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【イギリス】寝台列車「カレドニアン・スリーパー」に乗ってみよう!
鉄道発祥の地、イギリスで2024年7月現在運行されている寝台列車は2つあります。ひとつは、ロンドン・パディントン駅とイングランドの南西端に位置する州、コーンウォール州の町ペンザンスを結ぶ「ナイト・リビエラ(Night Riviera)」。そしてもうひとつ、ロンドン・ユーストン駅とスコットランドを結ぶ「カレドニアン・スリーパー(Caledonian Sleeper)」について、今回はご紹介していきます。
なお、本記事内の情報は2024年7月時点のものです。最新情報はカレドニアン・スリーパーの公式サイトをご参照ください。
目次
ルートについて
カレドニアン・スリーパーには5つの最終目的地があり、2系統に分かれています。
ハイランダー(Highlander)ルート
ロンドンとスコットランド北部ハイランド地方の以下の3都市を結ぶ。
- アバディーン(Aberdeen)― 終点までの終点までの所要時間:約10時間25分
- インヴァネス(Inverness)― 終点までの所要時間:約11時間30分
- フォート・ウィリアム(Fort William)― 終点までの所要時間:約12時間45分
- ロンドン発21:25/ロンドン着08:00。エディンバラ・ウェイヴァリー駅(Edinburgh Waverley、乗降不可)で分割・結合。
ローランダー(Lowlander)ルート
ロンドンとスコットランド南部ローランド地方の以下の2都市を結ぶ。
- グラスゴー(Glasgow)― 終点までの所要時間:約7時間35分
- エディンバラ(Edinburgh)― 終点までの所要時間:約7時間35分
- ロンドン発:23:45/ロンドン着07:15。カーステアーズ駅(Carstairs)で分割・結合。
スコットランドへ向かう場合は、どちらのルートでも列車はロンドン・ユーストン駅を16両編成で出発しますが、ハイランダー・ルートはエディンバラ・ウェイヴァリー駅、ローランダー・ルートはカーステアーズ駅で最終目的地別に切り離されます。逆に、南下する場合は、スコットランドの各始発駅を出発した列車がそれぞれ同上の駅で結合され、16両編成の列車となってロンドンへと向かいます。
運行頻度は、土曜日を除く週6日。ハイランダーとローランダー、それぞれのルートがロンドン発・着便ともに1日1便運行しています。
<ロンドン・ユーストン駅で出発前のカレドニアン・スリーパー。16両編成の列車はとにかく長い!>
列車の編成・客室/客席について
ロンドンを出発する16両編成の車両は、切り離し後の状態を見越して、「客室車両6両+指定座席車両1両+食堂車1両」の8両x2という構成になっています。
5つのタイプの客室・客席
- Caledonian Double En-suite ― ダブルベッドの個室。洗面台、トイレ、シャワー付き(タオルあり)。朝食込み。駅でのラウンジ使用可
- Club En-suite Room ― 二段ベッドの個室。洗面台、トイレ、シャワー付き(タオルあり)。朝食込み。駅でのラウンジ使用可
- Classic Room ― 二段ベッドの個室。洗面台付き。内部のドアを通じて隣室と結合することも可能で、家族連れなどの利用に便利。朝食は有料で注文可能
- Seated coach ― リクライニング可能でフットレスト付きの指定座席。専用充電ポイント、読書灯、施錠可能な頭上収納スペース付き。朝食は有料で注文可能。食堂車の利用は不可
- Accessible Rooms ― 車椅子で利用可能な個室。ダブルベッドまたは二段ベッド。朝食は有料で注文可能
<Club En-suite Room © Caledonian Sleeper>
今回はインヴァネスに行く際にClub En-suite Roomを利用してみました。客室は狭いながらも居心地は抜群!ベッドは、高品質のマットレスを使用していることもあり、驚くほどの寝心地の良さでした。が、夜中でも列車はかなりのスピードで移動するため、客車が揺れてなかなか寝付けない!ということはあるかもしれません。
Club En-suite Roomの洗面台とトイレ。木製のフタを持ち上げるとトイレになっています。トイレと同じ空間に簡易シャワーも付いています。タオルも備えられているのが嬉しい!
客室車両の通路は狭く、荷物を持っていると一人で通るのも難しいほど。でもこれもまた寝台列車の魅力と言えるでしょう!
こちらは指定座席の客車。飛行機のエコノミークラスの座席よりはスペースに余裕がある感じです。
サービスについて
個室の利用客はクラブカーと呼ばれる食堂車の利用が可能です(En-suiteの個室利用客優先)。クラブカーは列車の運行中ずっと営業しています。加えて、ルームサービスも利用可能です。指定座席利用の乗客向けには、フードやドリンクを座席まで届けてもらえるサービスがあります。
<Club Car © Caledonian Sleeper>
ハギスやスコッチウィスキーなど、スコットランドの名産を含むメニューはクラブカーの詳細ページで見られます。
また、個室の利用客は、乗車時に室内に備えてある注文票を利用して希望を出しておくと、翌朝に乗務員が軽い朝食と飲み物を部屋まで届けてくれます。重めの朝食もオーダー可能ですが、その場合はクラブカーに移動して朝食をとることになります(数量限定)。
朝食を各客室へとお届け中の乗務員さん。朝早くからご苦労様です。
朝食はロゴ入りの手提げ袋に入れてお届けしてもらえます。軽食+飲み物のオーダーができ、今回我々はポリッジ(オートミール)&コーヒーと、ベーコンロール&アップルジュースをお願いしてみました。
ポリッジはインスタントタイプですが、ベーコンロール同様、温かい朝食が客室でいただけるのはありがたい限りです。上記写真内右上のオレンジの缶は、スコットランド生まれの人気の炭酸飲料、Irn-Bru(アイアンブルー)。クラブカーやルームサービスで注文できます。
そのほか、客席・客室の種類を問わず、快適な睡眠をもたらすアイマスクとイヤープラグが無料で提供されています。
予約方法・料金
カレドニアン・スリーパーの公式サイトでオンライン予約ができるのに加え、電話予約や駅のチケットオフィスでの予約も可能です。乗車日の12か月前から予約ができます。
詳細な予約方法は、公式サイトのwebチケット予約のページをご参照ください。
料金は、曜日や時期によって異なりますが、指定席は50ポンドから、客室は一部屋190ポンド(単独利用)または240ポンド(2人で利用)となっています。お手軽価格ではないかもしれませんが、交通費+宿泊費込みで時間も有効活用できることを考えたら、実はお得な移動手段といえるといえるでしょう。
さいごに
カレドニアン・スリーパーでの旅は、その旅程自体が貴重なアトラクション体験とも言えるもの。ご予算に余裕があれば、クラブカーも利用できる客室での予約がおすすめです。
夜遅く、あるいは夜明けや早朝に車窓からの眺めを楽しみながら、クラブカーでのフードやドリンクを楽しんだり、客室の二段ベッドで列車の揺れを感じながら眠りについたり、いい旅の想い出になることは間違いありません。ちなみに、乗車前に駅のラウンジでもゆっくりしたいならば、ラウンジには早めに訪れることをおすすめします。遅めに行くと、満員で入れてもらえない、なんてこともありますので。。。
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ハル・リーチ
- 音楽、映画・演劇・TV、サッカーなど、UKカルチャーをこよなく愛す。2001年よりロンドン在住。以来、会社員&ものかき業を継続中。