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日本の難読地名、どれだけ読める? 喜連瓜破や昼飯町、老者舞など
普通でない読み方をしていたり、習ったことのない漢字が使われたりしていて、多くの人が読みづらい地名は「難読地名」と呼ばれます。
漢字に慣れ親しんでいるはずの日本人ですが、地図上に書かれた地名、駅名の看板を見て、「あれ? これなんて読むんだろ?」と思ってしまうこともしばしばあるでしょう。
難読地名は何も珍しいものではなく、全国のどこにでもあるからです。近所に住んでいたら当たり前に読める地名でも、遠くの人からしたらさっぱり読めません。
そんな難読地名の例を今回はご紹介していきます。
目次
<1. この難読地名、どれだけ読めますか? 難読地名テスト!>
1. この難読地名、どれだけ読めますか? 難読地名テスト!
まずはテストです。あなたはどれくらい難読地名が読めるでしょうか?
全部読めた人はほとんどいないのでは? 半分でも読めたらなかなかのものでしょう。
答えはこれから一つずつ明らかにしていきます。
2. 推測して読むのさえ難しい難読地名
聞いたことがなく難しい漢字が使われていても、中には推測で読めてしまう地名もあります。
しかし、どう頭をひねっても正解が出そうにない、推測して読むのさえ難しい難読地名が存在します。
匝瑳市(千葉県)
読み方:そうさし
2文字目は何となく「さ」と読めそうですが、シンプルな字形ながらも普段目にする機会がないのが、1文字目の「匝」。これは音読みで「そう」。匝瑳市で「そうさし」と読みます。
匝瑳市のホームページには、漢字の意味について以下のように書かれていました。
「漢字の「匝」は、訓読みで"匝めぐる"と読み、一巡りして帰るという意味があり、「瑳」は、訓読みで"瑳あざやか"あるいは"瑳みがく"と読み、あざやかで美しいという意味があります。」
なお、匝瑳市は植木・苗木の産地として有名です。観光スポットとしては、樹齢1000年以上というという巨樹「安久山のスダジイ」や、日蓮宗の学問所として開設された「飯高寺(はんこうじ)」などがあります。
甑谷町(福井県福井市)
読み方:こしきだにちょう
部首は「瓦」、左は曾(ひい)おじいさんの曾に似ている、となっても、そこから読み方の推測に至るのは非常に難しい「甑」。
「甑」は「こしき」と読み、米などの穀物を蒸す土器のことを指していたそうです。甑谷町(こしきだにちょう)は実際、甑が生産されていたことから生まれた地名だと伝えられているそうです。
福井市には他に、椙谷町(すいだにちょう)、謡谷町(うたいだにちょう)といった、似た雰囲気の名前を持つ難読地名もあります。
参考:清水地域の甑谷町の伝承
茱萸沢(静岡県御殿場市)
読み方:ぐみざわ
御殿場プレミアム・アウトレットでも有名な御殿場市にある、茱萸沢。
最後の「沢」だけかろうじて読めそうですが、その前の二文字はさっぱり読めないという人がほとんどでしょう。
「茱萸」はグミ科グミ属の植物を表す漢字で、「ぐみ」や「しゅゆ」と読みます。食用にもなる果実がなりますが、お菓子の「グミ」とは無関係です。
なお、大阪の狭山市には、同じ「茱萸」が使われた「茱萸木」という地名がありますが、こちらは「くみのき」と読みます。
3. 意表を突く読み方の難読地名
難読地名は普通とは違う読みをするというのを忘れてはいけません。意表を突く読みで驚かせてくることもしばしばです。
東一口、西一口(京都府久世郡久御山町)
読み方:ひがしいもあらい、にしいもあらい
真っ先に「ひとくち」と読んでしまいそうな「一口」。ですが、東一口と西一口は、「ひがしひとくち」「にしひとくち」ではありません。一口は、なんと「いもあらい」と読みます。
地名の由来としては、三方が巨椋池(おぐらいけ)に囲まれ、入り口が一つしかなかったから「一口」という説があり、なぜ「いもあらい」かというと、流行っていた疫病の災いを祓うための「忌み祓い」が「いもあらい」に変化したなど諸説あります。
老者舞(北海道釧路郡釧路町仙鳳趾村)
読み方:おしゃまっぷ
「ろうしゃまい」などと読んでしまいそうですが、「老者舞(おしゃまっぷ)」です。
これはアイヌ語の「オ・イチャン・オマプ」が由来だそう。「川尻に鮭鱒産卵場がある」という意味があるそうで、漢字は当て字。お年寄りによる舞いを表したかったわけではなさそうです。
相撲庭(滋賀県長浜市)
読み方:すまいにわ
お相撲さんが庭でくつろいでいるところや、土俵のある庭をイメージしてしまいそうな地名「相撲庭」。
「すもうにわ」と読んでしまいそうですが、読み方は「すまいにわ」。今の相撲(すもう)も、昔は相撲(すまい)と呼ばれ、力士は相撲人(すまいびと)と呼ばれていたこともあるとか。
しかし、相撲庭という地名の由来は、残念ながらわかりかねました。
4. 何とか読めそうだけど読めない難読地名
一つ一つの漢字はわかるし、何とか読めそう、でも読めない。そんな難読地名を挙げてみましょう。
喜連瓜破(大阪府大阪市平野区にある駅名)
読み方:きれうりわり
喜連瓜破は大阪メトロ谷町線の駅名で、大阪近辺に住む人には当たり前のように知られている名前です。しかし知らない人にとっては、「きれんうりは」のように、微妙に間違った読みしかできません。
喜連瓜破はあくまで駅名であり、「喜連」と「瓜破」は別々の地名として存在していたそうです。その真ん中に駅を作るとなったときに、両方を取り入れた駅名にしたというのが由来だとか。「きれうりわり......」一度知ったら何度でも声に出して読みたくなるような不思議な魅力があります。
今治市(愛媛県)
読み方:いまばりし
今治タオルで有名な、今治市。今治城や、タオル美術館といった観光スポットもあります。
比較的簡単な漢字で、「いまちし」「いまなおし」などとも読んでしまいそうですが、今治市は「いまばりし」が正解です。
昔は「今張」だったのが、今治城を築城したことでも有名な藤堂高虎がこの地を治めることになった際、「これからこの地を治める」という意味から「今治」に改められたとか。
5. いや、読めるけど?となりがちな難読地名
間違えるはずがない、これはこう読むよ!と自信を持ったのもつかの間、難読地名の闇にすぐさま引きずり込んでくる地名をご紹介しましょう。
北海道(愛知県あま市七宝町桂)
読み方:きたかいどう
もちろん「ほっかいどう」でしょ?となりそうですが、愛知県にある北海道は違います。名古屋市の隣、あま市にあるのは、「ほっかいどう」ではなく「きたかいどう」です。
昼飯町(岐阜県大垣市)
読み方:ひるいちょう
ランチしたくなる町ナンバー1になりそうな、昼飯町。「ひるめしちょう」と読んでしまいそうですが、「ひるいちょう」です。この地名には、仏像を運ぶ人たちが、美しい景色の中で昼飯をとることにしたことからという由来があるそうです。
実際に昼飯町でランチできそうな場所はないかなと見てみると、中華料理店やちゃんぽん屋さんがありました。
参考:「昼飯町」なんて読む?(ニュースがわかる オンライン)
放出東、放出西(大阪府大阪市鶴見区、大阪府大阪市城東区)
読み方:はなてんひがし、はなてんにし
難読地名の世界ではとても有名な「放出」。「ほうしゅつ」以外読みようがないだろうと思ってしまいますが、「はなてん」が正解。放出東は「はなてんひがし」、放出西は「はなてんにし」と読みます。
地名の由来についてはかなり多くの説があるらしく、以下のページでは5つの説が紹介されています。
参考:「放出(はなてん)の地名の由来について」(大阪市立図書館)
6. 観光地として有名だけど、読めない人も多い難読地名
いくら難読地名といえども、それが観光名所となると、読めないと恥ずかしかったりもします。今のうちに覚えておきましょう。
留寿都村(北海道虻田郡)
読み方:るすつむら
ルスツリゾートやルスツ温泉など、観光地名はカタカナで書かれていることもありわかりやすいものの、いざ漢字で「留寿都」と書かれていると読めない人も多いでしょう。
北海道はアイヌ語が元になった地名が多く、難読地名の宝庫です。留寿都は読み方の近い漢字を当てたもので、漢字字体に意味はありません。アイヌ語の「ル・スツ」は「道が山のふもとにある」という意味を指すそうです。
安曇野市(長野県)
読み方:あづみのし
北アルプスの山々を望む雄大な景色に、美しい田園風景が魅力の安曇野市。有名ではありますが、普通にはなかなか読めない漢字です。なお、「あずみの」でなく「あづみの」が正解。
わさびの名産地としても有名で、大王わさび農場は入場無料の人気観光スポットともなっています。
指宿市(鹿児島県)
読み方:いぶすきし
世界的にも珍しい「天然砂むし温泉」がある指宿。温泉を含んだ砂浜の砂に埋もれるという変わった入浴方法が楽しめます。指宿は、「ゆびやど」でも「さしやど」でもなく、「いぶすき」と読みます。
湯の豊かな宿を意味する「湯豊宿(ゆほすき)」が由来だともいわれていて、実は天然砂むし温泉とも関係している地名なのでした。
7. あれ? 知ってるのと違う!となる難読地名
同じ漢字の地名なのにそれぞれで読み方がバラバラで、混乱しがちな地名もあります。
神戸(静岡県榛原郡吉田町)
読み方:かんど
※他の地域では、さらに「かのと」「かみと」「かんど」「かんべ」「こうど」「ごうど」「じんご」などもあり
神戸というと、兵庫県の神戸市(こうべし)が有名ですが、全国各地に「神戸」という地名は非常にたくさんあり、読みが見事にバラバラです。
静岡県榛原郡吉田町の神戸はあくまで一例で、「かんど」と読みます。他、「かみと」などはまだわかりやすいものの、「ごうど」や「じんご」など、なかなかそう読む人はいないだろうという読み方も多いです。
大山町(鳥取県西伯郡)
読み方:だいせんちょう
鳥取県の標高1252メートルある山「大山(だいせん)」の名前を関する町名です。「大山」という地名、山の名前は全国でも数多いものの、鳥取県だけは「だいせん」と読みます。
どうもこれは「呉音(ごおん)」という、今ではあまり使われていない漢字の読み方の一種からきているのではないかとのことです。
参考:大山はなぜ「だいせん」?( NHK鳥取放送局)
府中(徳島県徳島市国府町)
読み方:こう
東京都や広島県に府中市(ふちゅうし)があり、これはそのまますんなりと読めますが、徳島県の「府中」を「こう」と読める人はなかなかいないでしょう。
なぜこのような読みになったのか疑問に思いますが、「ふちゅう」だと「不忠」に通じるからだとか。なので「国府(こくふ、こう)」にも「孝(こう)」にもかけることができる「こう」になったというのが由来なのだそうです。
8. まとめ
最後に、今回ご紹介した難読地名の、読み方も含めた一覧を載せておきます。
難読地名は、なぜそんな読み方になったのかの由来まで調べると興味深い発見ができたりします。
もちろん今回紹介した以外にも、無数に難読地名はあります。初めての場所に旅行に出かけたら、ぜひ難読地名探しをしてみてください。
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