【岐阜・揖斐川町】紅葉の"巡礼の終着駅" と"美濃の正倉院"を歩く

こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。

岐阜県の揖斐川(いびがわ)町にある2つの寺をご存知でしょうか。

"巡礼の終着駅" と言われる谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)と"美濃の正倉院"と言われる両界山横蔵寺(りょうかいさんよこくらじ)を訪れました。

どちらも魅力的で見ごたえのあるお寺でしたのでご紹介したいと思います。

目次

谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)

1200年余りの歴史を誇る天台宗の由緒ある寺。

日本最古といわれる"西国三十三所巡礼"の満願の寺で「巡礼の終着駅」とも言われています。

本堂に至る参道は約1kmにも及び、長き巡礼のクライマックスを迎えるにはぴったりの雰囲気です。

参道の並木道は、春は桜、秋は紅葉で巡礼者を迎えてくれます。

巡礼を終えた人々が精進落としに食べるうなぎやなど川魚を提供するお店も栄えてきました。

谷汲山華厳寺の縁起

創建は平安時代の798年。奥州会津の大口大領という豪族がお告げを受け、京の仏師に十一面観世音菩薩を彫り上げてもらった。

出来上がった仏像を会津へ持ち帰る途中、美濃の国に差し掛かると急に仏像が重く動かなくなり、谷汲の地へ辿り着くと再び動かなくなり、大領はここが有縁の地だと感じ、この地で修行していた豊然上人と山谷を切り開き、西暦798年に寺を建立したのが始まり。

近くの谷の岩穴から油が湧き出し、その油を汲んで燈明に用い、その後燈明に困ることがなかった。その話を聞いた醍醐天皇より「谷汲山」と「華厳寺」の名を賜った。

西国三十三所巡礼の中興の祖である花山法皇が御巡幸された折には、この寺を満願札所と定めた。(パンフレットより抜粋引用)

菅原道真によって造り出されたといわれる立像 「木造毘沙門天立像」が安置されています。(国指定重要文化財 非公開)

なぜ三十三所巡礼なのか?

観世音菩薩は三十三の違った姿で現れて、人々を救うと法華経に記されています。

この三十三という尊い数字と同じだけのお寺を回って身を清め、極楽浄土の道を探すというのが巡礼の旅なのです。

では、参道から谷汲山華厳寺へ向かいましょう。

参道

参道

ややピークは過ぎていましたが、参道は赤々と紅葉で燃え盛っていました。

参道

参道

仁王門

ようやく仁王門までたどり着きました。

本堂までの道のりはまだまだ続きます。

境内

境内

境内

もみじの絨毯

もみじの絨毯が圧巻でした。

境内

本堂

やっと本堂が見えてきました。

本堂

どっしりとした重厚な造りの本堂です。

本堂

本堂から後ろを振り返った風景がこちらです。

本堂

精進落としの鯉
<精進落としの鯉>

本堂の柱の両内側にある青銅の鯉で、巡礼の最後はこの鯉を撫でることで巡礼を終えるという古来からの習わしがあるそうです。

多くの人々に撫でられてピカピカに光っていました。

戒壇(かいだん)廻り

戒壇(かいだん)廻りというものがありました。

暗闇の中を手すり、壁沿いに歩いて行き、錠前に触るとご利益があるというものです。

内部は本当に真っ暗闇で正直怖かったです。アップダウンもあり、曲がっていくので壁づたいに恐々歩いていきます。

見えないことがこれほど怖いのか、と思い知りました。錠前に触ることができたかって?

何か大きい●●のようなものには触ったのですが、錠前に触ることは残念ながらできませんでした。

貴重な経験でした。ぜひあなたもめぐってみてください。(100円)

お札をペタペタ張られた像

本堂を左回りに歩いていくとちょうど本堂の裏になにやらお札をペタペタ張られた像がありました。

紙のお札

紙のお札(20円)を水に浸し、自分の体の悪い所、痛い所に貼ると治してくれるのだとか。

頭、目、肩、胸、お腹、膝、背中、腰辺りに多く貼ってありました。なんかわかりますね。

おいずる堂
<おいずる堂>

西国三十三所巡礼の中興の祖と言われている花山法皇がこの地で満願となり「今までは親と頼みし、おいずるを脱ぎ捨て納むる美濃の谷汲」という御詠歌と共に来ていた衣(おいずる)を納められたという逸話に因んだお堂。

山のように積み重ねられたおいずるからは古来より変わらず信仰厚い巡礼者の思いが込められています。

満願堂

本堂(左手)の裏からさらに登ったところに満願堂があります。

満願堂
<満願堂>

巡礼を終えた人々はここでどのような思いを感じたのでしょうか。

満願堂にはたくさんのたぬきの像がありました。

これは「巡礼満願者は他を抜く(優れている)」という意味だそうです。

きっと達成感、充実感、満足感に溢れていたことでしょうね。

谷汲山華厳寺

>>西国三十三所巡礼満願の谷汲山華厳寺の公式サイトはこちら

両界山横蔵寺(りょうかいさんよこくらじ)

美しい紅葉で有名な寺。

平安末期から鎌倉初期にかけて作られたとされる十二体の神将を含む22体の国の重要文化財が安置され、その他にも多くの仏像や絵画、書籍を蔵していることから、この文化の香り高い横蔵寺は別名「美濃の正倉院」と呼ばれています。

また妙心上人の即身成仏(ミイラ)が自然のまま保存されています。

お寺は谷汲山華厳寺に比べてこんまりしており、静かな雰囲気の中、佇んでいます。

両界山横蔵寺の縁起

天台宗の開祖である最澄は、比叡山の持命仙人が天竺から持ち帰った赤栴檀(せんだん)の木で根本中堂の本尊を彫り、その余材で尊像を作り、それを祀る場所を求めて諸国を巡っていました。

この地で最澄が山道を歩き、大岩のところでひと休みしていたところ、尊像が横に臥せってしまい、びくともしなくなりました。

最澄が「この山中にとどまりたいというのが仏の意志であれば、ここに安置しましょう」というと、尊像は自ら起立しました。

翌朝から最澄は尊像を祀る場所を探しました。すると夢の告があり「四方の山が両界曼荼羅の構えで、中央が月倫に似た霊地がある」と告げられました。

翌日その夢告通りの霊地を探し当て、草堂を建て如来を安置しました。

山の形と尊像が横臥したことから、これを両界山横蔵寺と名づけたと言われています。

後の世になり、この地(今の揖斐川町)で生まれた妙心上人は1781年、仏道修行のため巡礼の旅に出発しました。

御正体山の洞窟で断食し、入山し約31日で即身成仏となられました。今なお人工の手を施さず横蔵寺に保存されています。(パンフレットより抜粋引用)

では、境内を歩いてみましょう。

医王橋

入り口にある真っ赤な医王橋の辺りの紅葉が見事です。

私が訪れた12月1日には紅葉は終わっていましたが、最盛期の様子はこちらをご覧ください。

両界山横蔵寺(紅葉)
(写真提供:揖斐川町)

紅葉の時期はライトアップもされています。(2023年は11/1〜25 21:00まで)

寺門

寺門
<寺門>

苔むした古刹の趣があり、素敵なお寺でした。

山門
<山門>

三重塔
<三重塔>

本堂
<本堂>

舎利堂
<舎利堂>

このお堂の中に妙心上人が安置されています。(瑠璃殿と共通拝観料:大人500円、小中学生200円、幼児100円)

拝観時間(10:00〜16:00)

瑠璃殿
<瑠璃殿>

こちらに平安〜鎌倉期に作られたと言われる十二体の神将を始めとする国の重要文化財が安置されています。

>>揖斐川町の観光情報はこちら

旧谷汲駅

谷汲山華厳寺は名古屋鉄道の旧谷汲駅から近いです。残念ながら現在旧谷汲駅は廃線となり、旧駅舎が残るだけとなっています。

レトロな車両が展示されていますので、揖斐川町に訪れる際には立ち寄ってみることをおすすめします。

旧谷汲駅

旧谷汲駅

旧谷汲駅

最後に

どちらのお寺も趣があり、訪ねる価値があるお寺だと感じました。紅葉はそれは見事でした。

谷汲山華厳寺は、西国三十三所巡礼の満願の地と言われるだけの風格があります。

長い長い参道を歩きながら「巡礼もこれで終わりだ」と感じる巡礼者の心はどれほど満たされたものだったことでしょうか。

本堂から満願堂から見下ろす視界が開けたこの地の風景はどれほど心地よいものだったことでしょうか。

一方、両界山横蔵寺はひっそり佇む古刹という雰囲気で、ひとり静かに歩きたいお寺です。

妙心上人の即身成仏は写真撮影禁止のため、記事でご紹介することはできませんがぜひあなたの目でご覧になっていただきたいものです。

話は変わりますが、ここ揖斐川町では毎年11月に「いびがわマラソン」が開催されています。

清流揖斐川と紅葉が織りなす美しい風景の中を走るのですが、地元の小学生たちが声援を贈り、走者は「こんなに温かいマラソンはなかなかない」とリピーター走者も多く、すぐに定員が一杯になるほどの人気ぶりだそうです。

>>いびがわマラソン公式サイトはこちら

揖斐川町は正直田舎です。派手な観光施設もありませんが、そこが良いのだと思います。

歴史の息吹に思いを馳せ、日本の原風景に包まれてのんびり時を過ごす。そんな旅のカタチにぴったりの町だと思います。

ぜひ一度お出かけください。

>>揖斐川町公式サイトはこちら

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シンジーノ

3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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