【ラオス】首都ビエンチャンで最も人気のあるお寺・自らの命を捧げた伝説の女性の物語

<TOP画像:寺院建立に命を捧げたシーさんの伝説>

ラオスの首都ビエンチャンで最も人気があり、最も美しいと言われるワット・シームアンというお寺があります。特に女性からの絶大な信仰を集め、本堂から女性が途切れる時間はないほどです。それにはこのお寺を建立する際にシーという女性が自らの身を投じて、この寺院の建立を実現させたことが由来しています。ビエンチャン屈指のパワースポットを、シーさんの伝説やラオスの伝統儀式を受ける女性からのお話しと共にご紹介いたします。

目次

首都ビエンチャンで最も人気のあるお寺

ワット・シームアンはラオスの首都ビエンチャンの、サムセンタイ通りとセーターティラート通りが交わるY字路のあたりにあります。ワットタイ国際空港からは東へ約7㎞、車なら20分ほどで着く場所です。

境内に入ると金色、朱色、オレンジが入り混じった本堂や、大小幾つもの仏像も金色に輝いています。日本のお寺の古木の落ち着いた色合いによる静けさもよいのですが、このお寺の煌びやかさは首都で最も美しいと言われるのに納得できます。

首都で最も人気のあるワット・シームアン
<首都で最も人気のあるワット・シームアン>

立ったり座ったりしている仏様が並んでいるのですが、これは"曜日の仏様"。日本では「何曜日に生まれたの?」と聞かれて直ぐに答えられる人は中々いないでしょうが、ラオスやタイでは生まれた曜日の仏様に手を合わせるのが一般的です。

生まれた曜日の仏様に参拝
<生まれた曜日の仏様に参拝>

境内で売っている大きな花桶
<境内で売っている大きな花桶>

女性の祈願者が絶えない本堂

広い本堂ではいくつもの家族やグループがお参りをしています。女性が非常に多いのが一目で分かり、男の人は付き添いのような方が多い印象でした。

本堂では3名ほどの僧侶が間隔を空けて座っていて、その周りを数名の人が囲んでいます。そして僧侶が祈願者の手首に糸を巻く儀式を行っていました。

女性が途切れることのない本堂
<女性が途切れることのない本堂>

これは"バーシー"という健康と繁栄を祈るラオスの伝統的な仏教儀式です。この儀式は、結婚、出産、入学、就職、または死別など、人生の大きな節目に行う儀式で、人間の身体に宿っている幸せを招く精霊が外に出ていかないように糸で結んでいるのです。
この儀式は外国人の観光客でも受けることができますので、行った時にはぜひ受けてみるとよいでしょう。

ラオス伝統の儀式"バーシー"
<ラオス伝統の儀式"バーシー">

こちらは大きな石の仏様。ずっしりと中々の重さがあり、女性だったら両手で持ち上げるのが精一杯ではないでしょうか。これも「持ち上げると願いがかなう」と言われていて、女性が真剣な表情で重そうに石を持ち上げていました。

願いがかなう石の仏様
<願いがかなう石の仏様>

大きな銅鑼(どら)も祈願に使われます。日本でも「銅鑼の音には悪霊を祓い、周囲を浄化する」と言われておりますが、同じ意味合いのようです。人の背ほどの大きな銅鑼は、バチもスイカほど大きさがあり、軽く触れただけでもゴォォーンと深い音が本堂に響き渡っていました。

音で浄化する巨大な銅鑼
<音で浄化する巨大な銅鑼>

自らの命を寺院建立に捧げたシーさんの伝説

本堂の中だけでも多くの女性が真剣に祈願している姿を見ることができました。しかし、なぜこれほどまでに女性の信仰が集まるでしょうか。それにはシーという女性の誰にもまねのできない伝説に由来しているのです。

女性の絶大な信仰を集める寺院
<女性の絶大な信仰を集める寺院>

その伝説をご紹介いたします。

1563年、セーターティラート王がこの寺院を創建する際、建設の穴を掘っていると穴の中に大きな岩があり、その岩がどうしても動かないことから建設が止まってしまいました。

そして、この岩を動かすには、神に捧げる人身御供(ひとみごくう)、いわゆる"生けにえ"が必要となりました。誰も生けにえに名乗りでない中、シーという若い妊婦が、寺院建立のために、支柱を建てる穴に飛び込み、自らと母体の子の命を捧げたのです。

岩は動き、寺院の建立は進みました。この時からシーさんは町の守り神として、伝説の女性になったのです。

シーさんへ感謝を祈る女性たち
<シーさんへ感謝を祈る女性たち>

本堂の裏には大きな祭壇あり、そこにはたくさんの仏様が祀られ、ここでも多くの女性が祈りを捧げていました。この寺院を建立できたことへの感謝、そして人生の節目での報告をしているのでしょう。そこはお線香とジャスミンの香りに包まれた、とても清らかな空間でした。

本堂の奥にある大きな祭壇
<本堂の奥にある大きな祭壇>

その祭壇の更に後ろにシーさんが祀られているのです。ガラスケースに丁寧に囲われたシーさんはラオスの伝統衣装に身を包み、目の大きな美しい方であるのが分かります。このシーさんがお腹の子どもと共に命を捧げてこの寺院の建立を実現させたのです。

ガラスケースに丁寧に祀られるシーさん
<ガラスケースに丁寧に祀られるシーさん>

大きな目の美しい女性
<大きな目の美しい女性>

恋愛のお願いは禁止

制服を着た2人の女性に出会いました。彼女たちはどんな節目で儀式を受けに来たのか聞いてみました。

「私たちは大学の一年生です。ワナケートという南の田舎から来たばかりで、まだビエンチャンのことは何にも分からないんですよ。大学に入れて、寮に引越しもできたのでその節目でお祈りにきました。

将来は銀行員になりたいので大学ではその勉強をします。たくさんの知識が身に付くようにお祈りしました。」

大学入学の節目にお参りに来た女性
<大学入学の節目にお参りに来た女性>

ここは恋愛にもご利益があるって日本で聞きましたが、そんなお願いもしたのですか?

「えー、それ逆ですよ。ここではそうゆうお願いはしたらダメなんですよ!」

やはり現地で聞いてみないと分からないことばかり。笑われてしまいました。

大学入学の節目にお参りに来た女性
<大学入学の節目にお参りに来た女性>

施設名:ワット・シームアン

  • 住所:15 Rue Bourichane, Vientiane
  • 入場料:無料

まとめ

ラオスの首都ビエンチャンで最も人気があり、最も美しいとされるお寺。その参拝者の多くが女性で、本堂では僧侶からバーシーというラオス伝統の儀式を受けています。

この寺院には、自らと母体の子どもの命を捧げ、この寺院建立を実現させたシーという女性の伝説があり、多くの女性はこのシーさんへの想いからこの寺院へ参拝に訪れているのです。本堂の奥に丁重に祀られているシーさんに手を合わせにぜひお出かけ下さい。

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KOJI SAITO

東南アジアの子ども達を支援しているNGO代表。活動の合間に聖地を巡り、現地の人々との触れ合いから直接聞いた情報をお伝えしています。国内では会社を経営し、出張で47都道府県を制覇。

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