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旅館とホテルの違い、はっきり言える? 定義やそれぞれのメリットを紹介
旅先で旅館やホテルに泊まることを楽しみにしている人も少なくないでしょう。ただ、いざ旅館とホテルの違いを聞かれると、はっきりとは説明できないかもしれません。
そこで本記事では旅館とホテルの違いを「客室」や「食事」「サービス」などの観点からご紹介。旅館とホテルそれぞれのメリットについても解説します。
目次
1. 旅館とホテルの違いは?
一般的に「旅館は和風の宿泊施設」「ホテルは洋風の宿泊施設」というイメージを持たれていますが、実際のところ、明確な線引きがあるわけではありません。かつては法律による明確な区別がありましたが、現在は法律上の定義の違いはなくなっています。
一般的な認識による違い
なんとなく和風の宿泊施設は旅館で、洋風の宿泊施設はホテルと思っている人もいるのではないでしょうか。一般的に、旅館とホテルの違いは次のように認識されています。
- 一般的な旅館のイメージ
外観も内装も和風で、客室も和室が中心。1泊2食付きが基本で、仲居さんによる布団敷きなどのサービスがあり、しばしば温泉や大浴場が備わっている。館内では、浴衣や作務衣を着て過ごす。また、小中規模の施設が多い。
- 一般的なホテルのイメージ
外観も内装も洋風で、客室は洋室が中心。素泊まりまたは朝食付きが一般的で、プライバシーが重視されている。大型施設も多い。
法改正前の旅館業法による定義の違い
2018年に法律が改正されるまで、旅館とホテルは旅館業法により明確に区別されていました。
かつての旅館業法では、旅館営業は「和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」であり客室数は5室以上、ホテル営業は「洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」であり、客室数は10室以上とされていました。
以前は法律でも「旅館は和風」「ホテルは洋風」と決められていたのです。
ところが、2018年の法改正で「旅館・ホテル営業」として統合されたため、現在は法律上の旅館とホテルの区別はなくなっています。
2. 旅館とホテルでこんなところが違う!
旅館とホテルのあいだに明確な線引きは存在しないものの、全体の傾向を見ると、やはり旅館とホテルではさまざまな違いがあることがわかります。
ここでは4つの項目に分けて、旅館とホテルの違いを見ていきましょう。
客室の違い
<出典元:写真AC>
旅館は日本特有の宿泊施設の形態であり、ホテルは欧米から輸入された宿泊施設の形態です。そのため、旅館の客室は和室が中心で、ホテルの客室は洋室が中心という違いがあります。また、ほとんどの旅館には大浴場があるため、客室にお風呂やシャワーが備わっていないことが多いですが、ホテルは客室に専用のバスルームを備えているのが一般的です。
ただし、近年では和室にベッドを配した和洋室が人気を博していることもあり、旅館でも洋式の設備を備えているところもあります。大型リゾートホテルを中心に和室を備えたホテルも多いため、単純に「旅館は和室」「ホテルは洋室」と線引きできるわけではありません。ホテルであっても大浴場がある施設の場合、一部の客室にはバスルームがないこともあります。
館内設備の違い
<出典元:写真AC>
「客室の違い」で述べたように、一般的な旅館は館内に大浴場を備えています。一方、ホテルに目を向けると、大浴場を売りにしている施設もあるものの、大浴場があるホテルは全体から見ると少数派です。
ところが、大浴場以外の館内設備に関しては、旅館よりもホテルのほうが充実している傾向にあります。旅館には「部屋食」の文化があること、また旅館は小規模な施設が多いことから、館内の共用設備は受付と浴場のみということもありますが、ほとんどのホテルは館内にレストランを備えており、大型ホテルの場合には、バーやスパ、カラオケルーム、子ども向けのプレイルームなど充実した設備があることも珍しくありません。
食事の違い
<出典元:写真AC>
旅館は食事やそれに付随するサービスに重点を置いているため、食事は1泊2食付きが基本。素泊まりプランや朝食付きプランを提供している旅館もありますが、高級旅館になればなるほど2食付きが前提となります。旅館で提供される料理は和食が多く、館内の食事処や大広間で食事をする場合もあれば、部屋で食事ができることもあります。
一方、ホテルは食事に関する自由度が高いため、素泊まりまたは朝食付きでの利用が多数を占めます。夕食は外部のレストランを利用してもいいですし、ホテル内に夕食を提供するレストランがある場合、別料金で利用することもできます。ルームサービスを提供しているホテルもありますが、ホテル内で食事をとるときは館内のレストランを利用するのが一般的です。
サービスの違い
<出典元:写真AC>
旅館に宿泊すると、仲居さんが荷物を運んでくれたり、布団を敷いてくれたり、部屋食の場合は部屋まで配膳してくれたり、出発の際に見送りをしてくれたりと、きめ細かいおもてなしが期待できます。
一方、宿泊客のプライバシーを尊重するホテルの場合、スタッフは一定の距離感を持って接客をするのが一般的で、呼ばれない限り部屋に来ることはありません。
ただし、近年は旅館でもプライバシー尊重やコスト削減の観点から、布団敷きなどのサービスを廃止している施設もあり、旅館のほうがホテルよりもサービスが手厚いとは限りません。
3. 旅館を選ぶメリット
<出典元:写真AC>
旅館には、和の情緒や非日常的な豪華な食事が楽しめるというメリットがあります。また、旅館は宿泊客1人ひとりに寄り添ったきめ細やかなおもてなしを信条としている施設も多いので、かゆいところに手が届くサービスも旅館のメリットです。
しばしば温泉や大浴場が備わっており、大きな湯船で思う存分羽を伸ばせるのも旅館の魅力と言えるでしょう。
4. ホテルを選ぶメリット
<出典元:写真AC>
ホテルを選ぶメリットのひとつに、自由度の高さが挙げられます。旅館や1泊2食付きプランのみであったり、食事の時間が決まっていたりと、過ごし方に制約がある場合も多いですが、ホテルならほとんどの場合、食事を付けないという選択ができます。1泊2食付きの旅館の場合、チェックイン・チェックアウトの時刻にもおのずと制約が出てきますが、ホテルの場合は深夜・早朝を含め24時間チェックイン・チェックアウトが可能な施設も少なくありません。
余計な干渉をされたくない人にとっては、宿泊客のプライバシーを尊重する点もホテルのメリットです。駅前など便利な立地にある施設が多いこと、大規模ホテルは館内施設が充実している点などもホテルの魅力と言えるでしょう。
5. 旅館とホテルの違いに関する素朴な疑問
旅館とホテルを比べたときに、ロケーションや価格帯に違いはあるのでしょうか。続いては、旅館とホテルの違いに関する素朴な疑問にお答えします。
旅館はどんなところ、ホテルはどんなところに多い?
<出典元:写真AC>
伝統的に旅館は観光や静養を目的に利用されてきたことから、旅館は歴史のある観光地や自然豊かな保養地温泉地などに多い傾向にあります。旅館のロケーションは、交通利便性よりも周囲の環境や情緒が重視されることが多いと言えるでしょう。
一方、ホテルの利用目的は実にさまざまです。ビジネスパーソンが出張の際に利用することもあれば、旅館同様、カップル旅行や家族旅行などで利用されることもあります。そのため、大都市の駅前にあるホテル、観光地の真ん中にあるホテル、歴史ある温泉地にあるホテル、ビーチリゾートにあるホテルなど、ロケーションも多彩。施設ごとに規模やコンセプト、ターゲット、価格帯などが大きく異なるため一概には言えませんが、旅館に比べ、ホテルのほうが大都市の駅前など、立地重視の施設が多いと言えるでしょう。郊外では、温泉地よりもビーチリゾートや高原にホテルが多い傾向にあります。
旅館とホテル、どっちが高い?
一口に「旅館」といってもランクはさまざまなので、価格帯にはかなりの幅があります。ホテルも同様なので、旅館とホテルどちらが高いかは、あくまでも施設によります。ただ、旅館は1泊2食付きが基本なので、素泊まりや朝食のみでの宿泊ができるホテルに比べると、旅館滞在は出費がかさみやすいと言えます。
6. 旅館とホテル以外にはどんな宿泊施設がある?
旅館とホテル以外にも、宿泊施設のタイプにはさまざまなものがあります。今後の旅の参考に、主要な宿泊施設の種類をおさえておきましょう。
コンドミニアム
<出典元:写真AC>
コンドミニアムとは、「賃貸型リゾートマンション」「家具や家電などの生活に必要な設備がそろった宿泊施設」のこと。寝室のほかに、キッチンやリビング、ダイニングなども備わっており、暮らすように滞在できるため、大人数での宿泊や長期滞在にぴったりです。
コンドミニアムについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
オーベルジュ
<出典元:写真AC>
オーベルジュは一言でいうと「泊まれるレストラン」のこと。おもに郊外の自然に囲まれた場所にあり、地元の食材を使った料理が楽しめる施設を指し、その土地ならではの食事を楽しめるレストランが主体になっています。
オーベルジュについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
コテージ
<出典元:写真AC>
コテージは、一戸建てを一棟貸しで利用する、貸別荘に近いタイプの宿泊施設のことです。高原や森の中など自然豊かな環境にあることが多く、施設によってはペットと一緒に宿泊できたり、バーベキューが楽しめたりします。
コテージについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ホステル
<出典元:写真AC>
ホステルは、できるだけ宿泊費を抑えたいバックパッカーや若年層をおもなターゲットにした低予算の宿泊施設のこと。ドミトリー(相部屋)を備えていることが多いのが特徴で、ラウンジなど宿泊客が自由に使える共用設備が充実している傾向にあります。
ホステルについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
ドミトリー
<出典元:写真AC>
ドミトリーとは、1部屋に4~20台程度のベッドが備わった相部屋のことで、宿泊施設の種類ではなく、客室のタイプを指します。ドミトリーは前述のホステルにあることが多いですが、ホステル同様、低予算の宿泊施設であるゲストハウスにもドミトリーを備えているところがあります。
このように、目的や予算、行き先に応じて選べる宿泊施設はさまざまです。旅館にも、ホテルにもそれぞれの良さがあるのはもちろん、旅館の良さを取り入れたホテルや、ホテルの良さを取り入れた旅館も存在します。それぞれの宿泊施設の違い、特徴を念頭に置き、ご自分に合った宿泊施設を選んでください。
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