公開日:
最終更新日:
【ギリシャ】二日酔い予防にも効くスープ!?「パツァス」
1年中食べられるけど、寒い時期に美味しいのが温かい煮込みやスープです。
私の場合、中でも特にモツ系のものが食べたくなるのですが、ギリシャのモツスープというと、イースターに食べる「マギリッツァ」や二日酔い予防にもなるとされる「パツァス」がよく知られます。
今回の記事では、ギリシャのパツァスについての説明と、アテネの有名店をご紹介します!
目次
ギリシャの「パツァス」ってどんなスープ?
パツァスの語源はペルシャ語で足(食肉の部位)を指すパチャだそうで、ギリシャで通常パツァス(発音はパツァとパチャの中間くらい)というと、牛の胃袋と足をじっくり煮込んだスープまたはその材料である胃袋のことです。
似たようなスープはいろんな国にありますが、ギリシャのパツァスの基となるのは中央アナトリア(現トルコ)の遊牧民の料理だと考えられます。トルコ料理には「ケッレ・パチャ・チョルバス(頭と足のスープ)」や「イシュケンベ・チョルバス(胃袋のスープ)」というのがあるそうで、ギリシャでは胃袋と足を使ったスープが「パツァス」。トルコ語由来の料理名がギリシャでは少し違った意味になっているのは他にも例がありますがちょっと面白いです。
作り方はトルコ料理のそれとは全く同じではなく、ギリシャのパツァスは牛の胃袋と足を茹でこぼして臭みやアクを取ってから、ただひたすら煮込んだだけのシンプルなもの。癖のある材料なのに、香味野菜や香辛料の類はほぼ入れないのです。
できあがりの目安は、足の骨から身がほろりと取れるぐらい。胃袋と足は一旦取り出して好みの大きさに切ってスープに戻し、お好みで唐辛子やガーリックビネガーを加えていただきます。上手く作られたパツァスに臭みはほとんどなくて、意外とあっさりした味わいです。
お店での注文の仕方と食べ方
店によって少し違ったりもしますが、パツァスは注文する時にいろいろ確認されます。まず部位を選ぶことができ、胃袋だけ(キリァまたはスケンベ)、足だけ(パツァ)、両方ミックス(アナミクトス)をチョイス。大きめに切ったもの(ホンドロコメノス)か細かく切ったもの(プシロコメノス)かも伝えましょう。ギリシャ語で言わなくても、多分ブロークンな英語で通じるはず。
<アナミクトス、プシロコメノス、コキノ入りで注文したパツァス>
この時、ガーリックビネガー(スコルドストゥビまたはスコルドクシド)も入れるか聞かれます。さらに赤いオイル(スープに浮いた脂にパプリカを加えたもの)を足したい場合はコキノも入れるよう頼みましょう。ただしこれは店によって無い場合もあるようです。
テーブルには赤唐辛子のフレークやガーリックビネガーが置かれているので、好みでこれらを足して食べます。
ちなみに、今回ご紹介するようなお店ではスープだけ頼んでも大丈夫。結構ボリュームがあるのでパンとスープだけでもお腹がいっぱいになります。
アテネの人気店3選
パツァスはテサロニキなど北ギリシャの方がお店がいっぱいあるのですが、アテネにもパツァスで有名な店がいくつかあります。
1. マキス
中心街から離れているので観光客にとってあまりアクセスはよくないのですが、24時間営業でいつも賑わっている人気店。
メニューも豊富でスタンダードなギリシャ料理がひと通り揃っているので、パツァスは苦手な人と一緒に行っても楽しめる店です。
煮込みやオーブン料理も美味しそう。テイクアウトで買って行く人も多いです。
ここはスブラキやギロスもありますよ。
同行人が頼んだピタパンやポテトが一緒に写ってますが、パンが付いてきます。
臭みはほとんどなくて、スープもサラッとした感じです。でも意外と腹持ちがいいのか、早すぎる晩ごはんもしくは遅い昼ごはんな時間帯に食べたけどこの日はこれだけでも平気なくらいでした。
【オ・マキス(Ο Μάκης εστιατόριο-Πατσατζίδικο)】
- 住所:Thivon Street 235, Peristeri
- 営業時間:24時間(無休)
- 最寄り駅:M2 Anthoupoli
2. イピロス
対照的に、とてもアクセスがいいのが肉市場の中にある食堂イピロス。
さまざまなスープや煮込み料理、オーブン料理を出す似たような食堂が昔はあと2軒ほど市場内にあったのですが、今はここだけ(少し違ったタイプの居酒屋や食堂は複数あります)。
場所柄観光客も多く訪れますが、昼前に行ったらパツァスを食べている男性客しかいませんでした。
イピロスのパツァスはゼラチン質が多いのか少しとろみがあり、比較的モツ独特の癖もありました。ここはパツァス以外のビーフスープやマギリッツァもおすすめです。
【イノマギリオ・イ・イピロス(Οινομαγειρείο Η Ήπειρος)】
- 住所:Filopimenos 4, Athens (中央市場内)
- 営業時間:6:30-18:30、日曜定休
- 最寄り駅:M1、M3 Monastiraki
3. アフトフォロ
最高裁判所の向かいにあるアフトフォロも、アテネでパツァスの店といえば必ず名前を挙げられる有名店です。
観光客はあまり行かないエリアではありますが、シンタグマ広場からメトロで3駅とアクセスがよく、ローカルっぽい雰囲気も味わえるので結構おすすめ。すぐそばにはアテネのサッカーチーム、パナシナイコスの競技場もありますよ。
ここもマキスと同様あっさり目のパツァスで、熱々度はナンバーワン。舌を火傷しそうになるくらいの熱いスープってギリシャではあまりないんですよ。深いボウルに入っているのも手伝って、最後まで温かいスープを楽しめました。そんなに何度も行ったわけではないので常に熱々なのかは不明ですが、寒い日に熱いスープを欲している方はぜひ。昔ながらのレトロな看板や内装も、個人的にはお気に入りポイントです。
【ト・アフトフォロ(Το Αυτόφωρο)】
- 住所:Alexandras Ave.152,Athens
- 営業時間:12:00~0:00
- 最寄り駅:M3 Ampelokipi
おわりに
ナイトライフの充実したアテネでは、バーやクラブで遊んだあとの締めのフード類も楽しみなのですが、中でも二日酔い予防にいいとされるのがパツァス。お隣の国トルコでも同じように考えられているそうです。日本で言う〆のラーメン的な位置づけですが、塩分や脂分控えめで比較的ヘルシーな印象ですね。
機会があればぜひお試しください。
関連記事
Rankingギリシャ記事ランキング
-
アナグノストゥ直子
- アテネ在住。主婦業の傍ら、ライター、リサーチャー、コーディネーターとしても活動する。ブログ「ギリシャのごはん」にてギリシャ料理レシピやおいしい話題を発信中。