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【イギリス】第2次世界大戦の救世主!ナチスの暗号解読を成し遂げた諜報組織ブレッチリー・パーク
第2次世界大戦で英米軍がドイツに勝つことができた理由のひとつに、イギリスがドイツ側の秘密暗号を解読できていたからと言われています。その暗号解読に大きな貢献をした秘密組織がイギリス中部のブレッチリー・パークに博物館として残されています。第2次世界大戦のカギを握る歴史と実用機としては世界初と言われるコンピューター開発の秘密を堪能できます。
目次
ブレッチリー・パークってどこ?
ブレッチリー・パークは第2次世界大戦中に大活躍した、暗号解読などの諜報機関のことでイギリス・ロンドンの北約70kmの自然豊かな静かな街にあり、ロンドン・ユーストン駅から直通で電車で45分とロンドンから日帰りでも訪れることができます。
まわりにはこれといった大きな都市はおろか、重要な軍などの関連施設もありませんでした。極秘作戦として、暗号解読や今でいうITにつながるような知識や技術の高い人材を集結させるために、必然的にオックスフォードとケンブリッジのちょうど中間にこの施設を設けたとも言われています。
ブレッチリー・パーク
- 住所:The Mansion, Bletchley Park, Sherwood Dr, Bletchley, Milton Keynes MK3 6EB
- 開館時間:夏期(3月~10月)9:30~17:00/冬期(11月~2月)9:30~16:00 ※12月24、25、26日以外は毎日開園
- 公式サイト:ブレッチリー・パーク
気になる入場料は大人がひとり26ポンド(約5,000円、ただし1回の入場料が1年有効で何回でも入場可能)、円安が続く2024年現在、入場料が高く感じてしまいますが、ストーンヘンジ(25ポンド)やロンドン塔(34.8ポンド)と比較しても妥当な金額と言えるでしょう。また、12歳以下の子どもは無料なので家族連れには嬉しい設定です。
ブレッチリー・パークの偉業とは?
ブレッチリー・パークが世界に知られている理由はふたつあります。まず、ひとつめは最強と言われていたドイツの暗号エニグマの解読に成功したことです。
ドイツ軍は文字変換を何十回もする暗号「エニグマ」を使って次の攻撃場所や時間などの作戦の情報を交換していました。定期的に文字変換モードも変えるなどしており、そのバリエーションは数えきれず、解読は絶対に不可能とだれもが信じていました。ところが、このブレッチリー・パークで多くの天才たちの命がけの努力でこのエニグマの解読に成功しました。このことで世界大戦が2年は縮小したとされています。
そしてふたつめは、このエニグマ解読にあたりコンピューターの先駆けである電子計算機が初めて世界で実用化されました。残念ながら終戦後に廃棄処分されたため、実物は現存しませんが学校の教室1つ分ほどのスペースが必要なほど複雑にコードや配置された巨大な機械だったそうです。
諜報基地ブレッチリー・パークを探訪する
政府の機密暗号学校として機能していたころから第2次世界大戦後期にドイツの最強と言われていた暗号エニグマの解読、そして、世界大戦勝利までの歴史が当時の再現なども含めて分かりやすく展示されています。
広大な敷地には当時からのままのプレハブのようないくつもの建物に少しずつ展示がされており、大英博物館のように超メガ急の世界的な博物館に比べるとこじんまりしていますが、だからこそ飽きずに楽しめるように感じられました。
実際に遊んだり触ったりできる展示もあり、子どもでも楽しめます。
かつての諜報機関を思わせる家具や道具も再現されていました。
ドイツだけでなく、日本の暗号解読にも力を注いでおり、漢字やひらがなの練習帳なども展示されていました。
第2次世界大戦を含めイギリス人は自分たちの国の歴史にとても誇りを持っている人が多く、現在でもその歴史をなるべく伝えたいと思っている人が多くいます。残念ながら、1945年以前からの記憶のある人は少なくなっていますが、当時のことをよく知っている人から実際に子どものころに聞いた話を現代の子どもたちへ伝えたいというお年寄りもまだ多く活動しています。
現在は一般的となっているモールス信号なども、ボランティアの方が熱心に子どもたちにも教えてくれています。
アカデミー賞などにも多くノミネートされ、このブレッチリー・パークでの歴史が舞台となった映画「イミテーション・ゲーム」は、主演のベネディクト・カウバーバッチがアラン・チューリングを演じました。
心地よいガーデンエリアやカフェも充実
豪華な邸宅と簡易的に建てられたプレハブのような施設が混在するブレッチリー・パークですが、さくさく見ても2時間はかかります。興味深くじっくり見ようと思うと丸1日かかる人も多いので、休憩には屋外のグリーンスペースがとてもおすすめです。
子どもが遊べる公園やピクニックスペースもしっかり管理が行き届いており、とても気持ちよく過ごせました。
もちろん、カフェスペースもあります!コーヒーや紅茶、ケーキだけでなく、フィッシュ&チップスというようながっつりした食事も用意されていました。
おみやげショップもおしゃれ
ショップにも暗号解読や第2次世界大戦にちなんだお土産がたくさんそろっていました。本も多くそろっていましたが、洋書は苦手という人には数独などのパズルの本もいいかも?
おしゃれなTシャツや幾何学模様の傘やコースターなども個人的には素敵だなと思いました。
現在は博物館として残されているブレッチリー・パークを訪れると、暗号解読への努力の歴史、現在のIT社会につながる世界初の電子コンピューター開発の軌跡を見れたりと、とても興味深い時間が過ごせました。
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ちき
- イギリス、オックスフォードにイギリス人の夫と4歳の男の子と暮らしています。好きなことは、見晴らしのよいところ、ワイン、マーケット(蚤の市)散策。