車の際には駅の自動改札機を通ることもできますし、自動改札機がない場合には駅員に乗車券を見せて改札を通してもらいましょう。旅慣れた方のなかには、ひとつの乗車券に途中下車した駅のスタンプを押してもらうことを醍醐味としている方もいるようです。
このように、新幹線の乗車券を活用することで計画的かつ柔軟な旅のプランを立てることができ、より特別な旅の思い出をつくることができるというわけです。
4. 東京-新大阪、名古屋で途中下車の場合
新幹線は出発地と目的地の往復のみしか利用したことがなかったという方にとって、途中下車でどのような旅が楽しめるのか、具体的にイメージするのが難しいかもしれません。
では、実際に途中下車を利用した新幹線の旅はどのような楽しみ方ができるのでしょうか。例えば、東京発・新大阪着の新幹線に乗って名古屋で途中下車をする場合、次のような旅のプランがおすすめです。
1日目:名古屋で途中下車し、名古屋グルメを堪能! 名古屋城も散策
最終的な目的地大阪の前に、名古屋で途中下車。乗車券は東京から新大阪、特急券は東京から名古屋までのものを利用します。
途中下車をしたら、「名古屋めし」を楽しまない手はありません。名古屋には独自の文化の中で生まれた魅力的なご当地グルメが多数あり、中でも「ひつまぶし」「味噌カツ」「味噌煮込みうどん」「手羽先」「きしめん」は名古屋の5大グルメとして有名です。いずれも名古屋駅の周辺で人気店を見つけることができるため、途中下車の際にはぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
名古屋駅からタクシーで10分ほどの場所にある名古屋城も、名古屋で訪れておきたいスポットのひとつです。金の鯱(しゃちほこ)をはじめとした美しい建築や手入れが行き届いた庭園は、ゆったりと散策をすごすのにぴったり。春には桜の名所としても知られていて、地元の人をはじめ多くの観光客が訪れます。
東京から新大阪だと途中下車の有効期限は4日間。名古屋のホテルで一泊し、次の日に新大阪へ向かうことにします。
2日目:名古屋から新大阪へ。大阪でショッピングや食べ歩き!
二日目は同じ乗車券で名古屋駅から新幹線に乗車。特急券は名古屋から新大阪のものを使います。名古屋から新大阪は、1時間ちょっと。東京から改めて名古屋や新大阪に別々で行くより、時間も節約できます。
大阪では梅田でショッピング、難波で食べ歩き。名古屋とはまた違った、大阪ならではの楽しさが味わえるでしょう。
帰りは新大阪から東京へ途中下車せずに直行。名古屋と大阪のお土産を携えて帰ります。
なお、途中下車でなく乗車券を分けた場合、東京から名古屋、名古屋から新大阪の乗車券の総額は9,790円。途中下車の場合は8,910円となり、880円途中下車の方が安い計算となります。
5. 新幹線で途中下車するメリット
新幹線で途中下車をするメリットは、普段通り過ぎてしまうような町や都市を訪れることができるという点です。単なる出発地と目的地の往復にとどまらず、第三の目的地を追加するオプション感は、現地の文化や歴史を楽しんだり、その土地ならではのグルメを楽しんだり、旅をより特別感のあるものにしてくれるでしょう。
また、移動が長距離に及ぶ場合には、途中下車を挟むことによって気分をリフレッシュすることができるのもメリットのひとつです。座りっぱなしから解放されて、適度に体を動かすことで疲労を軽減することもできるでしょう。さらに、行き当たりばったりではなくあらかじめ計画して途中下車をすることによって、新たな観光スポットを発見したり思いがけない感動に出会うなど、旅の楽しみも増すでしょう。
ここではより途中下車の旅がイメージしやすいように、東北新幹線・東海道新幹線・九州新幹線の3パターンでおすすめの途中下車のプランをご紹介します。
東北新幹線
東京発・仙台着の東北新幹線で、おすすめの途中下車は宇都宮駅です。宇都宮は浜松と1、2を争う餃子の消費量を誇る町で、駅周辺には数多くの人気餃子専門店が軒を連ねています。本場の味をぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
東海道新幹線
東京発・京都着の東海道新幹線でおすすめの途中下車は静岡駅です。静岡駅周辺では富士山の美しい眺めを楽しむことができるだけでなく、静岡おでんや抹茶スイーツなどのご当地グルメを楽しむことができるでしょう。時間に余裕があれば、駿府城公園を散策するのもおすすめです。
九州新幹線
博多駅・鹿児島中央駅の九州新幹線でおすすめの途中下車は熊本駅です。熊本ではぜひ熊本城に足を運んでみましょう。まだ復旧途中(2025年3月現在)ではあるものの、そのプロセスを知ることができるはずです。
また、熊本ラーメンも熊本でぜひ食べておきたいグルメのひとつ。焦がしニンニクのチップやマー油(ニンニクを揚げた油)のトッピングとマイルドな豚骨スープが癖になるおいしさです。
6. 「通しで購入して途中下車」と「分割購入」どっちが安い?
新幹線を利用して途中下車の旅を楽しむ場合、チケットの買い方としては、途中目的地の前後でチケットを「分割購入」する方法と「通しで購入」する方法がありますが、どちらが安いのでしょうか。
ここでポイントとなるのが「遠距離逓減制(えんきょりていげんせい)」です。これは、乗車券の目的地が遠くなればなるほど1kmあたりの料金が安くなるという制度になります。つまり、新幹線を利用する距離が多い場合には分割購入するよりも通しで購入したほうがお得になるというわけです。
具体的には、東京から博多まで新幹線を利用して新神戸駅で途中下車をする場合、指定席特急券も含め通しで購入した場合の新幹線料金は合計で26,340円になりますが、新神戸駅で分割すると東京から新神戸が15,490円、新神戸から博多が15,690円で合計31,180円になり、4,840円も割高になってしまいます。
なお、JR各社では長距離の場合に運賃が1割引きになる「往復割引」というものもあったため、片道で購入するよりも往復のチケットをまとめて購入したほうがお得でしたが、2026年3月に終了が予定されています。
7. 新幹線で途中下車する際の注意点
新幹線の途中下車は、旅に新たな楽しみをプラスしてくれるおすすめのプランのひとつです。では、実際に新幹線で途中下車する場合、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか。3つの注意点について詳しくご紹介します。
特急券は分けて購入を忘れずに
新幹線に乗車するには、「乗車券」と「特急券」の2種類のきっぷが必要です。このうち、途中下車ができるのは「乗車券」のみで、「特急券」はどのような条件下においても途中下車には対応していません。
そのため、途中下車をする場合には、途中下車の前後で特急券を分けて購入する必要があります。例えば、東京発・京都着の新幹線に乗って名古屋で途中下車する場合、東京から名古屋、名古屋から京都と2つの特急券を購入する必要があります。
万が一、通しの特急券で途中下車をして改札口を通ってしまった場合、その時点で特急券は自動改札に回収されてしまい残りの区間が無効になってしまうため注意しましょう。
改札での乗車券取り忘れに注意
途中下車の際には、自動改札に乗車券を通して改札口を出ますが、その際排出された乗車券は再乗車する際に必要になります。うっかり取り忘れてしまうと再購入しなくてはいけなくなるので気をつけましょう。
新幹線回数券では途中下車できない
新幹線回数券は新幹線を割安で乗ることができるお得なきっぷですが、乗車券と特急券が一体になっているため、途中下車で利用することはできません。
新幹線の途中下車についてそのメリットやポイントを詳しく解説しました。少々複雑なところもありますが、途中下車の仕組みを知れば新幹線を上手に活用して旅をさらに楽しむことができるはずです。上記でご紹介した内容を参考にして、途中下車をプランに加えてみてはいかがでしょうか。
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